「花粉症はスギだけじゃない?」と思っていませんか? 実はスギ花粉の季節が終わった後も、くしゃみや鼻水に悩まされるのは、カモガヤ花粉症の可能性があります。カモガヤ花粉は、5月中旬から6月下旬にかけて飛散し人によっては、目のかゆみ、鼻詰まり、さらには皮膚症状にまで悩まされることも。
この記事では、カモガヤ花粉症の原因から具体的な症状、効果的な対策まで詳しく解説します。もしかしたら、あなたの辛い症状の原因は、カモガヤ花粉にあるかもしれません。ご自身に当てはまる症状がないか、ぜひチェックしてみてください。
カモガヤ花粉症は目のかゆみやくしゃみ、鼻水など、さまざまな症状を引き起こします。これらの症状は人によって、また症状の重さによって大きく異なります。
ここでは、カモガヤ花粉症でよく見られる症状について、詳しく解説していきます。
カモガヤ花粉症になると、まず鼻の症状が現れる人が多いです。
「風邪かな?」と思うような、サラサラとした水のような鼻水が大量に出たり、鼻の奥がムズムズしたり、くしゃみが止まらなくなったりします。
ひどい場合には、鼻の粘膜が腫れてしまい、鼻が詰まって息苦しさを感じたり、においが分かりにくくなってしまうこともあります。
実際に、私の患者さんの中にも、「鼻が詰まってしまって、夜も眠れないんです…」と訴える方が多くいらっしゃいます。
カモガヤ花粉が目に入ると、目のかゆみや充血、涙目などの症状が現れます。
まるで目にゴミが入ったときのように、ゴロゴロと異物感を感じたり、目が真っ赤に充血したりすることもあります。
重症化すると、アレルギー性結膜炎を起こし、まぶたの裏側にブツブツとしたできものができてしまうこともあります。
カモガヤ花粉を吸い込むと、鼻や喉の粘膜が刺激されて、何度も連続してくしゃみが出ることがあります。
また、咳は、鼻水が喉に流れ落ちてくることで出やすくなります。
特に、朝起きたときや、外出時に症状が強くなる傾向があります。
カモガヤ花粉症では、皮膚に症状が現れることもあります。
例えば、顔や首など、皮膚の薄い部分に赤みやかゆみが生じたり、小さな湿疹ができたりすることがあります。
花粉がついたままの衣服を着続けたり、顔や体を洗い忘れたりすると、症状が悪化しやすいため注意が必要です。
カモガヤ花粉症の人は、特定の果物や野菜を食べると、口の中や喉にかゆみ、しびれ、腫れなどのアレルギー症状が出る場合があります。
これは、口腔アレルギー症候群と呼ばれるもので、カモガヤ花粉と似た構造を持つタンパク質を、果物や野菜が含んでいるために起こると考えられています。
医学的には「交差反応」と呼ばれ、ある物質に対するアレルギーを持っている人が、それと類似した構造を持つ別の物質に対してもアレルギー反応を起こしてしまう現象です。
例えば、メロンやスイカ、バナナなどを食べた後に、口の中がピリピリしたり、イガイガしたりすることがあります。
口腔アレルギー症候群は、カモガヤ花粉症を持つ人の5~8%にみられると言われています。
さらに、そのうちの1~2%は、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
「果物を食べると、口の中がなんだか変だな・・・」と感じたら、自己判断せずに、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
カモガヤ花粉症は、カモガヤの花粉が原因で、くしゃみや鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状を引き起こす病気です。
「花粉症かな?」と思ったら、多くの人がまずスギ花粉を思い浮かべるかもしれません。しかし、スギ花粉の飛散時期が終わった後も、くしゃみや鼻水が続く場合は、カモガヤ花粉症の可能性があります。
では、なぜカモガヤの花粉は、私たちの体に悪さをしてしまうのでしょうか?
私たちの体は、体内に入ってきたウイルスなどの異物から体を守るために「免疫」というシステムを持っています。アレルギー反応は、この免疫システムが、本来無害なカモガヤ花粉を「敵」だと勘違いして過剰に反応してしまうことで起こります。
では、具体的にアレルギー反応はどのように起こるのでしょうか?
まず、カモガヤ花粉が体内に入ると、免疫細胞が花粉を異物だと認識します。そして、花粉を攻撃するための「IgE抗体」という物質を作り出します。このIgE抗体は、肥満細胞という細胞の表面にくっつきます。
次に、再びカモガヤ花粉を吸い込むと、今度は花粉は、すでに肥満細胞にくっついているIgE抗体と結合します。すると、肥満細胞は、ヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質を放出します。これらの化学物質が、くしゃみや鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状を引き起こす原因となるのです。
カモガヤ花粉は、一般的に5月中旬から6月下旬にかけて多く飛散します。特に、5月下旬から6月上旬にかけては、飛散量がピークとなり、花粉症の症状が強く出る人が多くなります。
月 | 飛散量 | 注意点 |
5月上旬 | 少ない | カモガヤ花粉の飛散が始まる時期。まだ症状は軽いが、注意が必要。 |
5月下旬 | 多い | 飛散量がピークになる時期。花粉症の症状が強く出る場合があるため、対策をしっかり行う。 |
6月上旬 | 多い | 飛散量のピークが続く時期。引き続き、花粉症の症状に注意が必要。 |
6月下旬 | 減ってくる | 徐々に飛散量が減ってくる。しかし、油断せずに対策を続けることが大切。 |
ドロップスクリーン検査とは、ほんのわずかな血液で、一度にたくさんのアレルギーの原因物質 (アレルゲン) を調べることができる検査です。
採血は、注射が苦手な方でも、比較的受けやすい検査です。ほんの数滴の血液で、様々なアレルギーの原因物質を調べることができ、効率的です。
この検査では、アレルギー反応を起こす原因となる物質を特定するために、血液中のIgE抗体の量を測定します。
ドロップスクリーン検査では、カモガヤ花粉を含む様々なアレルゲンを一度に調べることができるため、あなたが何のアレルギーを持っているのかを効率的に特定することができます。
当院でもドロップスクリーン検査が行っております。
辛いカモガヤ花粉症の症状に、毎年悩まされている方も多いのではないでしょうか?「今年も辛い時期が来たか…」と憂鬱な気分になっている方もいるかもしれません。
しかし、諦めないでください。カモガヤ花粉症は適切な治療と毎日の工夫によって、症状をコントロールできる病気です。長年カモガヤ花粉症に苦しんできた患者さんが、適切な治療と生活習慣の改善により症状が大きく改善し、快適に過ごせるようになったケースを数多く見てきました。
ここではカモガヤ花粉症に対する効果的な治療法と、日常生活でできる対策をわかりやすく解説していきます。
薬物療法: 薬物療法は、花粉症の症状を抑える薬を使って、辛い症状を和らげます。花粉症の薬は症状が出ている時にだけ服用するのではなく、花粉が飛び始める前から服用することで、より効果を発揮します。「症状が出てからでは遅い」のです。
主な薬の種類と特徴は以下の通りです。
花粉症対策の基本は、花粉をできるだけ避けることです。花粉の飛散量が多い日は外出を控えたり、外出する時間を短縮したりするなどの工夫も必要です。
毎日の生活の中で、少しの工夫で花粉の接触を減らすことができます。
例えばポリエステルやナイロンなどの化学繊維の衣服は、花粉が付着しにくいためおすすめです。逆に、ウールや綿などの天然繊維の衣服は、花粉が付着しやすいため注意が必要です。
花粉症の症状を和らげるためには、免疫力を高めることが大切です。腸は免疫機能と深く関わっているため、腸内環境を整えることは、免疫力アップに繋がります。
これらの対策と治療法を組み合わせることで、より効果的にカモガヤ花粉症の症状を和らげることができます。辛い症状に悩まされている方は、ぜひ試してみてください。
カモガヤ花粉症は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、様々な症状を引き起こす。症状は人によって異なり、鼻詰まり、目のかゆみ、皮膚症状、口腔アレルギー症候群などを伴うこともある。
原因はカモガヤ花粉に対する体の免疫反応によるもので、5月中旬から6月下旬にかけて症状が出やすい。治療法としては、薬物療法と免疫療法があり、日常生活では花粉を避ける工夫や腸内環境を整える食事療法が有効である。
カモガヤ花粉症は適切な治療と対策を行うことで症状をコントロールできるため、医師に相談しながら自分に合った方法を見つけ出すことが大切です。
アレルギー症状や花粉症でお悩みなら当院のアレルギー科まで、お気軽にご相談ください
参考文献
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