大石内科循環器科医院

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HDLコレステロールとは?詳しく解説します

2024.08.20 生活習慣病脂質異常症

健康診断の結果で「HDLコレステロール」という項目を見たことはありませんか?「コレステロール=悪者」というイメージを持つ人も多いと思いますが、実はコレステロールには体に良い「善玉コレステロール」と体に悪い「悪玉コレステロール」の2種類があるんです。
今回は、血管の掃除屋さんとして活躍する「HDLコレステロール」について、その役割や重要性そしてHDLコレステロール値を上げるための方法を詳しく解説していきます。
HDLコレステロールは、高ければ高いほど血管が健康で心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを減らす効果が期待できます。この記事を読めばHDLコレステロールを意識した生活習慣で、健康的な毎日を送るためのヒントがきっと見つかるはずです。

HDLコレステロールとは?

健康診断の結果で「HDLコレステロール」という項目を見たことありませんか?
「コレステロール=悪者」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実はコレステロールには2種類ります。
体にとって良くない働きをする、いわゆる「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)」と体に良い働きをする「善玉コレステロール(HDLコレステロール)」です。
今回は善玉コレステロールとも呼ばれる「HDLコレステロール」について、詳しく解説していきます。

HDLコレステロールの役割と重要性

HDLコレステロールは体の中にある血管を掃除してくれる、とっても頼りになる存在です。血管は、体中に栄養や酸素を届けるための大切な道路のようなものです。
しかしこの道路に悪玉コレステロールというゴミが溜まってしまうと、血液の流れが悪くなり体に様々な問題が起こってしまいます。
そこで登場するのがHDLコレステロールです。HDLコレステロールは、血管の壁にくっついてしまった悪玉コレステロールを掃除機のように吸い取り肝臓という臓器まで運んでくれます。
肝臓は体の中のゴミ処理場のような役割をしているので、HDLコレステロールのおかげで血管はいつもきれいに保たれているんです。

HDLコレステロールの正常値とは?

一般的に、血液検査でHDLコレステロール値が40 mg/dL以上であれば正常値とされています。

HDLコレステロール値の目安

数値状態
60 mg/dL以上掃除機のパワーが満タンで、血管ピカピカです。
40~60 mg/dL未満掃除機は元気に動いている状態です。
40 mg/dL未満掃除機の調子が悪いようです。生活習慣を見直してみましょう。

HDLコレステロールの値が低いと血管がゴミだらけになってしまい、病気になってしまうリスクが高くなってしまいます。
毎日の食事や運動に気を付けてHDLコレステロールを増やし、血管を健康に保つように心がけましょう。

HDLコレステロールが低い原因とは?

HDLコレステロールは血管の掃除屋さんとして、動脈硬化を防ぐ役割を担っています。しかしこのHDLコレステロールが低い状態が続くと、血管の老化が進み心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まってしまいます。
では、なぜHDLコレステロールは低くなってしまうのでしょうか?その原因を探っていきましょう。

生活習慣の影響

毎日の生活習慣の積み重ねが、HDLコレステロールの数値に大きく影響を与えます。

偏った食事

皆さんは、お掃除ロボットが部屋のゴミを集めてくれるところを想像してみてください。HDLコレステロールは、このお掃除ロボットのように体の中の悪玉コレステロールを回収する役割を担っています。しかし脂っこい食事ばかりしていると部屋中にゴミが散乱している状態になり、お掃除ロボットだけでは処理しきれなくなってしまいます。野菜や魚、海藻、きのこなど、バランスの取れた食事を心がけることは、お掃除ロボットが働きやすい環境を整えることにつながりHDLコレステロール値の改善に役立ちます。

運動不足

運動不足は、お掃除ロボットのバッテリー切れのような状態です。運動は、HDLコレステロールというお掃除ロボットの充電器のような役割を果たします。毎日少しでも良いので、体を動かす習慣を心がけましょう。デスクワークの合間に軽いストレッチをする、一駅分歩くなど日常生活の中で体を動かす工夫をすることが大切です。

喫煙

タバコの煙はまるで強力な磁石のように、悪玉コレステロールを引き寄せHDLコレステロールの働きを弱体化させてしまいます。禁煙はこの有害な磁石を取り除き、HDLコレステロールが本来の力を発揮できる環境を作るために非常に効果的です。

遺伝的要因

生まれ持った体質も、HDLコレステロール値に影響を与える要因の一つです。

遺伝

遺伝的にHDLコレステロールを作り出す力が、弱い体質の方もいます。これは工場の生産ラインで例えると、生まれつきHDLコレステロールを作るラインの数が少ないようなイメージです。しかし、だからといって諦める必要はありません。生活習慣の改善や場合によっては医師の指導のもと薬物療法を取り入れることで、HDLコレステロール値を改善できる可能性は十分にあります。

病気や薬剤の影響

特定の病気や薬の影響で、HDLコレステロールが減少してしまうことがあります。

糖尿病

高血糖状態が続くとHDLコレステロールが糖化という現象を起こし、本来の働きができなくなってしまいます。これはまるでお掃除ロボットに砂糖水を浴びせかけるようなもので、故障の原因となってしまいます。

肝臓疾患

肝臓はHDLコレステロールを含む様々な物質の合成や分解を担う、いわば体内の化学工場です。肝臓疾患になるとこの工場の機能が低下し、HDLコレステロールの生産量が減ってしまうことがあります。

薬の影響

一部の薬には、HDLコレステロールを下げる副作用があります。服用中の薬がある場合は、自己判断で中断しないで必ず医師に相談しましょう。

HDLコレステロールを上げるための方法

HDLコレステロールを増やすことは、血管を掃除してくれる「掃除屋さん」を増やすようなものです。 掃除屋さんが元気に働いてくれれば、血管はいつもピカピカで健康な状態を保つことができます。 では一体どのようにすれば、HDLコレステロールを増やせるのでしょうか?

食事療法

食事は体を作るための材料となるだけでなく、HDLコレステロールを増やすためにもとても重要です。 毎日の食事の中で少し意識を変えるだけで、HDLコレステロールを増やすことができるのです。

良い油を積極的に摂りましょう

HDLコレステロールを増やすには「不飽和脂肪酸」と呼ばれる油を積極的に摂ることがおすすめです。 オリーブオイル・アボカド・青魚などに多く含まれています。
例えばパンにオリーブオイルをつけて食べたりサラダにナッツ類をトッピングしたり、夕食に焼き魚を食べるなど毎日の食事に簡単に取り入れることができます。
反対に「飽和脂肪酸」と呼ばれる油は、摂りすぎるとHDLコレステロールを減らしてしまう可能性があります。 飽和脂肪酸は肉類の脂身・バター・ラードなどに多く含まれています。 これらの食品を食べる際は、量を控えめにするなどの工夫を心がけましょう。
油の種類を意識することはHDLコレステロールを増やすだけでなく、健康的な食生活を送る上でも大切なポイントです。

食物繊維をたっぷり摂りましょう

食物繊維は腸内環境を整え、HDLコレステロールを増やす効果も期待できます。 食物繊維を多く含む食品としては、野菜・海藻・きのこなどがあります。
イメージとしては、食物繊維はまるで腸のお掃除屋さんです。 腸の中をキレイに掃除してくれるので栄養の吸収が良くなったり、HDLコレステロールが増えやすくなったりするのです。
目標としては、1日に野菜を350g以上食べるように心がけましょう。 野菜炒め・サラダ・味噌汁など、様々な料理で野菜をたっぷり摂るように工夫してみましょう。

お酒は控えめに

お酒を飲みすぎると、HDLコレステロール値が低下してしまう可能性があります。 適量を守って楽しむようにしましょう。
お酒を飲む席では、おつまみにも気を配ることが大切です。 枝豆や豆腐など、低カロリーで栄養価の高いものを選ぶように心がけましょう。

油の種類多く含まれる食品HDLコレステロールへの影響
不飽和脂肪酸オリーブオイル、サラダ油、魚の油、ナッツ類増加
飽和脂肪酸トランス脂肪酸減少または変化なし
トランス脂肪酸マーガリン、ショートニング減少

適度な運動

運動不足はHDLコレステロールを減らしてしまうだけでなく、様々な病気のリスクを高める可能性があります。 毎日、無理なく続けられる運動習慣を身につけましょう。

有酸素運動を取り入れよう

軽い負荷で、長く続けられる運動を「有酸素運動」と言います。 具体的には、ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどが挙げられます。
これらの運動を1回30分程度、週に3〜5回を目安に行うと良いでしょう。 運動を始めるときは急に激しい運動をするのではなく、ご自身の体力レベルに合わせて徐々に強度や時間を増やしていくようにしましょう。

筋トレも効果的

腕立て伏せやスクワットなどの筋トレは、筋肉量を増やし基礎代謝を上げる効果があります。 基礎代謝が上がると、エネルギー消費量が増えHDLコレステロール値の増加にも繋がります。
週に2〜3回を目安に、無理のない範囲で行いましょう。

日常生活の中で体を動かすことを意識しよう

エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使うようにしたり一駅分歩いてみたりするのも効果的です。 日常生活の中で、こまめに体を動かすことを意識してみましょう。

HDLコレステロールと健康の関係

HDLコレステロールは体にとって良い働きをするコレステロールとして知られていますが、健康全体とどのように関わっているのでしょうか?ここではHDLコレステロールが私たちの体を守ってくれるメカニズムについて、詳しく見ていきましょう。

心臓病との関連性

HDLコレステロールは血管の壁に溜まった悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を回収し、肝臓に運んで処理する役割を担っています。動脈硬化は血管にLDLコレステロールが溜まり、血管が硬く狭くなってしまう病気です。HDLコレステロールは、このLDLコレステロールを回収してくれるため「血管のお掃除屋さん」とも呼ばれています。
例えば、血管を家の水道管に例えてみましょう。水道管に汚れが溜まると、水の流れが悪くなってしまいます。同じように血管にLDLコレステロールが溜まると、血液の流れが悪くなり心臓に負担がかかってしまいます。HDLコレステロールは水道管を掃除してくれる掃除屋さんのように、血管に溜まったLDLコレステロールを取り除き血液の流れをスムーズにする働きがあるのです。
HDLコレステロール値が高い人ほど、動脈硬化や心臓病のリスクが低いという研究結果が出ています。逆にHDLコレステロール値が低い人は、動脈硬化や心臓病のリスクが高くなってしまいます。

他の健康リスクへの影響

HDLコレステロールは心臓病以外にも、様々な病気のリスクを減らす効果があることが分かっています。
例えばHDLコレステロールには、抗酸化作用があります。抗酸化作用とは身体の細胞を傷つけ、老化や様々な病気の原因となる活性酸素から体を守る働きのことです。活性酸素はタバコの煙や排気ガス、紫外線、ストレスなど様々な原因で発生します。HDLコレステロールはこの活性酸素を除去することで、細胞を守り健康を維持する効果があると考えられます。
またHDLコレステロールは、血管の炎症を抑える働きもあるとされています。炎症とは体を守るための免疫反応の一つですが、過剰な炎症は血管を傷つけ動脈硬化を進行させる原因となります。HDLコレステロールはこの炎症を抑えることで、動脈硬化の予防にも役立っていると考えられています。

健康寿命との関係

健康寿命とは「健康上の問題がなく、日常生活を制限なく送れる期間」のことです。平均寿命が延びた現代において、健康寿命をいかに延ばすかが重要視されています。HDLコレステロールは、この健康寿命を延ばす可能性も秘めていると言われています。
HDLコレステロールが高い人ほど、健康寿命が長いという研究結果があります。これはHDLコレステロールが心臓病やその他の病気のリスクを減らすことで、健康な状態を長く保つのを助けているためと考えられています。
健康寿命を延ばすためには、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙など、健康的なライフスタイルを心がけることが大切です。その上でHDLコレステロールを意識した生活習慣を取り入れることで、より健康で長生きを目指せるかもしれません。

まとめ

HDLコレステロールは血管を掃除する「善玉コレステロール」と呼ばれ、動脈硬化や心臓病のリスクを減らす効果があります。健康診断で測定される重要な指標です。
HDLコレステロールを高く保つためには、食事療法、運動、禁煙など生活習慣の改善が重要です。食事では青魚、オリーブオイル、ナッツ類など、不飽和脂肪酸を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。また運動不足解消のため、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を取り入れることも有効です。
HDLコレステロール値が低い場合は動脈硬化や心臓病のリスクが高まるため、医師の指示に従って生活習慣を見直す必要があります。

健康診断などで、コレステロール値を指摘されてお悩みなら当院へご相談ください。

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