大石内科循環器科医院

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循環器専門医が心筋梗塞の予防方法を解説

2024.10.17 循環器

心臓病は、現代社会において深刻な健康問題として認識されています。厚生労働省の統計によると、2020年には心筋梗塞で約7万人が亡くなっています。 これは交通事故による死亡者数の約10倍に相当します。心筋梗塞は突然の胸痛や呼吸困難などの症状を引き起こし最悪の場合、命を落とすこともあります。

しかし適切な予防策を講じることで、発症リスクを大幅に減らすことができます。この記事では、循環器専門医が解説する、心筋梗塞の予防方法について詳しく解説します。健康的な生活習慣を身につけ、心臓を守りましょう。

心筋梗塞の予防方法とその重要性

「心筋梗塞」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?

「胸を押さえて倒れる」「突然死んでしまう」といった、ショッキングなイメージを持つ方もいるかもしれません。確かに、心筋梗塞は命に関わる危険な病気です。しかし、きちんと予防に取り組めば発症のリスクを下げられる病気でもあります。

今回は心臓を元気に保つ生活習慣について、解説していきます。

食生活の改善に役立つポイント5つ

私たちの体は、毎日食べるものでできています。これは、心臓にとっても同じです。心臓を丈夫に保つためには、毎日の食事から気を配ることが大切です。

心臓に良い食事を摂ることは、まるで家の土台を丈夫な材料で作るようなものです。丈夫な土台があれば、家は地震や台風にも耐えられますよね?では、具体的にどんな食事を心がければ良いのでしょうか?ポイントは5つあります。

  1. 塩分控えめを意識する
    ラーメンやポテトチップスなど、塩辛い食べ物は美味しいですが、摂りすぎると心臓に負担がかかります。塩分を摂りすぎると、血液の量が増えてしまい、心臓はより多くの血液を送り出さなければいけなくなります。
    これは、まるで、いつもより重いランドセルを背負って学校に行くようなものです。最初は頑張れても、毎日続くと疲れてしまいますよね。塩分の摂りすぎは、心臓を疲れさせてしまうのです。
  2. バランスの良い食事を心がける
    食事は、主食・主菜・副菜を揃えて、バランス良く食べることが大切です。例えば、ご飯ばかり食べていると、体を作るのに必要な栄養が不足してしまいます。これは、家の材料が木材だけでできているようなものです。木材だけでは、丈夫な家は作れませんよね?
  3. 野菜をたっぷり食べる
    野菜には、ビタミンやミネラルなど、体の調子を整える栄養素がたくさん含まれています。野菜を食べることは、家の土台にしっかりとした柱を立てるようなものです。柱がしっかりしていれば、家はより安定します。
  4. 青魚(さば缶やイワシ缶もおすすめ)を食べる
    さばやいわしなどの青魚には、DHAやEPAと呼ばれる脂が含まれています。DHAやEPAは、血液をサラサラにする効果があり、心臓の血管を詰まりにくくする働きがあります。
    これは家の周りの排水溝をきれいに掃除するようなものです。排水溝が詰まっていると、水が流れなくなってしまいますよね?
  5. 甘い飲み物・お菓子を控える
    ジュースやお菓子など、甘いものを摂りすぎるのは、心臓にとって良くありません。甘いものを摂りすぎると、血液がドロドロになりやすく、血管が詰まりやすくなってしまうからです。これは、まるで、家のドアにたくさんの荷物を置いて、出入りしにくくしてしまうようなものです。
ポイント具体的な方法
塩分控えめを意識する✓めん類の汁は残す
✓漬物は少量にする
✓減塩タイプの調味料を使う
バランスの良い食事を心がける✓主食・主菜・副菜を揃える
✓様々な食材を組み合わせる
野菜をたっぷり食べる✓毎食、野菜料理を1品以上加える
✓間食に野菜スティックを取り入れる
青魚(さば缶やイワシ缶もおすすめ)を食べる✓週に2~3回は青魚料理を食べる
✓さば缶やイワシ缶をサラダやパスタに活用する
甘い飲み物・お菓子を控える✓水やお茶を飲む習慣をつける
✓間食にはナッツ類やヨーグルトを選ぶ

心筋梗塞を予防するための運動の種類と方法6選

心筋梗塞予防に効果的な運動の種類や方法について、具体的にわかりやすく解説していきます。

有酸素運動のメリットと具体的な例

有酸素運動は心臓に適度な負荷をかけながら、長時間続けることができる運動です。体内に酸素を効率よく取り込み脂肪を燃焼させる効果が高く、心筋梗塞の予防に効果が期待できます。

心臓病専門医の立場から患者さんに具体的な運動方法をアドバイスする際は、その方の年齢や体力、そして現在の健康状態を考慮することが重要です。

例えば70代で高血圧と糖尿病をお持ちの方には、いきなり激しい運動はおすすめできません。ウォーキングから始め、徐々に運動強度を上げていくように指導します。具体的には最初は自宅周辺の平坦な道を1日15分程度、週に3回を目標に歩いてもらいます。そして2週間ごとに歩く距離を5分ずつ延ばしていき、最終的には30分程度を目標にすることを提案します。

有酸素運動の具体的な例

  • ウォーキング:
    • 毎日30分程度、少し息が弾むくらいのペースで歩くことを目標にしましょう。
    • 近所を散歩したり、買い物ついでに遠回りしたりするのもおすすめです。
    • 歩くことに慣れてきたら、インターバルウォーキング(速歩きとゆっくり歩きを交互に繰り返す)にも挑戦してみましょう。
  • ジョギング:
    • ウォーキングよりも運動強度が高く、より多くのカロリーを消費できます。
    • 始めは無理せず、短い距離からスタートし、徐々に距離や時間を伸ばしていくとよいでしょう。
    • 地面からの衝撃を和らげるため、クッション性の高いシューズを選ぶことが大切です。
  • 水泳:
    • 全身運動でありながら、関節への負担が少ない運動です。
    • 水温は体温よりも低いため、多くのエネルギーを消費します。
    • 自分のペースで泳ぐことができ、体力に合わせて運動強度を調整しやすいのもメリットです。
  • サイクリング:
    • 足腰への負担が少なく、景色を楽しみながら運動できます。
    • 平坦な道だけでなく、坂道なども取り入れることで、運動強度を上げることができます。
    • 交通ルールを守り、安全な場所で楽しみましょう。

筋力トレーニングが心筋梗塞予防に与える影響

筋力トレーニングは筋肉量を増やし、基礎代謝を向上させる効果があります。基礎代謝が上がると安静時でも多くのエネルギーを消費するため、太りにくく心筋梗塞のリスクを減らす効果も期待できます。

筋力トレーニングというと、ジムに行って重いウェイトを持ち上げるイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、自宅でも簡単にできる自重を使ったトレーニングでも効果は期待できます。

例えばスクワットは太ももの大きな筋肉を使うため、効率的に筋力アップが期待できます。正しいフォームで行うことが重要なので、最初は椅子に座ったり立ったりする動作を繰り返すと良いでしょう。慣れてきたら両手を前に伸ばしてバランスを取りながら、ゆっくりと腰を落とすように行います。

筋力トレーニングの例

部位トレーニング方法回数
腕立て伏せ、ダンベルカールなど10回×3セット
スクワット、ランジなど10回×3セット
腹筋クランチ、プランクなど10回×3セット
背筋バックエクステンション、懸垂など10回×3セット

筋力トレーニングは、週に2~3回程度行うと効果的です。ただし、無理は禁物です。自分の体力レベルに合わせて、徐々に負荷や回数を増やしていきましょう。

柔軟体操の重要性と取り入れ方

柔軟体操は筋肉や関節の柔軟性を高め、血行を促進する効果があります。血行が良くなると血管の柔軟性も高まり、動脈硬化の予防にもつながります。また柔軟性を高めることで、怪我の予防にも効果が期待できます。

柔軟体操は運動の前後や、お風呂上がりなどに行うと効果的です。日頃から体が硬いと感じている方は、毎日の生活に柔軟体操を取り入れてみましょう。

例えば朝起きた時にベッドの上で軽く体を伸ばしたり、夜寝る前に布団の中でゆっくりと呼吸をしながらストレッチをするのも効果的です。

柔軟体操の例

  • 首ストレッチ: 頭をゆっくりと左右に倒したり、回したりすることで、首周りの筋肉を伸ばします。
  • 肩甲骨ストレッチ: 両手を組んで前に伸ばし、背中を丸めるように肩甲骨を動かします。
  • 体側ストレッチ: 片手を上に伸ばし、体を横に倒すことで、体側を伸ばします。
  • 脚の裏側ストレッチ: 足を伸ばして座り、つま先をつかんで、ゆっくりと体を前に倒します。
  • 太ももストレッチ: 立位で片足のかかとをお尻に近づけ、太もも前面を伸ばします。

運動の強度や時間についての目安

運動の強度や時間は、年齢や体力、健康状態によって異なります。運動に慣れていない人は無理のない範囲から始め、徐々に強度や時間を増やしていくことが大切です。「少し運動してみようかな」という軽い気持ちから始め、習慣化することが重要です。

運動強度は、主観的な運動強度(自覚的運動強度)で判断することができます。これは、運動中の呼吸や発汗、疲労感などから、自分がどの程度の強度で運動を行っているかを、運動者自身で評価する方法です。

運動強度の目安

  • 軽い運動: 息が少し弾む程度(話しながらできる)
    • 例:ゆっくりとしたウォーキング、ストレッチなど
  • 中等度の運動: 息が弾み、少し汗ばむ程度(会話はできる)
    • 例:早歩き、ジョギング、水泳、サイクリングなど
  • 激しい運動: 息がかなり弾み、汗をかく程度(会話は難しい)
    • 例:ランニング、激しいスポーツなど

運動時間の目安: 1回あたり20~30分を目安に、週に合計150分程度の運動を心がけましょう。

自宅や職場で簡単にできる運動の提案

忙しい毎日の中で、運動の時間を確保することは難しいと感じる人もいるかもしれません。しかし心筋梗塞予防のためには、日常生活の中で少しでも体を動かす習慣をつけることが大切です。

心筋梗塞は、心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が詰まってしまう病気です。動脈硬化が原因で起こることが多く、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などがリスク因子となります。

運動不足はこれらのリスク因子を悪化させる可能性があります。逆に、運動習慣はこれらのリスク因子を改善する効果も期待できます。

自宅でできる運動

  • テレビを見ながらスクワットや腹筋運動
  • 階段の上り下り
  • 掃除機をかけるときに意識して体を動かす
  • ストレッチやヨガ

職場でできる運動

  • エレベーターではなく階段を使う
  • デスクワークの合間に軽いストレッチ
  • ランチ後、少し遠回りして歩く
  • 立つ姿勢を意識する

これらの運動は特別な道具や場所を必要とせず、簡単に取り入れることができます。毎日コツコツと続けることで、心筋梗塞のリスクを減らし健康的な体を手に入れましょう。

まとめ

心筋梗塞は命に関わる病気ですが、予防することで発症リスクを下げられます。心臓を健康に保つためには、食生活の改善と適度な運動が重要です。

食生活では塩分控えめバランスの良い食事、野菜をたっぷり食べる、青魚を摂取する、甘い飲み物やお菓子を控えることが大切です。これらのポイントは心臓の負担を軽減し、血管の健康を維持するのに役立ちます。

運動は週に2~3回、30分程度の軽い運動を心がけることが推奨されます。具体的にはウォーキングやジョギング、水泳、ヨガなどが挙げられます。運動は心臓の機能を高め、血行を促進し、ストレスを軽減する効果があります。

心筋梗塞は生活習慣病の一つであり、日々の積み重ねが大切です。食生活と運動に気を配り健康的な生活を送るように心がけましょう。

胸の痛みやドキドキ、動悸や息切れに不安を感じたら循環器専門医の当院へご相談ください。

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