大石内科循環器科医院

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尿の泡立ちは病気のサイン?原因と受診の目安を解説

2025.05.23 糖尿病

尿に泡が立っているのを見て、もしかして病気のサインかも?と不安になったことはありませんか?一時的な生理現象として起こることもありますが、実は腎臓病や糖尿病、尿路感染症などの病気が隠れている可能性もあります。日本腎臓学会によると、成人の約5人に1人が慢性腎臓病の可能性があると推定されています。

多くは自覚症状のないまま進行し、尿の泡立ちが唯一のサインとなることもあるため、注意が必要です。この記事では「尿の泡立ち」の主な原因を4タイプに分類し、それぞれに関連する病気や注意すべき兆候を詳しく解説します。病院を受診すべき目安や検査方法、日常生活で実践できる予防策まで、わかりやすく紹介します。

尿の泡が気になる方は、ぜひ最後まで読んで健康チェックの参考にしてください。

大石内科循環器科医院では、糖尿病に関する検査と丁寧な診療を行っています。症状が気になる方はもちろん「ちょっと不安かも…」という段階でも、早めのチェックが何より大切です。地域のかかりつけ医として、あなたの健康を全力でサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

尿の泡立ちの原因として考えられる4タイプ

尿の泡立ちの原因について、以下の4タイプを解説します。

  • 一過性の泡立ち
  • タンパク尿による泡立ち
  • 糖尿病による泡立ち
  • 尿路感染症による泡立ち

一過性の泡立ち

多くの場合、尿の泡立ちの原因は一時的なものです。健康な方でもよく見られる現象で、心配する必要がないと考えられています。主な原因は以下のとおりです。

  • 水分不足:尿が濃くなることで泡立ちやすくなる
  • 排尿の勢い:勢いよく尿がでると、空気と混ざって泡が生じる
  • トイレの洗浄剤:洗剤の成分と尿が反応して泡が立つことがある

一過性の泡立ちは、数分以内に自然と消えるのが特徴です。十分な水分を摂っても泡立ちが続く場合は、排尿の勢いを落として様子を見ましょう。

タンパク尿による泡立ち

通常、健康な人の尿にはタンパク質はほとんど含まれていません。腎臓の機能が低下すると、血液中のタンパク質が尿中に漏れ出てしまう「タンパク尿」が現れます。タンパク尿が存在すると、尿の表面張力が変化し、きめ細かい泡が立ちやすくなります。

泡はすぐには消えず、長時間持続するのが特徴です。白っぽく濁って見えることもあります。

糖尿病による泡立ち

糖尿病になると、血液中の糖の濃度(血糖値)が高くなります。高血糖状態が続くと、腎臓に負担がかかり、尿に糖が漏れ出る「尿糖」という状態になります。尿中に糖が排出されることで、尿の性状が変化し、泡立ちやすくなることがあります。尿に甘い臭いがする場合もあります。

糖尿病は初期段階では自覚症状が現れにくい病気ですが、尿の泡立ちは初期症状のサインの一つとなることがあります。

糖尿病は血糖値と深く関係しており、食生活の改善をはじめとした日常の工夫が血糖管理の鍵となります。以下の記事では、血糖値を安定させるために役立つ7つの生活習慣の改善方法を具体的にご紹介しています。ぜひ参考にして、ご自身の健康管理にお役立てください。
>>血糖値を下げる7つの効果が期待できる方法!生活習慣改善のポイント

尿路感染症による泡立ち

尿路感染症は、細菌が尿路に侵入し、炎症を起こす病気です。尿路感染症になると、尿にタンパク質や白血球が増加し、泡立ちやすくなります。細菌感染による炎症によって、尿が濁ったり、血が混じったりすることもあります。尿路感染症は自然治癒が難しいため、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

尿の泡立ちで疑われる病気

尿の泡立ちから疑われる代表的な病気は、以下のとおりです。

  • 腎臓の病気
  • 糖尿病
  • 尿路感染症
  • その他の病気

腎臓の病気

腎臓は、血液を濾過して老廃物や余分な水分を尿として排出する重要な臓器です。腎臓の濾過機能が低下すると、本来血液中に留まるべきタンパク質が尿中に漏れ出てしまう「タンパク尿」の状態になります。タンパク質の界面活性作用により、尿に泡立ちが生じやすくなります。

腎臓の病気にはさまざまな種類がありますが、タンパク尿を伴う代表的な疾患として、以下の2つが挙げられます。

  • 慢性腎臓病
  • ネフローゼ症候群

慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下していく病気で、初期には自覚症状がほとんどありません。尿の泡立ちに気づくことで、病気が見つかる場合もあります。ネフローゼ症候群は、尿に大量のタンパク質が漏れ出てしまう病気で、むくみや倦怠感などの症状を伴うこともあります。

糖尿病

尿に泡が立つ現象は、血糖値のコントロール状況によって変化することがあり、泡立つ日とそうでない日があるなど、日によって差が見られる場合があります。加えて、以下のような症状があらわれることもあります。

  • 喉の渇き
  • 頻尿
  • 体重減少
  • 疲れやすさ

これらの症状が尿の泡立ちと同時に見られる場合は、糖尿病の可能性が考えられるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

特に「喉の渇き」は、糖尿病に特徴的な症状の一つです。単なる水分不足ではなく、体内の血糖の状態と深く関係しています。以下の記事では、糖尿病による口渇の仕組みや原因、適切な対処法について詳しく解説しています。
>>糖尿病の口渇はなぜ起こる?症状の原因と対処法を徹底解説

尿路感染症

尿路感染症は、膀胱炎や尿道炎、腎盂腎炎など、尿路のどの部分が炎症を起こすかによって病名が異なります。尿路感染症では、泡立ち以外に以下の症状が現れます。

  • 排尿痛
  • 残尿感
  • 頻尿
  • 尿の濁り
  • 血尿

尿路感染症は抗菌薬による治療が必要な病気であり、自己判断で放置せず、早期の受診が重要です。腎盂腎炎は重症化することもあるため、注意が必要です。

その他の病気

多発性骨髄腫は、骨髄中のプラズマ細胞が異常増殖する血液がんです。異常なタンパク質(Mタンパク)が体内で作られるようになり、尿中に排出されることで尿が泡立ちやすくなります。多発性骨髄腫は、以下の症状が現れることもあります。

  • 骨痛
  • 貧血
  • 腎機能障害
  • 感染症にかかりやすい

病院受診の目安

尿の泡立ちが継続し、以下の症状を伴う場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

  • むくみ
  • 倦怠感
  • 体重減少
  • 発熱
  • 排尿痛
  • 血尿

尿の泡立ちの原因を自己判断で見極めるのは困難です。少しでも不安がある場合は、医療機関を受診して相談することをおすすめします。どの診療科を受診すれば良いか迷う場合は、まずは内科を受診しましょう。

尿の泡立ちの検査

尿の泡立ちの原因を特定し、適切な対応をするための検査について、以下の内容を解説します。

  • 尿検査
  • 血液検査
  • 画像検査

尿検査

尿検査は、尿の泡立ちの原因を探るための基本的な検査です。採尿のみで簡単に実施できます。尿検査では、尿中の成分を分析することで、腎臓や尿路の健康状態を評価します。具体的には、以下の項目をチェックします。

  • 尿タンパク:タンパク尿が検出されると、腎機能低下の可能性がある
  • 尿糖:糖尿病により尿中に糖が漏れ出ているかを確認する
  • 尿潜血:目に見えない血尿(潜血)があると、腎臓や尿路の炎症、結石、腫瘍などの疑いがある
  • 尿沈渣:遠心分離した尿の成分を顕微鏡で観察し、赤血球や白血球、細菌などの有無を調べる

検査結果を総合的に判断することで、尿の泡立ちの原因を特定し、適切な治療方針を決定します。持続的な泡立ちとタンパク尿が認められれば、慢性腎臓病などの腎臓病が疑われます。泡立ちと尿糖が確認された場合は、糖尿病の可能性があります。泡立ちに加えて尿潜血や白血球の増加が認められれば、尿路感染症の可能性もあります。

血液検査

血液検査は、尿の泡立ちの原因が腎臓の病気や糖尿病などの全身疾患に関連しているかを判断するために重要な検査です。尿検査だけではわからない、体全体の健康状態や腎臓の機能、血糖値などを詳しく調べることができます。腎機能を評価する項目は以下のとおりです。

  • クレアチニン
  • eGFR

クレアチニンは、筋肉の活動によって産生される老廃物で、通常は腎臓で濾過されて尿中に排出されます。腎機能が低下すると、クレアチニンの排出が滞り、血液中のクレアチニン濃度が上昇します。

eGFRは、クレアチニン値、年齢、性別などから算出される推定糸球体濾過量で、腎臓の濾過能力をより正確に反映しています。血糖値の状態については、以下の数値を測定します。

  • 空腹時血糖値
  • HbA1c

空腹時血糖値は、糖尿病の有無を判断する基本指標です。HbA1cは、過去1~2か月の平均血糖値を反映しており、長期的な血糖コントロールの状態を評価するうえで重要な指標となります。その他必要に応じて以下の項目があります。

  • 電解質(ナトリウムやカリウム、クロールなど)
  • コレステロール
  • 中性脂肪
  • 肝機能
  • 炎症反応

全身の健康状態を総合的に評価し、異常がないかを判断します。

画像検査

画像検査では、腎臓や尿路の形状や大きさ、異常な組織の有無などを視覚的に確認できます。尿検査や血液検査で異常が見つかった場合や、より詳細な情報が必要な場合に実施されます。主な画像検査は、以下のとおりです。

  • 腎臓超音波検査
  • CT検査
  • MRI検査

腎臓超音波検査は、超音波を使って腎臓の大きさ、形、内部構造などを調べます。痛みや被ばくがなく、体に負担の少ない検査です。腎臓結石や腫瘍、腎症などの発見に役立ちます。

CT検査は、X線を使って体の断面を撮影し、腎臓や尿路のより詳細な構造を調べます。腎臓がん、尿路結石、腎盂腎炎などの診断に有用です。造影剤を使用することで、腎臓の血管や尿管の状態をより詳しく評価することもできます。

MRI検査は、磁場と電波を使って体の断面を撮影します。CT検査よりも詳細な画像を得ることができ、腎臓の腫瘍や血管の異常などを詳しく調べることができます。造影剤を使用せずに血管の状態を評価できるため、造影剤アレルギーのある方にも有用です。

検査は、必要に応じて組み合わせて行うことで、尿の泡立ちの原因をより正確に特定できます。

尿の泡立ちの予防策6選

尿の泡立ちの6つの予防策は、以下のとおりです。

  • 水分をこまめに摂取する
  • トイレを我慢しない
  • 食生活を改善する
  • 適度な運動を心がける
  • ストレスをため込まない
  • 定期的な健康診断を受ける

水分をこまめに摂取する

尿が濃縮されると、泡立ちやすくなります。体内の水分が不足し、尿中の成分濃度が高くなるためです。1日に必要な水分量は、体重や活動量、気温などによって個人差があります。成人の場合は1.5〜2リットルを目安に、水やお茶などでこまめな水分補給を心がけましょう。一度に大量に飲むことはなるべく控えましょう。

トイレを我慢しない

トイレを我慢することで尿が濃くなり、泡立ちやすくなります。尿を長時間膀胱に溜めておくと、細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎などの尿路感染症のリスクも高まります。尿路感染症になると、尿中にタンパク質や白血球が増加し、尿の泡立ちの原因となることがあります。

尿意を感じたら我慢せず、できるだけ早めにトイレに行く習慣をつけましょう。

食生活を改善する

食生活も、尿の泡立ちに大きく影響します。塩分の摂りすぎは腎臓に負担をかけ、腎機能の低下を招く可能性があります。ラーメンやうどんのスープはなるべく残すなど、日常的に塩分の摂取量を控えるよう心がけましょう。

肉類に多く含まれるタンパク質も、過剰に摂取すると腎臓への負担を増大させます。厚生労働省が推奨するタンパク質の摂取量は、成人男性で1日65g、成人女性で1日50gです。極端な高タンパク質食は避け、肉や魚だけでなく、野菜や果物、海藻、豆類など、さまざまな食品をバランス良く摂取するようにしましょう。

適度な運動を心がける

適度な運動は、血行を促進し、腎臓の働きを維持するうえで重要です。糖尿病の患者さんを対象とした研究では、メトホルミンという薬が腎機能の低下をわずかに遅らせる可能性が示唆されています。適度な運動も、腎臓の健康維持に寄与する可能性があります。

1日30分程度のウォーキングや軽いジョギングなど、無理なく続けられる運動を生活に取り入れてみましょう。階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やしましょう。

ストレスをため込まない

ストレスは、自律神経のバランスを崩し、さまざまな体の不調につながることがあります。自律神経は、内臓の働きやホルモン分泌などを調節する神経です。ストレスによってバランスが崩れると、腎臓の機能にも影響を及ぼす可能性があるため、意識的にリラックスする時間を持つことが望ましいとされています。

ストレスをため込まないための方法として、以下が挙げられます。

  • 好きな音楽を聴く
  • ゆっくりお風呂に入る
  • 瞑想する

自分に合った方法でリラックスしましょう。質の高い睡眠を十分にとることも重要です。睡眠不足はストレスを悪化させるだけでなく、免疫力の低下にもつながり、さまざまな病気のリスクを高めます。睡眠の質を高めるために、以下の工夫を取り入れることもおすすめです。

  • 毎日同じ時間に寝起きする
  • 寝る前にはカフェインの摂取を控える
  • 寝室を暗く静かに保つ

自分に合う方法を見つけて、ストレスを軽減しましょう。

定期的な健康診断を受ける

早期発見・早期治療のためには、定期的な健康診断が重要です。健康診断では、尿検査や血液検査が行われ、腎臓の機能や血糖値などをチェックできます。尿検査では、尿中のタンパク質や糖の有無を調べ、腎臓や糖尿病の早期発見に役立ちます。

血液検査では、腎機能を評価する指標となるクレアチニンやeGFRの値、血糖値などを測定します。健康診断で異常が見つかった場合は、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。健康診断を受けていない方は、一度受診してみることをおすすめします。

健康診断では糖尿病の兆候を早期に発見できるチャンスでもあります。以下の記事では、糖尿病に関連する健康診断の重要な数値や、見落としやすいポイントについて詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
>>糖尿病の健康診断で見るべき数値!早期発見のポイント

まとめ

尿の泡立ちにはさまざまな原因があります。水分不足や排尿の勢いといった一時的なものから、タンパク尿や尿糖、尿路感染症など病気のサインである可能性もあります。注意すべきポイントは、泡立ちの持続性や他の症状の有無です。以下の症状が伴う場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 排尿痛
  • 残尿感
  • 頻尿
  • 血尿
  • むくみ
  • 倦怠感

不安を感じたときは、一人で抱え込まず、まずは医療機関に相談しましょう。早期に適切な検査を受けることが、安心と健康への第一歩となります。

大石内科循環器科医院では、糖尿病や心不全などの検査も実施しています。それぞれ早期発見・早期治療が重要ですので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。

参考文献