春の訪れとともに、くしゃみや鼻水・目のかゆみに悩まされる人が増える季節がやってきます。国民の約4人に1人が悩んでいると言われる花粉症。一体どんな症状がでるのか、原因となる植物は何か、そしてどうすれば症状を和らげることができるのでしょうか?
この記事では花粉症の症状から原因、そして効果的な治療法や予防法まで詳しく解説していきます。花粉症に悩んでいる人も、ひょっとして花粉症かもという人もぜひ参考にしてみてください。
寒い冬が明け春のぽかぽか陽気は、待ち遠しいですよね。でも楽しみにしている人もいれば、ちょっと憂鬱な気分になる人もいるのではないでしょうか?そう「花粉症」です。国民病とも言われる花粉症。一体どんな病気で、なぜ起こるのでしょうか?
花粉症の代表的な症状が「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」のトリプルコンボです。これらの症状は、まるで体の中に侵入してきた花粉と戦っているかのようです。
例えば、スギ花粉が鼻の中に入ると、私たちの体はそれを敵だと勘違いします。そしてヒスタミンという物質を放出して、敵を追い出そうとするのです。このヒスタミンが、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」の原因となります。
鼻の中に侵入してきた花粉を、ロケットのように勢いよく吹き飛ばそうとする反応です。
鼻の粘膜から、まるで滝のようにサラサラとした鼻水が流れ出てきます。これは、花粉を洗い流そうとする体の防御反応です。
鼻の粘膜が風船のように膨らんでしまったり、鼻水が詰まってしまったりすることで、まるでトンネルの中にいるように息苦しく感じます。
花粉症の症状は、鼻だけにとどまりません。目にもさまざまな症状が現れます。
目がゴロゴロしたり、チクチクしたり、まるで砂が目に入った時のような不快感に襲われます。
白目が真っ赤に充血してしまいます。これは目の表面にある血管が、拡張してしまうためです。
涙が止まりません。これも、目の中に入った花粉を洗い流そうとする体の自然な反応です。
さらに、喉にも花粉症の影響は及びます。
喉がイガイガしたり、ヒリヒリしたり痛みを感じる場合もあります。
喉の奥に花粉が付着するとまるで咳払いをしているかのように、咳が止まらなくなることがあります。
喉の炎症がひどくなると、まるで風邪を引いた時のように声がかすれたり、全く声が出なくなったりすることがあります。
花粉症の原因となる植物は、スギ・ヒノキ・ブタクサなど実はたくさんあります。
日本で最も多い花粉症の原因植物です。2月から4月頃、ちょうど新しい生活が始まる時期に、大量の花粉を撒き散らします。
スギの次に多い花粉症の原因植物です。3月から5月頃、ゴールデンウィークを楽しむ私たちを苦しめる花粉を飛ばします。
秋の花粉症の原因植物です。8月から10月頃、秋の訪れとともに花粉を飛ばし始めます。
これらの植物の花粉は、風に乗って遠くまで運ばれていきます。そして、私たちの鼻や目、喉に侵入し、花粉症の症状を引き起こすのです。
花粉の飛散時期や飛散量は、植物の種類や気象条件によって大きく変わります。
2月から4月頃に飛散のピークを迎え、気温が高く、風が強い日ほど大量に飛散します。
3月から5月頃に飛散のピークを迎え、スギ花粉と同様に、気温が高く、風が強い日に多く飛散します。
8月から10月頃に飛散のピークを迎え、乾燥した晴れた日に多く飛散します。
花粉の飛散量が多い年は、花粉症の症状が重くなる傾向があります。花粉情報を確認し、飛散量が多い時期は、外出を控えたり、マスクやメガネを着用したりするなど、花粉症対策をしっかりと行いましょう。
花粉症かどうかを確かめるには、一体どんな検査をするのでしょうか?病院では色々な情報を集めて、花粉症かどうかを判断していきます。
まず、医師は患者さんから詳しくお話を伺い情報収集を行います。
例えば、「去年の2月から、くしゃみと鼻水が止まらなくなったんです…」といった具合です。
「朝起きた時や、風の強い日に症状がひどくなります…」のように、具体的な状況を伺います。
花粉症は遺伝的な影響もあるため、家族構成や、その家族が花粉症かどうかは重要な情報になります。
このように、血液検査などの結果だけでなく、患者さん自身の症状やその特徴、そして生活環境などを総合的に判断することが、花粉症の診断にはとても大切なのです。
問診の次は、いよいよ本格的な調査開始です。アレルギー検査のうち、当院では血液検査を行っています。
血液検査では、採血した血液の中に、特定の花粉に対するアレルギー反応を起こす物質(IgE抗体)が含まれているかどうかを調べます。
血液検査は、一度にたくさんの種類のアレルゲンを調べることができ、皮膚への負担も少ないというメリットがあります。
花粉症の診断は、問診、アレルギー検査の結果、そして鼻の奥の状態などを総合的に判断して行います。
具体的な診断基準としては、
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど。花粉症の症状は人によって様々ですが、これらの症状が複数みられる場合は、花粉症の可能性が高まります。
特定の花粉が飛散する時期に症状が悪化する。例えば、スギ花粉が飛散する2~4月頃に症状が悪化する場合は、スギ花粉症の可能性が高いでしょう。
特定の花粉に対する陽性反応。皮膚テストや血液検査で、特定の花粉に対するアレルギー反応が認められれば、花粉症と診断されます。
鼻の粘膜が腫れている。鼻鏡検査とは鼻の穴から細いカメラを入れて、鼻の奥の状態を観察する検査です。花粉症の場合、鼻の粘膜が炎症を起こして腫れていることが多いです。
など、これらを組み合わせて診断します。
花粉症の検査を受ける際には、以下の点に注意する必要があります。
アレルギー症状を抑える薬を服用していると、検査結果に影響が出る場合があります。検査を受ける前に、服用中の薬があれば、必ず医師に伝えてください。
特に、抗ヒスタミン薬やステロイド薬は、アレルギー反応を抑える効果が強いため、検査前に一定期間、服用を中止する必要がある場合があります。
花粉飛散時期は、症状が強く出ているため、検査結果が出やすい傾向にあります。
花粉飛散時期以外に検査を受ける場合は症状が落ち着いているため、正確な結果が得られない場合があります。
検査費用は、医療機関や検査内容によって異なります。事前に確認しておきましょう。
健康保険が適用される場合と適用されない場合がありますので、事前に医療機関に確認することをおすすめします。
花粉症の検査は花粉症を治療し、つらい症状を和らげるための第一歩です。気になる症状があれば、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
春になると、くしゃみや鼻水が止まらなくて、まるで水道の蛇口が開きっぱなしみたい!という人もいるのではないでしょうか?
花粉症は、本当につらいものです。そこで、今回は花粉症を治すための様々な方法と、その特徴について詳しく解説していきます。大きく分けて、お薬で症状を抑える方法と、体質から改善していく方法の二つがあります。
薬物療法は、花粉症の原因物質であるヒスタミンに対処する治療法です。例えるなら、泥棒(ヒスタミン)が家に侵入して暴れている状態を鎮圧するために、警察官(薬)を派遣するようなものです。
薬の種類 | 働き | 薬の例 | 服用時のアドバイス |
---|---|---|---|
抗ヒスタミン薬 | ヒスタミンの働きを抑え、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどを和らげます。 | アレグラ、ジルテック、クラリチンなど | 花粉症の症状が出始めたら、早めに服用を開始すると効果的です。眠気などの副作用が心配な方は、医師に相談してみましょう。 |
ステロイド薬 | 鼻の炎症を抑え、鼻水、鼻づまりを改善します。 | フルナーゼ、ナザール、アラミストなど | 鼻づまりがひどい場合に効果を発揮します。効果が高く即効性がありますが、長期連用すると鼻の粘膜が弱くなる可能性があるので、医師の指示に従って使用しましょう。 |
点鼻薬 | 鼻の粘膜を収縮させ、鼻づまりを改善します。 | パブロン点鼻、ナザール点鼻薬など | 鼻づまりですぐにスッキリしたい時に効果的です。使いすぎると効果が減ったり、鼻の粘膜を傷つける可能性があるので注意が必要です。 |
これらの薬は症状や体質に合わせて、医師が適切なものを処方します。自己判断で市販薬を使う場合は、薬剤師に相談しましょう。
免疫療法はアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を、少しずつ体内に取り入れていきます。体をアレルゲンに慣らし、アレルギー反応を起こしにくくする治療法です。
治療法 | 方法 | 治療期間 | 服用時のアドバイス |
---|---|---|---|
皮下免疫療法 | アレルゲンエキスを薄めたものを、定期的に皮下に注射します。 | 3年以上 | 効果が出るまでに時間がかかりますが、根気強く治療を続けることが大切です。 |
舌下免疫療法 | アレルゲンエキスを含んだ錠剤を、1日1回舌の下に投与します。 | 3年以上 | 自宅で服用できるので、通院の負担が少なくて済みます。ただし、毎日欠かさず服用することが重要です。 |
効果が出るまでに時間がかかりますが、根本的な治療法として期待されています。
それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあります。自分に合った治療法を見つけることが大切です。
治療法 | メリット | デメリット | 服用時のアドバイス |
---|---|---|---|
薬物療法 | ・効果が比較的早く現れる。 ・症状に合わせて薬の種類や量を調整できる。 | ・服用期間中は効果が持続するが、服用をやめると効果がなくなる。 ・薬の種類によっては、眠気などの副作用が出る場合がある。 | 症状がつらい時期だけでも効果を実感したい方におすすめです。副作用が心配な方は、医師に相談して適切な薬を選んでもらいましょう。 |
免疫療法 | ・アレルギー反応を起こしにくくなるため、根本的な治療が可能。 ・治療効果が長期的に持続する。 | ・効果が現れるまでに時間がかかる。 ・治療開始時は、アレルギー症状が悪化する可能性がある。 ・毎日継続して治療を行う必要がある。 | 花粉症を根本的に治したい、薬に頼り続ける生活から解放されたい方におすすめです。 |
どの治療法が最適かは、症状の程度や生活スタイル、体質などを考慮して医師と相談の上決定します。
花粉症の季節は、まるで目に見えない小さな粒が、私たちの体の中でいたずらをしているかのようです。くしゃみ・鼻水・目のかゆみ…これらの症状は、まさに花粉といういたずらっ子の仕業。
しかし、安心してください。いたずらっ子の行動パターンを知り、先回りして対策をしておくことで、私たちは快適に春を過ごすことができるのです。
まず、敵を知ることから始めましょう。花粉症対策の基本は、いつ、どこに、どれくらいの花粉が飛んでいるのかを把握することです。
花粉の飛散量は、気象条件によって大きく変化します。例えば雨が降った後は花粉が地面に落ちるので飛散量は減りますが、晴れて風が強い日には大量の花粉が遠くまで運ばれます。
天気予報と合わせて、花粉情報もこまめにチェックするようにしましょう。インターネットやスマートフォンアプリを使えば、リアルタイムの花粉飛散状況や、今日・明日・1週間後といった飛散予測を簡単に確認することができます。
特に、環境省の花粉観測システム「はなこさん」はおすすめです。自分の住んでいる地域の、更に細かいエリアごとの情報も見ることができるので、外出する際の参考にすると良いでしょう。
花粉情報をチェックしたら、次は防御です。花粉から身を守るための必須アイテム、それがマスクとメガネです。
マスクは顔とマスクの間に隙間ができないように、自分の顔の形に合ったものを選びましょう。最近は、花粉を99%カットする高性能マスクも販売されています。ドラッグストアなどで、自分にぴったりのマスクを見つけてください。
メガネは、花粉が目に入るのを防ぐために、通常のメガネよりもフレームが大きく、顔に密着するタイプのものがおすすめです。花粉症対策用のメガネは、インターネット通販や薬局、眼鏡店などで購入することができます。
花粉は空気中を漂っているだけでなく、衣服や髪の毛にも付着します。花粉を家の中に持ち込まないためには、外出時の服装にも気を配りましょう。
花粉はツルツルした素材よりも、毛羽立った素材に付着しやすいためウール素材のコートなどは避けた方がよいでしょう。花粉が付着しにくい素材としては、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維が挙げられます。
また、静電気を抑える効果のある柔軟剤を使用するのも効果的です。静電気が起きると、花粉が服に付きやすくなってしまいます。柔軟剤を使って、静電気を予防しましょう。
帰宅時には、玄関に入る前に、衣服や髪の毛に付着した花粉を払い落とすようにしましょう。花粉を室内に持ち込まないためには、玄関に洋服ブラシや粘着テープなどを置いておくのも良いでしょう。
家の中は花粉の脅威から逃れられる安全な場所…であるべきですが、実際には窓やドアの開け閉め、衣服への付着などによって、花粉は室内にも侵入してきます。
室内に侵入した花粉を減らし、きれいな空気の中で快適に過ごすためには、空気清浄機と換気が有効です。
空気清浄機は、花粉やダニなどのアレルゲン物質を効果的に除去してくれるため、花粉症の症状を和らげる効果が期待できます。空気清浄機を選ぶ際には、部屋の広さに合ったものを選ぶようにしましょう。また、加湿機能付きの空気清浄機は、乾燥対策にもなるためおすすめです。
換気は花粉を外に逃がし、新鮮な空気を取り入れるために効果的です。しかし花粉の飛散量が多い時間帯は、窓を開け放つと逆に花粉を室内にたくさん取り込んでしまう可能性があります。花粉の飛散量が少ない時間帯を選び、短時間で効率的に換気を行うようにしましょう。
花粉症対策というと、マスクやメガネ、空気清浄機など、外側から花粉をブロックすることに目が行きがちですが、実は、体の内側から花粉症を予防・改善することもできるのです。
その鍵となるのが、「腸内環境」です。腸は、人体最大の免疫器官と言われているため、腸内環境を整えることは、花粉症の症状を改善する上で非常に重要です。
腸内環境を整えるためには、ヨーグルトや納豆などの発酵食品、食物繊維が豊富な野菜などを積極的に摂るようにしましょう。また、十分な睡眠、適度な運動、ストレスを溜めない生活を心がけることも大切です。
食事は、毎日の積み重ねが大切です。バランスの取れた食生活を送り、腸内環境を整えることで、花粉症の症状を改善に繋げましょう。
花粉症は、スギ・ヒノキ・ブタクサなどの植物の花粉によって引き起こされるアレルギー性鼻炎です。主な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどです。
花粉症の診断は、問診・アレルギー検査・鼻鏡検査などを総合的に判断して行われます。治療法には、薬物療法、免疫療法などがあります。
薬物療法は、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、点鼻薬などが用いられ、症状を抑える効果があります。免疫療法は、アレルゲンエキスを体内に投与することで、アレルギー反応を起こしにくくする治療法です。
予防法としては、花粉飛散情報の確認、マスクやメガネの着用、衣服や髪の毛への花粉付着を防ぐ、空気清浄機や換気などがあります。また、腸内環境を整えることも効果的です。
花粉症などのアレルギー症状が強い方、食事等でのアレルギーに不安がある方、何に対するアレルギーかわからずお困りの方、オンライン診療での受診にご興味がある方、舌下免疫療法をご希望の方などお気軽に当院へご相談ください。