大石内科循環器科医院

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LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いと指摘された方へ

2024.08.08 脂質異常症

「LDLコレステロールが高い」と健康診断で指摘された方は、動脈硬化や心臓病などのリスクが気になり、不安に思われているかもしれません。
LDLコレステロールは、血管の老化を進めてしまう「悪玉コレステロール」ですが、適切な対策をすることでその悪影響を抑制することが可能です。
この記事ではLDLコレステロールの役割やその数値が持つ意味、そして食事療法や運動療法などLDLコレステロールを下げるための具体的な方法について詳しく解説していきます。
健康的な生活を送るためにぜひご自身のLDLコレステロール値について理解を深め、適切な対策を検討しましょう。

LDLコレステロールとは?

健康診断の結果で「LDLコレステロールが高い」と指摘されたことはありませんか?
「コレステロール」は体に必要な成分ですが、その中でもLDLコレステロールは血管の老化を進めてしまうちょっとやっかいな存在です。
今回は、LDLコレステロールについて、一緒に学んでいきましょう。

LDLコレステロールの役割と働き

私たちの体の中を流れている血液中には、栄養や酸素を体の隅々まで運ぶ役割を持つ「コレステロール」という物質があります。
コレステロールには大きく分けて「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」と「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」の2種類があります。
LDLコレステロールは例えるなら、体の中で荷物を運ぶトラックのようなものです。肝臓でつくられたLDLコレステロールは血管という道路を通り、細胞の一つひとつに栄養を届けています。細胞はLDLコレステロールから受け取った栄養を使って、元気に活動することができるのです。

LDLコレステロールの数値の意味とリスク

LDLコレステロールは体に必要なものですが、血液中に多すぎると問題が生じます。LDLコレステロールが増えすぎると、血管の壁にくっ付いて血管を狭くしたり硬くしたりしてしまうのです。
まるできれいに掃除された水道管に、徐々にサビや汚れが溜まっていく様子と似ています。最初はスムーズに水が流れていたがサビがこびり付き水の流れが悪くなり、ついには詰まってしまうこともありますよね。血管も同じようにLDLコレステロールが溜まることで、血液の流れが悪くなり体に様々な悪影響を及ぼすリスクが高まります。
動脈硬化は、血管の老化現象とも言えます。若い時は血管も柔軟性がありますが年齢を重ねるにつれて血管も老化し硬くなっていくため、LDLコレステロール値が高い状態が続くと動脈硬化が進行しやすくなるのです。

LDLコレステロール値基準
140mg/dL以上高LDLコレステロール血症の疑いがあり。詳しく検査する必要があるかもしれません。
120mg/dL~139mg/dLLDLコレステロール値はやや高めです。食事や運動に気をつけましょう。
70mg/dL~119mg/dL正常範囲です。この状態を維持できるよう、生活習慣に気を配りましょう。
70mg/dL未満LDLコレステロール値が低すぎると、他の病気が隠れている可能性があり、注意が必要です。医師に相談しましょう。

LDLコレステロールの数値は、血液検査を受けることで分かります。健康診断などの機会に、ぜひご自身のLDLコレステロール値をチェックしてみて下さい。

LDLコレステロールを下げる方法と注意点

健康診断で「LDLコレステロールが高い」と指摘されたら、あなたはどのように感じますか?
「動脈硬化」という言葉が頭をよぎり、不安な気持ちになる方もいるかもしれません。
LDLコレステロールは、まるで血管の中を流れる「悪玉コレステロール」と言えるでしょう。これが増えすぎると、血管の壁にへばりついて血管を狭くしたり詰まらせたりしてしまうのです。
しかし、安心してください。LDLコレステロールは、生活習慣の改善や治療によってコントロールすることができます。適切な対策を続けることで血管を健康な状態に保ち、動脈硬化などのリスクを減らすことが期待できます。
今回はLDLコレステロールを下げるための具体的な方法として、食事療法・運動療法・薬物療法の3つの柱について詳しく解説していきます。さらにLDLコレステロール値を正確に把握するための検査方法や、検査結果の見方についてもわかりやすく説明します。

食事療法によるLDLコレステロールの管理

毎日の食事はLDLコレステロール値に直接影響を与えるため、見直しはとても重要です。毎日の食事を「LDLコレステロールを減らす食事」へと変えていきましょう。

1. 飽和脂肪酸を減らす

飽和脂肪酸は、LDLコレステロール値を上昇させる原因の一つと考えられています。脂肪の多い肉(牛肉、豚肉など)や、バター・ラードなどの動物性脂肪に多く含まれています。
例えば普段の料理に、飽和脂肪酸の少ない食材を積極的に取り入れてみましょう。豚肉の代わりに豆腐を使った麻婆豆腐や、鶏肉の皮を取り除いて調理するなど少しの工夫でLDLコレステロールを意識した食事に変わります。
患者さんの中には「脂っこいものが大好きで、なかなか減らせない」という方もいます。その様な場合は食べる量を少しずつ減らしたり、週に何回か控えたりするなどできる範囲から始めてみましょう。

2. 食物繊維を積極的に摂る

食物繊維は腸内環境を整え、LDLコレステロールの吸収を抑える働きがあります。食物繊維は、まるで「コレステロールを吸着するスポンジ」のように働きます。
野菜・果物・海藻・きのこ・穀類などに多く含まれており、これらの食品を毎日の食事に積極的に取り入れるようにしましょう。
毎食、野菜を1皿・果物を1個を目安に食べると良いでしょう。また白米よりも食物繊維が豊富な玄米や雑穀米を取り入れたり、パンを選ぶ際には全粒粉パンを意識したりするなど主食にも食物繊維を意識してみましょう。
外食が多い方は定食を選ぶ際に野菜が多いメニューを選ぶ、小鉢を追加するなど意識して食物繊維を摂取するようにしましょう。

3. コレステロールを多く含む食品を控える

卵黄やイカ・レバーなどの食品は、コレステロールを多く含んでいます。しかしこれらの食品を過剰に摂取することが、直接的にLDLコレステロール値を大きく上昇させるわけではありません。バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
「卵は1日1個まで」と聞いたことがある方もいるかもしれませんが、最近の研究ではコレステロール値への影響は少ないという報告もあります。

適切な運動とLDLコレステロールの関係

運動はLDLコレステロールを減らし、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールを増やす効果があります。HDLコレステロールは血管に溜まったLDLコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ役割を持つため「掃除屋さん」とも呼ばれています。

1.週に150分以上の有酸素運動

ウォーキングやジョギング・水泳などの有酸素運動は、脂肪を燃焼させLDLコレステロール値を下げる効果があります。息が少し弾む程度の運動を1日30分程度、週に5日以上を目標に取り入れてみましょう。
運動不足を感じている方はまずは週に数回、10分程度の軽いウォーキングから始めてみてはいかがでしょうか。

2.無理なく継続できる運動を選ぶ

運動は継続することが重要です。激しい運動を短期間だけ行うよりも、軽い運動を毎日続ける方が効果的です。自分の体力レベルや好みに合わせて、無理なく継続できる運動を選びましょう。
例えばエスカレーターではなく階段を使ったり一駅分歩いたりするなど、日常生活の中に軽い運動を取り入れることも効果的です。
運動が苦手な方は家の中でできるストレッチやヨガなどを取り入れてみたり、好きな音楽を聴きながら楽しく体を動かしてみたりするのも良いでしょう。

LDLコレステロールを下げる薬の種類と副作用

食事療法や運動療法を行ってもLDLコレステロール値が十分に下がらない場合や、他の病気のリスクが高い場合は、医師の判断で薬物療法が検討されます。薬は、LDLコレステロールを下げるための「助っ人」のようなものです。

1. スタチン系薬剤

スタチン系薬剤は肝臓でのコレステロール合成を抑え、LDLコレステロール値を下げる薬です。副作用として筋肉痛や肝機能障害などが報告されていますが、比較的安全性が高い薬とされています。

2. エゼチミブ

エゼチミブは腸管からのコレステロール吸収を抑え、LDLコレステロール値を下げる薬です。副作用として、消化不良や腹痛などが報告されています。

3.PCSK9阻害薬

PCSK9阻害薬はLDL受容体の分解を阻害することで、LDLコレステロール値を大きく下げる薬です。注射薬として使用され、効果が高く副作用も少ないとされています。
薬物療法を行う際には医師の指示に従い、自己判断で服用を中止したり量を変更したりしないようにしましょう。

LDLコレステロールを測定する検査方法と正常値の範囲

LDLコレステロール値は、血液検査によって測定することができます。健康診断や人間ドックなどで、定期的にLDLコレステロール値を測定することが大切です。

1. 血液検査

血液検査では採血を行い、血液中のLDLコレステロール値を測定します。検査を受ける前に食事や運動・喫煙などが検査結果に影響を与える可能性があるため、医師の指示に従ってください。

2.正常値の範囲

LDLコレステロール値の正常値は、年齢や持病などによって異なります。一般的にはLDLコレステロール値が、140mg/dL未満であれば正常とされています。しかし糖尿病や心臓病などの持病がある場合や、家族に心臓病になった人がいる場合は、より低い値を目標にする必要があることもあります。
LDLコレステロール値が高い場合は医師の指示に従い、適切な治療や生活習慣の改善に取り組むことが重要です。

高LDLコレステロールによるリスクと予防策

LDLコレステロールは体にとって必要なものですが、多すぎると血管の中で悪さを働くいわば「悪玉コレステロール」とも呼ばれる存在です。 LDLコレステロールが高い状態が続くと血管の壁にコレステロールが溜まり、血管が硬く狭くなってしまう動脈硬化を引き起こします。動脈硬化は体中に酸素や栄養を運ぶための「道路」である血管をボロボロにしてしまう恐ろしい病気で、様々な病気を発症するリスクを高めてしまいます。

LDLコレステロールが引き起こす病気のリスク

LDLコレステロールが高い状態が続くと、血管はまるで長い間掃除されていない排水管のようにドロドロとしたものが詰まっていきます。すると血液の流れが悪くなり心臓や脳などの大切な臓器に、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなってしまいます。
例えば心臓に栄養を送る血管である冠動脈で動脈硬化が起きると、狭心症や心筋梗塞などの心臓病のリスクが高まります。狭心症は心臓に十分な血液が供給されず、胸の痛みや圧迫感を引き起こします。心筋梗塞は、さらに重症化した状態で心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。
また脳の血管で動脈硬化が起きると、脳梗塞のリスクが高まります。脳梗塞は脳の血管が詰まってしまい、脳細胞がダメージを受ける病気です。
さらに足の血管で動脈硬化が起きると、閉塞性動脈硬化症を引き起こし歩行時に足に痛みやしびれが生じるようになります。これは足の血管が狭くなり、筋肉に十分な血液が供給されなくなるために起こります。
このようにLDLコレステロールが高い状態を放置すると、命に関わるような病気を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。

症状例
心臓病 (狭心症・心筋梗塞など)胸の痛み、圧迫感、息切れ、冷や汗、吐き気など
脳卒中 (脳梗塞・脳出血など)顔面麻痺、言語障害、運動麻痺、意識障害など
閉塞性動脈硬化症歩行時の足の痛みやしびれ、冷感、皮膚の色つやが悪くなるなど

LDLコレステロールを下げるための生活習慣改善の重要性

LDLコレステロールを下げるためには、医師の処方する薬を飲む薬物療法と並行して毎日の生活習慣を改善することが非常に重要です。生活習慣の改善はLDLコレステロールを下げるだけでなく、健康的な生活を送る上でも大切です。

食事療法
  • 食物繊維を多く含む食品 (野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなど)
    食物繊維は体内でコレステロールが作られるのを抑えたり、既に存在するコレステロールを便と一緒に体外へ排出したりする働きがあります。野菜は毎食、海藻やきのこは汁物に、こんにゃくはご飯のおかずにと様々な方法で食事に取り入れてみましょう。
  • EPA・DHAを多く含む食品 (いわし、さんま、さばなどの青魚、まぐろ、ぶりなど)
    EPA・DHAは血液をサラサラにする効果があり、血管の健康を保つ上で役立ちます。魚料理が苦手な方は、缶詰や煮干しなど手軽に食べられるものを活用してみましょう。
  • 大豆製品 (豆腐、納豆、味噌、豆乳など)
    大豆製品に含まれる大豆タンパク質は、LDLコレステロールを減らす効果があります。豆腐や納豆は毎日の食卓に取り入れやすく、おすすめです。
運動療法

適度な運動はLDLコレステロールを減らし、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールを増やす効果があります。激しい運動である必要はなく、ウォーキングや軽いジョギングや水泳など週に3~4回・30分程度を目安に行うと良いでしょう。運動を習慣化するために散歩や軽いストレッチなど、日常生活の中で体を動かすことを意識してみましょう。

禁煙

喫煙はLDLコレステロールを増やし善玉コレステロールであるHDLコレステロールを減らすため、動脈硬化のリスクを高めます。タバコの煙に含まれる有害物質が、血管を傷つけコレステロールが溜まりやすくなるためです。禁煙はLDLコレステロールを改善するだけでなく、様々な病気の予防にもつながるため積極的に取り組みましょう。

家族歴や遺伝的要素とLDLコレステロールの関係

LDLコレステロール値は生活習慣だけでなく、家族歴や遺伝的な要素も影響します。家族にLDLコレステロールが高い人がいる場合や、遺伝的にLDLコレステロールが代謝されにくい体質の場合LDLコレステロール値が上がりやすい傾向があります。
これはコレステロールの代謝に関わる遺伝子が、親から子へと受け継がれるためです。家族に心臓病や脳卒中などの循環器系の病気を患った人がいる場合は、LDLコレステロール値を定期的に測定し食生活や運動習慣など生活習慣に気を配ることが重要です。特に両親や兄弟姉妹など近い血縁者にLDLコレステロールが高い人がいる場合は、遺伝的な影響を受けやすい可能性があるため注意が必要です。

まとめ

LDLコレステロールは、血管の老化を促進する「悪玉コレステロール」と呼ばれるものです。 血液中のLDLコレステロール値が高いと動脈硬化のリスクが高まり、心臓病や脳卒中などの病気を発症する可能性があります。
LDLコレステロールを下げるには、食事療法・運動療法・薬物療法などがあります。 食事療法では飽和脂肪酸を減らし、食物繊維を積極的に摂取することが大切です。 運動療法では、週に150分以上の有酸素運動を行うようにしましょう。
LDLコレステロール値は、血液検査で測定できます。 健康診断などで定期的に検査を受け、数値が高い場合は当院までご相談下さい。

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