大石内科循環器科医院

静岡市葵区鷹匠2-6-1 新静岡駅より 徒歩3分 駐車場あり

静岡市葵区鷹匠2-6-1
054-252-0585

blog
ブログ

循環器専門医が心筋梗塞の原因を解説

2024.08.03 循環器

心臓は、私たちの体にとって欠かせない臓器です。しかし、その心臓の血管が詰まってしまう「心筋梗塞」は、命に関わる危険な病気です。近年、心筋梗塞は増加傾向にあり、特に生活習慣病との関連性が指摘されています。

心筋梗塞は、突然の激しい胸の痛み、息切れ、動悸などの症状が現れることがあります。しかし、初期症状は軽微で、見過ごしてしまうケースも少なくありません。

この記事では、循環器専門医が心筋梗塞の原因や予防方法、早期発見のためのポイントを解説します。心筋梗塞は適切な予防と早期治療によって、発症リスクを下げることができます。ご自身の健康を守るためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

心筋梗塞を引き起こす主な原因

心臓は毎日休むことなく全身に血液を送り続けている、いわば私たちの体にとって欠かせない「エンジン」です。しかし、その大切な心臓の血管が詰まってしまう病気が「心筋梗塞」です。

今回は、心臓を動かす血管が詰まってしまう病気、心筋梗塞の原因について解説していきます。

生活習慣病がもたらすリスク

心筋梗塞の原因として、まず最初に知っておいてほしいのが「生活習慣病」です。生活習慣病は毎日の食事や運動、タバコ、お酒、ストレスなどの普段の生活習慣が大きく関係している病気です。例えば、毎日スナック菓子ばかり食べていたり、ジュースばかり飲んでいるとどうなるでしょう?体に悪いことはなんとなくイメージできますよね。

このように、偏った食生活や運動不足、タバコ、お酒、ストレスなどは、まるで心臓の血管に少しずつサビを付着させるように、ダメージを与えていきます。そして、血管が硬く狭くなってしまう「動脈硬化」を引き起こす大きな原因となるのです。

動脈硬化は、血管の中にコレステロールなどが溜まって、血液の通り道が狭くなってしまう状態です。水道管を想像してみてください。水道管の内側にサビや汚れが溜まると、水の出が悪くなってしまいますよね?動脈硬化が進むと、心臓に十分な血液が届けられなくなり、最終的に心筋梗塞を引き起こしてしまうのです。

代表的な生活習慣病には、糖尿病、高血圧、脂質異常症などがあります。

糖尿病

血液中のブドウ糖(血糖値)が高い状態が続く病気です。高い血糖値が続くと血管の内側が傷つき、動脈硬化を進行させてしまいます。

高血圧

心臓が血液を送り出す時に、血管にかかる圧力が高い状態が続く病気です。高血圧の状態が続くと血管は常に高い圧力に耐えなければならず、その結果、血管が硬くなってしまいます。

脂質異常症

血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂質が、基準値よりも高い状態が続く病気です。脂質異常症があると血管の内側にコレステロールなどが溜まりやすくなり、動脈硬化を促進してしまいます。

これらの生活習慣病は、それぞれが単独で心筋梗塞のリスクを高めるだけでなく、いくつか重なってしまうことで、さらにリスクを高めることがわかっています。

遺伝的要因とその影響

心筋梗塞は生活習慣病だけでなく、生まれ持った体質も影響する病気です。両親や祖父母など血縁者に心筋梗塞や狭心症といった心臓病にかかったことのある人がいる場合、そうでない人と比べて心筋梗塞のリスクが高くなるといわれています。

これは遺伝的にコレステロールの代謝が悪くなったり、血管の構造が弱かったりする体質が親から子へと受け継がれることがあるためです。
ただし、遺伝的要因はあくまで「なりやすさ」であり「必ず発症する」わけではありません。例え心臓病の家族歴がある場合でも、生活習慣を改善することで心筋梗塞のリスクを減らすことは十分に可能です。

環境要因とストレスの関係

最近では、ストレスや睡眠不足、過労なども、心筋梗塞のリスクを高めることが明らかになってきました。ストレスを感じると、私たちの体は緊張状態になり、血管を収縮させる物質が分泌されます。すると血管が細くなってしまい、血圧が上がってしまいます。また、ストレスによって分泌されるホルモンには、血管の内側を傷つけ、炎症を起こしやすくするものもあるといわれています。

睡眠不足や過労が続くと体のリズムが乱れ、血圧や血糖値が上がりやすくなります。さらに免疫力が低下し風邪などの感染症にかかりやすくなることも、心筋梗塞のリスクを高める要因となります。
このように環境要因とストレスは、心筋梗塞のリスクを高める重要な要素と言えるでしょう。

心筋梗塞を予防するための具体的な方法

心筋梗塞は心臓の血管が詰まってしまい、心臓の筋肉に血液が行き渡らなくなる病気です。

心臓は毎日休むことなく私たちの体中に酸素や栄養を届けるために、まるでポンプのように血液を送り続けています。このポンプの働きをする心臓の筋肉に、栄養や酸素を届けているのが冠動脈と呼ばれる血管です。

もし、この冠動脈が動脈硬化によって狭くなってしまったり、完全に詰まってしまったりすると、心臓の筋肉に栄養や酸素が届かなくなってしまい、心臓の一部が壊死してしまうことがあります。これが心筋梗塞です。

心筋梗塞は命に関わることもある怖い病気ですが、生活習慣を改善することで予防することができます。

健康的な食事習慣の重要性

毎日の食事は、私たちの体を作るための基本となるものです。バランスの取れた食事を心がけることは健康な体を維持し、心筋梗塞などの病気を予防するためにとても重要です。
特に塩分・糖分・脂肪の摂り過ぎは、動脈硬化を進行させる大きな原因となります。

  • 塩分の摂り過ぎは血圧を上昇させるため、血管に負担がかかります。
    高血圧は血管の内側を傷つけ、動脈硬化を進行させる原因となります。減塩のためには醤油やソースなどの調味料を控えめにしたり、加工食品の選び方に気をつけたりすることが大切です。
  • 糖分の摂り過ぎは、中性脂肪を増やし、血液をドロドロにしやすくします。
    また肥満の原因にもなり、糖尿病のリスクを高めることにもつながります。清涼飲料水やお菓子などに含まれる糖分には注意が必要です。
  • 脂肪の摂り過ぎも血液中のコレステロールや中性脂肪を増やし、動脈硬化を促進します。
    脂肪には肉類に多く含まれる飽和脂肪酸と、魚類に多く含まれる不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸は摂り過ぎると悪玉コレステロールを増やすため、控えめにしましょう。

バランスの取れた食事とは、主食・主菜・副菜を揃えること

  • ご飯やパン、麺類などの主食は、体を動かすエネルギー源となります。
  • 肉や魚・卵・大豆製品などの主菜は、筋肉や骨、血液などを作るために必要なタンパク質を多く含みます。
  • 野菜や海藻・きのこなどの副菜は、ビタミンやミネラルが豊富です。

これらの食品をバランスよく食べることで、健康な体を維持し心筋梗塞を予防しましょう。

定期的な運動の効果

運動不足は、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病のリスクを高め、心筋梗塞のリスクを高める要因となります。逆に定期的な運動は、これらの生活習慣病の予防・改善に効果があり心筋梗塞のリスクを低下させることが期待できます。

運動には、大きく分けて2つの種類があります。

有酸素運動

呼吸をしながら長時間続ける運動のことです。ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど

無酸素運動

呼吸を止めて行う短時間の激しい運動のことです。筋トレ、短距離走など

有酸素運動には脂肪を燃焼させて体重を減らす効果や、心肺機能を高める効果があります。心肺機能が高まると、心臓が効率よく血液を送り出すことができるようになり、心筋梗塞の予防に効果的です。

無酸素運動には筋肉量を増やして基礎代謝を上げる効果や、骨を丈夫にする効果があります。基礎代謝が上がると、太りにくい体になります。

運動を始めるにあたっては、下記に注意してください。

  • 無理のないペースで始めること
  • 自分の体力に合った運動を選ぶこと
  • 体調が悪い時は無理をしないこと

最初は軽い運動から始め、徐々に運動強度や時間を増やしていくようにしましょう。

禁煙と飲酒制限の必要性

タバコは心筋梗塞を含む、様々な病気のリスクを高めることが知られています。タバコの煙に含まれるニコチンは、血管を収縮させ血圧を上昇させる作用があります。また一酸化炭素は、血液中の酸素運搬能力を低下させます。これらの作用により心臓に大きな負担がかかり、心筋梗塞のリスクを高めることにつながります。

また喫煙は、動脈硬化を促進する作用もあります。タバコの煙に含まれる有害物質は、血管の内側に炎症を起こし動脈硬化を進行させます。

飲酒は適量であれば問題ありませんが、過度な飲酒は心筋梗塞のリスクを高めます。過度な飲酒は血圧を上昇させ心臓に負担をかけるだけでなく、心臓の筋肉に直接悪影響を及ぼし心筋梗塞のリスクを高める可能性があります。

禁煙と飲酒制限は心筋梗塞だけでなく、様々な病気の予防に効果があります。ご自身の健康のために、禁煙に取り組む、または飲酒量を減らすことを検討してみてはいかがでしょうか。

心筋梗塞の症状を早期に発見するためのポイント

「心筋梗塞」は心臓の血管が詰まってしまい、心臓の筋肉に血液が行き渡らなくなる病気です。 突然死のリスクもある怖い病気ですが、早期発見・早期治療によって助かる可能性が高まります。

心筋梗塞は、決して他人事ではありません。私の患者さんの中にも、普段は元気だった方が、ある日突然激しい胸の痛みを訴え、心筋梗塞と診断されるケースが少なくありません。心筋梗塞の初期症状を見逃さないためのポイントを解説します。

急な胸の痛みとそのサイン

心臓の血管が詰まってしまうと、心臓は「痛いよ!助けて!」と悲鳴をあげます。。その悲鳴が「胸の痛み」という形で私たちに SOS シグナルを送ってくるのです。
心筋梗塞の胸の痛みは、普段感じるような軽い痛みとは全く違います。「今まで経験したことのないような、強烈な痛み」と表現する患者さんがほとんどです。

どんな痛みがするの?

痛みの感じ方は人それぞれですが、患者さんの訴えで多いのはこうした痛みです。

  • 「胸をギューッと締め付けられるような痛み」
  • 「重たいものでグッと押さえつけられているような痛み」
  • 「胸の奥を焼かれているような、熱い痛み」

痛みが起こる場所は?

  • 胸の中央
  • 左側
  • みぞおち
  • 背中
  • 左肩や腕

など様々な場所に現れます。心臓は体の奥にあるため、痛みも漠然とした感覚として感じることが多いです。

いつ痛みが起こるの?

痛みの出方にも特徴があります。

  • 安静時や睡眠中:心臓に負担がかかっていない時でも、血管が詰まっていると痛みが生じます。
  • 運動時:心臓に多くの酸素が必要となる運動時に、血管が詰まっていると痛みが出やすくなります。

危険信号を見逃さないで

胸の痛みと共に下記などの症状が現れたら、一刻を争う状態かもしれません。迷わずに救急車を呼びましょう。

  • 冷や汗が出る
  • 吐き気がする
  • 息が苦しい
  • 顔が青白い

息切れや動悸の観察

心筋梗塞の初期症状は、激しい胸の痛みだけではありません。「息切れ」や「動悸」も重要なサインとなります。

こんな息切れは要注意

  • 階段を上るだけで息が切れるようになった
  • 少し歩いただけで息苦しさを感じるようになった
  • 以前は楽にできていた運動が、今は息苦しくてできない

動悸にも注意が必要

  • 心臓がドキドキする
  • 脈が速く、乱れているように感じる

息切れや動悸を感じやすい場面

  • 運動時:心臓に負担がかかっている
  • 入浴後:体が温まり、血管が拡張している
  • 食後:消化のために血液が胃腸に集中している
  • ストレスを感じた時:交感神経が緊張し、心臓が活発に動いている
  • 睡眠時:副交感神経が優位になり、心拍数が低下しやすいため、わずかな異常でも自覚症状が出やすい

「あれ?いつもより息切れしやすいな」「最近、動悸が気になるな」と感じたら決してそのままにせず、医療機関を受診しましょう。

他の身体症状との関連性

心筋梗塞は心臓だけでなく、全身に様々な影響を及ぼすことがあります。そのため胸の痛みや息切れ、動悸以外にも以下のような症状が現れることがあります。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 冷や汗
  • 顔面蒼白
  • めまい
  • ふらつき
  • 強い不安感
  • 恐怖感

これらの症状は他の病気でも見られることが多いため、見過ごされる可能性があります。しかし、心筋梗塞は時間との勝負です。「いつもと何か違う」「なんとなくおかしい」と感じたら、自己判断せずに、医療機関を受診することが大切です。

まとめ

心筋梗塞は心臓の血管が詰まる病気で、命に関わる可能性もあるため早期発見が重要です。主な原因は生活習慣病で、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが挙げられます。遺伝や環境要因も影響し、ストレスや睡眠不足もリスクを高めます。予防には、バランスの良い食事、定期的な運動、禁煙、飲酒制限が有効です。心筋梗塞の症状は、激しい胸の痛み、息切れ、動悸などが挙げられます。

当院では循環器専門医として、たくさんの心筋梗塞の患者様の治療をしてきました。何か不安な症状がある方はぜひ当院にご相談下さい。



大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585

Google Maps