「バナナを食べた後、口の中がイガイガする」「唇が腫れてきたような気がする」と感じたことはありませんか?
それは、バナナアレルギーのサインかもしれません。日本ではまだ認知度が低いですが、バナナアレルギーは、実際に、様々な食品に隠れており、知らないうちに口にしている可能性もあるのです。
この記事では、バナナアレルギーの具体的な症状や原因、そして日常生活でどのようにバナナを避けていけばいいのか、詳しく解説していきます。
もしかしたら、あなたも、バナナアレルギーの危険性と隣り合わせにいるかもしれません。正しい知識を身につけることで、不安を解消し、安全な食生活を送りましょう。
「バナナを食べた後、なんだか口の中がイガイガする…」「バナナを食べた後、唇が腫れてきたような…」。もしかしたら、それはバナナアレルギーのサインかもしれません。
バナナアレルギーは、バナナを食べてから数分後から数時間後に、実にさまざまな症状が現れます。
今回は、バナナアレルギーの症状について、私の経験を交えながら具体的に解説していきます。
バナナアレルギーの代表的な症状を5つご紹介します。
これらの症状は、人によって症状の出方が違ったり、軽い場合もあれば、重症化することもあります。
バナナを食べた後、口の中や唇、喉にかゆみを感じたり、腫れてしまうことがあります。これは、アレルゲンであるバナナの成分が、口の中の粘膜に直接触れることでアレルギー反応が起こるためです。
“まるで、バナナの形に沿って症状が出ることもある” と表現されることもあります。唇が腫れてしまうと、まるで漫画のキャラクターのように見えることもあり、特徴的な症状の一つと言えるでしょう。
体に赤い斑点が出て、かゆみを伴うじんましんが出ることもあります。
まるで、蚊に刺された後のように見えることもあります。
かゆみは非常に強く、我慢できないほど掻きむしってしまう方もいらっしゃいます。
息苦しさを感じたり、ゼーゼーという喘鳴を伴うこともあります。まるで、急に運動した後のような息苦しさを感じる人もいます。これは、バナナアレルギーによって気道が狭くなるために起こります。
吐き気や嘔吐、腹痛といった消化器系の症状が出ることもあります。まるで、お腹の中に石が入っているかのような痛みを感じる人もいます。これは、アレルゲンが消化管に到達することで、消化管の粘膜に炎症が起こるために起こります。
ごくまれに、意識消失や血圧低下、呼吸困難などのアナフィラキシーショックを起こすことがあります。命に関わる危険な状態なので、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
アナフィラキシーショックは、バナナアレルギーの中でも特に重篤な反応で、全身の臓器に影響を及ぼす可能性があります。
バナナアレルギーの症状が現れるまでの時間は、人によって大きく異なります。
すぐに症状が出なくても、後から症状が現れることもあるので注意が必要です。
アレルギー症状が出やすい人の特徴
バナナアレルギーは、誰でも起こる可能性がありますが、特に以下のような人は注意が必要です。
これは、アレルギー体質が遺伝する可能性があるためです。
これは、アレルギー体質の人が、特定の食品に対して過剰に反応してしまうためです。
これは、免疫システムが未熟なため、アレルゲンに対する反応が過剰になりやすいからです。
バナナアレルギーは、バナナに含まれる特定のタンパク質に対して、私たちの体が「敵だ!」と過剰に反応してしまうことで起こります。
例えば、スギ花粉症の方であれば、スギ花粉が体内に入ると、体はそれを排除しようと攻撃を始めます。その結果、くしゃみや鼻水などの症状が出てしまうのです。
バナナアレルギーもこれと全く同じ仕組みです。バナナに含まれる特定のタンパク質が、まるでスギ花粉のように体に誤解されて攻撃されてしまい、様々なアレルギー症状を引き起こすのです。
バナナアレルギーを引き起こす主なアレルゲンは、「バナブリン」「アミロース」「グリアジン」といったタンパク質です。これらのタンパク質は、バナナの細胞内に存在し、私たちの体の免疫システムを刺激する可能性があります。
これらのアレルゲンは、バナナの熟成度合いや品種によって含まれる量が異なります。そのため、普段食べているバナナで症状が出なくても、別の種類のバナナを食べた時にアレルギー症状が出てしまうこともあるのです。
実は、バナナアレルギーの人は、バナナだけでなく、他の果物にもアレルギー反応が出てしまうことがあります。これは、植物学的に見て、バナナと類似したタンパク質構造を持つ果物がいくつか存在するためです。
特に注意が必要なのは、キウイフルーツ、アボカド、パイナップルです。これらの果物は、バナナと同じように「ラテックス」という成分を含んでおり、バナナアレルギーの人が食べると、口の周りや喉がかゆくなったり、腫れてしまったり、場合によっては呼吸困難などの重篤な症状を引き起こす可能性もあります。
その他にも、バナナアレルギーの人が注意が必要な果物として、以下のものが挙げられます。
これらの果物全てにアレルギー反応が出るわけではありませんが、心配な場合は、少量ずつ試すか、医師に相談するようにしてください。
「そういえば、バナナを食べた後、口の中が少しイガイガするような…」「もしかして、私もバナナアレルギーなのかな…?」
そんな不安を感じたら、医療機関を受診して、アレルギー検査を受けることをお勧めします。バナナアレルギーかどうかを調べるには、「ドロップスクリーン検査」という簡単な検査があります。
この検査では、まず、腕の内側にバナナのアレルゲンを数滴垂らします。そして、ほんの少しだけ皮膚に傷をつけ、アレルゲンが体内に入るようにします。
もし、あなたがバナナアレルギーを持っている場合、15分から20分ほどで、その部分が赤くなったり、腫れたり、かゆくなったりします。まるで、蚊に刺された後のように見えることもあります。
ドロップスクリーン検査は、ほんの少しチクッとするだけなので、小さな子どもでも安心して受けられます。
この検査を受けることで、本当にバナナアレルギーなのかどうか、そして、どの程度の強さのアレルギーなのかを知ることができます。
バナナアレルギーと診断されると、これから先バナナを食べられないのかと不安になりますよね。患者さんの中にも、バナナが大好きだったのに、アレルギーと診断されてしまい、落胆する方が多くいらっしゃいました。
ここでは、バナナアレルギーと診断された後、どのように治療を進めていくのか、日常生活でどのようにバナナを避けていけばいいのか、患者さんからよく受ける質問を交えながら詳しく解説していきます。
バナナアレルギーの治療で最も大切なことは、原因となるバナナを体に入れないことです。しかし、バナナは、お菓子やジュース、ヨーグルトなど、実に様々な食品に加工されて含まれていることがあります。
例えば、バナナの香料が使われたお菓子や、バナナピューレが使用されたパンなど、一見バナナが入っていないように思える食品にも、実はバナナが潜んでいることがあるのです。
このような「隠れたバナナ」を見つけるためには、食品を購入する際は、原材料表示を隅々まで確認することが重要になります。うっかりバナナを口にしてしまい、口の中が痒くなったり、じんましんが出たりした場合には、抗ヒスタミン薬などの薬を使って症状を抑えます。
アレルギー症状を抑える薬は、症状に合わせて処方しますので、自己判断で市販薬を使用するのではなく、必ず医師の診断を受けてください。
また、バナナアレルギーの中でも重症なアナフィラキシーショックは、意識消失、血圧低下、呼吸困難など、命に関わる危険な症状を引き起こします。
アナフィラキシーショックを起こしやすい体質の方は、万が一に備え、すぐに治療できるよう「エピペン」という自己注射薬を常に携帯しておく必要があります。
エピペンは、太ももの外側に注射することで、アナフィラキシーショックを引き起こす物質を抑え、症状を和らげることができます。エピペンは、医師の処方箋が必要となりますので、過去にアナフィラキシーショックを起こしたことがある方や、アレルギー症状が重い方は、医師に相談しましょう。
治療法 | 説明 |
バナナの除去 | アレルギーの原因となるバナナを摂取しないようにします。バナナは加工食品にも含まれている場合があるので、原材料表示をよく確認しましょう。 |
抗ヒスタミン薬 | かゆみ、じんましんなどのアレルギー症状を抑えます。医師の処方箋に従って服用しましょう。 |
アドレナリン自己注射薬 | アナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー症状が出現した場合に、緊急に使用します。医師の指導のもと、正しく使用できるよう練習しておきましょう。 |
脱感作療法 | アレルギーの原因物質であるバナナのアレルゲンをごく少量ずつ、長期間にわたって注射や内服で体内へ入れることで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー反応を弱めていく治療法です。 |
バナナアレルギーと診断されたら、日常生活でバナナを徹底的に避けることが重要になります。
食品を選ぶ際には、原材料名表示を必ず確認しましょう。
特に、以下のような食品には、バナナが加工されて使われていることが多いので、注意が必要です。
外食をする際には、お店の人にバナナアレルギーであることを伝え、使われている食材を確認しましょう。
特に、東南アジアや南米の料理には、バナナが使われていることが多いので、注意が必要です。
また、バナナを触っただけでもアレルギー反応が出てしまう人は、調理器具や食器を共有しないように注意が必要です。
家族にバナナアレルギーの方がいる場合は、調理する場所を分けたり、調理器具や食器を別にするなど、家庭内でも配慮が必要です。
シーン | 注意点 |
食事をするとき | – 原材料表示をよく確認する。特に、加工食品にはバナナが隠れている場合があるので注意が必要です。<br>- 外食の際は、お店の人にバナナアレルギーであることを伝え、使われている食材を確認しましょう。 |
調理をするとき | – バナナを触った後は、手を石鹸でよく洗いましょう。<br>- バナナを使った調理器具や食器は、他の食材と区別し、よく洗ってから使用しましょう。 |
外出するとき | – 万が一、アナフィラキシーショックを起こした場合に備え、エピペンなどの緊急薬を携帯しましょう。<br>- アレルギー対応の食品を準備しておきましょう。<br>- 周囲の人に、バナナアレルギーであることを伝えておきましょう。 |
A. 食物アレルギーは、一般的に乳幼児期に発症し、成長とともに治っていくことが多いです。しかし、バナナアレルギーは、他の食物アレルギーと比較して、治りにくいアレルギーでもあります。実際に、大人になってから発症し、長年バナナアレルギーに悩まされている方が多くいらっしゃいました。
A. バナナアレルギーの人は、バナナと類似したタンパク質構造を持つ果物にもアレルギー反応を起こす可能性があります。特に、キウイフルーツ、アボカド、パイナップルは注意が必要です。
これらの果物は、バナナと同じように「ラテックス」という成分を含んでおり、バナナアレルギーの人が食べると、口の周りや喉がかゆくなったり、腫れてしまったり、場合によっては呼吸困難などの重篤な症状を引き起こす可能性もあります。
その他にも、バナナアレルギーの人が注意が必要な果物として、以下のものが挙げられます。
これらの果物全てにアレルギー反応が出るわけではありませんが、心配な場合は、少量ずつ試すか、医師に相談するようにしてください。
「もしかして、バナナアレルギーかもしれない…」と感じたら、自己判断せずに、医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。バナナアレルギーの検査には、ドロップスクリーン検査という検査があります。
ドロップスクリーン検査とは?
ドロップスクリーン検査とは、少量の血液で、一度に多くの食物に対するアレルギーを調べることができる検査です。従来の血液検査では、個々の食物に対して検査を行う必要がありましたが、ドロップスクリーン検査では、一度に20種類以上の食物に対するアレルギーを調べることができます。
この検査は、少量の血液を採取するだけで済み、痛みも少ないため、乳幼児やアレルギー検査を受けることに抵抗がある方にもおすすめの検査です。
バナナアレルギーは、バナナを食べた後に口の中のかゆみ、皮膚の発疹、呼吸困難、嘔吐、腹痛などの症状が出るアレルギーです。
重症化するとアナフィラキシーショックを起こす可能性もあり、バナナが使用されている食品の原材料表示をよく確認するなど注意が必要です。
バナナアレルギーと診断された場合は、医師の指導のもと、アレルギーの原因となるバナナを除去し、症状に応じて薬物療法などの適切な治療を受けるようにしましょう。
アレルギー検査を受けたい、アレルギー症状でお悩みなら、当院のアレルギー科へご相談ください。
大石内科循環器科医院
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