大石内科循環器科医院

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痛風

突然足の親指に激痛が走り、あまりの痛みに歩けなくなった経験はありませんか?血液中の尿酸が結晶化して引き起こされる「痛風」の可能性があります。数日で和らぐため治ったと思いがちですが、危険な病気のサインです。

放置すれば、腎障害や尿路結石、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気のリスクを高める可能性があります。この記事では、痛風の原因から最新の治療法、発症を繰り返さないための予防法を解説します。記事を読むことで、痛風を正しく理解し、治療や予防法をもとに、自分に合った健康管理のヒントが得られます。

静岡市にお住まいで痛風の症状や尿酸値が気になる方は、大石内科循環器科医院にご相談ください。発作の痛みを和らげるだけでなく、血液検査で尿酸値を確認し、再発予防や合併症のリスク管理までサポートしています。早めの受診が将来の健康を守る第一歩です。

痛風の主な症状

痛風の主な症状について、以下の2つを解説します。

  • 痛風発作:足の親指などに起こる突然の激痛
  • 痛風結節:慢性化のサイン

痛風発作:足の親指などに起こる突然の激痛

痛風発作は、前触れもなく急に関節が痛み出します。痛む場所が赤く腫れ上がったり、熱を持ったりします。血液中の尿酸値が上がりやすい夜間から早朝にかけて起こり、痛みで眠りから覚めてしまうこともあります。痛みが起こる場所は、約7割の方が足の親指の付け根ですが、他の関節に起こる可能性もあります。

発症しやすい場所は以下のとおりです。

  • 親指の付け根
  • 足の甲
  • 足首
  • かかと
  • 手首
  • 手の指の関節

激しい痛みは、ほとんどの場合、発症して2〜3日がピークとなり、1〜2週間ほどで引きます一時的に炎症が治まっただけで、原因である高尿酸血症は改善されていない場合が多いです。放置すると発作を繰り返し、症状は悪化していく可能性があります。

痛風結節:慢性化のサイン

痛風発作を繰り返したり、尿酸値が高い状態を放置したりすると「痛風結節(つうふうけっせつ)」が現れる場合があります。痛風が慢性化している状態です。痛風結節は、増えすぎた尿酸が結晶の塊となり、関節の周りや皮膚の下にたまってできた「しこり」のことです。

痛風結節ができやすい場所は以下のとおりです。

  • 耳たぶ
  • 肘の周り
  • 手や足の指の関節
  • くるぶし
  • アキレス腱

結節が大きくなると、関節が動かしにくくなったり骨を圧迫して変形させたりすることがあります。皮膚が薄くなって破れ、中から白い尿酸の結晶が出てくることもあります。気づいたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

痛風の原因

痛風の主な原因は以下の3つです。

  • 高尿酸血症
  • 生活習慣(プリン体の多い食事・アルコール・ストレス)
  • 遺伝・体質

高尿酸血症

高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)」は、血液中の尿酸の濃度(尿酸値)が高くなりすぎた状態のことです。体内の細胞にある核酸には、プリン体という成分が含まれています。プリン体が分解される過程でできる老廃物が「尿酸」です。通常、尿酸は血液中を流れ、腎臓で濾過され尿と一緒に排出されます。

健康な体では、尿酸が作られる量と排出される量のバランスが保たれています。バランスが崩れると、血液中に尿酸がたまります。バランスが崩れる原因は、主に以下の3つです。

  • 体内で尿酸が作られすぎてしまう(産生過剰型)
  • 腎臓から尿酸をうまく排出できない(排泄低下型)
  • 上記の2つのタイプをあわせ持つ(混合型)

日本人の痛風患者さんの多くは「排泄低下型」と言われています。血液検査で尿酸値が7.0mg/dLを超えると、高尿酸血症と診断されます。尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が関節の中で針のように鋭い形の結晶(尿酸塩結晶)になります。

体を守る免疫細胞である白血球が、尿酸塩結晶を異物として認識し攻撃することで、激しい炎症が起こると考えられています。

生活習慣(プリン体の多い食事・アルコール・ストレス)

高尿酸血症は、生活習慣と深く関わっています。プリン体の多い食事やアルコール、肥満、ストレスなどが尿酸値を上げる主な要因です。プリン体は、食品自体にも含まれています。プリン体を摂りすぎると、体内で分解されて尿酸が増える原因になるため、注意が必要です。プリン体が多く含まれる食品は、以下のとおりです。

  • レバー
  • もつ
  • あんこうの肝
  • 白子
  • エビ
  • イワシ
  • アジの干物
  • 干し椎茸

アルコールは、尿酸の産生を増やしたり尿酸の排泄を妨げたりすることで、尿酸値を上げます。特に、ビールはプリン体を多く含んでいます。「プリン体ゼロ」と書かれた焼酎やウイスキーも注意が必要です。アルコールである以上、尿酸値を上げる作用があるため、種類を問わず飲みすぎには注意しましょう。

過度なストレス急に激しい運動をすることも、尿酸値を一時的に上昇させる原因となります。日々の生活リズムを整え、心身ともに健康な状態を保つことが大切です。

遺伝・体質

痛風は、生活習慣だけでなく、生まれ持った遺伝的な要因や体質も影響します。ご家族に痛風の方がいる場合、ご自身も痛風になりやすい傾向があります。尿酸を体内で作りやすい体質や、腎臓から排出しにくい体質が遺伝することがあるためです。

腎臓の機能が低下すると、尿酸を排出する能力も落ちるため、高尿酸血症になりやすくなります。肥満体質も、尿酸の産生を促進し、排泄を低下させます。内臓脂肪が増えることで、尿酸が作られやすくなるためです。遺伝的な要因があるからといって、必ず痛風になるわけではありません。

ご自身の体質を理解したうえで、日々の生活習慣に気をつけることが、発症や再発の予防につながるのです。

痛風が引き起こすリスク(腎障害・尿路結石など)

尿酸を体の外に出す重要な役割を担っているのが腎臓です。痛風が引き起こすリスクとして、腎障害があります。痛風腎(つうふうじん)は、血液中の尿酸が多すぎて腎臓に尿酸の結晶がたまる状態です。痛風腎では、腎臓の働きが徐々に悪化し、体の老廃物をうまく排出できなくなります。

尿路結石は、尿の中に排出される尿酸の濃度が高くなることで、尿酸が固まって石のようになる状態です。尿路結石が尿の通り道につまると、背中や脇腹に激痛がおこります。

痛風は、高血圧や糖尿病などと同じ「生活習慣病」です。尿酸値が高い状態は、全身の血管を傷つけ、動脈硬化を進める原因になります。痛風の患者さんは、以下の病気を合併しやすい傾向があります。

  • 高血圧
  • 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い状態)
  • 糖尿病
  • 肥満症(特に内臓脂肪型肥満)

以上の病気は、それぞれが動脈硬化を悪化させる危険な要因です。痛風を放置すると、将来的に心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気のリスクを高めてしまいます。痛風の治療は、足の痛みを治すだけでなく、全身の健康を守るために重要です。

痛風の治療法

痛風の治療法について、2つの段階に分けて説明します。

  • 発作時:NSAIDsなどで痛みと炎症を抑える
  • 寛解期:尿酸降下薬で尿酸値をコントロールする

発作時:NSAIDsなどで痛みと炎症を抑える

痛風発作が起きたときの治療は、まず、痛みと炎症をできるだけ早く抑えることが目標です。発作時に使われる主な薬は、以下のとおりです。

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):炎症を引き起こす物質の働きを阻害し、痛みや腫れを和らげる
  • コルヒチン:関節の中で白血球が尿酸塩結晶を攻撃する働きを抑える
  • ステロイド:強力に炎症を抑える

薬物療法とあわせて、ご自身でできる応急処置も大切です。患部を冷やして安静にし、痛む足をクッションなどの上に乗せて心臓より高く保つと、痛みが和らぎます。患部を温めたり、マッサージしたりするのは炎症を悪化させる可能性があるので避けましょう。

寛解期:尿酸降下薬で尿酸値をコントロールする

寛解期(かんかいき)とは、症状が治ったのではなく、一時的に落ち着いている状態です。この時期から、痛風の原因である高尿酸血症を改善する治療を行います。目的は血液中の尿酸をコントロールし、再発や合併症を防ぐことです。

治療の中心は尿酸値を下げる「尿酸降下薬」で、主に以下の3種類があります。

  • 尿酸生成抑制薬:体内で尿酸が作られすぎるのを抑える
  • 尿酸排泄促進薬:腎臓から尿酸を尿として出すのを助ける
  • 尿酸再吸収阻害薬:腎臓で尿酸が再び血液中に取り込まれるのを防ぐ

薬により尿酸値を 6.0mg/dL以下 に保つことを目標とします。従来は発作が完全に治まってから薬を開始するのが一般的でしたが、最近の研究では、発作中に治療を始めても痛みが悪化したり長引いたりするわけではないと報告されています。

自己判断で中断すると尿酸値が再上昇し、発作を繰り返す可能性があるため、医師の指示に従い、根気強く治療を続けることが重要です。

受診の目安:関節の激痛や痛風発作の繰り返し

痛風は、放置すると深刻な病気につながる可能性のある体からのサインです。以下のサインが見られたら、我慢せずにできるだけ早く受診してください。

  • 足の親指の付け根や足首などが、急に赤く腫れて激しく痛む
  • 痛みで靴が履けない、歩くことさえ難しい
  • 過去に何度も同じような痛みの発作を経験している
  • 発作が起こる間隔がだんだん短くなってきた
  • 健康診断で「尿酸値が高い(7.0mg/dL以上)」と指摘されたことがある

痛風が疑われる場合、まずは内科を受診するのが一般的です。痛風は、高血圧や腎臓の病気などの全身に関わる生活習慣病と深いつながりがあるためです。関節の痛みが主な症状なので、整形外科やリウマチ科でも対応してもらえます。気になる症状があれば、将来の自分の体を守るためにも、すぐに医師へ相談しましょう。

痛風を予防する生活習慣のポイント

痛風を予防する生活習慣のポイントについて、以下の5つを解説します。

  • 食事療法
  • アルコールとの付き合い方
  • 運動
  • 水分補給
  • ストレス管理

食事療法

痛風の食事で大切なのは、「プリン体」を摂りすぎないことと、食事全体のカロリーを適切に保つことです。プリン体は、細胞の中にある核に含まれる成分です。細胞の数が多い食品や、うまみ成分が凝縮された食品に多く含まれる傾向があります。プリン体は、食品100gあたりに含まれる量で分類されます。

特に含有量の多い食品は、毎日食べるのは避けましょう。プリン体を含む食品の分類は、以下のとおりです。

  • 極めて多い(プリン体300mg以上):鶏・豚・牛のレバー、あんこうの肝、白子、真イワシやアジの干物
  • 多い(プリン体200~300mg):豚・牛のロースやバラ肉、カツオ、大正エビ
  • 少ない(プリン体50mg以下):ご飯、パン、うどん、豆腐、牛乳、チーズ、ほとんどの野菜、海藻類

野菜や海藻類、きのこ類を積極的に食事に取り入れることも重要です。これらのアルカリ性食品は、酸性の尿をアルカリ性に傾ける働きがあります。酸性である尿酸は、アルカリ性の尿には溶けやすくなるため、体の外へスムーズに排出されるのを助けてくれます。

プリン体が多い食品を知り、食べる頻度や量を上手にコントロールすることが大切です。バランスの良い食事を基本に、食べすぎに注意して、適切な体重を維持することを心がけましょう。

アルコールとの付き合い方

「ビールはプリン体が多いから、焼酎なら大丈夫」と考える方もいますが、これは痛風に関する大きな誤解です。実際には、アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があり、種類に関係なく注意が必要です。アルコールは肝臓で分解される過程で尿酸の産生を増やすうえ、腎臓から尿酸を排出する働きも妨げてしまいます。

「プリン体ゼロ」と表示されたお酒であっても、アルコールである限り安心はできません。お酒を楽しむ際には、飲む量をできるだけ控えることが大切であり、週に二日以上の休肝日を設けて肝臓を休ませる習慣を持つことが望まれます。

運動

適度な運動は、肥満の解消やストレスの発散に役立ち、尿酸値のコントロールにも良い影響を与えます。息が軽く弾み、隣の人と会話ができるくらいの有酸素運動が望ましいです。ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳などを1回20〜30分、週3回以上続けるのがおすすめです。

短距離走や激しい筋力トレーニングのような無酸素運動は、尿酸の原因物質や乳酸を増やし、痛風を悪化させる恐れがあります。運動時は、汗による脱水で尿酸が濃くなりやすいため、前後や途中でこまめな水分補給を心がけましょう。関節の痛みや腫れを伴う発作中は安静にして、炎症が治まるのを待つことが大切です。

水分補給

尿酸を体の外へ排出する方法の一つが、水分をしっかり摂ることです。体の中の尿酸は、主に尿に溶けて排出されます。尿の量を増やせば、それだけ多くの尿酸を体の外に排出できます。水分補給のポイントを3つ紹介します。

  • 目標は1日に2リットル以上:コップ1杯(約200ml)を1日に10回飲む
  • 「水」か「お茶」を飲む
  • こまめに飲む:一度に飲むのではなく、1日を通して少しずつ飲む

お茶の場合、カフェインの少ない麦茶がおすすめです。ジュースやスポーツドリンクは糖分が多いため避けることをおすすめします。汗をかきやすい入浴後や就寝前、運動中は忘れずに補給することを意識しましょう。適切な水分補給は、痛風の再発予防はもちろんのこと、合併症である尿路結石を防ぐためにも重要です。

ストレス管理

心の問題である「ストレス」も痛風の引き金になることがあります。ストレスは、体のさまざまなバランスをコントロールしている自律神経を乱し、尿酸値を上げる一因と考えられています。

最近の研究では、痛風の原因が単に尿酸だけではない可能性も指摘されています。痛風の患者さんでは、尿酸以外にも「ヒポキサンチン」や「キサンチン」などのさまざまな代謝物質のバランスが崩れていることがわかってきました。

心と体の健康は、密接につながっているため、ストレスと上手に付き合えるように、以下のポイントを意識しましょう。

  • 質の良い睡眠をたっぷりとる
  • 趣味に没頭するなど、リラックスできる時間を作る
  • ウォーキングなどの軽い運動で気分転換する
  • 食事や睡眠のリズムを整え、規則正しい生活を送る

自分に合った方法を見つけ、上手にストレスを解消していくことが、尿酸値の安定にもつながります。

まとめ

「風が吹いただけでも痛い」と言われる痛風は、高尿酸血症が引き起こす体からのSOSサインです。痛みが引いても自己判断で安心せず、根本原因と向き合い、尿酸値を適切にコントロールし続けることが大切です。治療の基本は、薬物療法と生活習慣の見直しです。食事や運動、水分補給など、できることを少しずつ始めてみましょう。

気になる症状がある方や治療に不安を感じる方は、一人で悩まずに専門の医師に相談してください。正しい知識を身につけ、二人三脚で健康な毎日を取り戻していきましょう。

当院では、痛風や高尿酸血症に対する検査・治療・生活改善のサポートを行っています。まずはお気軽にご相談ください。

参考文献

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