大石内科循環器科医院

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犬が原因のアレルギーとは?症状や検査・対処方法を詳しく解説

2024.10.08 アレルギー科

愛犬との暮らしは喜びと癒しをもたらしますが、犬アレルギーに悩んでいる方も少なくありません。近年、犬アレルギーの患者数は増加傾向にあり、2020年には150万人に達したと言われています。犬アレルギーの原因は犬の毛だけでなく、目に見えないフケや唾液、尿などに含まれるタンパク質です。これらのアレルゲンが、体内に侵入することで、くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみなどの症状を引き起こします。

この記事では犬アレルギーの原因、症状、検査方法、そして愛犬との生活を安心して楽しめるための対策について詳しく解説します。愛犬との生活を諦めずに症状をコントロールしながら、豊かな時間を過ごせるよう一緒に考えていきましょう。

犬アレルギーの主な症状と特徴5つ

犬アレルギーは犬の毛が原因と思われがちですが、実はそれだけではありません。目に見えないほど小さな犬のフケや唾液、尿などにもアレルギーの原因物質が含まれています。まるで忍者のように私たちの目には見えませんが体の中に侵入してきて、くしゃみや鼻水、かゆみなどのアレルギー症状を引き起こすことがあるのです。

アレルギー反応は、体を守る免疫システムが、本来は害のないものに対して過剰に反応してしまうことで起こります。小さい子どもから大人まで誰でも犬アレルギーを発症する可能性があり、近年その数は増加傾向にあります。

鼻水やくしゃみなどの呼吸器症状

犬アレルギーになると、まず鼻や喉などの呼吸器に症状が現れることが多くみられます。「あれ?風邪かな?」と思うような症状ですが、風邪薬を飲んでもなかなか治らない場合は犬アレルギーの可能性も考えてみましょう。

例えば、こんな症状が出たら犬アレルギーを疑ってみましょう。

  • くしゃみが止まらない:まるでコショウを吸い込んだ後のように、連続してくしゃみが出てしまう。
  • 鼻水が水のようにサラサラと出る:透明で水のような鼻水
  • 鼻が詰まって息苦しい:鼻の奥に何かが詰まっているように感じ、呼吸がしづらい。
  • 喉がかゆい、イガイガする:喉の奥がチクチクと刺すようにかゆくなり、咳払いをしてもスッキリしない。
  • 咳が出る:乾いた咳が、特に夜間や早朝にひどくなる。

これらの症状は、アレルギーの原因物質である犬のフケや唾液を吸い込むことで、体の中でアレルギー反応が起こり、鼻や喉で炎症を起こしてしまうことで起こります。炎症とは体が「敵だ!」と勘違いした物質を排除しようとして、熱っぽくなったり腫れたりする反応のことです。

皮膚のかゆみや発疹

犬アレルギーは呼吸器系だけでなく、皮膚にも症状が出る場合があります。犬に触れた後、数時間から数日後に皮膚がかゆくなったり、赤くなったりすることがあります。

  • じんましん:皮膚が赤く盛り上がり、まるで蚊に刺された後のように、強い痒みを伴う。
  • 湿疹(アトピー性皮膚炎の悪化):皮膚が赤く炎症を起こし、かゆみと乾燥を伴う。乾燥が進むと、皮膚がゴワゴワしたり、ひび割れたりする。
  • 接触性皮膚炎:犬に触れた部分が赤く腫れ上がり、かゆみと水ぶくれを伴う。まるで、熱湯が触れた時のようなヒリヒリとした痛みを感じることもある。

これらの症状はアレルギーの原因物質が皮膚につくことで、皮膚でアレルギー反応が起こり炎症を起こしてしまうことで起こります。

消化器系の症状(吐き気や下痢)

犬アレルギーと聞いて、吐き気や下痢を連想する人は少ないかもしれません。しかし犬アレルギーによって、吐き気や下痢などの消化器症状が出ることもあるのです。これはアレルギーの原因物質を含む犬のフケや唾液を、誤って口にしてしまうことで起こります。

例えば犬の毛が付いた手で食事をしたり、犬に顔を舐められた後に口をすすがなかったりすることで、アレルギーの原因物質を口に入れてしまう可能性があります。

  • 吐き気:胃のあたりがムカムカして、気持ちが悪くなる。
  • 嘔吐:吐き気の後に、胃の内容物を吐き出してしまう。
  • 腹痛:お腹全体が痛んだり、シクシクと刺すような痛みを感じたりする。
  • 下痢:水のような便が、何度も続く。

犬アレルギーの検査方法

ドロップスクリーン検査について

犬アレルギーかもと思ったときに、それを確かめる検査に「ドロップスクリーン検査」があります。

検査の方法と流れ

ドロップスクリーン検査は、ほんの少しだけ指先から血を取るだけで、色々なアレルギーの原因物質を一度に調べることができるとても便利な検査です。

検査の流れは、とても簡単です。

  1. まず問診票に、アレルギーで困っていることや、現在飲んでいるお薬などを記入します。問診票では、いつ頃からどんな症状が出ているのか、症状がいつひどいのかなどを詳しく記入していただきます。
  2. 次に看護師さんが、指先をチクっと針で刺して、ほんの少しだけ血を採ります。注射が苦手な人でも、あっという間に終わるので安心してくださいね。
  3. 採った血液は特殊な検査キットに垂らし、アレルギーの原因物質と反応させます。この検査キットには、アレルギー反応を引き起こす可能性のある様々な物質が含まれていて、あなたの血液がどの物質に反応するかを調べます。
  4. 30分から1時間ほどで結果が出ます。



犬アレルギーの対処方法と生活の改善策

愛犬と触れ合いたいけれど、アレルギー症状が出てしまうとつらいですよね。犬アレルギーは犬のフケや唾液などに含まれる特定のタンパク質に対して、体が過剰に反応してしまうことで起こります。

その結果、くしゃみや鼻水、かゆみなどのアレルギー症状が出てしまうのです。しかし症状を上手にコントロールしながら、愛犬との生活を楽しむ方法もありますので、諦めずに、できることから始めてみましょう。

家庭でできるアレルゲン対策

犬アレルギーの原因物質であるアレルゲンを減らすことは、症状を和らげる上でとても大切です。自宅でできるアレルゲン対策として、まずは「アレルゲンを家の中からできるだけ減らす」ことを目標に考えてみましょう。

具体的な対策としては、こまめな掃除、空気清浄機の活用、犬の飼育スペースの工夫、定期的な犬のシャンプー、布製品の素材選びなどが挙げられます。

1. こまめな掃除

犬のフケや毛は部屋中に舞い上がりやすく、アレルギー症状を引き起こす原因となります。こまめな掃除機かけや拭き掃除を心掛け、アレルゲンの除去に努めましょう。

特にカーペットや畳は、犬のフケや毛が溜まりやすい場所です。毎日掃除機をかけるのが難しい場合は週に1~2回は、時間をかけて丁寧に掃除するようにしましょう。

掃除機は、排気が外に出ないタイプや高性能フィルター付きのものがおすすめです。これらの掃除機は、吸い込んだアレルゲンを再び部屋の中に放出するのを防いでくれます。

2. 空気清浄機の活用

空気清浄機は空気中のアレルゲンを吸着し、部屋の空気をきれいにしてくれます。犬アレルギー対策として空気清浄機を置く場合は、HEPAフィルター搭載のもの選ぶと効果的です。

HEPAフィルターは高性能なフィルターで、花粉やダニなどの小さなアレルゲンも除去することができます。空気清浄機は、犬がよく過ごす部屋や寝室に置くようにしましょう。

3. 犬の飼育スペース

やむを得ない事情がない限り、寝室など、長時間過ごす部屋への犬の出入りは避けましょう。アレルゲンを特定の場所に抑えることで、症状を軽減することができます。

例えば犬を寝室に入れないようにするだけでも、アレルギー症状が大きく改善することがあります。

4. 定期的な犬のシャンプー

犬のシャンプーは、アレルゲンを減らす効果があります。週に1〜2回の頻度でシャンプーをすることで、犬の体から出るアレルゲンの量を減らすことができます。

シャンプーを選ぶ際は、低刺激で、犬の皮膚に優しいものを選びましょう。また、シャンプーの後は、犬の体をよく乾かすことが大切です。

5. 布製品の素材選び

カーペットやカーテン、ソファなど布製品はアレルゲンが付着しやすいため、こまめな洗濯や掃除が難しい場合は素材選びも重要です。アレルゲンがつきにくい素材や、洗濯しやすい素材を選びましょう。

例えば革製のソファや、洗濯しやすい素材のカーテンを選ぶと良いでしょう。

これらの対策を組み合わせることで自宅でのアレルゲン量を減らし、アレルギー症状を予防することができます。

医療機関での治療法の選択肢

家庭でのアレルゲン対策と並行して医療機関での治療も有効です。症状に合わせて、医師と相談しながら適切な治療法を選択しましょう。

主な治療法としては薬物療法、免疫療法、対症療法などがあります。

1. 薬物療法

アレルギー症状を抑える薬として、抗ヒスタミン薬やステロイド薬などがあります。症状や体質に合わせて、医師が適切な薬を処方します。

例えば、くしゃみや鼻水がひどい場合は、抗ヒスタミン薬を、皮膚の炎症がひどい場合は、ステロイド薬を処方することがあります。

2. 免疫療法

アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー反応を起こりにくくする治療法です。

スギ花粉症などでよく知られている治療法ですが、犬アレルギーに対しても有効な場合があります。

3. 対症療法

症状が出ているときに、その症状を和らげるための治療法です。例えば、鼻水には鼻水止め、咳には咳止めなどを処方します。

アレルギー症状を和らげるための日常生活の工夫

犬アレルギーは、日常生活での工夫も大切です。アレルゲンとの接触を減らし、健康的なライフスタイルを心掛けることで、症状を和らげることができます。

1. アレルゲンを避ける

犬に触れた後は、必ず手を洗い、顔などを触らないようにしましょう。

特に、目や鼻、口などの粘膜は、アレルゲンが侵入しやすい場所です。犬に触れた後は、すぐに石鹸で手を洗いましょう。

犬の毛やフケが付着しやすい服装は避け、こまめに洗濯しましょう。外出時は、マスクやメガネを着用することで、アレルゲンを吸い込むリスクを減らせます。

2. 健康的なライフスタイル

規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠を心がけ、免疫力を高めましょう。ストレスはアレルギー症状を悪化させる要因となるため、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

まとめ

犬アレルギーは、犬のフケや唾液、尿などに含まれるタンパク質に対する過剰な免疫反応によって起こります。症状は、くしゃみや鼻水などの呼吸器症状、皮膚のかゆみ、発疹、吐き気や下痢などの消化器症状などがあります。

犬アレルギーの診断は、問診、診察、血液検査、皮膚テストなどを総合的に判断して行われます。治療法としては、薬物療法、免疫療法、対症療法などがあり、症状や体質に合わせて医師と相談しながら適切な方法を選びましょう。

日常生活では、こまめな掃除や空気清浄機の活用、犬の飼育スペースの工夫、犬のシャンプー、布製品の素材選びなど、アレルゲンを減らす対策を行いましょう。また、犬に触れた後は手を洗い、マスクやメガネを着用するなど、アレルゲンとの接触を避ける工夫も大切です。

参考文献

Tu J, Wen J, Luo Q, Li X, Wang D, Ye J. Causal relationships of metabolites with allergic diseases: a trans-ethnic Mendelian randomization study. Respiratory research 25, no. 1 (2024): 94.

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