大石内科循環器科医院

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【医師監修】糖尿病の方に適したおやつとは?間食時のポイントと注意点を解説

2025.05.23 糖尿病

糖尿病と診断され、おやつを諦めなければならないと不安を抱えていませんか?日本では糖尿病患者数が増加傾向にあり、適切な知識を持つことが重要です。糖尿病に適したおやつを選択して楽しむことは、糖尿病と向き合ううえで知っておきたい内容です。

この記事では、血糖値を急上昇させずに、おやつを楽しむための5つの注意点やおすすめのおやつ、血糖コントロールのポイントなどを医師監修のもと解説します。糖尿病でも罪悪感なく、おいしいおやつで日々の生活に楽しみを作りましょう。

大石内科循環器科医院では、糖尿病に関する検査と丁寧な診療を行っています。症状が気になる方はもちろん「ちょっと不安かも…」という段階でも、早めのチェックが何より大切です。地域のかかりつけ医として、あなたの健康を全力でサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

糖尿病におけるおやつ選びの5つの注意点

食材を正しく選べば、糖尿病の方でもおやつを楽しめます。血糖値を急上昇させずに、安心しておいしいおやつを味わうために、以下の注意点を意識しましょう。

  • 血糖値への影響が少ない食品を選ぶ
  • 適切な量とタイミングを守る
  • 栄養バランスを考える
  • 脂質の摂取しすぎに注意する

血糖値への影響が少ない食品を選ぶ

おやつを選ぶ際は、血糖値への影響が少ない食品を選ぶことが重要です。血糖値が急上昇すると、血管に負担がかかる可能性があります。適切な血糖値コントロールは、さまざまな合併症予防のために重要です

高脂肪食は腸内細菌叢(腸内に生息する細菌の集まり)のバランスを崩し、糖尿病などの慢性疾患リスクを高める可能性があるため注意が必要です。食物繊維やタンパク質が豊富で、糖質が少ない食品を選びましょう。食物繊維は、糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。

ナッツ類(アーモンドやくるみ、ピーナッツなど)は、食物繊維やタンパク質、健康的な脂肪などを含み、血糖値の上昇を抑える効果につながります。無糖ヨーグルトは、腸内環境を整えるプロバイオティクス(善玉菌)を供給します。

高カカオチョコレート(カカオ70%以上)には、ポリフェノールが含まれており、抗酸化作用や血糖値の上昇を穏やかにする効果が期待できます。

以下の記事では、糖尿病による心血管系の合併症とその予防策について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
>>糖尿病による合併症リスク|心臓と血管に与える影響と対策方法

適切な量とタイミングを守る

どんなに体に良いおやつでも、食べすぎると血糖値が上昇してしまいます。年齢や体格、活動量などによって調整が必要な場合がありますが、成人であればおやつは1回につき150~200kcal以内、糖質10g以下を目安にしましょう

食べるタイミングも大切です。食後すぐや寝る前は避け、午後3時頃など、血糖値が比較的安定している時間帯を選びましょう。食後すぐのおやつは、さらに血糖値を上げてしまう可能性があります。寝る前に血糖値が高い状態が続くと、睡眠の質が低下したり、翌朝の血糖値に影響したりする場合があるため避けましょう。

栄養バランスを考える

おやつを選ぶ際には、栄養バランスも意識しましょう。ビタミンやミネラル、食物繊維などをバランス良く摂取すると、健康維持に役立ちます。おすすめのおやつと含まれる栄養は以下です。

  • ナッツ類:ビタミンE、マグネシウム
  • 無糖ヨーグルト:カルシウム
  • 高カカオチョコレート:鉄分

さまざまな種類のおやつを組み合わせて、必要な栄養素を補いましょう。

脂質の摂取しすぎに注意する

脂質は、カロリーが高いため、摂取しすぎると体重増加につながり、糖尿病の悪化を招く可能性があります。肥満は、インスリン抵抗性を高め、血糖値のコントロールを難しくする要因となります。

高脂肪食は腸内細菌叢の多様性を低下させ、炎症反応の悪化や代謝機能の障害を引き起こす可能性が報告されています。腸内細菌叢のバランスが崩れると、腸管バリア機能が低下し、有害物質が体内に入り込みやすくなるのです。おやつを選ぶ際は、低脂肪を選びましょう。

糖尿病の方におすすめのおやつ5選

適切なおやつは空腹感を満たし、血糖値の変動を防ぎ、必要な栄養素を補給できます。食物繊維やタンパク質、健康に良い脂肪を含んだおやつをバランス良く摂取しましょう。糖尿病患者さんにおすすめのおやつとして以下の5つを紹介します。

  • ナッツ類(アーモンド、くるみなど)
  • 種実類(ひまわりの種、かぼちゃの種など)
  • 無糖ヨーグルト
  • 高カカオチョコレート
  • チーズ

ナッツ類(アーモンド、くるみなど)

ナッツ類は、食物繊維やタンパク質、不飽和脂肪酸などの健康に良い脂肪を豊富に含んでいます。食物繊維は糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を抑える効果があります。タンパク質も血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。

不飽和脂肪酸は、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす働きがあるため、動脈硬化の予防に役立ちます。1日の摂取量の目安として、アーモンド15粒、くるみ8粒程度に留めましょう。塩分が気になる方は、無塩を選ぶのもおすすめです。

種実類(ひまわりの種、かぼちゃの種など)

種実類は、食物繊維やタンパク質、健康に良い脂肪などを豊富に含んでいます。ひまわりの種やかぼちゃの種は、手軽に食べられるおやつとしておすすめです。種実類は、血糖値の急上昇を抑え、満腹感を持続させるのに役立ちます。カロリーが高いため、食べすぎには注意が必要です。

1日の摂取目安は、ひまわりの種大さじ2杯、かぼちゃの種大さじ1杯程度です。

無糖ヨーグルト

無糖ヨーグルトは、低糖質でタンパク質が豊富なおやつです。腸内環境を整えるプロバイオティクス(善玉菌)も含まれており、腸の健康維持に役立ちます。プレーンヨーグルトに少量の果物やナッツ類を加えて食べるのもおすすめです。果物を選ぶ際は、糖質の少ないブルーベリーやラズベリーなどを選びましょう。

果物の甘みが加わると、満足感も高まります。ヨーグルトは、100g程度を目安に摂取しましょう。

高カカオチョコレート

高カカオチョコレートは、ポリフェノールを豊富に含んでいます。ポリフェノールには抗酸化作用があり、血糖値の上昇を抑える効果も期待できます。甘いものが食べたいときにおすすめですが、高カカオチョコレートにもカロリーはあるため、食べすぎには注意が必要です。1日に食べる量の目安は、1~2粒(5~10g)程度です。

チーズ

チーズは、タンパク質とカルシウムが豊富なおやつで、摂取後の血糖値上昇も緩やかです。プロセスチーズよりもナチュラルチーズのほうが糖質が低い傾向にあります。個包装のチーズを選ぶと、量を調整しやすく便利です。カルシウムは骨の健康維持に不可欠な栄養素です。

糖尿病患者さんは骨粗鬆症のリスクが高まるため、チーズでカルシウムを補給することが重要です

間食による血糖値コントロールの4つのポイント

間食の利点は、空腹感を満たすことで次の食事の食べすぎを防ぎ、結果的に1日の総摂取カロリーを抑えられます。適度な間食は、日々の生活に楽しみや喜びをもたらし、生活の質(QOL)の向上にも貢献します。間食による血糖値コントロールのポイントとして、以下の4つを解説します。

  • よく噛んでゆっくり食べる
  • 継続できる食習慣を身につける
  • 血糖値の変動を記録する
  • 定期的に医師や管理栄養士に相談する

よく噛んでゆっくり食べる

血糖値コントロールで「よく噛む」ことは重要です。食べ物をよく噛むことで唾液の分泌が促され、消化吸収が穏やかになるため、血糖値の急上昇を抑える効果につながります。一口30回を目安に、時間をかけてゆっくりと食事を楽しみましょう。

早食いは、血糖値を急上昇させるだけでなく、満腹感を感じにくく食べすぎにもつながるため、注意が必要です。

継続できる食習慣を身につける

糖尿病の食事療法は、生涯にわたって継続します。極端な糖質制限は、長続きせず、過食になるリスクがあります。継続可能な食習慣を身につけるためには、現在の食生活を基礎に以下の点を意識しましょう。

  • 血糖値コントロールに配慮した食品を選ぶ
  • 適切な量を摂取する
  • 適切なタイミングで摂取する

甘いものが食べたい場合は、糖質の少ないものを選んだり、食べる量を調整したりするなど、工夫しましょう。無理なく続けられる食習慣を身につけると、長期的な血糖コントロールにつながります。

血糖値の変動を記録する

自身の血糖値の変動パターンを把握できると、食生活の改善点を発見し、効果的な血糖コントロールを実践できます。血糖自己測定器を使用して、食前と食後2時間の血糖値を測定し、記録する習慣を身につけましょう。

血糖値の記録は、血糖値に影響を与えやすい食品や、適切量の判断など、自身の体質に合わせた食事管理を可能にします。記録したデータを医師や管理栄養士に見せ、個別化されたアドバイスを受けられます。デジタル医療やアプリを活用した記録・管理も容易になってきているため、積極的に活用しましょう。

事前に「血糖値の正常範囲」を正しく知っておくことも重要です。以下の記事では、血糖値の基準値や、異常値が引き起こす健康リスク、そして日常生活でできる対策について詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>血糖値の正常範囲とは?異常値が引き起こすリスクと対策を解説

定期的に医師や管理栄養士に相談する

糖尿病の治療は一人で行わず、医師や管理栄養士などの専門家と連携し、定期的に相談しながら進めることが大切です。食事療法に関する不安や疑問、食生活で改善したい点などがあれば、積極的に相談しましょう。薬物療法を行っている場合は、副作用のリスクを理解し、医師に相談しながら服用することが重要です。

糖尿病の薬物療法は、薬の作用や副作用について必ず主治医に相談し、個々の状態に応じた適切な治療を受けましょう。医師や管理栄養士とコミュニケーションを取り、自分に合った糖尿病管理が重要です。

健康診断では糖尿病の兆候を早期に発見できるチャンスでもあります。以下の記事では、糖尿病に関連する健康診断の重要な数値や、見落としやすいポイントについて詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
>>糖尿病の健康診断で見るべき数値!早期発見のポイント

まとめ

糖尿病患者さんのおやつ選びは、血糖値コントロールの重要な要素です。おやつを選ぶ際は、食物繊維やタンパク質が豊富で、糖質が少ないものを選びましょう。ナッツ類や無糖ヨーグルト、高カカオチョコレートなどがおすすめです。適切な量とタイミングを守り、1回150~200kcal以内、糖質10g以下を目安に、食後すぐや寝る前は避けて食べましょう。

さまざまな種類のおやつを組み合わせて、必要な栄養素を補給することも大切です。脂質の摂りすぎに注意し、低脂肪のおやつを選びましょう。おやつは「食事の補助」と捉え、楽しく賢く取り入れて、健やかな毎日を送りましょう。

以下の記事では、血糖値を下げるために効果が期待できる生活習慣の改善ポイントを7つに分けて詳しく紹介していますので、実践の参考にしてください。
>>血糖値を下げる7つの効果が期待できる方法!生活習慣改善のポイント

参考文献

Wei Du, Zhen-Ping Zou, Bang-Ce Ye, Ying Zhou. Gut microbiota and associated metabolites: key players in high-fat diet-induced chronic diseases. Gut Microbes, 2025, 17, 1, p.2494703