「健康診断で血圧が低いと指摘されても、自覚症状がない」と放置してしまう方も多いのではないでしょうか。低血圧を放置するとめまいや立ちくらみ、慢性的な疲労感など、日常生活に支障をきたす症状が現れます。
本記事では、低血圧を放置するリスクや具体的な症状、原因別の有効な改善策までご紹介します。ご自身の健康状態を見つめなおすきっかけとして、ぜひ最後までお読みください。
静岡市葵区にある「大石内科循環器科医院」は、新静岡駅から徒歩3分です。日本循環器学会認定の循環器専門医が在籍し、低血圧・高血圧をはじめとする血圧のお悩みに専門的に対応しています。めまい・立ちくらみ・息切れなど気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

低血圧とは、血圧が一般的に正常範囲より低い状態を指します。WHOの世界基準では収縮期血圧(最高血圧)が100mmHg以下、拡張期血圧(最低血圧)が60mmHg以下を低血圧と定義しています。
低血圧には、特に原因がない本態性低血圧と、心疾患やホルモン異常など病気による二次性低血圧(症候性低血圧)があります。ほとんどの場合、自覚症状がなければ治療は不要ですが、立ちくらみや倦怠感など症状がある場合は医療機関の受診が推奨されます。
起立性低血圧や食事性低血圧といった一時的な血圧低下もありますので、日常の血圧管理と症状観察が重要です。
低血圧の症状は個人差が大きいため、数値だけでなく、症状の有無も重要な判断基準になります。低血圧の代表的な症状は以下のとおりです。
低血圧の典型的なサインとして、めまいや立ちくらみがあります。血圧が低いために脳へ十分な血液が届かず、一時的に酸素不足となることで起こります。特に朝の起床時や急に立ち上がったときに生じやすく、ふらつきや視界の暗転を伴うこともあります。
症状が頻繁に起こる場合は生活に支障をきたすため、低血圧のサインとして注意が必要です。
特に、立ち上がったときにふらつく・意識が遠のくといった症状が見られる場合は、特定のタイプの低血圧(起立性低血圧)が関係していることがあります。以下の記事で「起立性低血圧」について、症状の特徴や原因、対策をわかりやすく解説しています。
>>起立性低血圧について
低血圧では、全身に十分な血液が行き渡らないため、顔色が青白くなることがあります。その背景には、血流不足による酸素供給の低下や貧血の併発が関わることもあります。心臓が少ない血液を全身に送ろうとするため、動悸や息切れが起こりやすいのも特徴です。
これらの症状が続く場合は、心臓や血液の病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
低血圧では、全身に酸素や栄養が十分に届かないため慢性的な疲労感が生じやすいのが特徴です。睡眠をとっても疲れが抜けず、日中にだるさを感じる人も少なくありません。脳への血流不足によって集中力が落ち、頭がぼんやりすることもあります。よくみられる症状としては次のようなものがあります。
これらが続く場合は低血圧が関係している可能性がありますが、他の病気でも同様の症状が出るため、自己判断せず医師に相談することが大切です。
低血圧では、自律神経の乱れや消化器への血流不足によって吐き気や嘔吐が起こることがあります。特に、食後や疲労が強いときに症状が出やすいのが特徴です。手足の先まで血液が届きにくくなるため、冷え性を感じやすいのも低血圧の典型的なサインです。具体的には次のような状態が見られます。
生活の質を下げるだけでなく、他の病気でも見られることがあるため、自己判断せずに医療機関での相談を検討することが重要です。
なかでも「食後に気分が悪くなる」場合は、食後低血圧の可能性も考えられます。以下の記事では、食後に血圧が下がる原因や対処法を詳しく解説しています。
>>食後に血圧が下がるって本当?食後低血圧の原因や対処法を徹底解説
低血圧の方では、朝の寝起きに強いだるさを感じることがよくあります。これは睡眠中に血圧がさらに下がり、起床時に脳へ血液が十分に行き渡らないためです。その結果、目覚めても体が重く、なかなか動き出せない状態になります。
特に若い女性に多く見られ、日常生活に支障をきたす場合もあります。朝のだるさが続く場合は、低血圧が背景にある可能性を考えて、対策や受診を検討することが大切です。
低血圧の原因は1つではなく、体質によるものと病気が背景にあるものに大きく分けられます。前者は「本態性低血圧」と呼ばれ、若い女性に多く見られます。後者は「症候性低血圧」といい、心臓や内分泌疾患などに伴って起こるものです。それぞれの特徴について解説します。
本態性低血圧は、生まれつき血圧が低めの体質をもつ人に多いタイプです。遺伝的な要因が関わることが多く、家族に低血圧の方がいる場合は注意が必要です。特徴としては次のような点が挙げられます。
基本的には健康上の大きな問題になりませんが、症状が強い場合は日常生活に支障をきたすため受診を検討しましょう。改善には、塩分や水分を意識して摂ること、軽い運動を続けること、十分な睡眠を心がけることが大切です。
症候性低血圧は、他の病気や薬の影響によって血圧が下がる状態です。代表的な原因には次のようなものがあります。
特に最近になって急に血圧が低下した場合や、体重減少・動悸・息切れ・強い倦怠感がある場合は注意が必要で、早急に医療機関で原因を調べることが大切です。
改善の基本は原因疾患の治療ですが、以下のような生活習慣の工夫も有効です。
薬の副作用が疑われるときは医師に相談しましょう。こうした取り組みが症状の軽減につながります。

低血圧の改善には、毎日の食事から必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。血圧を安定させる栄養素を意識して取り入れることで、めまいやだるさといった症状の軽減が期待できます。特に次のような成分は効果が期待できます。
低血圧の改善には、鉄分をしっかり摂ることが欠かせません。鉄分は赤血球中のヘモグロビンを作る材料で、酸素を全身に届ける役割があります。不足すると貧血を起こし、めまいやだるさなど低血圧の症状が悪化することがあります。特に、月経のある女性は不足しやすいため注意が必要です。
鉄分を含む代表的な食品には次のようなものがあります。
1日あたりの推奨量は、成人男性7.5mg、女性(月経あり)10.5mg、女性(月経なし)6.0mgです。食品から意識して摂ることが予防につながります。
低血圧の改善には、塩分を適度に摂ることが大切です。塩分は体内の水分を保持し、血液量を増やして血圧を安定させる働きがあります。一方で、摂りすぎると高血圧や心臓病のリスクにつながるため、あくまで適量を守ることが大切です。
1日の目標摂取量は次のとおりです。
ただし、体格や既往歴によって必要量は変わるため、持病のある方は医師と相談しながら調整してください。日常の食事では、加工食品や外食の塩分量に注意し、味付けを工夫して摂取量をコントロールすることが大切です。
ご自身の血圧が正常かどうかを把握することも、対策の第一歩です。以下の記事では、30代の血圧の平均値や高血圧・低血圧の目安と対処法について詳しく解説しています。
>>30代の血圧の正常値は?性別ごとの平均値や高血圧・低血圧の対処法も紹介
低血圧の改善には、ビタミンB12を摂ることも大切です。この栄養素は赤血球の生成を助けるとともに、神経の働きを正常に保つ役割があります。不足すると貧血やしびれ、集中力の低下につながることがあります。
代表的な食品には次のようなものがあります。
成人の1日推奨量は2.4μg(マイクログラム)とごく微量ですが、体内では作れないため食事から摂取する必要があります。特に魚や肉を食べる機会が少ない人は、不足しないよう意識することが重要です。
低血圧の改善には、タンパク質をしっかり摂ることが不可欠です。タンパク質は血液や筋肉の材料となり、不足すると血液量が減少して低血圧の症状が悪化する可能性があります。タンパク質を多く含む食品には次のようなものがあります。
1日の目安量は成人男性65g、成人女性50gです。体重や活動量によって必要量は変わりますが、1食あたり15〜20gを目安にするとバランスよく摂れます。体質や健康状態によって適切な量は異なるため、不安があれば医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。
低血圧の方にとって、適度な運動は症状改善に効果が期待できます。運動不足は筋力の低下や血流の悪化を招きますが、軽い運動を習慣化することで心臓の働きが高まり、全身への血流がスムーズになります。激しい運動は体に負担をかけるため、無理のない範囲で続けることが大切です。
おすすめの運動には次のようなものがあります。
運動を行う際は、食後すぐは避け、水分をこまめに摂りましょう。また、体調不良時は休む、少しずつ強度を上げるなどの注意点を守ることが、安全に続けるポイントです。
低血圧は命に直結することは少ないですが、放置すると生活の質を下げたり、隠れた病気を見逃すきっかけになるリスクがあります。症状があるのに放置をすると以下のような不調や危険につながることがあります。
このように、低血圧を「体質だから大丈夫」と考えてしまうのは危険です。症状が続く場合は生活改善や医療機関での相談が重要です。
低血圧の症状について、よくある質問は以下のとおりです。
低血圧は朝起きられない大きな原因の一つです。睡眠中は血圧が下がりやすく、起床時に脳へ十分な血流が行き渡らないことで、強いだるさや起き上がりにくさを感じやすくなります。特に若い女性に多く見られる症状で、低血圧の典型的なサインと言えます。
ただし、生活リズムの乱れや睡眠障害が関係している場合もあるため、症状が続く場合は医師に相談することが大切です。
低血圧は頭痛や肩こりの原因になることがあります。血流が不足すると筋肉や脳への酸素供給が滞り、こわばりや痛みを引き起こすからです。特に長時間同じ姿勢で過ごすデスクワークでは症状が悪化しやすく、日常生活に支障をきたすこともあります。
繰り返す頭痛や肩こりがある場合は、低血圧が背景にある可能性を考え、生活習慣の見直しや医師への相談を検討することが大切です。
高血圧による頭痛の特徴や対処法は、以下の記事でわかりやすく解説していますので、合わせて確認してみてください。
>>高血圧による頭痛の対処法は?安静や頭痛薬の服用で良いかなど解説
低血圧は若い女性に多い体質的な特徴として知られています。主に以下の理由があります。
これらが重なることで、朝のだるさや立ちくらみといった症状が出やすくなります。体質によるものが多いですが、症状が強い場合は放置せずに受診することが大切です。
低血圧は軽く見られがちですが、放置すると生活の質を下げたり病気を見逃すリスクがあります。日常でよく見られる症状には次のようなものがあります。
改善には、生活習慣の見直しが重要です。具体的には次のような取り組みが効果的です。
これらを続けることで症状が和らぐことがありますが、つらい症状が続く場合は医療機関での診断が不可欠です。正しい管理が、健康的で安心できる生活への第一歩になります。当クリニックでは、低血圧だけでなく高血圧も専門分野として取り扱っています。高血圧についても網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について
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