「高血圧」と聞くと健康診断で引っかかった経験や、親世代の病気と思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし近年では若年層での発症も増加傾向にあります。
高血圧は放置すると脳卒中や心臓病など、命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、日本人の3人に1人が高血圧または高血圧予備軍と言われています。
この記事では、高血圧の原因となるさまざまな要因を解説し、日々の生活の中でできる予防策について詳しく紹介します。自分の生活習慣を見直し、健康的な生活を送るためのヒントを見つけてください。
大石内科循環器科医院では、高血圧の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。
高血圧の主な原因は以下のとおりです。
遺伝的な要因から日々の生活習慣、そして加齢による体の変化まで、さまざまな要素が絡み合っています。ご自身の生活習慣を振り返りながら、高血圧の予防・改善のヒントを見つけていきましょう。
高血圧は、遺伝的な影響を強く受ける病気です。ご両親が高血圧の場合、お子さんも高血圧になりやすい傾向があります。血圧を調整する仕組みに関わる遺伝子が親から子へと受け継がれるためです。両親ともに高血圧の場合、お子さんが高血圧になる確率は約50%、片親が高血圧の場合は約30%と言われています。
毎日の生活習慣は、高血圧の発症・進行に大きな影響を与えます。中でも、食生活、運動、喫煙、飲酒は高血圧との関連が特に深く、注意が必要です。
塩分の摂りすぎは高血圧の主要な原因であり、日本人の平均食塩摂取量は約10gで、推奨される6g未満を大きく上回っています。特に外食や加工食品を多く摂る人は注意が必要です。適度な運動は血圧を下げる効果があり、心臓機能を強化し、血管を拡張します。1日30分のウォーキングや軽いジョギングが推奨されています。喫煙はニコチンにより血管を収縮させ、高血圧リスクを高めます。禁煙は重要な対策です。過度な飲酒も血圧上昇の要因となるため、男性は1日20g、女性は10g程度の適量を守ることが大切です。
年齢を重ねると、血管も老化し、硬くもろくなっていきます。動脈硬化と呼ばれ、血管の壁が厚く硬くなることで、血管の弾力性が失われ、血液が流れにくくなる現象です。血管が硬くなると、心臓はより強い力で血液を送り出さなければならず、血圧が上昇しやすくなります。
血管の老化は自然な老化現象ですが、生活習慣の改善によって進行を遅らせることは可能です。血管の老化は高血圧だけでなく、動脈硬化や他の血管系の病気のリスクも高めます。
遺伝や生活習慣以外にストレス、睡眠不足、肥満なども高血圧の要因として考えられます。
ストレスは交感神経を活発にし、血管を収縮させて血圧を上昇させます。完全にストレスをなくすのは難しいですが、上手に解消し、心身のリラックスを心がけることが重要です。睡眠不足も同様に交感神経を刺激し、血圧を上げる可能性があります。
良質な睡眠を確保することが大切です。肥満は高血圧などの生活習慣病リスクを高め、特に内臓脂肪が多いと血圧が上がりやすくなります。バランスの取れた食事と適度な運動で適正体重を維持しましょう。
高血圧について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について
高血圧の対策として日常生活でできることは以下のとおりです。
食生活の改善は、高血圧対策の基本です。塩分の摂りすぎは血圧を上昇させる大きな原因となります。塩分を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が高まり、喉の渇きを感じやすくなります。
そして水分を多く摂るようになり、体内の水分量が増加することで血液量が増え、血管の壁にかかる圧力が高まり、血圧が上昇してしまうのです。
1日の目標塩分摂取量は6g未満です。外食や加工食品は塩分が多くなりがちなので、できるだけ控えましょう。栄養成分表示をよく見て、塩分の少ない食品を選ぶように心がけてください。
家庭で料理をする際は、薄味を心がけ、香辛料やハーブ、だしなどを活用して風味を豊かにすることで、少ない塩分でも美味しく食べられます。
バランスの良い食事を摂ることも大切です。野菜や果物には、血圧を下げる効果のあるカリウムが豊富に含まれています。カリウムは体内の余分なナトリウムを排出する働きがあるため、血圧を下げる効果が期待できます。食物繊維も、血圧を下げる効果が期待できます。
魚に含まれるEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸も、血圧を下げる効果があると言われています。肉類は脂肪分の少ないものを選び、摂りすぎに注意しましょう。例えば鶏肉の皮を取り除いたり、豚肉の赤身を選んだりすることで、脂肪の摂取量を減らすことができます。
適度な運動は、血圧を下げるだけでなく、ストレス軽減や体重管理にも効果的です。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなど、無理なく続けられる運動を見つけましょう。運動は、心臓のポンプ機能を強化し、血管を拡張させる作用があるため、血圧を下げる効果があると考えられています。
運動は、1回30分程度、週に3~4回を目安に行うといいです。激しい運動は逆効果になる場合もあるので、自分のペースで続けましょう。ウォーキングを始める場合、最初のうちは10分程度から始め、徐々に時間を延ばしていくことを検討してください。散歩や軽いストレッチなども効果的です。
継続することで効果が出るので、焦らずに少しずつ体を動かしましょう。
睡眠不足やストレスは、血圧を上昇させる原因です。質の良い睡眠を十分にとることは、高血圧の予防につながります。毎日同じ時間に寝起きし、7~8時間程度の睡眠時間を確保しましょう。寝る前にカフェインを摂ることは避け、リラックスできる環境を作ることも大切です。ぬるめのお風呂に入ったり、アロマを焚いたりするのも効果的です。
ストレスをため込まないことも重要です。ストレスは自律神経のバランスを崩し、血圧を上昇させる可能性があります。趣味やリラックスできる時間を持つ、友人や家族と過ごすなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させる大きな原因となります。タバコに含まれるニコチンは、交感神経を刺激し、血管を収縮させる作用があるため、血圧を上昇させます。動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。禁煙は高血圧対策だけでなく、健康体の維持にとって重要です。
禁煙することで、血管への負担を軽減し、血圧を下げる効果が期待できます。さらに、禁煙は肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患のリスクを減らすことにもつながります。
高血圧の治療には、以下を用いることをおすすめします。
家庭血圧測定は、高血圧の管理に役立ちます。毎日血圧を測ることで、自分の血圧の状態を把握し、治療の効果を確認できます。病院で測定するよりもリラックスした状態で測定できるため、より正確な血圧値を把握できる可能性があります。「白衣高血圧」といって、病院では緊張して血圧が高くなってしまう方もいます。
家庭血圧測定では「白衣高血圧」のように病院で血圧が高く出るケースとは異なり、日常に近い血圧を把握できます。病院では血圧が正常で家庭で高くなる「仮面高血圧」も存在するため、家庭での測定は重要です。
正しい測定方法で測らないと、実際の血圧と異なる値が出てしまう可能性があります。以下のポイントに注意して測定しましょう。
高血圧の治療は、一度薬を飲み始めたら終わりではありません。高血圧は生活習慣病であり、生活習慣の改善も重要な治療の一環です。薬の効果や副作用の出方には個人差があります。そのため、定期的に病院を受診し、医師に血圧の状態や体調の変化を伝えることが大切です。
生活習慣の改善に関する具体的なアドバイスも可能です。高血圧は自覚症状がない場合が多いので、自分で判断せずに、医師の指示に従って治療を続けることが重要です。
高血圧で自覚する症状については以下の記事も合わせて参照してください。
>>高血圧の自覚症状を解説!頭痛や吐き気・肩こりが出始めたら注意
AI(人工知能)を活用した血圧管理の研究が進んでいます。Ruivo JA and Alcântara P.の研究(2012)では、運動が高血圧の予防と改善に有効であることが示唆されています。AIを活用したシステムでは、個々の患者さんの状態に合わせて、適切な運動の種類や強度を提案することも可能です。
スマートフォンアプリと連携した血圧計で測定した血圧データをAIが分析し、個々の患者さんに最適な生活習慣のアドバイスを提供するシステムなどが開発されています。AIを活用した血圧管理は、まだ発展途上の技術ですが、将来的には、より効果的でパーソナルな高血圧治療が実現すると期待されています。
高血圧は、放っておくと脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こすリスクを高める病気です。しかし、自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。
高血圧の原因は、以下のとおりです。
高血圧の対策としては、減塩やバランスの良い食事、適度な運動や規則正しい生活、禁煙などが挙げられます。血圧が高い、または高血圧が気になる方は、まずは家庭血圧測定から始めてみましょう。
毎日血圧を測ることで、自分の血圧の状態を把握できます。気になったらすぐに医療機関を受診し、医師に相談することが大切です。早期発見・早期治療で、健康な毎日を守りましょう。
大石内科循環器科医院では、高血圧の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。
Ruivo JA, Alcântara P. Hypertension and exercise. Revista portuguesa de cardiologia 31, no. 2 (2012):151-8.
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