大石内科循環器科医院

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いびきは治療が必要?いびきの原因と治療法を解説

2024.09.05 いびき・睡眠無呼吸外来

いびきは治療が必要?いびきの原因と治療法を解説

「いびき」は、ただの寝息の音、と安易に考えていませんか?

実は、いびきは睡眠時無呼吸症候群(SAS)といった病気のサインである可能性があり、放置すると高血圧や心臓病、脳卒中、さらには認知症やうつ病のリスクを高める可能性も指摘されています。

毎晩のようにいびきをかいている場合や、日中の眠気、集中力低下を感じている場合は注意が必要です。この記事では、いびきの原因から治療法、そして生活習慣改善まで、具体的な方法を交えながら詳しく解説していきます。もしかしたら、あなたの大切なパートナーの健康を脅かしているかもしれません。ぜひ、最後まで読んでみてください。

いびきとは

誰でも一度は経験したことがある「いびき」。家族やパートナーにいびきを指摘された経験がある人もいるのではないでしょうか?「ただの寝息の音でしょ?」と軽く考えていませんか?実は、いびきはただの騒音ではなく、健康状態を示すサインの可能性もあるのです。今回は、いびきについて、その種類や程度、原因などについて詳しく解説していきます。

いびきの定義と特徴

「いびき」とは、睡眠中に呼吸とともに喉の奥の組織が振動することで発生する音を指します。ちょうど蛇口から水を出すときに水量が多いと音が大きくなるように、空気の通り道である気道が狭くなると空気の流れが速くなります。その際に粘膜が振動しやすくなることで、いびきの音が大きくなります。誰でもいびきをかく可能性があり、特に疲れている時やお酒を飲んだ後などは、いびきをかきやすくなります。これは日中の活動で疲れた筋肉が睡眠中にさらにリラックスしてしまい、気道が狭くなるためです。

いびきの種類と程度

いびきは、その音の大きさや頻度、持続時間によって、いくつかの種類に分けられます。例えば、静かで断続的な「ヒューヒュー」という音や、大きくて連続的な「ガーガー」という音など、様々なパターンがあります。

いびきの程度特徴
軽度静かで断続的な音。周りの人に迷惑をかけることはほとんどない。静かな部屋でかすかに聞こえる程度の音、寝息が少し荒い程度
中等度ある程度大きな音で、断続的に発生する。周りの人が気づき始める程度。会話の声をかき消す程度の音、たまに呼吸が止まっているように聞こえる
重度非常に大きな音で、連続的に発生する。周りの人に迷惑をかけるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群などの疑いも出てくる。部屋の外まで聞こえるほどの大きな音、呼吸が止まる、息苦しそうにする

いびきの程度が重くなると睡眠の質が低下するだけでなく、健康上の問題にもつながる可能性があるため注意が必要です。

いびきの原因と病気との関連性

皆さんは寝ている間に「ガーガー」といった音が聞こえてきたら、気になりませんか? 実は、いびきはただの寝息の音ではなく、体からのSOSサインかもしれません。今回は、いびきと病気の関係について、詳しく解説していきます。

いびきが病気のサインかどうか

いびきは空気の通り道である気道が狭くなることで、その周りの粘膜が振動して音が発生する現象です。風邪をひいて鼻が詰まっている時だけいびきをかいてしまう、疲れている時だけいびきをかいてしまう、という場合は一時的なものなので、あまり心配する必要はありません。

しかし、毎晩のようにいびきをかいている場合は注意が必要です。いびきは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気のサインである可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。

例えば、大きないびきをかきながら寝ていると思ったら、突然静かになり呼吸が止まっているように感じることがあります。ご家族に指摘されて、初めて気づかれる方も少なくありません。

睡眠時無呼吸症候群は、放っておくと、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを高める可能性があります。

いびきと高血圧・心臓病の関係性

いびきをかく人は、そうでない人に比べて、高血圧や心臓病のリスクが高いと言われています。これは、いびきの多くが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気が隠れている可能性があるからです。睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまいます。
呼吸が止まっている間、体は酸素不足の状態になります。この状態を改善しようと、体は心臓をよりたくさん動かして、全身に血液を送ろうとします。このため心臓に大きな負担がかかり、高血圧や心臓病のリスクが高まると考えられています。
例えば自転車を全力で漕いでいる時、心臓はドキドキと速く動きますよね。睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間ずっと心臓にこのような負担をかけている状態なのです。

いびきと認知症・うつ病のリスク

「いびき=睡眠不足」とイメージする方は多いのではないでしょうか? 実は睡眠不足は、認知症やうつ病のリスクを高めることもわかっています。睡眠不足になると、脳や体が十分に休息できません。

脳は起きている間、常にフル回転で働いています。睡眠は、この疲れた脳を休ませ情報を整理する大切な時間です。しかし、いびきによって睡眠が浅くなったり途中で目が覚めてしまったりすると、脳は十分に休息できません。

その結果、集中力や記憶力の低下、疲労感、倦怠感などの症状が現れやすくなります。このような状態が続くと、認知症やうつ病のリスクが高まると考えられています。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、睡眠中の呼吸努力により睡眠が浅くなりがちです。睡眠薬で眠りを深くしようとしても、呼吸が抑制されてしまい危険な場合があります。

いびきは、決して軽く見てはいけない問題なのです。

いびきの治療方法と効果

いびきの治療法は、その原因や程度、そして患者さん一人ひとりの状態によって実にさまざまです。 例えば、お酒を飲んだ日にだけいびきをかくという方と毎晩大きな音を立てていびきをかき、日中も強い眠気に襲われるという方では、適切な治療法は異なってきます。

いびきを止める方法と対策

まず、軽度のいびきや、特定の状況下でのみいびきをかくという場合は、生活習慣の見直しで改善が見込めることがあります。

生活習慣の改善

  • 横向きに寝る:仰向けで寝ると、舌の根元が喉の奥に落ち込みやすくなり、気道が狭くなってしまいます。これは、ちょうど道路に土砂崩れが起きて通行止めになってしまう状況に似ています。横向きに寝ることで、気道の閉塞を防ぎ、スムーズな呼吸を促すことができます。
  • 枕の高さを調整する:枕が高すぎたり低すぎたりすると、首が不自然な角度に曲がってしまい、気道が狭くなることがあります。自分に合った高さの枕を選び、気道を確保しましょう。
  • 減量する:肥満は、いびきの大きな原因の一つです。首回りに脂肪が多いと、気道を圧迫しやすくなります。適度な運動やバランスの取れた食事を心がけ、健康的な体重管理を目指しましょう。
  • 禁煙する:タバコは、気道の炎症を引き起こし、いびきを悪化させる可能性があります。タバコの煙に含まれる有害物質は、気道の粘膜を刺激し、炎症や腫れを引き起こします。
  • アルコールを控える:就寝前のアルコール摂取は、筋肉を弛緩させるため、喉の筋肉も弛緩しやすくなります。その結果、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなってしまいます。
  • 睡眠時間をしっかりと確保する:睡眠不足は身体の疲労を回復させることができず、筋肉の緊張を招き、いびきを悪化させる可能性があります。

CPAP治療

CPAP治療とは、Continuous Positive Airway Pressureの略で、日本語では「経鼻的持続陽圧呼吸療法」といいます。少し難しい言葉ですが、簡単に言うと「鼻から空気を送り込み、気道を広げて呼吸を楽にする治療法」です。

このCPAP治療では、専用の機械を使って鼻に装着したマスクを通して空気を送り込みます。空気の圧力によって、睡眠中に狭くなってしまう気道を広げ無呼吸を防ぎます。

CPAP治療の効果は高く適切に使用することで、ほとんどの患者さんでいびきや無呼吸が改善されます。その結果、日中の眠気や倦怠感といった症状も改善され、日常生活が送りやすくなることが期待できます。

口腔内装置の使用

マウスピースのような装置を就寝時に装着することで、下あごを少し前に出すことで気道を広げ、いびきを軽減します。これは、仮歯を入れて歯並びを矯正するのと似ています。

その他の治療法

  • 鼻閉の改善:鼻づまりが原因でいびきをかいている場合は、点鼻薬や鼻腔ステロイドスプレーなどの薬物療法や、場合によっては手術が有効な場合があります。
  • 扁桃腺やアデノイドの切除:扁桃肥大やアデノイド肥大が原因でいびきをかいている場合は、手術で切除することがあります。特に、子供の場合は、扁桃腺やアデノイドの肥大が原因でいびきや睡眠時無呼吸症候群になっていることが多いため、手術が有効な場合があります。

いびきによる睡眠不足の改善法

いびきによって睡眠不足に悩まされている方は、以下の方法を試してみてください。

  • 睡眠環境を整える:静かで暗い寝室は、質の高い睡眠を得るために非常に重要です。 室温や湿度を適切に保ち、快適な睡眠環境を整えましょう。
  • リラックスして眠る:寝る前にぬるめのお風呂に入ったり、ゆったりとした音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするなどリラックスできる方法を見つけましょう。寝る前のスマホやパソコンの使用は、脳を興奮させてしまうため控えましょう。
  • カフェインを控える:寝る前のコーヒーや緑茶などのカフェイン摂取は避けましょう。カフェインには覚醒作用があり睡眠の質を低下させる可能性があります。
  • 規則正しい生活習慣を心がける:毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計がリセットされ質の高い睡眠を得やすくなります。

まとめ

いびきは、睡眠中に気道が狭くなることで発生する音であり、軽視できない健康問題です。重症化すると睡眠時無呼吸症候群 (SAS) に繋がり、高血圧、心臓病、脳卒中、認知症、うつ病のリスクを高める可能性があります。いびきの改善策には、生活習慣の見直し、CPAP治療、手術などがあります。

当院は、睡眠時無呼吸症候群 (SAS)治療を積極的に行っております。
睡眠時間を取っても日中に強い眠気を感じたり朝起きても疲れを感じたりする方など、ご不安なことがある方はぜひご相談下さい。



参考文献

Huang J, Qin M, Lu W and Shen X. Dexmedetomidine Improved Sleep Quality in the Intensive Care Unit After Laryngectomy.. Drug design, development and therapy 17, no. (2023): 1631-1640.

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