「いびき」は、ただの寝息の音、と安易に考えていませんか?
実は、いびきは睡眠時無呼吸症候群(SAS)といった病気のサインである可能性があり、放置すると高血圧や心臓病、脳卒中、さらには認知症やうつ病のリスクを高める可能性も指摘されています。
毎晩のようにいびきをかいている場合や、日中の眠気、集中力低下を感じている場合は注意が必要です。この記事では、いびきの原因から治療法、そして生活習慣改善まで、具体的な方法を交えながら詳しく解説していきます。もしかしたら、あなたの大切なパートナーの健康を脅かしているかもしれません。ぜひ、最後まで読んでみてください。
誰でも一度は経験したことがある「いびき」。家族やパートナーにいびきを指摘された経験がある人もいるのではないでしょうか?「ただの寝息の音でしょ?」と軽く考えていませんか?実は、いびきはただの騒音ではなく、健康状態を示すサインの可能性もあるのです。今回は、いびきについて、その種類や程度、原因などについて詳しく解説していきます。
「いびき」とは、睡眠中に呼吸とともに喉の奥の組織が振動することで発生する音を指します。ちょうど蛇口から水を出すときに水量が多いと音が大きくなるように、空気の通り道である気道が狭くなると空気の流れが速くなります。その際に粘膜が振動しやすくなることで、いびきの音が大きくなります。誰でもいびきをかく可能性があり、特に疲れている時やお酒を飲んだ後などは、いびきをかきやすくなります。これは日中の活動で疲れた筋肉が睡眠中にさらにリラックスしてしまい、気道が狭くなるためです。
いびきは、その音の大きさや頻度、持続時間によって、いくつかの種類に分けられます。例えば、静かで断続的な「ヒューヒュー」という音や、大きくて連続的な「ガーガー」という音など、様々なパターンがあります。
いびきの程度 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
軽度 | 静かで断続的な音。周りの人に迷惑をかけることはほとんどない。 | 静かな部屋でかすかに聞こえる程度の音、寝息が少し荒い程度 |
中等度 | ある程度大きな音で、断続的に発生する。周りの人が気づき始める程度。 | 会話の声をかき消す程度の音、たまに呼吸が止まっているように聞こえる |
重度 | 非常に大きな音で、連続的に発生する。周りの人に迷惑をかけるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群などの疑いも出てくる。 | 部屋の外まで聞こえるほどの大きな音、呼吸が止まる、息苦しそうにする |
いびきの程度が重くなると睡眠の質が低下するだけでなく、健康上の問題にもつながる可能性があるため注意が必要です。
皆さんは寝ている間に「ガーガー」といった音が聞こえてきたら、気になりませんか? 実は、いびきはただの寝息の音ではなく、体からのSOSサインかもしれません。今回は、いびきと病気の関係について、詳しく解説していきます。
いびきは空気の通り道である気道が狭くなることで、その周りの粘膜が振動して音が発生する現象です。風邪をひいて鼻が詰まっている時だけいびきをかいてしまう、疲れている時だけいびきをかいてしまう、という場合は一時的なものなので、あまり心配する必要はありません。
しかし、毎晩のようにいびきをかいている場合は注意が必要です。いびきは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気のサインである可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。
例えば、大きないびきをかきながら寝ていると思ったら、突然静かになり呼吸が止まっているように感じることがあります。ご家族に指摘されて、初めて気づかれる方も少なくありません。
睡眠時無呼吸症候群は、放っておくと、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを高める可能性があります。
いびきをかく人は、そうでない人に比べて、高血圧や心臓病のリスクが高いと言われています。これは、いびきの多くが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気が隠れている可能性があるからです。睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまいます。
呼吸が止まっている間、体は酸素不足の状態になります。この状態を改善しようと、体は心臓をよりたくさん動かして、全身に血液を送ろうとします。このため心臓に大きな負担がかかり、高血圧や心臓病のリスクが高まると考えられています。
例えば自転車を全力で漕いでいる時、心臓はドキドキと速く動きますよね。睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間ずっと心臓にこのような負担をかけている状態なのです。
「いびき=睡眠不足」とイメージする方は多いのではないでしょうか? 実は睡眠不足は、認知症やうつ病のリスクを高めることもわかっています。睡眠不足になると、脳や体が十分に休息できません。
脳は起きている間、常にフル回転で働いています。睡眠は、この疲れた脳を休ませ情報を整理する大切な時間です。しかし、いびきによって睡眠が浅くなったり途中で目が覚めてしまったりすると、脳は十分に休息できません。
その結果、集中力や記憶力の低下、疲労感、倦怠感などの症状が現れやすくなります。このような状態が続くと、認知症やうつ病のリスクが高まると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、睡眠中の呼吸努力により睡眠が浅くなりがちです。睡眠薬で眠りを深くしようとしても、呼吸が抑制されてしまい危険な場合があります。
いびきは、決して軽く見てはいけない問題なのです。
いびきの治療法は、その原因や程度、そして患者さん一人ひとりの状態によって実にさまざまです。 例えば、お酒を飲んだ日にだけいびきをかくという方と毎晩大きな音を立てていびきをかき、日中も強い眠気に襲われるという方では、適切な治療法は異なってきます。
まず、軽度のいびきや、特定の状況下でのみいびきをかくという場合は、生活習慣の見直しで改善が見込めることがあります。
CPAP治療とは、Continuous Positive Airway Pressureの略で、日本語では「経鼻的持続陽圧呼吸療法」といいます。少し難しい言葉ですが、簡単に言うと「鼻から空気を送り込み、気道を広げて呼吸を楽にする治療法」です。
このCPAP治療では、専用の機械を使って鼻に装着したマスクを通して空気を送り込みます。空気の圧力によって、睡眠中に狭くなってしまう気道を広げ無呼吸を防ぎます。
CPAP治療の効果は高く適切に使用することで、ほとんどの患者さんでいびきや無呼吸が改善されます。その結果、日中の眠気や倦怠感といった症状も改善され、日常生活が送りやすくなることが期待できます。
マウスピースのような装置を就寝時に装着することで、下あごを少し前に出すことで気道を広げ、いびきを軽減します。これは、仮歯を入れて歯並びを矯正するのと似ています。
いびきによって睡眠不足に悩まされている方は、以下の方法を試してみてください。
いびきは、睡眠中に気道が狭くなることで発生する音であり、軽視できない健康問題です。重症化すると睡眠時無呼吸症候群 (SAS) に繋がり、高血圧、心臓病、脳卒中、認知症、うつ病のリスクを高める可能性があります。いびきの改善策には、生活習慣の見直し、CPAP治療、手術などがあります。
当院は、睡眠時無呼吸症候群 (SAS)治療を積極的に行っております。
睡眠時間を取っても日中に強い眠気を感じたり朝起きても疲れを感じたりする方など、ご不安なことがある方はぜひご相談下さい。
Huang J, Qin M, Lu W and Shen X. Dexmedetomidine Improved Sleep Quality in the Intensive Care Unit After Laryngectomy.. Drug design, development and therapy 17, no. (2023): 1631-1640.
大石内科循環器科医院
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