大石内科循環器科医院

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もしかして糖尿病?セルフチェックできる初期症状と注意すべき兆候

2025.05.23 糖尿病

疲れやすかったり、喉が渇いたり、頻尿が続くといった症状がある場合は、糖尿病の可能性が考えられます。糖尿病は初期には自覚症状が出にくいものの、放置すると合併症を招くリスクが高まります。

厚生労働省の調査によると、20歳以上の日本人のうち「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、男性で16.8%、女性で8.9%と報告されています。令和4年における厚生労働省の報告では、日本の糖尿病予備軍は2,000万人と推測されています。糖尿病は中高年だけでなく、幅広い年代に広がる深刻な健康問題です。

この記事では、糖尿病の初期症状をセルフチェックできるリストをはじめ、1型・2型・妊娠糖尿病の特徴やリスク要因、予防・改善に役立つ生活習慣まで詳しく解説します。健康を守るための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

大石内科循環器科医院では、糖尿病に関する検査と丁寧な診療を行っています。症状が気になる方はもちろん「ちょっと不安かも…」という段階でも、早めのチェックが何より大切です。地域のかかりつけ医として、あなたの健康を全力でサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

糖尿病の初期症状チェックリスト5選

糖尿病の初期症状で、特に注意したい5つの症状は以下のとおりです。

  • 頻繁なトイレ
  • 喉の渇き
  • 体重の急激な減少
  • 原因不明の疲労感
  • 物がぼやけて見える

頻繁なトイレ

夜中に何度もトイレのために目が覚めてしまう場合、糖尿病の初期症状の可能性があります。健康な状態であれば、夜間の排尿は1回以下が一般的です。血液中の糖(ブドウ糖)が増えすぎると、腎臓は血液から過剰な糖を取り除こうとします。結果として尿量が増え、夜間頻尿が起こります。

頻繁な夜間排尿は、睡眠不足や生活の質の低下につながることがあります。

喉の渇き

喉が異常に渇き、水をたくさん飲むという場合も糖尿病の初期症状の可能性があります。頻繁な排尿により体内の水分が失われ、脱水症状になりやすいため、喉が渇きます。血糖値が高い状態が続くと、細胞内の水分が血液中に引き込まれ、細胞は脱水状態になります。結果として、さらに喉の渇きが増すという悪循環が生まれます。

体重の急激な減少

食事制限や運動をしていないのに、短期間で体重が急に減る場合は、注意が必要です。糖尿病になると、ブドウ糖をエネルギーとして活用できなくなります。「インスリン作用不足」と呼び、インスリン抵抗性やインスリン分泌不足が原因となります。

インスリン抵抗性がある状態では、体はエネルギー不足を補うために、脂肪や筋肉を分解し始め、体重減少につながります。特に1型糖尿病では、初期症状として体重減少が顕著に現れることが多いです。

原因不明の疲労感

常にだるさや疲労感を感じ、休息をとってもなかなか疲れが取れない場合、糖尿病が関係している場合があります。細胞がブドウ糖をエネルギーとして利用できないため、体は慢性的なエネルギー不足の状態に陥ります。エネルギーが不足すると、体は活動するための十分な燃料を得られず、疲れやすくなります。

疲労感は他の病気でも現れるため、糖尿病だけが原因とは言えません。他の初期症状と合わせて注意深く観察する必要があります。

物がぼやけて見える

視力がぼやけたり、かすんだりする変化は、糖尿病網膜症の初期症状である場合があります。高血糖の状態が続くと、網膜の毛細血管が損傷を受け、血流が障害されます。網膜は眼球の奥にある薄い膜で、光を受け取って脳に信号を送ることで、私たちはものを見ることができます。網膜への血流が悪くなると、視力に影響が出ます。

網膜症は放置すると失明に至ることもあるため、早めに眼科を受診しましょう。糖尿病の初期症状は、日常生活で比較的よく見られる症状であるため、見過ごしてしまう可能性も高いです。症状がいくつか重なって現れる場合や、長引く場合は、糖尿病の可能性を疑い、医療機関を受診することをおすすめします。

早期発見・早期治療によって、重篤な合併症を予防し、健康な生活を維持できる可能性が高まります。

糖尿病の種類と注意すべき兆候

糖尿病の種類と注意すべき兆候について、以下の内容を解説します。

  • 1型糖尿病の症状とリスク要因
  • 2型糖尿病の症状とリスク要因
  • 妊娠糖尿病の症状とリスク要因
  • その他の特定の条件下での糖尿病

1型糖尿病の症状とリスク要因

1型糖尿病は、膵臓のβ細胞(ベータ細胞)が破壊され、インスリンがほとんど、あるいは全く分泌されなくなる自己免疫疾患です。インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むために不可欠なホルモンです。

インスリンが不足すると、細胞はエネルギー源であるブドウ糖を利用できなくなり、血液中にブドウ糖が蓄積し、高血糖状態になります。高血糖に伴う主な症状は、以下のとおりです。

  • 喉の渇き
  • 頻尿
  • 急激な体重減少
  • 倦怠感

1型糖尿病は、遺伝的要因と環境要因の相互作用によって発症すると考えられています。特定の遺伝子を持つ人がウイルス感染などの環境要因にさらされると、免疫システムが誤ってβ細胞を攻撃し、破壊してしまう可能性があります。

研究では、自己評価による糖尿病スクリーニングスコアが開発、検証され、他の糖尿病リスク評価スコアと比較されました。患者の自己評価が糖尿病のスクリーニングに役立つ可能性を示唆しており、日々の生活習慣の改善の重要性を強調しています。

2型糖尿病の症状とリスク要因

2型糖尿病は、インスリンの分泌量が不足している、あるいはインスリンがうまく働かない(インスリン抵抗性)ことによって引き起こされます。生活習慣、特に食生活や運動習慣が大きく影響します。初期段階では自覚症状がない場合が多く、気づかないうちに病気が進行することがあります。主な症状は、以下のとおりです。

  • 倦怠感
  • 皮膚の乾燥やかゆみ
  • 手足のしびれ
  • 感染症にかかりやすい
  • 頻尿
  • 視力低下
  • 性機能障害
  • 傷の治りが遅い
  • 空腹感や喉の渇きの増強

症状は、高血糖が続くことによって引き起こされる神経障害や血管障害などが原因で起こります。リスク要因は、以下のとおりです。

  • 40歳以上
  • 肥満
  • 家族歴
  • 運動不足
  • 高血圧
  • 脂質異常症

複数の要因が重なると、発症リスクがさらに高まります。

妊娠糖尿病の症状とリスク要因

妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見される、あるいは発症する糖尿病です。妊娠中はホルモンバランスの変化などにより、血糖値が上がりやすくなります。ほとんどの場合は出産後に血糖値は正常に戻りますが、妊娠糖尿病を経験した女性は、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高くなります。

妊娠糖尿病の症状は、他のタイプの糖尿病と同様に、初期には自覚症状がないことが多く、妊婦健診での検査が重要です。高血糖が続くことで、胎児の発育に影響を及ぼし、巨大児(出生時体重が4,000g以上)や、生まれた後の低血糖、黄疸などのリスクが高くなります。

母体にも妊娠高血圧症候群のリスクがあります。妊娠糖尿病のリスク要因は、以下のとおりです。

  • 肥満
  • 家族歴
  • 高齢出産
  • 過去の妊娠糖尿病の既往
  • 多胎妊娠

低血糖と似たような注意が必要な状態として「血糖値スパイク」があります。血糖値スパイクは食後に血糖値が急上昇し、その後急降下する現象で、放置すると動脈硬化や心血管疾患のリスクを高めるとされています。以下の記事では、血糖値スパイクの詳しい症状や健康リスク、予防するための具体的な対策について解説していますので、あわせてご覧ください。
>>血糖値スパイクの症状と健康リスク!知っておくべき対策法

その他の特定の条件下での糖尿病

糖尿病には、以下の原因で発症するものがあります。

  • 慢性膵炎や膵臓がんといった膵臓の疾患
  • 特定の薬剤(ステロイド薬など)の使用
  • 遺伝子の異常

特定の条件下で発症する糖尿病は、原因となっている病気を治療することで改善する可能性があります。

糖尿病を予防・改善するための生活習慣

糖尿病を予防・改善するための生活習慣について、以下の内容を解説します。

  • バランスの良い食事
  • 適度な運動
  • 適切な睡眠時間
  • 定期的な健康診断
  • ストレスの適正な管理

バランスの良い食事

バランスの良い食事は、健康な体を維持するための基盤です。糖尿病予防においては、血糖値の急上昇を抑えることが特に重要です。食後の高血糖は、血管を傷つける原因となり、さまざまな合併症のリスクを高めるからです。以下の点を意識して、食事を整えましょう。

  • 主食:玄米や全粒粉パン、蕎麦など、食物繊維が豊富なものを選ぶ
  • 主菜:肉や魚、卵、大豆製品など、良質なタンパク質を取り入れる
  • 副菜:緑黄色野菜やきのこ類、海藻類を毎食取り入れる
  • 果物:摂取量は1日200g程度を目安にし、過剰に食べない
  • 間食:ナッツやヨーグルト、野菜スティックなど、低糖質のものを選ぶ

主食は、白米やパン、うどんなどの精製された穀物に偏らず、食物繊維が豊富なものを積極的に選びましょう。食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の急上昇を緩やかにする効果が期待できます。

白米ご飯(150g)と玄米ご飯(150g)を比較した場合、白米は約55g、玄米は約50gの糖質を含みます。糖質量は大きく変わりませんが、血糖値の上昇スピードは玄米のほうが緩やかです。

タンパク質は、筋肉の維持や免疫機能の向上だけでなく、糖質の吸収を穏やかにする効果も期待できます。鶏むね肉100gにはタンパク質が約23g含まれており、効率的にタンパク質を摂取できます。

野菜は、ビタミンやミネラル、食物繊維の宝庫です。野菜を最初に食べることで、血糖値の急上昇を抑える効果も期待できます。果物はビタミンやミネラルが豊富です。果糖が多く含まれているため、過剰摂取はカロリーオーバーにつながり、肥満のリスクを高める可能性があります。空腹による血糖値の乱高下を防ぐために有効です。

食事はよく噛んで、ゆっくりと食べることも重要です。早食いは血糖値を急上昇させる原因となるだけでなく、満腹感を得にくく、食べすぎにもつながります。一口30回を目安によく噛んで食べましょう。

糖尿病がもたらす影響は低血糖だけにとどまらず、心臓や血管にも深刻なリスクを及ぼすことがあります。以下の記事では、糖尿病による心血管系の合併症とその予防策について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
>>糖尿病による合併症リスク|心臓と血管に与える影響と対策方法

適度な運動

適度な運動は、血糖値を下げ、インスリンの働きを良くする効果があります。運動によって筋肉がブドウ糖を消費するため、血糖値が低下し、インスリンの働きが改善されます。主な運動は、以下のとおりです。

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • 水泳
  • サイクリング

無理なく続けられる運動を見つけ、習慣化することが大切です。週に150分程度の運動を目標に、日常生活の中に運動を取り入れてみましょう。エレベーターやエスカレーターではなく階段を使ったり、一駅前で降りて歩いたりするだけでも運動になります。バスや電車で座らずに立つなど、日常生活で工夫をしてみましょう。

適切な睡眠時間

睡眠不足は、血糖値のコントロールを悪くする原因となります。睡眠不足になると、食欲を抑制するホルモンであるレプチンが減少し、食欲を増進させるホルモンであるグレリンが増加するため、過食につながりやすくなります。インスリン抵抗性も高まり、血糖値が上昇しやすくなります。

毎日同じ時間に寝起きし、規則正しい生活リズムを心がけることが重要です。寝る前にカフェインを摂取したり、スマートフォンやパソコンを長時間使用したりすることは避け、リラックスして眠りにつきましょう。適切な睡眠時間は人によって異なりますが、7〜8時間を目安に、自分に合った睡眠時間を見つけることが大切です。

定期的な健康診断

糖尿病は初期段階では自覚症状が出にくい病気です。定期的な健康診断で早期発見することが重要です。健康診断では、血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:過去1~2か月の平均血糖値を反映する検査)などの検査項目をチェックすることで、糖尿病のリスクを早期に把握できます。

健康診断で血糖値が高いと指摘された場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。

ストレスの適正な管理

ストレスは、血糖値を上昇させるホルモンであるコルチゾールやアドレナリンの分泌を促し、糖尿病を悪化させる原因となります。ストレス解消には、以下のような方法があります。

  • 趣味やリラックスできる活動を見つける
  • 深呼吸や瞑想を取り入れる
  • ヨガで体をほぐす
  • 家族や友人、専門家などに相談する

一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用することも、健康維持には大切です。

まとめ

糖尿病は初期に気づきにくい病気であるため、日々の体調変化を意識することが大切です。以下の症状が重なったり、長引いたりする場合は、糖尿病の可能性が考えられます。

  • 倦怠感
  • 喉の渇き
  • 頻尿
  • 急激な体重減少

肥満や家族に糖尿病の人がいる方はリスクが高くなります。食事や運動、睡眠など、毎日の生活習慣を見直すことが、予防や改善につながります。定期的な健康診断も忘れずに受けて、早期発見・早期治療につなげましょう。少しでも不安を感じたら、早めに医療機関に相談することをおすすめします。

健康診断では糖尿病の兆候を早期に発見できるチャンスでもあります。以下の記事では、糖尿病に関連する健康診断の重要な数値や、見落としやすいポイントについて詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
>>糖尿病の健康診断で見るべき数値!早期発見のポイント

参考文献

参考:糖尿病でもおやつが食べたい!管理栄養士推奨のおやつとレシピを紹介

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