「キウイフルーツ、大好きなんだけど、最近、食べると口の中がちょっと変な感じなのよね…。」
誰でも大好きな果物を気軽に楽しみたい反面、食物アレルギーは身近な危険として潜んでいます。特にキウイフルーツのアレルギーは増加傾向にあり、症状は口内の違和感から、重篤なアナフィラキシーショックまで多岐に渡ります。
実は、キウイアレルギーは他の果物アレルギーとも密接に関係しています。
本記事では、キウイアレルギーの症状や原因、そして、医師の立場から患者さんが特に注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。
「キウイフルーツ、大好きなんだけど、最近、食べると口の中がちょっと変な感じなのよね…。」
誰でも大好きな果物を気軽に楽しみたいですよね。しかし、その裏には、思わぬ危険が潜んでいるかもしれません。それは「食物アレルギー」です。
今回は、身近な果物であるキウイフルーツによるアレルギーについて、症状や原因、そして、私が診察する中で感じる、患者さんが特に注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。
キウイアレルギーの症状は、実にさまざまです。人によっては、ごく軽い症状で済む場合もあれば、生命に関わるような重篤な症状を引き起こす場合もあります。
キウイを食べた後、口の中や喉にかゆみを感じたり、腫れたりすることがあります。
「あれ?なんか唇がピリピリするな」「舌が少し腫れてきたような…」「喉がいがいがして、ちょっと息苦しいかも」
このような症状は「口腔アレルギー症候群」と呼ばれ、キウイアレルギーの人に非常に多く見られます。
キウイに触れたり、食べたりすることで、皮膚にかゆみ、じんましん、赤みなどの症状が現れることがあります。
「キウイを触ったところが赤くなってきた」「なんだか全身に蕁麻疹が出てきたぞ」「顔が真っ赤になって、熱を持っているみたいだ」
これらの症状は、皮膚がキウイに含まれるアレルゲンに反応して、過剰に防衛しようとすることが原因です。
キウイを食べた後、お腹が痛くなったり、吐き気や嘔吐、下痢などの症状が現れることがあります。
「食べてすぐにお腹がキリキリと痛くなってきた」「我慢できない吐き気に襲われている」「トイレに駆け込むほどの下痢が続いている」
このような症状は、消化器官がキウイに対して、まるで異物であるかのように反応し、排除しようとするために起こります。
これらの症状は、キウイを食べた後、数分から数時間以内に現れることが多いですが、まれに、数日後に症状が出ることもあります。
「私は大丈夫だろう」と安易に考えていませんか?
実は、キウイアレルギーは、誰もが他人事ではありません。特に、以下の特徴に当てはまる人は、注意が必要です。
キウイアレルギーの人は、リンゴ、バナナ、イチゴ、メロン、トマトなどの果物にもアレルギー反応を示すことがあります。
これは、これらの果物に含まれるタンパク質の構造が、キウイのタンパク質と似ているため、「交差反応」と呼ばれる現象が起こるためです。
例えば、私は花粉症の患者さんを診察する際に、特定の花粉症と果物アレルギーとの関連性を説明することがあります。
「スギ花粉症の人は、トマトを食べると口の中がかゆくなることがあります。これは、スギ花粉とトマトに、構造の似たタンパク質が含まれているためです。これを『交差反応』といいます。」
このように、一見関係なさそうなものでも、アレルギー反応を引き起こす可能性があることを、常に意識しておくことが重要です。
ゴム手袋などに使われるラテックスにアレルギーを持つ人は、「ラテックスフルーツ症候群」といって、キウイをはじめ、バナナ、アボカド、栗などにもアレルギー反応を起こしやすいことが知られています。
キウイアレルギーは、一体なぜ起こるのでしょうか?
その原因となる主な物質は、「アクチニジン」というタンパク質分解酵素です。アクチニジンは、キウイに含まれるタンパク質を分解する働きがあり、熟したキウイほど多く含まれています。
このアクチニジンが、口や喉の粘膜を刺激することで、かゆみ、腫れ、痛みなどのアレルギー症状を引き起こすと考えられています。
「アクチニジンは、タンパク質を分解する酵素です。キウイを食べたときに、口の中がピリピリしたり、イガイガしたりするのは、このアクチニジンが粘膜を刺激しているからなのです。」
また、キウイには、アクチニジン以外にも、アレルギーの原因となるタンパク質がいくつか発見されています。これらのタンパク質は、加熱しても分解されにくいものもあるため、生で食べても、加熱して食べても、アレルギー症状が出る可能性があります。
キウイフルーツでアレルギー反応が出た場合、実は他の果物でも同様の症状を引き起こす可能性があり、注意が必要です。
多くの患者さんが、複数の果物にアレルギー反応を示すケースが多いです。
例えば、「キウイフルーツを食べたら唇が腫れてきた…」という方が、後日、メロンを食べたら同じように唇が腫れてしまった、というケースです。
これは、キウイフルーツとメロンのように、見た目が全く異なる果物であっても、アレルギーの原因となるタンパク質の構造が似ているため、「交差反応」と呼ばれる現象が起こるためです。
キウイフルーツアレルギーの人が交差反応を起こしやすい果物は、以下の通りです。
果物の種類 | 注意点 |
リンゴ | 皮の近くに多く含まれるため、皮ごと食べる際は注意が必要です。 |
バナナ | 完熟する前の青いバナナは、アレルゲンが多く含まれるため注意が必要です。 |
イチゴ | 表面に種がたくさんついていますが、種にもアレルゲンが含まれるため注意が必要です。 |
メロン | 赤肉メロンよりも青肉メロンの方が、アレルゲンが多く含まれるため注意が必要です。 |
トマト | ミニトマトは、通常のトマトよりもアレルゲンが少ない傾向があります。 |
カキ | 未熟なカキは、アレルゲンが多く含まれるため注意が必要です。 |
アボカド | 種や皮の周りには、アレルゲンが多く含まれるため注意が必要です。 |
ヘーゼルナッツ | ローストしたヘーゼルナッツは、アレルゲンが減少しやすいためおすすめです。 |
「もしかして、キウイアレルギーかもしれない…」と感じたら、自己判断せずに、医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。
キウイアレルギーの検査には、ドロップスクリーン検査という検査があります。
ドロップスクリーン検査とは、少量の血液で、一度に多くの食物に対するアレルギーを調べることができる検査です。従来の血液検査では、個々の食物に対して検査を行う必要がありましたが、ドロップスクリーン検査では、一度に20種類以上の食物に対するアレルギーを調べることができます。
この検査は、少量の血液を採取するだけで済み、痛みも少ないため、乳幼児やアレルギー検査を受けることに抵抗がある方にもおすすめの検査です。
当院で検査ができますのでご希望の方は、ぜひご相談ください。
キウイアレルギーと診断されたら、日常生活でどのようにキウイと付き合っていけば良いのでしょうか?
「大好きなキウイをもう一生食べられないの?」「うっかり食べてしまったらどうしよう…」
不安を感じている方もいるかもしれません。
しかし、正しく対処すれば、過度に怖がる必要はありません。
ここでは、キウイアレルギーと診断された患者さんが、安心して日常生活を送るためのポイントを、私の経験を交えながら具体的に解説していきます。
残念ながら、アレルギーを根本的に治癒させる魔法のような治療法は、まだありません。
「先生、薬で完全に治すことはできないんですか…?」
外来でこのように尋ねられることもありますが、現状では、症状が出たときに、そのつらさを和らげる治療が中心となります。
主な治療薬として、抗ヒスタミン薬があります。
これは、アレルギー反応によって引き起こされる、かゆみ、腫れ、じんましんを抑える効果があります。
例えば、キウイをうっかり食べてしまい、唇がかゆくなった場合、抗ヒスタミン薬を服用することで、かゆみを抑え、症状の悪化を防ぐことができます。
さらに、症状が強い場合は、ステロイド薬が処方されることもあります。
ステロイド薬は、炎症を抑える効果が高く、重症なアレルギー反応を抑えるために有効です。
キウイアレルギーの症状の中でも、特に注意が必要なのが、「アナフィラキシーショック」です。
これは、全身にアレルギー反応が急激に広がり、命に関わる危険な状態です。
「息が苦しい」「意識がもうろうとしてきた」「全身にじんましんが出て、顔が腫れてきた」
このような症状が現れたら、一刻を争う事態です。迷わず、すぐに救急車を呼びましょう。
救急車を待つ間は、患者さんを安全な場所に寝かせ、ベルトやネクタイなど、体を締め付けるものを緩めてください。
呼吸が苦しそうな場合は、頭を高くして、呼吸しやすい姿勢を保ちましょう。
日頃から、アナフィラキシーショックの初期症状を認識し、適切な対処法を理解しておくことが重要です。
キウイアレルギーと診断された患者さんから、「キウイが食べられないなら、他にどんな果物を食べたらいいですか?」と質問を受けることがよくあります。
キウイはビタミンCや食物繊維が豊富な果物ですが、他の果物でも、これらの栄養素を補うことができます。
例えば、オレンジ、イチゴ、レモンなどの柑橘類や、キウイと同じようにビタミンCが豊富な果物です。
また、バナナ、リンゴ、ブドウなども、食物繊維やカリウムが豊富なのでおすすめです。
このように、さまざまな果物をバランスよく食べることで、栄養の偏りを防ぐことができます。
外食や旅行の際も、キウイアレルギーへの対策は欠かせません。
レストランで食事をする場合は、メニューをよく確認し、キウイが使われていないか、店員さんに確認しましょう。
特に、ソースやドレッシング、デザートなどは、キウイが隠れている場合があるので、注意が必要です。
旅行の際は、宿泊先にキウイアレルギーであることを事前に伝えておくと安心です。
「何かあったときに備えて、緊急連絡先を控えておきます」「念のため、病院の場所も確認しておきますね」
このように、宿泊先と情報を共有しておくことで、万が一の場合でも、迅速な対応が可能になります。
また、旅行先で不安を感じることがあれば、いつでも相談できる体制を整えておくことも大切です。
キウイアレルギーは、アクチニジンという酵素が原因で起こる。症状は口や喉のかゆみ、皮膚の発疹、消化器症状など様々で、重篤なアナフィラキシーショックを引き起こすこともある。自身にキウイアレルギーの疑いがある場合は医療機関を受診し、適切な検査を受けよう。また、キウイアレルギーの人は、リンゴやバナナなど、他の果物でもアレルギー症状が出る可能性があるため注意が必要です。
大石内科循環器科医院
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