頸動脈エコー検査は、動脈硬化の兆候を安全かつ簡単に確認できる検査です。頸動脈は、心臓から脳に血液を送る大切な血管で、全身の血管の状態を映し出す鏡のような役割を持っています。この検査では、超音波(エコー)を使って頸動脈の状態を画像として映し出します。
痛みはなく、体への影響もほとんどありません。首にゼリーを塗り、小さな機器を軽く当てるだけで、レントゲンのような放射線も使用しないため、妊娠中の方でも安心して受けていただけます。
頸動脈は皮膚のすぐ下にあるため、超音波で観察しやすく、血管の変化をいち早く見つけやすい場所です。脳梗塞などの重大な病気のリスクを事前に予測できる大切な検査として、多くの方に活用されています。
血管年齢や脳梗塞リスクが気になる方にとって、生活習慣を見直すきっかけとなる検査でもあります。特別な準備は必要なく、手軽に受けられます。当院でも実施していますので、どうぞ安心してご相談ください。
頸動脈エコーは、脳梗塞や心筋梗塞の大きな原因となる「動脈硬化」の状態を直接観察できます。痛みや放射線被ばくの心配がなく、体に負担の少ない検査です。以下では、頸動脈エコーを受けたほうが良い方について解説しています。
生活習慣病は、静かに血管を傷つけ、動脈硬化を進行させる最大の要因です。症状がなくても、血管の内側では変化が始まっている可能性があり、早めの確認が大切です。特に以下のような病気を指摘された方は、頸動脈エコー検査を検討してみましょう。
【動脈硬化のリスクを高める代表的な病気】
これらはいずれも血管を徐々に弱らせ、将来的な脳梗塞や心疾患の原因になります。放置せず、今の血管状態を一度確認することが、病気を防ぐ第一歩です。
タバコや高コレステロールは、動脈硬化を進行させる代表的なリスク因子です。これらの習慣や状態がある方は、血管のダメージが進んでいる可能性があるため注意が必要です。喫煙によって血管に以下のような悪影響を与える場合があります。
コレステロール値が高い状態が続くと、血管の傷ついた箇所にコレステロールが溜まり、動脈内にプラークが形成されやすくなります。こうした状態が進行すると、脳梗塞のリスクも高まります。喫煙習慣や脂質異常がある方は、血管の健康状態を早めに確認することが重要です。
片側の手足のしびれやめまい、言葉が出にくいなどの症状が一時的に起こった場合、脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」の可能性があります。頸動脈が動脈硬化で狭くなると、脳への血流が一時的に低下し、脳の一部が酸素不足になります。しびれ・ふらつき・ろれつの回らなさ・視界の異常などが数分〜数時間だけ現れ、自然に治まることがあります。
症状が一時的に消えても「脳からの警告サイン」である可能性は高く、見逃すと後に本格的な脳梗塞につながるリスクがあります。思い当たる症状があった方は、必ず医師に相談し、頸動脈の状態をチェックしましょう。
ご家族に脳梗塞や心筋梗塞を経験された方がいる場合、ご自身も動脈硬化のリスクが高い可能性があります。病気自体が遺伝するわけではありません。しかし、血圧が上がりやすい、コレステロールが溜まりやすいなどの体質は遺伝的な影響を受ける傾向があります。
親や兄弟姉妹が若い年齢(男性で55歳未満、女性で65歳未満)で脳・心疾患を発症している場合は注意が必要です。自覚症状がなくても、血管の中では動脈硬化が静かに進んでいるかもしれません。将来の脳梗塞や心疾患の予防のために、早めの血管チェックとして頸動脈エコー検査がおすすめです。
健康診断ではわからない「血管そのものの状態」を確認したい方に、頸動脈エコー検査は最適です。血液検査や血圧測定では、動脈硬化のリスクを示す数値はわかっても、実際の血管の変化までは見えません。
頸動脈エコーは、首の血管に超音波をあてて、動脈の壁の厚さや血流の変化をリアルタイムで観察できる検査です。血管の厚み、コレステロールの沈着(プラーク)、血流のスムーズさなどを直接確認でき、将来の脳梗塞リスク評価にもつながります。症状はないけれど、自分の血管年齢を知っておきたい方におすすめです。
頸動脈エコー検査を行うことでわかる主な4つの情報を解説します。
頸動脈エコーでは、動脈硬化の初期サインである「血管の壁の厚み」を正確に測定できます。血管の壁が厚くなることは、加齢や高血圧、糖尿病などによる血管の劣化を示す重要な指標です。この厚みは「IMT(内膜中膜複合体肥厚度)」という数値で評価され、以下のような基準があります。
IMTの増加は、血管の弾力が失われているサインです。症状が出る前にこの変化に気づくことで、生活習慣の改善による予防や進行抑制を検討する参考になります。
頸動脈エコーでは、動脈硬化が進むことでできる「プラーク」の有無や状態を詳しく確認できます。プラークは、血管内に溜まったコレステロールなどが塊になったもので、脳梗塞の直接的な原因にもなり得る重要な所見です。以下のような観察ポイントから、リスクを評価します。
特に不安定なプラークは、破れて血栓を作りやすく、脳梗塞の引き金となる可能性があるため、早期発見と経過観察が重要です。
頸動脈エコーでは、血液の流れ方やスピードをリアルタイムで確認できます。血管が狭くなると、血液は通常より速く流れたり、流れが乱れたりします。これにより、狭窄(血管の狭まり)の程度や、血管にかかる負担を評価できます。血流の異常は以下の点から判断されます。
このような情報から、動脈硬化の進行度や血栓ができやすい状態かどうかを把握でき、治療や生活改善の判断材料となります。
頸動脈エコーでは、脳梗塞や心筋梗塞のリスク評価に役立つ情報が得られます。血管の厚み・プラーク・血流といった情報を総合的に分析することで、今後の重大な疾患の可能性を判断できます。検査結果から、以下のような病気のリスクを評価して予防につなげます。
頸動脈の状態は全身の動脈の健康状態を映す鏡とも言われ、生活改善や治療方針の決定に役立ちます。
頸動脈エコーは15〜30分ほどで終わる、痛みのない安全な検査です。リラックスして受けていただけるよう、当日の流れを事前に確認しておきましょう。検査は次のような手順で進みます。
検査中はモニターにご自身の血管の映像が映し出されます。気になることがあれば、遠慮なく医師やスタッフにお尋ねください。
頸動脈エコーでは、以下の注意点を守っていただくことで、安心して検査に臨むことができます。
頸動脈エコー検査では首元を大きく出す必要があるため、首まわりがゆったりとした服装でお越しください。
検査では、首にゼリーを塗り「プローブ」を直接あてて血管の状態を観察します。タートルネックやハイネックなど、首元が詰まった服は検査の妨げになるため避けましょう。必要に応じて着替えをお願いする場合もあります。以下のような服装がおすすめです。
ネックレスなどの首元のアクセサリーも検査の妨げになるため、事前に外しておくと安心です。
頸動脈エコー検査は、当日の食事や飲み物の制限がなく、特別な準備も不要です。胃カメラのように消化管を観察する検査ではないため、朝食や昼食は普段通りで問題ありません。服薬中の方も、特に高血圧・糖尿病・脂質異常症などのお薬は中断せず、いつも通りのタイミングで服用してください。
この検査は、日常生活の延長で受けられるのが大きなメリットです。なお、当日に他の検査(血液検査など)を予定している場合は、そちらの指示に従ってください。
頸動脈エコー検査中に違和感や不安を感じたら、すぐにスタッフへお声がけください。ゼリーのひんやり感やプローブによる軽い圧迫、長時間同じ姿勢でいることによる首や肩の疲れなどを感じる場合があります。検査の精度を保つためにも、患者さんがリラックスしていることが重要です。
少しでも不快なことがあれば我慢せず、その場でお伝えください。体勢の調整や検査の一時中断など、すぐに対応いたしますのでご安心ください。
頸動脈エコー検査は、痛みや被ばくの心配がなく、体に優しい方法で動脈硬化の進行度をチェックできる大切な検査です。自覚症状のないまま進行する動脈硬化は、将来的に脳梗塞や心筋梗塞などの重い病気の原因になることもあります。
大石内科循環器科医院では、頸動脈エコー検査を通じて血管の健康状態を正確に評価し、リスクの早期発見・予防につなげています。健康診断の数値が気になる方、ご家族に脳や心臓の病気がある方は、症状が出る前の受診が安心への第一歩です。不明点など気になることがあれば、ご相談ください。