下肢静脈エコー検査とは、足の静脈を超音波で映し出し、血流や血管の状態を確認する検査です。耳には聞こえない高い音(超音波)を使って、足の付け根から足首までの血管を画面に可視化します。血管の中を流れる血液の動きや血管の壁の様子を、リアルタイムで観察できます。
下肢静脈エコー検査には以下のような特徴があります。
検査はおよそ30分ほどで終了し、特別な準備や食事制限は不要です。冷たいゼリーを塗って行うため、少しひやっと感じる程度です。身体への負担が少なく、安心して受けられる検査として、足の状態を詳しく調べる際に用いられます。
当院でも実施していますので、どうぞ安心してご相談ください。
足の不調が続いていると感じたら、血管の状態を一度確認することが大切です。夕方になると足がむくんだり、重だるさを感じたりする場合、静脈の流れが滞っているサインかもしれません。
次のような症状や状況に心当たりのある方は、下肢静脈エコー検査を検討してみましょう。
足のむくみや重だるさは、静脈の流れが滞っているサインかもしれません。特に夕方になると靴がきつい場合や、朝になってもすっきりしない場合、血液や水分が足に溜まりやすくなっている可能性があります。
足の静脈は、心臓へ血液を押し戻すために「ふくらはぎの筋肉」と「静脈の弁」が働いています。これらの機能が弱まると血液が下に溜まり、むくみやだるさにつながります。次のようなサインがあるときは注意が必要です。
これらの症状が続く場合は、足の静脈に負担がかかっている可能性があります。早めに医療機関で相談し、原因を確かめることが大切です。
片方の足だけが急に腫れたり、ふくらはぎに痛みを感じたりする場合は注意が必要です。足の奥にある静脈に血のかたまり(血栓)ができる「深部静脈血栓症(DVT)」が隠れていることがあります。
この病気は「エコノミークラス症候群」としても知られ、血栓が血流に乗って肺に運ばれると、「肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)」という危険な状態を引き起こすおそれがあります。次のような症状があるときは、早めの受診が大切です。
自己判断で様子を見ず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
長時間同じ姿勢を続けることで、足の血流が滞りやすくなり、不調を感じやすくなります。立ち仕事やデスクワークでは、ふくらはぎの筋肉が十分に動かず、血液を心臓へ押し戻す「ポンプ作用」が弱まります。結果、血液や水分が足に溜まり、むくみ・だるさ・こむら返りなどの症状が現れやすくなります。
放置すると、血液が逆流して血管が浮き出る「下肢静脈瘤」につながることもあるため、注意が必要です。日常的に足の重さやむくみを感じる場合は、早めに血管の状態を確認しておくことが大切です。生活習慣の見直しや弾性ストッキングの使用など、早期の対策で足の負担を軽減できます。
手術後や妊娠・出産の前後は、血のかたまり(血栓)ができやすくなる時期です。深部静脈血栓症(DVT)のリスクが高まり、自覚症状も出にくいため注意が必要です。
特に次のような状況では血栓ができやすくなります。
むくみや痛みがなくても、血栓が隠れている場合があります。気になる症状があるときは、早めに医療機関へ相談し、必要に応じて下肢静脈エコー検査を受けることが大切です。
過去に下肢静脈瘤を指摘された方や家族に既往がある方は、再発や発症のリスクが高い状態です。下肢静脈瘤は、足の静脈にある弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流して血管が浮き出てくる病気です。見た目の変化だけでなく、足のだるさや痛み、こむら返り、皮膚のかゆみなどの症状を伴うことがあります。
症状が軽くても放置せず、早めに血管の状態を確認することで、進行を防ぐことができます。
下肢静脈エコー検査では、足の静脈を流れる血液の状態を詳しく観察できます。超音波を使って体の外から血管の中を確認できるため、血流の滞りや弁の働き、血栓の有無などを安全に調べることが可能です。
実際にこの検査でどのようなことがわかるのかを解説します。
下肢静脈エコー検査では、足の奥深くにある静脈に血のかたまり(血栓)ができていないかを確認できます。この病気は「深部静脈血栓症(DVT)」と呼ばれ、「エコノミークラス症候群」として知られています。血栓を放置すると肺に流れ込み、「肺血栓塞栓症」を起こす危険があるため、早期発見が大切です。
検査では、皮膚の上から超音波装置をあて、血管を軽く押して反応を確認します。結果には次のような違いがあります。
この反応から血栓の有無や状態を正確に把握でき、重症化を防ぐための重要な手がかりとなります。
下肢静脈エコー検査では、足の静脈にある弁が正常に働いているかを詳しく確認できます。この弁は、血液が重力で下に戻らないようにする「逆流防止弁」の役割を持ちます。弁が壊れたり弱ったりすると血液が逆流し、足にたまって血管がふくらむ「下肢静脈瘤」を引き起こします。
検査では、弁の動きや血流の方向を次の方法で確認します。
この検査で、どの血管の弁に異常があるかを正確に特定でき、足のだるさやむくみの原因を明らかにします。
下肢静脈エコー検査では、足の血液がどれだけスムーズに流れているか、どこで滞っているかを詳しく確認できます。血栓の有無だけでなく、血管の中でどの程度詰まりがあるのか、血流が弱まっている部分がないかを評価することが可能です。
検査では、血流を可視化するカラードプラ法を用い、次のような点を観察します。
これらを総合的に評価することで、血流の状態や病気の進行度を把握し、適切な治療につなげることができます。
下肢静脈エコー検査は、足のむくみや痛み、重だるさなどの原因を客観的に特定するための検査です。目に見える異常がなくても、血液の流れや静脈の弁の働きを確認することで、症状の背景にある問題を明らかにできます。検査では、次のような血管の異常が関係していないかを調べます。
原因を特定することで、不安を減らし、適切なケアへと進む第一歩となります。
下肢静脈エコー検査は、痛みや体への負担がほとんどなく、30分ほどで安全に行える検査です。事前の準備も少なく、流れを知っておくことで落ち着いて受けることができます。以下のような手順で進みます。
リラックスして受けていただける検査ですので、安心してご来院ください。
当日に安心して臨んでいただけるよう、服装や食事、検査中の過ごし方についてご説明します。事前にポイントを知っておくことで、当日はリラックスして検査を受けられますので、ぜひご確認ください。
下肢静脈エコー検査を正確かつスムーズに行うためには、締めつけの少ない脱ぎやすい服装で来院することが大切です。検査では足の付け根から足首までを観察するため、ゆとりのある服装を選ぶことで準備がスムーズになり、正確な血流の評価が可能になります。服装に関しては次の点を意識してください。
おすすめはウエストがゴムのズボンやゆとりのあるパンツ、ロングスカートなどです。スキニージーンズや着圧ソックス、ガードルの着用は避けましょう。服装に迷う場合は検査着の用意もありますので、安心してご来院ください。
下肢静脈エコー検査では、食事制限や特別な準備は必要ありません。当日は朝食や昼食を普段どおりにとっていただいて問題なく、検査に影響することはほとんどありません。これは、胃や腸を調べる検査とは異なり、足の血管の状態は食事の影響を受けにくいためです。
日常的に服用しているお薬も、基本的にはいつも通り服用して構いません。特に「血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)」を自己判断で中止しないよう注意してください。いつもの生活のまま、リラックスして検査を受けていただけます。
下肢静脈エコー検査は、皮膚の上から超音波をあてるだけの安全な検査で、基本的に痛みはありません。検査中は透明なゼリーを塗り、小さな装置(プローブ)を足にあてて血管の状態を確認します。途中で血管を軽く押す操作を行うことがありますが、血栓の有無を確認するための大切な手順です。
ただし、押されたときに痛みや違和感を感じた場合は、すぐにスタッフへ伝えてください。
体調が悪くなった際も我慢せずに「痛いです」「気分が悪いです」と遠慮なく申し出てください。
下肢静脈エコー検査は、体への負担がほとんどないため、検査後すぐに普段通りの生活に戻ることができます。注射や麻酔を伴わないため、安静の必要もなく、日常生活に制限はありません。検査後は次のようなことも問題なく行えます。
検査のために仕事を休む必要や付き添いは不要です。検査後は医師が画像を見ながら結果をわかりやすく説明しますので、気になることがあれば遠慮なくご質問ください。
下肢静脈エコー検査は、足のむくみやだるさ、ふくらはぎの張りなどの原因を安全に調べることができる大切な検査です。放射線を使わず、痛みもほとんどないため、体への負担が少なく安心して受けられます。足の血流や静脈の弁の働きを詳しく確認することで、深部静脈血栓症や下肢静脈瘤などの早期発見につながります。
大石内科循環器科医院では、循環器の専門的な知識と経験をもとに、下肢静脈エコー検査を丁寧に行い、症状の背景を正確に評価します。足の不調にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。正確な診断とわかりやすい説明で、健康で快適な毎日をサポートいたします。