心エコー検査とは、心臓の動きや構造をリアルタイムで確認できる、痛みのない安全な検査です。超音波を使って心臓の状態を映像として確認でき、被ばくの心配もありません。胸にゼリーを塗って専用の機械(プローブ)を当てるだけで、レントゲンとは異なり体への負担が少ないのが特徴です。
検査では、以下のようなポイントから心臓の状態を詳しく評価します。
心エコー検査は、心臓病の早期発見から治療方針の判断など、治療の一助として活用される検査です。当院でも実施していますので、どうぞ安心してご相談ください。
心臓に不安があるとき、最初に行うべき検査の一つが心エコー検査です。体への負担が少なく、心臓の状態を詳しく調べることができます。次のような症状や指摘がある方は、心エコー検査を受けることをおすすめします。
胸の痛みや息切れ、動悸、むくみなどの症状がある方は、心エコー検査によって心臓の異常を早期に発見できる可能性があります。これらの症状は、狭心症や心不全などの心疾患によって現れることがあり、見逃すと命に関わる場合もあります。
気になる症状がある方は、次のようなサインがないか確認してみましょう。
【こんな症状がある方におすすめ】
こうした症状は、心臓のポンプ機能が弱っているサインかもしれません。心エコー検査では、心臓の動きや血流の状態を詳しく観察できるため、原因を明らかにし、適切な治療につなげることができます。
健康診断や心電図で異常を指摘された方は、必ず一度は心エコー検査で心臓の状態を詳しく確認しましょう。心電図は、心臓の電気的な動きを見る検査であり、リズムの乱れや負担の兆候は捉えられても、心臓の構造的な異常までは判断できないことがあります。
不整脈や心雑音、心肥大などを指摘された方は、心臓の状態を正確に評価し、治療が必要かどうかを判断するうえで重要です。症状がないからと放置せず、異常の背景にある心疾患の有無を明らかにするためにも、早めの受診をおすすめします。
「心雑音がある」と言われたら、まずは心エコー検査で原因を確認することが大切です。心雑音とは、通常の心音とは異なる「ザーザー」「シューシュー」といった異常音のことです。心臓の中の血液の流れが乱れているサインであり、心臓弁膜症や先天性心疾患などが原因となっている可能性があります。
心臓弁膜症では、血液の逆流を防ぐ弁の動きに異常が生じ、血流が通りにくい・閉まりが悪く血液が逆流するなどの状態が起こります。先天性の異常で心臓の壁に穴が開いているケースでも、異常な血流が雑音として聞こえることがあります。
心雑音だけでは病気かどうかの判断は難しく、心エコー検査での確認が不可欠です。自覚症状がない場合でも、心雑音の裏に何らかの異常が隠れていることもあります。不安を放置せず、一度しっかり心臓の状態をチェックしておきましょう。
高血圧や糖尿病がある方は、自覚症状がなくても定期的な心エコー検査が重要です。生活習慣病は、知らず知らずのうちに心臓へ負担をかけ、重大な疾患のリスクを高めます。
高血圧が続くと、心臓は強い圧力に対抗するために筋肉を厚くしようとします。これは心臓の動きを徐々に低下させ、やがて心不全につながる恐れがあります。糖尿病では血糖値が高い状態が血管を傷つけ、動脈硬化を進行させます。心臓の血管(冠動脈)が詰まることで狭心症や心筋梗塞を引き起こすリスクも高まります。
心エコー検査では、心臓の壁の厚さ・動き・血流の異常などをリアルタイムで確認できます。症状が現れる前の「隠れた変化」を早期に捉え、治療の見直しや予防につなげることができます。定期的な心エコー検査で、心臓を守る一歩を踏み出しましょう。
家族に心疾患のある方がいる場合、心エコー検査による定期的なチェックが予防の第一歩です。心臓病の中には遺伝的な要因が強く関係する疾患もあり、血縁者に心疾患がある方は、そうでない方に比べて発症リスクが高いとされています。
特に以下のような家族歴がある方は注意が必要です。
心エコー検査は放射線を使わず、痛みもない安全な検査です。自覚症状がない段階でも、心臓の構造や機能の異常を正確に評価できるため、定期的な予防チェックとして推奨しています。
「自分は大丈夫」と思っていても、早めに検査を受けておくことで、将来のリスクに備えることができます。不安な方は、一度ご相談ください。
心エコー検査で具体的にどのようなことがわかるのか、一つひとつ見ていきましょう。
心エコー検査では、心臓の大きさや形、壁の厚さを正確に測定し、心臓の健康状態を把握できます。高血圧や心疾患などがあると、心臓は過度な負荷を受け、筋肉が厚くなったり、全体が大きくなったりすることがあります。これらの変化は「心肥大」や「心拡大」と呼ばれ、放置すると心不全へ進行するリスクがあります。心エコーでは、こうした変化を早期に見つけ、予防や治療に役立てることが可能です。
以下のような指標を確認することで、心臓の構造的な異常を評価します。
いずれも数ミリ単位で測定でき、異常があれば早期発見につながります。心肥大や心拡大が心配な方は、心エコー検査で状態を確認しておくことが大切です。
心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出しています。心エコー検査では、この心臓の動きをリアルタイムで確認でき、血液をしっかり押し出せているか(心機能)を評価します。特に「左室駆出率(EF)」という指標から、ポンプ機能の強さを数値で確認できます。
EFが低いと、心不全の兆候が疑われるため、早期発見・早期対応に役立ちます。
心臓には血液の逆流を防ぐ「弁(べん)」が4つあり、それぞれの部屋でドアのような役割を果たしています。これらの弁が正常に開閉しないと、血液がうまく流れず、心臓に大きな負担がかかります。
心エコー検査では、この弁の動きをリアルタイムで観察できるため、異常を見つけやすい方法です。弁がうまく開かない状態は「狭窄(きょうさく)」、閉まりが悪く逆流を起こす状態は「閉鎖不全」と呼ばれ、いずれも放置すると心不全の原因になります。心エコーで早期に見つけ、必要に応じた治療につなげることが大切です。
カラードプラ法を用いた心エコー検査では、心臓内の血液の流れや圧力の変化を色で可視化し、異常の有無や重症度を正確に把握できます。特に、血液の逆流や血流の乱れは色の変化として映し出され、目では見えない異常を発見するのに役立ちます。
主に次のような情報が得られます。
こうした情報により、弁膜症などの正確な診断と治療方針の決定に大きく貢献します。
心エコー検査は、心臓の形や動き、血流を総合的に評価することで、心筋症・心筋梗塞・先天性心疾患など幅広い心疾患の診断に役立ちます。心臓の異常をリアルタイムに確認できるため、病気の早期発見と重症度の評価に欠かせません。主に以下の疾患の診断に役立ちます。
これらの疾患は、放置すると命に関わることもあるため、正確な診断のために心エコー検査は重要です。
心エコー検査は、痛みがなく20〜30分ほどで終わる安心な検査です。超音波で心臓の動きや形、血液の流れをリアルタイムに確認するため、リラックスした状態で受けていただくことが大切です。検査の流れは以下のとおりです。
検査後はすぐに普段通りの生活に戻れます。
心エコー検査は、体への負担がとても少なく、比較的リラックスして受けられる検査です。安心して検査に臨めるように、当日の服装や検査中の過ごし方など、いくつかのポイントを事前に確認しておきましょう。
心エコー検査は、超音波で心臓の動きや構造を観察する検査のため、通常は食事や水分の制限は必要ありません。普段通りお食事をとっていただいて構いませんし、お薬もいつも通り服用できます。
他の検査が同日にある場合や、経食道心エコーなどの特殊な検査を受ける場合は例外です。血液検査や腹部エコーを同時に行う日は食事制限が必要になることがあります。
心エコー検査では、胸に超音波の機器(プローブ)を直接当てる必要があるため、上半身を脱ぐか胸元を開ける必要があります。そのため、前開きのシャツや上下に分かれた服装でお越しいただくとスムーズに検査が進みます。以下のような服装をおすすめします。
ワンピースやボディスーツなど上下がつながった服装は避けましょう。また、ゼリーを使用するため、念のため汚れても気にならない服だと安心です。
心エコー検査では、より鮮明に心臓の動きを映すために、技師から呼吸の指示が出ることがあります。「息を吸ってください」「吐いて止めてください」などです。肺が膨らむことで心臓が隠れてしまうのを避けるためで、呼吸を一時的に調整することで心臓をクリアに観察できます。
息を止める時間は数秒程度と短く、苦しくなることはほとんどありませんが、無理をせず、つらいと感じたら遠慮なくお知らせください。検査中は「左側を下にして横向きになる」など姿勢の変更をお願いする場合もあります。技師の声かけに耳を傾け、リラックスして検査を受けましょう。
心エコー検査は、体に害のない超音波を使う安全性の高い検査です。レントゲンのような放射線を使用せず、体への負担もほとんどないため、検査後の生活に特別な制限はありません。
食事や運動、仕事、入浴、車の運転など、すべていつも通り行っていただいて大丈夫です。検査時に使用するゼリーは拭き取りますが、気になる場合は濡れタオルやシャワーで落としてください。
経食道心エコーなど特殊な検査を受けた場合は、喉の麻酔が切れるまで飲食を控える必要があります。当日の指示に従ってください。
心エコーは、超音波を使って心臓の構造や動きをリアルタイムで確認できる、体に優しい検査です。放射線による被ばくもなく、痛みもありません。胸の痛みや息切れ、むくみの原因も調べられます。健康診断で異常を指摘された方や、生活習慣病をお持ちの方の心臓チェックにも役立ちます。
大石内科循環器科医院では、専門的な知識と経験をもとに、心エコーを通じて心臓の状態を丁寧に評価しています。「症状はないけれど気になる」「家族に心臓病がある」など、どんな小さな不安でも構いません。
早期の受診が、将来の大きな安心につながります。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。