腹部エコー検査(腹部超音波検査)は、お腹の中にある臓器の状態をリアルタイムで観察できる、体に負担の少ない画像検査です。主に、肝臓・胆のう・すい臓・腎臓などを対象とし、臓器の腫れや変形、結石の有無などを確認します。
この検査では、超音波と呼ばれる人の耳には聞こえない高周波の音を使って、体内の様子を映像化します。検査中はベッドに仰向けで寝ていただき、専用のゼリーをお腹に塗り、「プローブ」という小さな機械を当ててゆっくり動かしながら観察します。
腹部エコーには、以下のような特徴があります。
腹部の不調の原因を調べたり、健診で異常を指摘された際の精密検査として行われたりします。医師が状態を把握し、適切な治療や経過観察を行うための重要な検査です。当院でも実施していますので、どうぞ安心してご相談ください。
これからご紹介する症状やお悩みに心当たりがあれば、腹部エコー検査をご検討ください。
肝機能の数値異常を指摘された場合、自覚症状がなくても放置せず、追加の検査で原因を確かめることが重要です。肝臓は痛みや不調を感じにくい臓器のため、健診での異常が病気のはじまりのサインであることも少なくありません。
腹部エコー検査は、数値の異常がどのような状態によって起きているのかを、体に負担なく安全に調べられる方法です。特に、健康診断の結果に「GPT」「ALT」「γ-GTP」などの上昇がある方や、生活習慣に不安のある方には、早めのチェックをおすすめします。
エコー検査は痛みもなく短時間で終わるため、仕事や生活に支障をきたすこともありません。健診結果を正しく理解し、次のステップへ進むために、精密検査としての腹部エコーを積極的に活用しましょう。
お腹の不調は日常的によくある症状ですが、胃腸だけでなく、胆のう・すい臓・腎臓など他の臓器が関係していることも少なくありません。痛みの場所や性質によっては、思わぬ臓器に原因が潜んでいることがあります。
腹部エコー検査では、内臓の異常を安全かつ手軽に確認できます。特に、お腹の不快感が繰り返す・長引く・症状の場所がはっきりしない場合、エコーで広い範囲の臓器を観察することで、見落としのない診察が可能になります。
「病院に行くほどでは…」と我慢せず、原因がわからないお腹の不調が続くときは、一度腹部エコー検査で状態をチェックしてみましょう。
尿がいつもより濃い茶色に見えたり、肌や白目が黄色く感じたりする場合、黄疸(おうだん)のサインかもしれません。黄疸は、体内にある「ビリルビン」という色素が血液中に増えたときに起こる現象で、肝臓や胆道系に何らかの異常がある可能性を示しています。
黄疸の原因はさまざまで、肝臓の働きが低下していたり、胆汁の通り道が詰まっていたりすることもあります。目に見える症状が出ている場合、すでに体の中では何らかのトラブルが進行しているケースも少なくありません。
放置すると症状が悪化し、重い病気につながることもあります。気になる変化があれば早めに医療機関を受診し、適切な検査で原因を調べることが大切です。
一度指摘された病気は、症状がなくても継続的な経過観察が大切です。放置しているうちに進行し、ある日突然症状が現れることも少なくありません。腹部エコー検査は、体に負担をかけずに繰り返し状態をチェックできるため、こうした疾患の管理に適しています。
過去に以下のような異常を指摘された方は、定期的な再検査をおすすめします。
指摘されたことのある異常は、体の“傾向”として捉えることが大切です。自覚症状がないうちに対処することが、将来のリスク低減につながります。
自覚症状がないうちにこそ、内臓の状態を確認しておくことが、病気の早期発見につながります。特にお腹の臓器に関わる病気は、初期にはほとんど症状が出ないため、気づいたときには進行していることも少なくありません。
腹部エコー検査は、体に負担が少なく、一度に複数の臓器をチェックできるため、健康維持のための定期検査として推奨します。以下のような点で、健康管理に役立ちます。
症状が出る前にこそ、自分の体と向き合う習慣を。年に一度の定期健診にあわせて受けるのもおすすめです。
腹部エコー検査で具体的にどのようなことがわかるのか詳しく見ていきましょう。
腹部エコー検査では、脂肪の蓄積や硬さの変化など、肝臓内部の状態を画像で詳しく確認できます。以下のような所見が、病気の早期発見・進行度の把握に役立ちます。
脂肪肝は放置すると肝炎や肝硬変、肝がんへと進行することがあります。定期的な腹部エコー検査によって、無症状のうちから小さな異常を見逃さず、将来のリスクを最小限に抑えることが大切です。
胆のうは肝臓の下にある袋状の臓器で、胆汁を蓄える役割を担っています。腹部エコー検査では、胆のう内部の異常を視覚的に捉えることができ、以下のような疾患の有無を確認します。
胆石やポリープは自覚症状がなくても、将来的に炎症や悪化の原因となることがあります。腹部エコーによる定期的なチェックで、リスクのある変化を早期にとらえることが大切です。
すい臓は胃の裏側に位置し、体の深部にあるため観察が難しい臓器です。消化酵素やホルモンを分泌する重要な役割を持つ一方で、症状が出にくく、異常の発見が遅れやすい特徴があります。腹部エコーでは、以下のような所見を確認します。
早期のすい臓がんは自覚症状が乏しく、エコーによる小さな変化の見逃し防止が鍵となります。
腎臓と膀胱は、尿の生成と排出に関わる重要な臓器です。異常があっても初期は症状が乏しいため、腹部エコーでの定期的なチェックが役立ちます。検査では、以下のような変化を確認します。
血尿や腰痛が出る前に、こうした異常を把握しておくことが、重症化を防ぐための第一歩になります。
腹部エコーでは、肝臓や腎臓などの主要臓器以外にも、さまざまな部位を確認できます。特に、全身の疾患につながる以下のような変化を見逃さないことが大切です。
目立った症状が出にくい部分だからこそ、定期的な検査で早期に異常を察知し、適切な対応へとつなげましょう。
腹部エコー検査は、体に優しく短時間で終わる検査です。事前に流れを知っておくことで、不安を減らし、安心して受けていただけます。検査時間はおよそ20分ほど。痛みはほとんどなく、リラックスして受けられます。以下に、検査室に入ってから終了までの手順をご紹介します。
検査後は制限なく、通常どおりの生活を送れます。服装や心構えの準備を整えておくことで、よりスムーズに検査を受けていただけます。不安な点があれば、遠慮なくスタッフにご相談ください。
腹部エコー検査をより正確に行う際の、注意事項を説明します。皆様の大切な体の状態を正しく知るための準備ですのでご協力をお願いします。
腹部エコー検査では、検査開始の6時間前から食事を控えていただく必要があります。これは、胃や腸に食べ物やガスがあると超音波が通りにくくなり、臓器の観察が難しくなるためです。
特に胆のうは、食後に縮んでしまうため、小さなポリープや胆石の発見が困難になります。空腹状態でこそ胆のうはふくらみ、正確な観察が可能になります。安全で精度の高い検査のために、ご理解とご協力をお願いいたします。
腹部エコー検査では絶食が必要ですが、水分の摂取は完全に禁止ではありません。のどが渇いた際には、少量の水やお茶であれば飲んでいただいて問題ありません。ただし、飲み物の種類によっては検査に影響を及ぼす可能性があるため、以下をご確認ください。
【飲んで良いもの】
【避けていただきたいもの】
お薬服用のための水分は問題ありません。検査内容によっては、水分摂取を推奨する場合もありますので、指示がある場合はそれに従ってください。
腹部エコー検査当日は、お腹を締めつけないリラックスできる服装でお越しください。仰向けでみぞおちから下腹部までを観察するため、お腹をすぐに出せる服装が理想的です。以下のような服装がおすすめです。
【おすすめの服装】
【避けていただきたい服装】
お腹の圧迫はリラックスを妨げ、検査に影響する場合もあります。必要に応じて検査着への着替えも可能ですので、安心してご来院ください。
腹部エコー検査中、必要に応じて「息を吸って止めてください」などのお願いをすることがあります。肝臓や脾臓などは呼吸とともに上下に動くため、息を吸って止めることで観察しやすい位置に下がり、画像が鮮明になります。
息止めは数秒程度で、無理のない範囲でお願いしています。苦しいときはすぐにお知らせください。観察部位によっては体を横向きにするなど姿勢を変えていただくこともあります。スタッフの案内に安心してご協力ください。
腹部エコー検査は体への負担が少なく、終了後はすぐに普段通りの生活に戻れます。放射線を使わないため、妊娠中の方やご高齢の方も安心して受けられる安全な検査です。検査後に制限されることは特になく、以下のような日常生活も可能です。
使用したゼリーは肌に優しい成分で、検査後に拭き取ります。結果説明の時期については、医師の案内に従ってください。
腹部エコー検査は、痛みや被ばくの心配がなく、体にやさしい画像検査です。肝臓・胆のう・すい臓・腎臓などを一度に観察でき、症状が出にくい病気の早期発見にも役立ちます。
大石内科循環器科医院では、腹部エコーによる定期的な健康チェックをおすすめしています。健康診断で異常を指摘された方や、原因のはっきりしないお腹の不調がある方はもちろん、「今は症状がないけれど体を見直したい」という方にも適した検査です。
ご自身の体の変化に早く気づくために、気になることがあればどうぞお気軽にご相談ください。