お電話(054-252-0585)にて受診予約をしてください。
「いざ禁煙を決意しても、禁煙が持続できなかった経験」をお持ちの方は、多いのではないでしょうか。
禁煙できないのは、「意志が弱いから」ではありません。禁煙が持続できない背景には「ニコチン依存」という厄介な原因があり、ご本人の意志だけで禁煙することを難しくしているのです。
「慢性化した喫煙習慣は病気である」として、2006年から医療機関では保険適用による禁煙治療を行っています。また、2020年4月からは「加熱式たばこ」の喫煙者に対しても、禁煙治療を行うこととなりました。
医療機関での禁煙治療による禁煙成功率は、自力での禁煙と比べて、約2~3倍高まることが分かっています。
当院では「禁煙外来」を設けております。禁煙外来では、禁煙補助薬の使用や医師による禁煙指導といった医学的なサポートを受けながら、禁煙を進めることが可能です。禁煙外来にご興味ある方は、お電話でご予約の上、お気軽にご相談ください。
禁煙外来とは「禁煙をサポートするための医療システム」です。 当院禁煙外来では、ニコチン代替療法による薬物療法(貼り薬・飲み薬)と、患者様の日常指導を行っております。 また、一定の基準を満たす喫煙者には健康保険の保険適応がされます。 当院の禁煙外来は、「予約制」となっております。まずは、お電話でお問い合わせください。
禁煙治療は健康保険を適用して受けることができますが、一定の要件があります。
以下の要件を満たす場合、保険適用にて禁煙治療をお受けいただけます。
※要件を満たさない場合でも、「自由診療(自費)」にて禁煙治療を行うことは可能です。
禁煙外来では、薬物療法を利用して離脱症状を抑えながら、禁煙を進めていきます。さらに、医師・看護師による禁煙のためのカウンセリング・アドバイスを受けられるので、つらさを一人で抱え込まずに済み、結果として禁煙成功率が高まります。
禁煙には、次のようなメリットがあります。
1箱500円のたばこを1日1箱喫煙し続けた場合、年間18万2,500円にも上ります。
禁煙外来では、以下のような検査を行います。
10問の質問に「はい」「いいえ」で答え、薬物依存を測るスクリーンテストです。5点以上(「はい」が5問以上)で「ニコチン依存症」と診断されます。
ただし、過去に保険適用で禁煙治療を受けたことがある方は、前回の治療の初回診察日から1年経過していない場合は保険適用とはならず「自由診療」となります。
※ニコチン依存症の診断は医師が行います。
※5つ以上「はい」がある場合はニコチン依存症の可能性が高く、健康保険の適用も可能なケースがありますので、直接ご来院いただき医師にご相談下さい。
たばこには、「ニコチン」「タール」「一酸化炭素(CO)」など200種類以上の有害物質が含まれています。
たばこの煙(主流煙)の中には、約1%~3%(数千~1万ppm以上)の一酸化炭素が含まれています。この値はアイドリング中(エンジンをかけて止まっている状態)の自動車排気ガス(法定1万ppm以下)と同じ程度とされています。
一酸化炭素は、酸素の約200倍以上、赤血球のヘモグロビンと結ばれやすい性質を持っています。本来、酸素はヘモグロビンによって全身に運搬されますが、体内に一酸化炭素が微量でも取り込まれると、ヘモグロビンを横取りしてしまいます。喫煙習慣がある方は慢性的な酸素欠乏状態となり、動脈硬化の促進、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)や不整脈が起こりやすくなる、赤血球が増えて血液の粘度が増すことで血栓が形成されやすくなる、といったリスクが生じます。
呼気一酸化炭素濃度測定は、呼気(吐く息)を使って、喫煙による一酸化炭素の体内取り込み状況を調べる検査です。呼気一酸化炭素濃度は、取り込みから約3~5時間で半分程になるため、特に当日の喫煙状況を把握することができます。
初回診察以外にも定期的に測定します。
禁煙外来では、「身体的依存」「心理的依存」に対して、次の2つの治療を進めていきます。
身体的依存に対しては、「禁煙補助薬」を使い、ニコチン切れによって生じる離脱症状を抑えます。禁煙補助薬には、ニコチンを含む貼り薬と含まない内服薬があります。
ただし、持病や状態によっては使えない禁煙補助薬があるので、問診で確認してから処方します。
※2023年8月現在、ニコチンを含まない内服薬(チャンピックス®)はメーカーより出荷停止となっており、今のところ再出荷時期は未定です。内服薬の出荷再開までは、ニコチンを含む貼り薬(ニコチンパッチ®)のみを使って治療となります。
「たばこを吸うという習慣を取り除く」ためのお薬です。ニコチンを含んだ貼り薬で、皮膚からニコチンをゆっくり吸収させ、貼って5分後くらいから効果が現れ始め、離脱症状を抑えます。使用期間に合わせて徐々にサイズを小さくしていき、たばこから離れさせます。喫煙本数の多いヘビースモーカーの方に効果的です。ニコチンパッチはたばこと異なり、一酸化炭素やタールなどの有害物質は含まれません。
1日1回、上腕部、腹部、腰などに貼ります。
※かぶれ防止のため、毎日違う場所への貼付をおすすめします。
かぶれなど
※現在メーカーより出荷停止中につき、処方休止中
「たばこを美味しく感じなくさせるお薬」です。バレニクリン酒石酸塩が主成分で、ニコチンが作用する部分をブロックして、喫煙によるリラックス効果や快感を減らします。また、脳内で部分的にニコチンと同じ働きをすることで、禁煙による離脱症状を抑え、たばこを吸いたくなる気持ちを和らげる作用もあります。
1日1回~2回、食後に服用します。
※通常、禁煙を始める予定日の1週間前から服用して、8日目から禁煙を始め、12週間後まで飲み続けます。
吐き気・眠気など
薬物療法のみで禁煙治療が成功するわけではありません。今までの喫煙習慣に変わる生活習慣を身につけて、心理的依存を上手に乗り越える必要があります。
当院では、患者様の性格、健康状態、生活スタイルに合わせて、医師・看護師によって、以下のようなカウンセリングやアドバイスを行っています。
受診
診察前準備
初回診察
治療2回目以降
例)禁煙で苦しい・つらいことはないか、禁煙補助薬に対する副作用はないかなど
保険適用で禁煙治療を行う場合、3割負担の方は12週間の治療スケジュールで約1万5千円~約2万円です。たばこ1箱500円として1日1箱吸っている場合、12週間でたばこ代は約4万2千円です。約3か月のたばこ代と比べて、禁煙治療にかかる費用の方がはるかに安く済む計算になります。
※画像検査などを実施した場合は、別途費用が発生します。
ニコチンパッチ | 3割負担 | 2割負担 | 1割負担 |
---|---|---|---|
初回診療 (14枚処方) | 2,640円 | 1,760円 | 880円 |
2週間後(14枚処方) | 2,500円 | 1,670円 | 830円 |
4週間後 (28枚処方) | 3,860円 | 2,580円 | 1,280円 |
8週間後 (処方なし) | 550円 | 370円 | 180円 |
12週間後 (処方なし) | 540円 | 360円 | 180円 |
チャンピックス錠 | 3割負担 | 2割負担 | 1割負担 |
---|---|---|---|
初回診療 (14日分処方) | 2,630円 | 1,750円 | 880円 |
2週間後 (14日分処方) | 3,070円 | 2,050円 | 1,020円 |
4週間後 (28日分処方) | 5,170円 | 3,450円 | 1,720円 |
8週間後 (28日分処方) | 5,170円 | 3,450円 | 1,720円 |
12週間後 (処方なし) | 540円 | 360円 | 180円 |
※現在メーカーより出荷停止中につき、処方休止中
ただし、以下の場合には「自由診療(自費)」になります。
静岡市にお住いの方には、禁煙治療費の補助制度があります。(※2024年8月現在)
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
たばこの種類に関わらず、喫煙によって、がん・循環器疾患など命に関わる病気に繋がる可能性があります。また、喫煙者本人だけでなく、周りの方の健康にも大きな影響を与えるので、禁煙をおすすめします。
厚生労働省より喫煙の健康影響に関する報告書(2016年)*1が公開されています。その中で、たばことの因果関係を推定する科学的証拠が十分な病気として、以下の病気が挙げられています。
*1(参考)喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書|厚生労働省
肺がん、頭頚部がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮頚がん、肺がん患者の生命予後の悪化、がん患者の二次がん罹患、かぎたばこ(無煙たばこ)による発がん
虚血性心疾患、脳卒中、腹部大動脈瘤、末梢動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸機能低下、結核による死亡
2型糖尿病の発症
歯周病、ニコチン依存症、妊婦の喫煙による乳幼児突然死症候群(SIDS)、早産、低出生体重・胎児発育遅延
ほかに、今のところ科学的証明が十分ではありませんが、大腸がん、乳がん、胸部大動脈瘤、気管支喘息の発症・増悪、結核、虫歯、閉経後女性の骨密度低下などにも影響があると考えられています。
たばこの有害物質は煙(エアロゾル)にも含まれています。タバコを吸っていなくても吸っている人の周りにいれば、有害物質を吸い込んでしまうことになります(受動喫煙)。
あるデータによると、たばこを吸う夫の妻は、夫からの受動喫煙がない人と比べて、肺がんリスクが1.3倍*2でした。さらに、換気扇の下で吸っていたとしても、同じ空間に子供がいた場合、子どもの尿から大量のニコチン代謝物が検出された*3と報告しています。特に肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群(SIDS)の4疾患は、受動喫煙との関連が確実と判定されています*4。
*2(参考)多目的コホート研究|国立がん研究センター
*3(参考)Johansson A, et al. Pediatrics. 2004; 113: e291-5.
*4(参考)喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書 第2章第6節 P.329|喫煙の健康影響に関する検討会
たばこは「自分の意志」で買って吸っていると考えている方が多いかもしれませんが、実はたばこに含まれる「ニコチン」によって、たばこを買わされているのです。
喫煙がやめられない原因には、次の2つの要素があります。
たばこの煙の中には「ニコチン」と呼ばれる有害物質が含まれています。
たばこを吸って体内にニコチンが入ると、数十秒で脳内に達し、神経細胞から「ドーパミン」が放出されます。ドーパミンには快感を生じる作用があるため、タバコを吸うと快感を味わうようになります。一方で、血中のニコチンは時間と共に分解されていき、少なくなるとドーパミンも減少していくので、喫煙者は次のたばこを吸って快感を得ようとします。そして、たばこを吸い続けるうちに、1本吸い終わってもすぐに吸いたくなるという悪循環が生まれ、「ニコチン依存症」になります。
また、慢性的に喫煙習慣がある方ほど、たばこを吸っていない時間(ニコチン欠乏状態)が長くなると、離脱症状(禁断症状)が現れるようになります。
離脱症状は禁煙開始後2~3日をピークとして、個人差はありますが、症状は緩やかに10日~14日くらい続きます。
心理的依存とは、喫煙によりイライラ・不安などが消え、「頭がスッキリする」「ストレス解消になった」と感じたり、「自分はタバコを吸っても病気にならない」と健康への影響を過小評価したりする「思い込み」のことです。また、休憩や食後の一服など癖・習慣となることも心理的依存です。
吸っているご本人は喫煙により「良い面があった」と思い込んでいますが、実際は逆で、血中のニコチン減少による離脱症状で不安を感じて、たばこを吸ってしまっているだけに過ぎないのです。
日本医師会によると、12週間5回診察の標準的禁煙治療を終了した人に対し、禁煙状況を調査したところ、5回の指導終了まで禁煙を継続(4週間)できていた人は72.0%でした。その後治療終了によって少しずつ継続禁煙率は下がっていきましたが、6か月後でも53.7%の人が禁煙の継続ができていたと報告しています。
自分の意志だけで禁煙する場合の禁煙成功率の約5~10%と比べると、医療機関による禁煙治療プログラムの成功率は高いと考えられます。
ニコチンの離脱症状が一番強く出るのは、禁煙開始から2日目~3日目です。個人差はありますが、だいたい10日くらいで離脱症状は消えていくケースが多くみられます。
たばこを吸わないために、他の動作をして気分転換するなど工夫してみましょう。
次のようなポイントを意識してみましょう。
近年、煙や臭いが少ないとされる「加熱式たばこ」「電子たばこ」が登場しており、国内外で安全性についての研究が進められているところです。日本禁煙学会・日本呼吸器学会によると、加熱式・電子たばこにもニコチンなどの有害物質は含まれています。
また、紙巻たばこと比べて量は少ないとはいえ、煙・エアロゾルにも有害物質が含まれているため、喫煙者と受動喫煙者の健康に悪影響を及ぼす可能性は否定できないと報告されています*5。
ただし、長期的な健康被害については、発売開始からの期間が浅いため、引き続き研究調査が必要とされています。