大石内科循環器科医院

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リンゴが原因で現れるアレルギーの症状とは?

2025.09.08 アレルギー科

あなたは、リンゴを食べた後に、口の中がかゆくなったり、喉がイガイガしたり、皮膚に発疹が出たりした経験はありませんか?

実は、それリンゴアレルギーのサインかもしれません。リンゴアレルギーは、リンゴに含まれる特定のタンパク質に対して体が過剰に反応してしまうことで、様々な症状を引き起こします。

この記事では、リンゴアレルギーが引き起こす具体的な症状や、その原因について詳しく解説していきます。また、リンゴアレルギーと診断された場合の日常生活での注意点についても、具体的な例を交えながら紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

リンゴアレルギーが引き起こす症状と原因

リンゴアレルギーは、リンゴに含まれる特定のタンパク質に対して、体が「これは敵だ!」と勘違いをしてしまい、攻撃してしまうことで様々な症状が現れます。この免疫反応は、本来、細菌やウイルスから体を守るためのシステムなのですが、リンゴアレルギーの場合は、無害であるはずのリンゴのタンパク質に対して過剰に反応してしまうことが原因です。

例えば、スギ花粉症の人が、スギ花粉を吸い込むと、体が過剰に反応して、くしゃみや鼻水などの症状が出るのとよく似ています。

リンゴを食べてから数分~数時間で症状が現れる

リンゴを食べてから症状が現れるまでの時間は、人によって大きく異なり、食べてすぐの場合もあれば、数時間経ってから症状が出る場合もあります。これは、アレルギー反応の仕組みに関係しています。

アレルギー反応には、即時型と遅延型があります。即時型は、アレルゲンを摂取してから数分以内に症状が現れるのに対し、遅延型は数時間後、あるいは数日後に症状が現れます。リンゴアレルギーでは、一般的に即時型のアレルギー反応が多く見られます。

例えば、ある患者さんは、リンゴを一口食べた直後に、口の中がピリピリし始め、数分後には喉のかゆみと咳が出現しました。一方、別の患者さんは、リンゴを食べた後、特に症状はなかったのですが、2時間後に顔面に赤い発疹が出現し、かゆみを伴うようになりました。このように、アレルギー反応の出方や時間には個人差があることを覚えておきましょう。

口や喉のかゆみ、腫れ

リンゴアレルギーで最も一般的な症状の一つに、口や喉のかゆみ、腫れがあります。これは、リンゴに含まれるアレルゲンが、口や喉の粘膜に接触することで、まるで火災報知器のように、体が危険信号を察知し、ヒスタミンなどの化学物質を放出します。その結果、炎症が引き起こされ、口の中がピリピリしたり、唇が腫れたり、喉がイガイガしたりするなどの症状が現れます。これらの症状は、多くの場合、数時間以内に治まりますが、症状が重い場合は、医療機関を受診する必要があるかもしれません。

皮膚の発疹、かゆみ

リンゴアレルギーでは、皮膚に症状が現れることもあります。リンゴのアレルゲンが皮膚に接触したり、体内に入って血流にのって全身に運ばれることで、皮膚に「敵が侵入してきた!」と勘違いした体が、再びヒスタミンなどの化学物質を放出します。そのため、まるで蚊に刺された後のように、皮膚に発疹やかゆみなどの症状が現れることがあります。発疹は、赤い斑点状に現れたり、蕁麻疹のように盛り上がったりすることがあります。かゆみは、発疹の部分だけでなく、全身に広がることもあります。症状が重い場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

くしゃみ、鼻水、目の充血

リンゴアレルギーによって、花粉症のような症状であるくしゃみ、鼻水、目の充血といった症状が現れることがあります。これは、リンゴのアレルゲンが、鼻や目の粘膜に付着することで、体が「異物が侵入してきた!」と反応し、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、アレルギー反応を引き起こすためです。これらの症状は、一般的に数時間以内に治まることが多いですが、症状が重い場合や、長引く場合は、医療機関を受診する必要があるかもしれません。

呼吸困難、アナフィラキシーショック

リンゴアレルギーの中には、命に関わるほど重篤な症状を引き起こすケースがあります。その代表的なものが、アナフィラキシーショックです。アナフィラキシーショックは、アレルギー反応の中でも最も重症な反応で、じんましん、呼吸困難、血圧低下、意識障害などを引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。

アナフィラキシーは、食物アレルギーを持つ人なら誰にでも起こる可能性があり、乳幼児から大人まで、どの年齢でも起こります。リンゴを摂取してから、息苦しさ、喉の締め付け感、めまい、意識がもうろうとする、などの症状が現れた場合は、直ちに救急車を呼ぶなどして、医療機関を受診してください。

リンゴアレルギーの検査と診断方法

リンゴを食べた後、体に異変を感じたら、それはリンゴアレルギーのサインかもしれません。もしかしたら、「リンゴぐらいで病院に行く必要があるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、アレルギー反応は時として重篤化し、命に関わる可能性もあるため、自己判断は危険です。医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けることが重要です。

ドロップスクリーン検査で原因物質を特定

アレルギーの原因物質を特定するために、一般的に行われる検査の一つに「ドロップスクリーン検査」があります。

ドロップスクリーン検査とは?

ドロップスクリーン検査とは、少量の血液で、一度に多くの食物に対するアレルギーを調べることができる検査です。従来の血液検査では、個々の食物に対して検査を行う必要がありましたが、ドロップスクリーン検査では、一度に20種類以上の食物に対するアレルギーを調べることができます。

この検査は、少量の血液を採取するだけで済み、痛みも少ないため、乳幼児やアレルギー検査を受けることに抵抗がある方にもおすすめの検査です。

当院で検査ができますのでご希望の方は、ぜひご相談ください。

症状や検査結果から総合的に診断

リンゴアレルギーの診断は、ドロップスクリーン検査の結果だけで決まるわけではありません。患者さんの訴える症状や過去の病歴、食生活なども考慮して、総合的に判断されます。問診では、いつからどんな症状が出ているのか、どんな食べ物をどのくらいの量食べたあとに症状が出たのかなどを詳しく聞かれます。

他の果物アレルギーとの関連も調べる

リンゴアレルギーの人は、リンゴ以外の果物にもアレルギー反応を起こす可能性があります。これは、リンゴと他の果物に、共通のアレルゲンが含まれている場合があるからです。

例えば、リンゴアレルギーの人は、モモやサクランボ、ナシなどにもアレルギー反応を起こすことがあります。これらの果物は、リンゴと同じバラ科に属しており、共通のアレルゲンを持っている可能性が高いです。

食物アレルギーは、年齢によってアレルギーの特徴(症状、原因、自然経過など)が異なり、診断、予後、管理に重要な影響を与えます。新しい食物アレルギーは、どの年齢層でも発症する可能性があり、医師と患者は、最適なケアを提供するために、それに応じて対応する必要があります。

リンゴアレルギー日常生活での注意点

リンゴアレルギーと診断されると、毎日リンゴを避ける生活が始まり、不安な気持ちや不便さを感じることも多いかもしれません。「大好きなアップルパイももう食べられないの?」「友達とランチに行くのも心配…」そう感じてしまうのも無理はありません。しかし、正しい知識と少しの工夫で、安全で楽しい日々を送ることができます。

実際、私の患者さんの中にも、リンゴアレルギーと診断された当初は、不安でいっぱいだった方もいらっしゃいました。しかし、日常生活で注意すべきポイントをきちんと押さえることで、徐々に不安を解消し、活気に満ちた生活を送られています。

ここでは、日常生活で特に注意すべき点について、具体例を交えながら詳しく解説していきます。

リンゴの加工品の原材料表示を必ず確認

スーパーマーケットなどで売られている加工食品には、パン、お菓子、ジュース、調味料など、実に様々なものがありますよね。これらの加工食品の多くには、原材料名が表示されています。リンゴアレルギーの人は、食品を購入する際に、この原材料表示を注意深く確認することが非常に大切です。

「リンゴ」のようにわかりやすく記載されている場合もあれば、「香料」「調味料」「酸味料」といったように、一見するとリンゴが含まれているとはわからない形で記載されている場合もあります。

食品表示法では、アレルギー物質を含む特定原材料等として、リンゴを含む特定原材料7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)と、特定原材料に準ずるもの21品目について、表示が義務付けられています。

例えば、私が以前診察した患者さんのケースでは、市販のカレーのルーに含まれる「果糖ぶどう糖液糖」という成分が、リンゴ由来のものであったために、アレルギー症状を引き起こしてしまったという事例がありました。果糖ぶどう糖液糖は、原料によってトウモロコシやジャガイモ、サツマイモなどが使われますが、リンゴが使われている場合もあるのです。

加工食品を選ぶ際には、これらの表示を参考に、アレルギー物質が含まれていないか、しっかりと確認するようにしましょう。

外食時は店員にリンゴの使用を確認

外食は、私たちの生活に楽しみを与えてくれるものです。しかし、リンゴアレルギーの人は、レストランやカフェで食事をする際にも、注意が必要です。

注文する際には、必ず店員さんにリンゴが使われているかどうかを確認しましょう。カレーやシチューなどの煮込み料理や、ハンバーグのソース、ドレッシングなど、一見するとリンゴを使っていないように思える料理にも、実はリンゴが使われていることがあります。

特に、アレルギー対応メニューでない場合は、注意が必要です。不安な場合は、注文する前に、原材料やアレルゲンの使用について、詳しく確認しておくと安心です。

アレルギー対応の食品を選ぶ

近年、食物アレルギーを持つ人が増えていることを受け、アレルギー対応食品の選択肢が増えてきています。スーパーやコンビニエンスストアなどで、アレルギー物質を使用していない、あるいは特定のアレルギー物質のみを含まないように配慮した食品を見かけることも多くなりました。

これらの食品は、食物アレルギーを持つ人にとって、安心・安全な食生活を送るための強い味方です。特定原材料等28品目不使用の食品や、特定原材料7品目の中で、特定の品目のみを含まない食品など、様々な種類のものが販売されているので、自分に合ったものを探してみましょう。

アナフィラキシーショック時の対処法を習得

リンゴアレルギーの症状は人それぞれですが、中には、アナフィラキシーショックと呼ばれる、生命に関わる重篤なアレルギー反応を引き起こす場合もあります。アナフィラキシーショックは、じんましん、呼吸困難、意識障害などの症状を伴い、最悪の場合、死に至る可能性もあります。

万が一、リンゴを摂取してしまい、アナフィラキシーショックの症状が出た場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。日頃から、アナフィラキシーショックの症状や対処法について、正しく理解しておくことが重要です。緊急時にも落ち着いて行動できるように、家族や周りの人たちと、対処法について共有しておくことも大切です。

まとめ

リンゴアレルギーは、リンゴに含まれる特定のタンパク質に対して体が過剰に反応することで起こり、口や喉のかゆみ、皮膚の発疹、呼吸困難など、さまざまな症状を引き起こします。

重篤な場合はアナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため、リンゴを食べた後に異変を感じたら、適切な検査と診断を受けることが重要です。

日常生活では、加工食品の原材料表示を確認したり、外食時にリンゴの使用を確認するなど、リンゴを避けるための対策が必要です。また、万が一アナフィラキシーショックが起きた場合の対処法も習得しておきましょう。

参考文献

  • Sicherer SH, Warren CM, Dant C, Gupta RS, Nadeau KC. “Food Allergy from Infancy Through Adulthood.” The journal of allergy and clinical immunology. In practice 8, no. 6 (2020): 1854-1864

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