大石内科循環器科医院

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足のしびれや痛みの症状は糖尿病かもしれません|早期発見の重要性と対策

2025.05.23 糖尿病

足のしびれや痛み、冷え、または焼けるような感覚といった症状は、糖尿病をはじめとするさまざまな疾患で見られます。これらの症状が継続する場合は、原因を明らかにするために医師の診察を受けることが重要です。

糖尿病の患者数は年々増加しており、厚生労働省の調査によると、全国で約2,000万人が糖尿病または予備軍と推定されています。糖尿病は国民病と呼ばれるほど広く知られる存在となり、早期に発見し適切に対応すれば、重症化を防げる可能性があります。

この記事では、糖尿病によって現れる足の症状の特徴や、早期発見の重要性と対策について、詳しくお伝えしていきます。糖尿病と足の健康について、正しい理解を深めていきましょう。症状が続くときには、医療機関への相談をおすすめします。

大石内科循環器科医院では、糖尿病に関する検査と丁寧な診療を行っています。症状が気になる方はもちろん「ちょっと不安かも…」という段階でも、早めのチェックが何より大切です。地域のかかりつけ医として、あなたの健康を全力でサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

糖尿病における足の症状の特徴4つ

糖尿病における足の症状の特徴は、以下の4つです。

  • しびれ
  • 痛み
  • 冷え
  • 灼熱感

しびれ

糖尿病になると、高血糖の状態が長く続き、神経を傷つけ、手足のしびれとして症状が現れる場合があります。これは「糖尿病性神経障害」と呼ばれる合併症の一種です。初期には、足先や指先にしびれが出ることが多く、しびれの範囲が徐々に広がる場合があります。

「靴下を履いているような感覚」「チクチクするような違和感」といった表現をされることもあります。通常、健康な状態では神経が脳からの指令や感覚を適切に伝えています。高血糖によって神経線維を包む膜が損傷を受けると、伝達がうまくいかなくなって、しびれが起こります。

進行すると、足全体の感覚が鈍くなり、痛みを感じにくくなる可能性があります。けがや感染症を見逃すリスクがあるため、注意が必要です。

痛み

糖尿病によって生じる足の痛みには、以下の2種類あります。

  • 神経障害によるもの
  • 血行不良によるもの

神経障害による痛みは、高血糖によって神経が傷つくことで引き起こされます。痛みの感じ方には個人差があり「ピリピリする」「針で刺されたように痛む」など、症状の現れ方はさまざまです。血行不良による痛みは、高血糖が血管にダメージを与えることで血流が悪化し、発生します。

歩行中などに足の筋肉が酸素不足になり、痛みを伴うことがあります。夜間や安静時に痛みが強まる場合は、血行不良が関係している可能性があります。心臓から遠い位置にある足の血管は、血流が滞りやすく注意が必要です。足の痛みは精神的な負担も大きくなりやすいため、早めの対応をおすすめします。

冷え

糖尿病になると足の血管が傷つきやすくなり、血流が低下します。通常、健康な状態では、血液が身体の隅々にまで栄養や酸素を届け、体温を維持しています。

糖尿病による血流の低下により、足先や指先などの末梢部分に血液が届きにくくなるため、冷えを強く感じることが増えていきます。

血流の低下による冷えは、冬場に限らず夏場にも現れる場合があります。季節を問わず足が冷たく感じられるときは、糖尿病による影響が疑われるため注意が必要です。

灼熱感

糖尿病による神経障害が原因で、足に灼熱(しゃくねつ)感を覚えることがあります。神経の損傷により、本来とは異なる異常な信号が脳に送られるために生じる症状です。中には「火傷の後のようにヒリヒリと焼ける感覚」と表現する患者さんもいます。灼熱感は夜間に強まることがあり、睡眠の質に悪影響を及ぼす場合もあります。

糖尿病による足の症状は多岐にわたります。初期段階では自覚しにくいこともありますが、症状を放置すると重い合併症につながるおそれがあります。足のしびれや痛み、冷え、灼熱感など、少しでも異変を感じた際は、早めに専門医を受診することをおすすめします。

糖尿病と足のしびれ・痛みの関係

糖尿病と足のしびれ・痛みの症状との関係性について、以下の項目を解説します。

  • 高血糖による神経障害
  • 血行不良による影響
  • 感染症のリスク増加
  • 潰瘍や壊疽の発症

高血糖による神経障害

糖尿病になると、高血糖(血液中のブドウ糖濃度が高い状態)が継続します。高血糖が長期間続くと、血管や神経が徐々に損傷を受けます。毛細血管が密集している末梢神経は、影響を受けやすく、神経障害を引き起こすリスクが高まります。初期症状は、足先や指先の軽いしびれやチクチクする感覚、夜間に感じる痛みなどです。

神経線維を包む膜が高血糖によって損傷を受け、神経の信号伝達がうまくいかなくなり、進行すると温度や痛みの感覚が徐々に鈍くなっていきます。症状が悪化すると、感覚自体が完全に失われてしまう場合もあります。感覚の低下は、外傷や感染症に気づきにくくなるリスクを伴います。

小さな傷でも放置すると、感染を引き起こし、重症化する可能性があるため注意が必要です。糖尿病性神経障害は、足に限らず全身の神経に影響を及ぼす可能性があります。自律神経が障害されると、便秘や下痢、立ちくらみ、発汗異常といった症状が現れます。

運動神経に障害が生じると、筋力の低下や歩行障害が起こることも文献では報告されています。「足部挙上不能歩行(そくぶきょじょうふのうほこう)」は、足関節を背屈させる筋肉が弱くなり、歩行時に足をうまく持ち上げられなくなる状態です。

歩行障害は、激しい運動や外科手術、長期間の安静、骨折を伴う事故、ギプス固定などが引き金になり、糖尿病も原因の一つです。

血行不良による影響

高血糖は血管を傷つけ、動脈硬化の進行を招きます。動脈硬化とは、血管の壁が厚く硬くなることで血管が狭まり、血液の流れが滞って血行不良が生じた状態です。心臓から距離のある足は、血流障害の影響を受けやすい部位です。足の血行不良が進行すると、冷えや皮膚の色の変化(蒼白や紫色など)が見られることがあります。

傷が治りにくくなるといった症状も出る可能性があります。

感染症のリスク増加

糖尿病による神経障害が進行すると、足の感覚が鈍くなり、小さな傷や水ぶくれにも気づきにくくなります。血行不良があると傷の治癒が遅れるため、細菌感染のリスクが高まる可能性があります。

足に生じた感染症が重症化すると、骨髄炎(こつずいえん)や敗血症(はいけつしょう)などの深刻な合併症へ発展する可能性があります。早期に発見し、適切に治療することが重要です。

潰瘍や壊疽の発症

糖尿病における足の合併症の中でも、潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)には注意が必要です。潰瘍は、足の感覚が鈍くなることで小さな傷を見逃しやすくなり、放置されることによって発生しやすくなる場合があります。血行不良も潰瘍の発症や進行を助長する要因となる可能性があります。

壊疽は、潰瘍が重症化し、足の組織が壊死する状態を指します。足に壊疽が生じた場合、ケースによっては切断が必要になる可能性もあります。糖尿病患者は、日常的にフットケアを心がけ、定期的な診察を受けることをおすすめします。

糖尿病による足の症状を早期発見すべき理由

糖尿病による足の症状を早期発見すべき理由について、以下の項目を解説します。

  • 初期症状が重症化のサインである可能性
  • 感覚鈍麻によるケガや感染症の見逃し
  • 治療が遅れると壊疽や切断に至るリスク
  • 精神的・経済的負担が増大する
  • 定期的な検査と観察がリスクの早期発見につながる

初期症状が重症化のサインである可能性

初期症状を放置すると、症状が徐々に進行し、歩行困難や日常生活に深刻な影響を及ぼす合併症へとつながる可能性があります。神経障害が進行すると、自律神経にも影響を及ぼすことがあります。便秘や下痢、立ちくらみ、発汗異常などの症状が現れることもあり、早期の対応が重要です。

血糖コントロールが不十分な方や、糖尿病を長期間患っている方は、足の痛みや温度感覚の異常などの初期症状に注意が必要です。

感覚鈍麻によるケガや感染症の見逃し

糖尿病による神経障害は、足の感覚を鈍らせるため、小さな傷や靴ずれにも気づきにくくなり、感染症のリスクを高める可能性があります。通常であれば痛みを感じるような傷でも、糖尿病の方は痛みを自覚しにくく、処置が遅れてしまう場合があり、感染症が重症化する可能性が生じます。

高血糖状態は免疫機能を低下させるため、感染への抵抗力が落ちることも問題です。足の血行不良が傷の治癒を妨げ、感染リスクを高める要因となります。糖尿病患者にとって、足の感染症は骨髄炎や敗血症などの合併症へつながるおそれがあります。早期の発見と適切な治療を徹底しましょう。

治療が遅れると壊疽や切断に至るリスク

糖尿病における足の合併症の中で、最も深刻なのが壊疽です。進行性の疾患であるため、できるだけ早い段階で治療を開始することが重要です。初期の兆候としては、皮膚の色が変わることや傷がなかなか治らないといった変化が見られます。悪化すると、患部が黒く変色し、激しい痛みを伴うこともあります。

早期発見と速やかな治療介入によって、壊疽の進行を食い止め、足の切断という事態を回避できる可能性が高まります。

以下の記事では、糖尿病による心血管系の合併症とその予防策について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
>>糖尿病による合併症リスク|心臓と血管に与える影響と対策方法

精神的・経済的負担が増大する

糖尿病による足の合併症は、患者さんのQOL(生活の質)を著しく損なう可能性があります。足の痛みやしびれが進行すると歩行が困難になり、日常生活や仕事、家事に支障をきたすこともあります。症状が悪化すると、介護が必要になるケースもあり、精神面・身体面の両方で大きな負担が生じる可能性があります。

壊疽や切断に至った場合には、長期の入院やリハビリが必要となることも少なくありません。医療費や入院費がかさむうえ、働くことが難しくなれば、収入の減少という経済的負担も避けられません。早期に症状を見つけ、適切なケアを継続することが大切です。

定期的な検査と観察がリスクの早期発見につながる

糖尿病の方にとって、定期的な足の検査を受けることは重要です。医師による診察に加え、神経伝達速度の測定や血管の状態を確認する検査を通じて、足の異常を早期に発見できる可能性があります。日常的に自身の足を観察する習慣も大切です。

皮膚の色や温度、傷の有無などをチェックし、少しでも異変を感じた場合は、速やかに医師へ相談しましょう。早期発見と適切な対応により、糖尿病による足の合併症の進行を抑え、健康な足の維持が期待できる可能性があります。神経機能のチェックは、血糖値の管理と同様に、糖尿病性神経障害を防ぐうえで欠かせません。

足のしびれや痛みを感じたときの対処法

足のしびれや痛みを感じたときの対処法について、以下の項目を解説します。

  • すぐに専門医に相談する
  • 血糖値の管理を強化する
  • 毎日のフットケアを徹底する
  • 禁煙・節酒を心がける
  • ストレスを上手に軽減する

すぐに専門医に相談する

足のしびれや痛みが長引く場合は、自己判断せず、速やかに専門医へ相談することが重要です。糖尿病の可能性に加え、他の疾患が原因となっている可能性もあります。脊椎の異常や末梢神経の圧迫、血行障害などによっても、同様の症状が現れることがあります。

内科や整形外科、糖尿病専門医などを受診し、詳しい検査を受けることで原因を明らかにできる可能性があります。適切な治療に結びつけるために、受診時の情報提供が大切です。症状が始まった時期や、悪化する状況、その他の自覚症状などを、具体的に医師へ伝えましょう。

健康診断の結果や現在服用している薬がある場合は、あわせて提示すると、診断がよりスムーズに進みます。

健康診断では糖尿病の兆候を早期に発見できるチャンスでもあります。以下の記事では、糖尿病に関連する健康診断の重要な数値や、見落としやすいポイントについて詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
>>糖尿病の健康診断で見るべき数値!早期発見のポイント

血糖値の管理を強化する

糖尿病と診断された場合、重要な治療は血糖値のコントロールです。高血糖の状態が続くと、血管や神経にダメージが蓄積され、足のしびれや痛みが悪化する原因となります。血糖値を適切な範囲に保つには、食事療法や運動療法、薬物療法を組み合わせて行うことが基本です。

食事療法では、栄養バランスに配慮しながら糖質の摂取量を調整することが求められます。食事の順番を「野菜→タンパク質→炭水化物」と意識することで、食後の血糖値の上昇を抑制できます。食物繊維を多く含む食品を積極的に取り入れましょう。

運動療法には血糖値を下げる作用に加え、血行の改善や神経機能の維持にも役立つという利点があります。ウォーキングや水泳、軽いジョギングなど、無理のない範囲で続けられる運動を取り入れましょう。

薬物療法は、食事や運動だけでは血糖コントロールが困難な場合に、医師の判断で開始されます。糖尿病治療薬にはさまざまな種類があり、患者さんの体調や生活習慣に応じて最適なものが選ばれます。

血糖値の正常範囲を正しく知っておくことも重要です。以下の記事では、血糖値の基準値や、異常値が引き起こす健康リスク、そして日常生活でできる対策について詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>血糖値の正常範囲とは?異常値が引き起こすリスクと対策を解説

毎日のフットケアを徹底する

糖尿病の患者さんは、高血糖の影響で神経障害や血行不良が生じやすく、足のトラブルが症状が悪化しやすい傾向があります。日常的にフットケアを行い、足を清潔に保つことで、傷や感染症の予防につながります。毎日足を石けんでやさしく洗い、指の間までしっかり乾かすことが基本です。

爪は深く切りすぎず、まっすぐ整えるようにしましょう。足に合った靴を選ぶことも大切です。きつい靴やサイズの合わない靴は、足を圧迫して血行を悪化させるおそれがあります。靴下は通気性の良い素材を選び、清潔なものに毎日取り替えることをおすすめします。

毎日足の状態を確認し、傷や水ぶくれ、たこ、魚の目などの有無をチェックする習慣をつけましょう。糖尿病による神経障害があると、小さな傷でも気づきにくくなるため注意が必要です。異常を見つけた場合は、速やかに専門医に相談してください。早い段階で適切な処置を受けることで、重症化を防げる可能性が高まります。

禁煙・節酒を心がける

喫煙の血管を収縮させる作用は、血行が悪化し、糖尿病の症状を悪化させる可能性があります。過度の飲酒は血糖コントロールの乱れを引き起こす要因となります。糖尿病の合併症を予防するためにも、禁煙や節酒を意識し、健康的な生活習慣を維持することが大切です。

糖尿病の方が禁煙を実践すると、血管機能の改善が期待でき、足の血流も良好な状態に近づいていきます。

ストレスを上手に軽減する

ストレスは、血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促すため、血糖コントロールを困難にする要因になる可能性があります。ストレスによって不眠や過食が引き起こされると、糖尿病の悪化にもつながります。適度な運動や趣味の時間を取り入れるなど、リラックスできる方法を見つけて実践することが大切です。

自分に合ったストレス解消法を継続することで、糖尿病の管理に良い影響をもたらすことが期待できます。ストレスを適切に管理することにより、血糖値の急激な変動を防ぎ、合併症のリスクを抑えることができる可能性があります。

まとめ

足のしびれや痛みは、糖尿病のサインの可能性があります。しびれや痛み・冷え・灼熱感といった症状が足に集中している場合は注意が必要です。これらの症状は、高血糖による神経障害や血行不良が原因で起こることがあります。

糖尿病の厄介な点は、初期症状に気づきにくいことです。足の症状は比較的早い段階で現れることが多く、早期発見の手がかりとなる可能性があります。足に異変を感じたときは、放置せずに専門医を受診してください。早期発見と適切な治療により、重症化を防げる可能性があります。

日常的なフットケアや血糖コントロールに加え、禁煙や節酒、ストレス管理も重要な対策です。自分の足を守り、健やかな生活を続けるために、できることから取り組んでいきましょう。

血糖値を下げるためには、まずは日常生活の見直しが欠かせません。以下の記事では、血糖値改善に役立つ7つの具体的な方法について紹介していますので、生活習慣の見直しにぜひ役立ててください。
>>血糖値を下げる7つの効果が期待できる方法!生活習慣改善のポイント

参考文献

大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585

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