大石内科循環器科医院

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【循環器専門医が解説】高齢者のむくみは病気のサイン?

2024.09.10 むくみ

「夕方になると靴がきつくなる」「指輪が抜けにくい」と感じたことはありませんか?

これらの症状は、もしかしたらむくみが原因かもしれません。特に高齢者は、加齢に伴い体の機能が低下し、むくみが生じやすくなるため注意が必要です。 高齢者のむくみは単なる老化現象ではなく、心臓病や腎臓病など重大な病気のサインである可能性も。

この記事では高齢者のむくみの原因や種類、そして改善策について詳しく解説します。 「いつものむくみ」と安易に考えていませんか? 体のサインを見逃さないように、今すぐチェックしてみましょう。

大石内科循環器科医院では、循環器内科としてむくみの診療をしております。便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。

高齢者のむくみの原因と種類

「夕方になると靴がきつくなる」「指輪が抜けにくい」なんてこと、ありませんか?それはもしかしたら、むくみが原因かもしれません。特に高齢者の場合、加齢に伴って体の機能が低下し、むくみが生じやすくなるため注意が必要です。

若い頃は徹夜明けや塩分の摂り過ぎで顔がむくむことはあっても、一晩寝ればすっかり元通りなんてことも多かったでしょう。しかし高齢になると、そう簡単にはいきません。

年齢を重ねると水分をため込みやすくなるため、むくみが生じやすくなるのです。さらに高齢者のむくみは加齢による体の変化だけでなく、重大な病気が隠れているサインである可能性も少なくありません。

病気によるむくみの種類

むくみには大きく分けて病気によるものと、そうでないものがあります。病気によるむくみは、体からの重要なサインです。

例えば心臓は体中に血液を送り出すポンプの役割を担っていますが、心臓の機能が低下すると全身に血液を送り出すことができなくなり血液が滞ってしまうことがあります。すると心臓から遠い足など体の低い場所に水分がたまりやすくなり、むくみが生じるのです。

また、腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する働きをしています。腎臓の機能が低下すると体内の水分調節がうまくいかなくなり、むくみが現れやすくなるのです。

さらに、肝臓は血液中のタンパク質を作る役割を担っていますが、肝臓の機能が低下すると血液中のタンパク質が減少し水分を保持する力が弱まります。むくみが生じやすくなるのです。

このように、むくみの出方や特徴は、原因となる病気によってさまざまです。

病気むくみの特徴具体的な症状例
心臓の病気全身がむくみ、特に夕方になると足がむくみやすい。息切れや動悸を伴うことも。夕方になると靴がきつくなったり、靴下の跡がくっきり残ったりする。少し動いただけで息切れがする。
腎臓の病気まぶたや顔、特に朝方にむくみやすい。尿の色が変化したり、尿の量が減ったりすることも。朝、顔がパンパンに腫れぼったい。尿が泡立つ、色が濃くなる、量が減る。
肝臓の病気お腹に水が溜まり、お腹が張る。黄疸や食欲不振を伴うことも。お腹が膨らんでくる。皮膚や白目が黄色くなる。食欲がなく、吐き気がする。

このように、むくみは体の様々な病気が原因で起こる可能性があります。「いつものむくみ」とは違うと感じたら、自己判断せずに当院へ受診ください。

食生活や生活習慣が影響するむくみ

病気以外でむくみが起こる原因として、塩分の摂り過ぎや水分不足、運動不足などの生活習慣が挙げられます。

  • 塩分の摂り過ぎは、体内の水分バランスを崩し、むくみを引き起こします。
    例えば、塩分の多い食事を続けると血液中の塩分濃度が高くなり、それを薄めようと体が水分を溜め込んでしまいます。これは、まるで濃い塩水に水を足して薄めているような状態です。その結果、体内の水分量が増え、むくみが生じてしまうのです。
  • 水分不足になると、体は水分を溜め込もうとして、むくみやすくなります。
    「むくみたくないから水を控えている」という方がいますが、これは逆効果です。水分不足になると体は防御反応として少ない水分を溜め込もうとするため、むくみが悪化してしまう可能性があります。
  • 運動不足は、血液循環が悪くなり、むくみの原因となります。
    運動不足になると足の筋肉を使わなくなるため、心臓へ血液を戻すポンプ機能が低下し血液循環が悪くなります。その結果、足に血液が滞りやすくなり、むくみが生じやすくなってしまうのです。

これらの生活習慣を見直すことで、むくみの予防・改善が期待できます。

メディカルチェックの重要性

高齢者のむくみは、重大な病気が隠れているサインかもしれません。特に今までに経験したことのないむくみや、他の症状を伴う場合は注意が必要です。

例えば今まで足首にわずかにむくみがみられる程度だったのが、急に膝までむくむようになった場合や息切れや動悸、尿の異常、体重増加などの症状を伴う場合は、注意が必要です。

むくみは、体が発する重要なサインです。「年のせいだから」「仕方がない」と安易に考えず、体のサインを見逃さないようにしましょう。自己判断は危険ですので、医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。早期発見、早期治療のためにも、定期的な健康診断やメディカルチェックを受けることが大切です。

高齢者のむくみが示す可能性のある病気

「いつものむくみ」だと思って軽く見ていませんか?実は高齢者のむくみは、体のSOSサインかもしれません。

心臓疾患の兆候としてのむくみ

心臓は、まるで体中に血液を送り出すポンプのようなものです。しかし加齢や生活習慣の影響で、このポンプの力が弱まってしまうことがあります。すると血液をスムーズに送り出せなくなり、静脈に血液が滞ってしまうのです。

特に心臓の右心室の機能が低下すると全身への血液循環が悪くなり、足首や足の甲など体の低い場所にむくみが現れやすくなります。

心臓病によるむくみは夕方になると悪化し、朝になると軽くなるという特徴があります。これは日中は活動によって心臓に負担がかかり、夜間は横になることで心臓の負担が軽減されるためです。

例えば私が診察した患者さんで、夕方になると靴がきつくなってしまうという方がいました。詳しくお話を伺うと、息切れや動悸も感じるとのことでした。そこで心臓の検査を行ったところ、心臓弁膜症という心臓病が見つかりました。心臓弁膜症は心臓の弁が正常に機能しなくなる病気で、心臓のポンプ機能を低下させる原因となります。

このように心臓病によるむくみは自覚症状がない場合でも、他の症状と合わせて現れることがあります。

腎臓の問題とむくみの関係

腎臓は血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として排出する、まるで体内の浄水器のような役割を担っています。しかし腎臓の機能が低下すると、この浄水器のフィルターが目詰まりを起こし体内の水分や塩分をうまく排出することができなくなります。その結果、体内に余分な水分が溜まってしまい、むくみが生じてしまうのです。

腎臓病によるむくみは、顔やまぶたなど、皮膚の薄い部分に現れやすいという特徴があります。例えば、朝起きた時に「まぶたが腫れぼったくてなかなか目が開かない」という経験はありませんか?これは、腎臓病の初期症状である可能性があります。

健康な方であれば睡眠中に体内の水分は腎臓で処理され、朝にはすっきりとした顔で目覚めることができます。しかし腎臓に問題があると夜間にうまく水分を排出することができず、朝になっても顔やまぶたにむくみが残ってしまうのです。

また尿の色や量、回数に変化が見られることもあります。健康な方の尿は薄い黄色で透明ですが、腎臓病になると、尿の色が濃くなったり濁ったり泡立ちやすくなったりすることがあります。また尿の量が減ったり、逆に頻繁にトイレに行くようになることもあります。

内分泌系の疾患が引き起こすむくみ

甲状腺は喉仏の下にある蝶ネクタイのような形をした小さな臓器ですが、体の代謝を調節する重要なホルモンを分泌しています。この甲状腺ホルモンは体のエンジンをコントロールするアクセルのような役割を果たしており、代謝を活発にしてエネルギーを作り出す働きをしています。

しかし、甲状腺機能低下症になると、この甲状腺ホルモンの分泌量が減少し体の代謝が低下します。すると、まるでエンジンの回転数が落ちてしまった車のように体内の水分をうまく排出することができなくなり、むくみが生じてしまうのです。

甲状腺機能低下症によるむくみは全身にわたって現れ、皮膚が乾燥したり冷えを感じたりすることもあります。

例えば最近、体がだるい、疲れやすい、体重が増加した、寒がりになったなどの症状はありませんか?これらの症状に加えて、むくみがみられる場合は甲状腺機能低下症の可能性があります。

甲状腺機能低下症は比較的よくみられる病気ですが、早期に発見して適切な治療を行うことで症状を改善することができます。

高齢者のむくみの改善法と予防策

むくみは、体からのサインです。「年のせいだから」「仕方がない」と安易に考えず、適切な対策を心がけましょう。ここでは毎日の生活の中で、簡単にできるむくみ対策をご紹介します。

日常生活でできるむくみ改善の工夫

むくみを改善するために、まずは日常生活のちょっとした心がけが大切です。

塩分控えめな食事を心がけましょう

塩分の摂り過ぎは、むくみの大きな原因の一つです。塩辛いものを食べると、喉が渇きますよね?これは、体が水分を欲しているサインです。塩分を摂りすぎると血液中の塩分濃度を一定に保とうとして、体は水分を溜め込もうとします。

例えば、ラーメンのスープを全部飲んでしまうと、体の中に多くの塩分が入り込みます。すると、その塩分を薄めようとして体は水分を溜め込み、むくみにつながってしまうのです。

減塩のコツとしては、だし汁や香辛料をうまく活用したりカリウムを多く含む食材を積極的に摂ったりするなど工夫してみましょう。

食材カリウム含有量(mg/100g)
パセリ730
ひじき(乾燥)540
わかめ(乾燥)420
バナナ360
アボカド480

これらの食材を、毎日の食事に少しずつ取り入れてみましょう。

こまめな水分補給を心がけましょう

「むくみが気になるから」と水分を控えるのは逆効果です。体内の水分量が不足すると、体は防御反応として、少ない水分を溜め込もうとしてしまいます。

喉が渇いていなくても、こまめに水分を摂ることが大切です。特に起床後、入浴後、就寝前は意識して水分補給をしましょう。お茶や水はもちろん、スープなどもおすすめです。

適度な運動を習慣にしましょう

運動不足は血液循環が悪くなり、むくみの原因となります。運動すると筋肉がポンプのような役割をして、血液を心臓に戻してくれます。

激しい運動である必要はありません。1日30分程度のウォーキングでも効果があります。例えば家の周りを少し散歩したり、買い物ついでに遠回りしたりするのも良いでしょう。

足を心臓より高くして休みましょう

日中、座っている時間が長い方は、こまめに足を上げて休憩しましょう。クッションや台などを使い足を心臓より高くすることで血液の循環が促進され、むくみの改善に役立ちます。

弾性ストッキングの活用も有効です

弾性ストッキングは脚に適度な圧力をかけることで、静脈の血流を促進し、むくみを予防・改善する効果があります。立ち仕事やデスクワークなど、長時間同じ姿勢でいることが多い方におすすめです。

ストレッチや運動の具体例

むくみ解消には、ストレッチや運動も効果的です。 ここでは、高齢者の方でも簡単に行えるストレッチと運動の例をご紹介します。

ストレッチの例
  • ふくらはぎのストレッチ
    壁に手をついて、片足を後ろに引いてアキレス腱を伸ばします。このとき、かかとが床から離れないように意識しましょう。
  • 足首のストレッチ
    椅子に座り、片足をもう一方の足の膝の上に乗せます。足首をゆっくりと回したり、上下に動かしたりしましょう。
運動の例
  • つま先立ち運動
    イスの背もたれなどに掴まり、ゆっくりとつま先立ちになりましょう。これを数回繰り返します。
  • ウォーキング
    無理のないペースで、1日30分程度を目安に歩きましょう。正しい姿勢を意識することが大切です。
  • 水中ウォーキング
    水の中は浮力が働くため、足腰への負担が軽減されます。プールの中で歩く水中ウォーキングは、高齢者の方でも安全に行える運動です。

まとめ

高齢者のむくみは加齢による体の変化だけでなく、心臓病、腎臓病、甲状腺機能低下症など、様々な病気が隠れている可能性があります。

むくみは、体のSOSサインです。「いつものむくみ」だと思って軽く見ていると、病気が悪化する可能性もあります。

むくみが気になる場合は、循環器内科として経験豊富な当院にご相談ください。問診や検査を通して、むくみの原因を特定し適切な治療を行います。



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