健康診断で「血圧の下が高い」と言われても、自覚症状がないため気にしていない方も多いのではないでしょうか。しかし、この状態を放置すると、動脈硬化のリスクが高まり、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患を引き起こす可能性があります。
本記事では、下の血圧(拡張期血圧)が高い状態の危険性や原因、そして具体的な対策方法を最新の医学的知見にもとづいて解説します。記事を読めば、血圧を下げる生活習慣もわかり、より健康的な生活を送ることが可能です。
大石内科循環器科医院では、高血圧の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。
健康診断で「血圧の下が高いです」と言われたことはありませんか? 上は正常なのに、何が問題なのか疑問に思われた方もいるかもしれません。 下の血圧が高い状態は、自覚症状がほとんどないにもかかわらず心臓や血管に大きな負担をかけています。
心臓は、就寝中も休むことなく、私たちの体中に血液を送り続けています。血液が血管を押す圧力が血圧です。ポンプのようにギュッと押し出すときの圧力が上の血圧(収縮期血圧)、少し休んでゆるむときの圧力が下の血圧(拡張期血圧)です。
下の血圧が高い状態は、心臓が一生懸命働いてホースから水を押し出しているのにホースの先が詰まっているような状態と言えます。この状態が続くと、心臓はさらに強い力で血液を送り出そうとします。結果、心臓の筋肉は疲弊し、やがては硬く、分厚くなってしまうのです。
高い圧力にさらされ続ける血管も徐々にダメージを受けていきます。日本高血圧学会の報告によると、下の血圧が10mmHg上昇するごとに、脳卒中のリスクが約1.8倍、心筋梗塞のリスクが約1.5倍に増加するとされています。
下の血圧が高くなる原因はさまざまで、以下のような要因が挙げられます。
動脈硬化とは血管の壁にコレステロールなどが蓄積し、血管が硬くなる病気です。長期使用で汚れが付着した水道管のように、血流を悪化させます。
下の血圧が高い状態が続くと、心臓は強い力で血液を送り出す必要があり、血管壁が常に高圧にさらされて傷つきやすくなります。結果、コレステロールが蓄積しやすくなり、動脈硬化が進行します。悪循環により、血管の健康がさらに損なわれていくのです。
動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞、腎臓病など、さまざまな病気を引き起こす原因となります。自覚症状がない場合も多いですが、健康診断などで指摘されたら放置せずに適切な対策をとることが重要です。
毎日の食事は血圧に影響を与えます。特に塩分の摂りすぎは血圧の上昇と深く関わっており、下の血圧への影響も大きいです。塩分の多い食事を毎日続けていると、体内の塩分濃度が高まり、血液量が増加して血管に負担がかかってしまいます。結果、下の血圧が上がりやすくなってしまうのです。
カリウムを多く含むバナナやほうれん草、アボカドなどの野菜や果物は、体内の塩分を排出するのを助けるため、血圧を下げる効果が期待できます。最近の研究では、加工食品や超加工食品に含まれる塩分、糖分、脂肪分が高血圧のリスクを高める可能性も示唆されています。
現代社会でも手軽に摂取できるため、知らず知らずのうちに塩分の摂取量が増えているケースも多いです。
仕事や人間関係、将来への不安など、私たちは日々さまざまなストレスにさらされています。ストレスを感じると私たちの体は緊張状態になり、血管が収縮して血圧が上昇しやすくなります。ストレスを溜め込みすぎると血管が常に収縮した状態が続き、下の血圧が高い状態が慢性化する可能性もあるので注意しましょう。
高血圧は遺伝的な影響も受けやすいと言われています。高血圧に関連する遺伝子が親から子へと受け継がれるためです。
血圧の下が高い状態の自覚症状は出にくい場合が多いですが、血圧の下が高い状態で見られる症状は以下のとおりです。
日常生活で違和感を感じたら、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。
下の血圧を下げるためには、日々の生活習慣の改善が不可欠です。以下に、効果的な6つの方法を詳しく解説します。
バランスの取れた食事と減塩が重要です。は以下の点に注意しましょう。
日本高血圧学会のDASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)の推奨に従うと、収縮期血圧を約8〜14mmHg、拡張期血圧を約6〜7mmHg低下させる効果があるとされています。
高血圧のときの食生活については以下の記事について詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
>>高血圧の人が食べてはいけないものを解説!食生活で気をつけるべきポイント
定期的な有酸素運動は、血圧低下に効果的です。以下のガイドラインを参考にしてください。
適度な運動は、収縮期血圧を約5〜8mmHg、拡張期血圧を約2〜4mmHg低下させる効果があります。
運動療法については以下の記事で詳細に解説していますので、合わせて読んでみてください。
>>高血圧の運動療法のおすすめの方法や効果を高血圧治療ガイドラインをもとに解説!
慢性的なストレスは血圧上昇の一因となります。以下のようなストレス管理法を実践しましょう。
肥満は高血圧のリスク因子の一つです。BMI(体格指数)を25未満に保つことが推奨されています。1kg減量するごとに収縮期血圧が約1mmHg、拡張期血圧が約0.5mmHg低下するとされています。
喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させます。禁煙により以下のような効果が期待できます。
過度のアルコール摂取は血圧上昇の原因となります。以下のガイドラインを参考にしてください。
アルコール摂取を適切に制限することで、収縮期血圧を約2〜4mmHg、拡張期血圧を約1〜2mmHg低下させる効果があるとされています。
日常生活に取り入れることで、下の血圧を効果的に管理し、心血管疾患リスクを低減できます。ただし、個人により最適な対策方法は異なるため、定期的な健康診断を受け、必要に応じて医療専門家に相談することが重要です。
下の血圧が高い状態は自覚症状がない場合が多いですが、心臓や血管に大きな負担をかけ、さまざまな健康リスクをもたらします。主な原因として、以下が挙げられます。
血圧管理のために、以下の生活習慣改善を推奨します。
これらの対策を日常生活に取り入れることで、下の血圧を効果的に管理し、心血管疾患のリスクを低減できます。
高血圧について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について
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