大石内科循環器科医院

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内臓脂肪を減らすための方法やその効果と注意点を解説

2024.10.18 肥満生活習慣病

お腹の周りが気になる、健康診断でメタボと指摘された経験はありませんか?実は、お腹の脂肪には体を守る皮下脂肪と、健康を脅かす内臓脂肪の2種類があります。内臓脂肪は見た目では分かりにくいですが、増えすぎると糖尿病や心臓病などの生活習慣病のリスクが増します。

この記事では、内臓脂肪の特徴と健康リスク、効果的な減量法、医療機関の活用方法について詳しく解説します。適切な食事管理や運動、専門家のサポートを受けることで、内臓脂肪を減らし、健康的な生活を送ることができます。内臓脂肪が気になる方は、ぜひこの記事を参考にして、今日から生活習慣の改善を始めましょう。

当院では、内臓脂肪の増加にお困りの方へアドバイスや相談も承っています。悩んでいる方は、まずは気軽に相談してください。

内臓脂肪とはお腹の奥深くにある脂肪組織

内臓脂肪とは、お腹の奥深くにある脂肪組織で、過剰に蓄積するとさまざまな健康リスクをもたらします。ここでは、内臓脂肪の定義や特徴、健康への影響について詳しく説明します。

内臓脂肪と皮下脂肪の違い

体脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。皮下脂肪は皮膚の直下にあり、触れて確認できる脂肪です。一方、内臓脂肪は腹腔内の臓器の周囲に蓄積する脂肪で、外から触れることはできません。

脂肪の役割や皮下脂肪と内臓脂肪で異なります。

  • 皮下脂肪:エネルギー貯蔵、体温調節、外部衝撃からの保護
  • 内臓脂肪:本来は内臓保護の役割があるが、過剰蓄積は健康リスクになる

内臓脂肪が引き起こす健康リスク

内臓脂肪の過剰蓄積は、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。以下に内臓脂肪の蓄積により起こり得る健康問題を記載しています。

  • 血中脂質異常:内臓脂肪は活性が高く、簡単に分解されて血中に放出されるため、血中の悪玉コレステロールを増加させる
  • インスリン抵抗性:内臓脂肪の増加は、インスリンの働きを阻害し、血糖値のコントロールを困難にする
  • 炎症反応:内臓脂肪細胞は炎症性物質を分泌し、慢性的な低レベルの炎症状態を引き起こす

これらの要因により、次のような生活習慣病のリスクが高くなります。

  • 2型糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 動脈硬化
  • 心臓病
  • 脳卒中

どの病気も生活に支障をきたすので、普段の生活習慣から気をつける必要があります。

内臓脂肪の測定方法と基準

内臓脂肪量の正確な測定には、CTスキャンやMRIなどの画像診断が必要ですが、費用と被曝の問題があります。そのため、日常的に行える腹囲測定が簡便な指標として使用されます。

腹囲測定の手順は以下のとおりです。

  1. 立ち位置で自然に呼吸する
  2. へその高さで水平に測定
  3. 軽く息を吐いた状態で測定

内臓脂肪蓄積の目安は以下のとおりです。

  • 男性:85cm以上
  • 女性:90cm以上

これらの値を超える場合、内臓脂肪の過剰蓄積が疑われます。あくまでも目安であり、個人差があるのに注意する必要があります。

BMIと内臓脂肪レベルの関係

BMI(ボディマス指数)は体格指数とも呼ばれ、体重と身長から計算される肥満度を表す指標です。しかし、BMIと内臓脂肪量は必ずしも一致しません。この章では、BMIと内臓脂肪の関係について詳しく説明します。

BMIの計算方法は以下のとおりです。

BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²

※BMIの判定基準(日本肥満学会による)

  • 低体重:18.5未満
  • 普通体重:18.5以上25未満
  • 肥満(1度):25以上30未満
  • 肥満(2度):30以上35未満
  • 肥満(3度):35以上40未満
  • 肥満(4度):40以上

BMIと内臓脂肪量の不一致

BMIは体重と身長のみを考慮するため、体脂肪と筋肉量の違いを区別できません。そのため、次のような場合にBMIと実際の内臓脂肪量が一致しないことがあります:

  • 筋肉質の体型:BMIが高くても内臓脂肪が少ない
    アスリートA:身長180cm、体重80kg、BMI 24.7(普通体重)、内臓脂肪が少ない傾向
  • 「隠れ肥満」:BMIが正常範囲でも内臓脂肪が多い
    サラリーマンB:身長180cm、体重80kg、BMI 24.7(普通体重)、内臓脂肪多量

上記の例では、同じBMIでも内臓脂肪量に大きな差があることがわかります。

内臓脂肪の正確な評価方法

内臓脂肪を正確に評価するには以下の方法がおすすめです。

  1. CTスキャン:腹部断層撮影で内臓脂肪面積を測定(100cm²以上で内臓脂肪型肥満)
  2. MRI:CTと同様に内臓脂肪面積を測定(被曝なし)
  3. インピーダンス法:体脂肪計で推定(簡便だが精度に限界がある)

BMIは簡便な肥満指標ですが、内臓脂肪量を正確に反映するものではありません。内臓脂肪の評価には、BMIや腹囲測定、可能であれば画像診断を組み合わせることが重要です。自分の健康状態を正確に把握するためには、定期的な健康診断を受け、必要に応じて専門医に相談することをおすすめします。

専門医が教える効果的な減量法と健康リスク

減量は健康維持のために重要ですが、適切な方法で行わないと健康リスクを伴う可能性があります。この章では、専門医の視点から効果的な減量法と注意すべき健康リスクについて解説します。

効果的な減量法

効果的な減量法は、意識することでだれでも実践可能です。ぜひ以下の項目をチェックして、普段の生活に取り入れましょう。

項目方法
バランスの取れた食事・十分な野菜摂取(1日350g以上)
・適切なタンパク質摂取(体重1kgあたり1.0〜1.2g)
・糖質と脂肪の適度な制限
規則正しい食生活・1日3食をしっかり摂る
・間食を控える
・夜遅くの食事を避ける
適度な運動・有酸素運動:週3〜5回、1回30分以上
・筋力トレーニング:週2〜3回
睡眠の質の向上・7〜8時間の十分な睡眠
・規則正しい就寝
・起床時間
ストレス管理・リラックス法の実践(深呼吸、瞑想など)
・趣味や社会活動への参加

これらの方法を組み合わせることで、健康で持続可能な減量が可能になります。急激な体重減少を目指すのではなく、1週間あたり0.5〜1kg程度の緩やかな減量が推奨されます。

注意すべき健康リスク

以下に急激な体重減少による健康リスクを挙げています。

  • 栄養不足:
    極端な食事制限は、ビタミン、ミネラル、タンパク質などの必須栄養素の不足を招く可能性があります。これは免疫機能の低下、貧血、骨密度の低下などにつながる恐れがあります。
  • 筋肉量の減少:
    急激な減量や不適切なダイエットは、脂肪だけでなく筋肉も失わせる可能性があります。筋肉量の減少は基礎代謝を下げ、リバウンドのリスクを高めます。
  • ホルモンバランスの乱れ:
    極端な食事制限や過度な運動は、性ホルモンや甲状腺ホルモンのバランスを崩す可能性があります。女性の場合、月経不順や無月経につながることがあります。
  • 心理的影響:
    厳しすぎるダイエットは、ストレスや不安、抑うつ症状を引き起こす可能性があります。また、摂食障害のリスクも高いです。
  • 代謝の低下:
    長期間の厳しい食事制限は、体が空腹状態に適応し、代謝を下げてしまう「適応性熱産生」を引き起こす可能性があります。これにより、減量が難しくなり、リバウンドのリスクが高くなります。
  • 胆石形成のリスク:
    急激な減量(特に1週間に1.5kg以上)は、胆石形成のリスクを高める可能性があります。
  • 電解質バランスの乱れ:
    極端な食事制限や過度な運動は、体内の電解質バランスを崩す可能性があります。これは、めまい、筋肉の痙攣、不整脈などの症状を引き起こす恐れがあります。

安全で効果的な減量のために大切なこと

以下のことに気をつけることで、より安全で効果的に減量を進めることができます。

  • 専門家に相談する:
    栄養士や医師など、専門家のアドバイスを受けることで、個人に適した安全な減量プランを立てることができます。
  • 緩やかな減量を目指す:
    急激な減量ではなく、1週間あたり0.5〜1kg程度の緩やかな減量を目指しましょう。
  • バランスの取れた食事:
    極端な食事制限ではなく、バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 定期的な健康チェック:
    減量中は定期的に健康状態をチェックし、問題がないことを確認することが重要です。
  • 無理のない運動:
    過度な運動は避け、自分のペースで続けられる運動を選びましょう。
  • 十分な水分摂取:
    適切な水分補給は、代謝を促進し、便秘を予防します。

効果的な減量には、バランスの取れた食事と適度な運動が不可欠です。同時に、急激な減量や極端な方法は避け、健康リスクに注意を払うことが重要です。個々の状況に応じた適切なアプローチを選択し、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、安全で持続可能な減量を実現できます。

医療機関の活用方法

内臓脂肪を減らすための取り組みを始める際、医療機関の活用は非常に効果的です。専門家のサポートを受けることで、より安全で効果的なアプローチが可能になります。

定期的な健康診断

まずは、定期的な健康診断を受けることが重要です。健康診断では、以下の項目をチェックします:

  • 体重・BMI
  • 腹囲測定
  • 血液検査(血糖値、中性脂肪、コレステロール値など)
  • 血圧測定

これらの検査結果を基に、自身の健康状態や内臓脂肪の蓄積度合いを正確に把握することができます。

専門医への相談

健康診断の結果、内臓脂肪の蓄積が疑われる場合は、専門医に相談することをお勧めします。専門医は以下のようなサポートを提供します。

  • 詳細な検査(必要に応じてCTスキャンやMRIなど)
  • 個人の状態に合わせた食事・運動プランの提案
  • 必要に応じて薬物療法の検討

栄養士によるカウンセリング

管理栄養士によるカウンセリングは、適切な食事管理を行う上で非常に有効です。以下のようなサポートが期待できます。

  • 個人の生活スタイルに合わせた食事プランの作成
  • 具体的な食事内容と調理方法のアドバイス
  • 定期的なフォローアップと食事内容の調整

運動指導士によるサポート

健康運動指導士による指導を受けることで、より効果的で安全な運動プログラムを実践できます。

  • 個人の体力や健康状態に合わせた運動プランの作成
  • 正しい運動フォームの指導
  • 運動の種類と強度の段階的な調整

心理カウンセリング

内臓脂肪の減少には、食事や運動だけでなく、心理的なサポートも重要です。

  • ストレス管理技法の指導
  • 食行動の改善に関するカウンセリング
  • モチベーション維持のためのサポート

肥満外来の利用

多くの医療機関では、肥満外来を設けています。肥満外来では、次のような総合的なサポートを受けることができます。

  • 医師や栄養士、運動指導士などによる多角的なアプローチ
  • 定期的な検査と経過観察
  • 必要に応じて薬物療法

内臓脂肪を減らすためには自己流でダイエットをするのではなく、医療機関の力を借りることも有効です。医師による適切な指導を受けることで、より計画的に内臓脂肪の減少に取り組むことが期待できます。医師のアドバイスを受けることで、自分では気づかなかった生活習慣の癖や、改善すべき点が見えてくることもあります。

当院では肥満(ダイエット)外来を行っております。

大石内科循環器科医院の肥満(ダイエット)外来は、医師による診察や検査による評価に基づいて以下の項目を組み合わせた肥満(ダイエット)プログラムがあります。

  • 管理栄養士による食事・栄養指導
  • 健康運動指導士による運動プログラム
  • 医師による肥満治療薬の処方

まとめ

内臓脂肪の過剰蓄積はさまざまな健康リスクをもたらします。効果的な対策には以下のポイントがあります。

  • バランスの取れた食事と適度な運動
  • 緩やかな減量(週0.5〜1kg程度)を目指す
  • 定期的な健康診断と専門家への相談
  • 医療機関の肥満外来などを活用する

内臓脂肪は健康を脅かす存在です。気になる方は放置せず、早めに専門家に相談し、適切な対策を始めることが重要です。