大石内科循環器科医院

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高尿酸血症の治療方法とは?運動習慣や食生活の改善、薬物療法を医師が解説

2025.04.07 健康診断

健康診断で「尿酸値が高い」と指摘されたあなたへ。 実は、日本人の約10人に1人が悩んでいると言われる「高尿酸血症」。放置すると激痛を伴う痛風発作や、深刻な腎臓病につながる可能性も秘めています。しかし、安心してください。高尿酸血症は適切な治療により、そのリスクを大幅に軽減できる病気なのです。

この記事では、高尿酸血症の治療方法を分かりやすく解説します。運動習慣や食生活の改善、そして必要に応じて薬物療法の選択など具体的な方法を丁寧に説明します。 レバーや白子などのプリン体が多い食品を控える、ウォーキングや水泳などの適度な運動を習慣化するなど、日々の生活習慣の見直しから始められます。

高尿酸血症の治療方法:運動習慣と食生活改善の重要性

高尿酸血症と診断された時、健康への不安を感じられたかもしれません。なぜなら、高尿酸血症は放っておくと痛風発作という非常に強い関節の痛みを引き起こす可能性があるからです。しかし、ご安心ください。高尿酸血症は、生活習慣の改善、特に運動習慣と食生活の見直しによって、尿酸値をコントロールできる病気です。

尿酸値を下げるための効果的な運動方法

運動は、体内で発生する老廃物である尿酸の排泄を促進する効果があります。適度な運動を継続することで、尿酸値を適切な範囲に維持し痛風発作などの合併症を防ぐことができます。

おすすめの運動と、その効果を具体的に説明します。

運動の種類強度時間頻度効果と注意点
ウォーキング低~中強度30分~1時間週3~5回気軽に始められる有酸素運動です。近所の公園を散歩したり、通勤経路の一部を歩いたりするだけでも効果があります。景色を見ながら、自分のペースで歩くことを心がけましょう。ただし、真夏の炎天下や冬の厳しい寒さの中では、無理をせず屋内での運動に切り替えるなど、環境に合わせた工夫が必要です。
ジョギング中強度30分~1時間週2~3回ウォーキングよりも運動強度が高く、より多くのカロリーを消費できます。ウォーキングに慣れてきたら、徐々にジョギングに移行していくのも良いでしょう。ただし、膝や腰に負担がかかりやすいので、自分の体力に合ったペースで無理なく続けましょう。
水泳中強度30分~1時間週2~3回全身を動かすことができ、関節への負担も少ない運動です。プールで泳ぐ以外にも、水中ウォーキングなども効果的です。水泳は、特に体重が重い方や関節に痛みがある方におすすめです。
サイクリング低~中強度30分~1時間週2~3回景観を楽しみながら、有酸素運動を行うことができます。近所のサイクリングロードを走ったり、自転車通勤をしたりするのも良いでしょう。ただし、交通事故には十分に注意する必要があります。
ストレッチ低強度10分~20分毎日体の柔軟性を高め、血行を促進する効果があります。運動前後のストレッチだけでなく、就寝前や起床後に行うのも効果的です。ストレッチは、運動習慣がない方でも手軽に始めることができます。

激しい運動は、かえって尿酸値を一時的に上昇させる可能性があります。運動は「過ぎたるは及ばざるが如し」です。常に自分の体の声に耳を傾け、無理なく続けられる運動を見つけましょう。

継続的な運動習慣を作るためのコツ

目標を立てる: 「週に3回、30分以上のウォーキングをする」など、具体的な目標を設定することで、モチベーションを維持しやすくなります。目標は、現実的で達成可能な範囲に設定することが重要です。

好きな運動を選ぶ: 自分が楽しめる運動を見つけることで、継続しやすくなります。ウォーキングやジョギングが苦手な方は、水泳やサイクリング、ヨガなど、他の運動を試してみましょう。

習慣づける: 毎日同じ時間に運動する、運動用のウェアに着替えるなど、習慣化することで、運動を継続しやすくなります。毎日の生活の中に、運動する時間を組み込んでみましょう。

記録をつける: 歩数計アプリや運動記録アプリなどを活用して、運動の記録をつけることで、自分の成果を可視化し、モチベーションを維持することができます。

仲間を作る: 家族や友人と一緒に運動する仲間がいると、互いに励まし合いながら、楽しく続けることができます。地域のスポーツクラブやサークルに参加するのも良いでしょう。

専門家に相談する: トレーナーや医師、管理栄養士に相談することで、自分に合った運動方法や食事指導を受けることができます。専門家のアドバイスは、あなたの航海をよりスムーズに進めるための、頼もしいサポートとなります。

食生活改善のポイント:避けるべき食品と推奨食品

食生活の改善は高尿酸血症の治療において、舵取りの役割を果たします。尿酸値を上げる原因となるプリン体を多く含む食品を控え、尿酸値を下げる効果のある食品を積極的に摂取することで尿酸値のコントロールを目指します。

人間の体は、食べ物から摂取したプリン体を分解する過程で尿酸を生成します。そのため、プリン体を多く含む食品を過剰に摂取すると、体内で尿酸が過剰に産生され、高尿酸血症につながります。

避けるべき食品とその理由

プリン体を多く含む食品: レバー(100gあたり約300mg)、白子(100gあたり約200mg)、あんこうの肝(100gあたり約400mg)、干物(100gあたり約200~300mg)、魚卵(100gあたり約100~200mg)、えび(100gあたり約150mg)、かに(100gあたり約100mg)、貝類(100gあたり約100~200mg)などは、尿酸値を上昇させるため、摂取量を控えるべきです。(カッコ内はプリン体含有量の目安です。食品によって変動があります。)

アルコール飲料: ビールは、プリン体を多く含むだけでなく、尿酸の排泄を阻害する作用があるため、特に注意が必要です。日本酒もプリン体含有量が高いため、控えましょう。

糖分の多い清涼飲料水: ジュースや炭酸飲料などに含まれる果糖は、尿酸値を上昇させることが知られています。清涼飲料水の代わりに、水やお茶を飲むように心がけましょう。

推奨食品とその効果

尿酸値を下げる効果のある食品: 牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品は、尿酸の排泄を促進する効果があります。野菜、海藻、きのこ類なども、尿酸値を下げる効果が期待できるため、積極的に摂取しましょう。

水分: 水を十分に摂取することで、尿酸が体外に排泄されやすくなります。1日に2リットル以上の水を飲むように心がけましょう。お茶やコーヒーも水分補給になりますが、カフェインを過剰に摂取すると利尿作用により脱水症状になる可能性があるので、水の摂取も心がけてください。

食事は、私たちの健康を支える土台です。バランスの良い食事を心がけ、特定の栄養素に偏らないようにしましょう。1日3食、規則正しい時間に食事をすることも大切です。暴飲暴食は、尿酸値を急激に上昇させる可能性があるので、控えましょう。

高尿酸血症の薬物療法の種類と特徴

高尿酸血症と診断された時、薬物療法が必要かどうか不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。健康診断で「尿酸値が高い」と指摘されても、自覚症状がないため、治療の必要性を感じない方もいるでしょう。

しかし、高尿酸血症は、痛風発作といった劇症の痛みを引き起こすだけでなく、放置すると腎臓病や心血管疾患のリスクを高める可能性があるため、適切な治療が必要です。

一般的な薬物療法の種類

高尿酸血症の薬物療法は体内で作られる尿酸の量を減らす薬と、尿を介して尿酸を体外へ排出する薬の大きく分けて2つの種類があります。それぞれの働きを、車の交通量に例えて考えてみましょう。

尿酸産生抑制薬: 尿酸が作られる量を減らす薬です。これは、車の生産工場のラインを減速させるようなものです。工場で作られる車の数が減れば、道路全体の交通量が減少するのと同じように、尿酸産生抑制薬は体内で作られる尿酸の量を減らし、尿酸値を下げる効果があります。代表的な薬として、アロプリノールやフェブキソスタットなどがあります。

尿酸排泄促進薬: 尿酸の排泄を促す薬です。これは、道路の幅を広げて、車の流れをスムーズにするようなイメージです。尿の通り道である腎臓での尿酸の再吸収を抑え、尿酸が体外へ排出されやすくすることで、尿酸値を下げます。代表的な薬として、ベンズブロマロンやプロベネシドなどがあります。

薬の種類作用例え代表的な薬
尿酸産生抑制薬尿酸の産生を抑える車の生産工場のラインを減速アロプリノール、フェブキソスタット
尿酸排泄促進薬尿酸の排泄を促す道路の幅を広げるベンズブロマロン、プロベネシド

効果的な薬物療法を選ぶためのポイント

薬物療法は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、オーダーメイドのスーツを作るように慎重に選択する必要があります。尿酸値の目標値は、通常6.0mg/dL以下ですが、痛風発作を繰り返す方や腎臓に持病のある方などは、より低い目標値を設定する場合もあります。

例えば腎臓の機能が低下している方は、尿酸排泄促進薬を使用すると腎臓に負担がかかる可能性があるため、尿酸産生抑制薬が選択されることが多くなります。また過去の副作用の経験なども考慮し、最適な薬剤を選択します。最適な薬物療法のためには、医師との綿密なコミュニケーションが不可欠です。疑問や不安な点は、些細なことでも遠慮なく相談しましょう。

薬の副作用とリスク管理

薬物療法は、尿酸値をコントロールするための強力な武器ですが、副作用のリスクも存在します。副作用は、薬の種類によって異なり、発疹、吐き気、下痢、肝機能障害など、様々な症状が現れる可能性があります。これらの副作用が日常生活に支障をきたす場合は、薬の種類や量を調整する必要があります。

現在服用している他の薬との飲み合わせにも注意が必要です。併用禁忌の薬剤や相互作用に注意が必要な薬剤もあります。安全な薬物療法のためには、医師に現在服用中の薬をすべて伝えることが重要です。

また、定期的な検査で、尿酸値の確認はもちろん、肝機能や腎機能などの検査を行い、副作用の早期発見に努めます。薬物療法は、高尿酸血症の治療において重要な役割を担いますが、それだけで完結するわけではありません。生活習慣の改善、特に食事療法と運動療法を並行して行うことで、より効果的な治療が期待できます。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な水分摂取は、健康な体を維持するための3本柱です。これらの生活習慣を改善し、維持することで、高尿酸血症という航海の舵取りをしっかりと行い、健康という目的地へとたどり着きましょう。

高尿酸血症の診断基準

高尿酸血症の診断基準について

高尿酸血症の診断基準は、血液検査で尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合です。これは、健康な人の尿酸値が平均的に3.0~7.0mg/dLであるのに対し、7.0mg/dLを超えると、尿酸が体内に過剰に存在している状態と判断されるためです。

診断基準尿酸値
高尿酸血症7.0mg/dL以上

ただし、尿酸値が7.0mg/dL未満でも、過去に痛風発作を起こしたことがある場合は、高尿酸血症と診断されることがあります。これは、痛風発作は尿酸値が高い状態が原因で起こるため、たとえ現在の尿酸値が基準値内であっても、将来的に再び発作を起こすリスクが高いと判断されるためです。

尿酸値は、食事の内容や飲酒、運動、ストレスなど、様々な要因によって変動しやすい値です。そのため、1回の測定だけで判断するのではなく、複数回の測定結果や、過去の病歴、生活習慣などを総合的に考慮して診断を下します。

痛風や腎臓病との関連性の理解

高尿酸血症を放置すると、痛風や腎臓病といった合併症のリスクが高まります。尿酸値が高い状態が続くと、尿酸は体内で結晶化し、関節や腎臓などに沈着し始めます。

関節に尿酸が沈着すると、ある日突然、足の親指の付け根などに激しい痛みや腫れが出現します。これが痛風発作です。痛風発作は、文字通り「風が吹いただけでも痛い」と言われるほどの激痛を伴うため、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

>>痛風について

また、尿酸が腎臓に沈着すると、腎臓の機能が徐々に低下し、腎臓病を引き起こす可能性があります。腎臓病は、初期段階では自覚症状が出にくいという特徴があります。そのため、気づかないうちに病気が進行し、最終的には人工透析が必要となるケースも少なくありません。

高尿酸血症は、自覚症状がない場合が多いからこそ、定期的な検査と適切な治療が非常に重要です。これは、静かに進行する航海の落とし穴を避けるために、定期的に海図を確認し、適切な航路を進む必要があるのと同じです。

高尿酸血症の合併症説明
痛風関節に尿酸の結晶が沈着し、激しい痛みや腫れを引き起こす病気です。
腎臓病尿酸が腎臓に沈着することで、腎臓の機能が低下する病気です。

高尿酸血症と診断された場合は、医師とよく相談し、ご自身の状態に合った適切な治療法を選択していくことが大切です。

まとめ

高尿酸血症の治療は、運動習慣と食生活の改善、そして必要であれば薬物療法を組み合わせることで効果的に行えます。運動はウォーキングや水泳など、無理なく続けられるものを選び、食生活ではプリン体の多い食品を控え、野菜や乳製品などを積極的に摂りましょう。

薬物療法では、尿酸産生抑制薬や尿酸排泄促進薬などがあり、医師の指示に従って適切な薬を選び、服用することが大切です。 定期的な検査で尿酸値や腎機能などを確認し、薬の副作用にも注意しましょう。

高尿酸血症は、放置すると痛風や腎臓病などの合併症を引き起こす可能性があります。そのため、早期発見・早期治療が重要です。この記事で紹介した情報を参考に、日々の生活習慣を見直し、健康な生活を送りましょう。

健康診断の結果や気になる症状があれば、まずは当院へお気軽にご相談ください。

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