大石内科循環器科医院

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【専門医が監修】心不全を予防する方法とは?食事や運動のポイントも紹介

2024.12.18

心臓は、毎日休むことなく、私たちの体中に血液を送り続けています。 しかし、心臓も過労が続けば悲鳴を上げてしまうこともあります。 心臓のポンプ機能が低下する「心不全」は、決して他人事ではありません。

初期症状は疲れやすさや息切れなど、見過ごしてしまいそうなものが多いのも特徴です。小さなサインを見逃さずに、心臓からのSOSを受け止めてあげることが大切です。

この記事では、心不全の予防法から治療法まで、具体的な方法をご紹介していきます。 「自分の心臓は大丈夫かな?」と不安に感じている方も、ぜひ参考にしてみてください。

心不全とは?心臓のポンプがうまく働かなくなる病気

心不全は、心臓のポンプがうまく働かなくなる病気です。 さまざまな原因で心臓に負担がかかり続けると、心臓は本来の力強さや柔軟性を失います。 結果、心臓は十分な量の血液を送り出せなくなり、全身に酸素や栄養が行き渡らなくなってしまうのです。

心不全は心臓のポンプ機能が低下する病気

心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。 ポンプの働きには「収縮力」と「拡張力」の2つが重要です。「収縮力」とは、心臓がギュッと縮んで血液を全身に送り出す力のことです。 運動するとき、心臓はより多くの血液を必要とするため力強く収縮して血液を送り出します。

「拡張力」とは、心臓が膨らんで血液を体内に戻す力です。 十分な血液を取り込まなければ、全身に送り出すこともできません。 心臓の拡張力が弱まると、心臓は血液で満たされにくくなり全身への血液供給が滞ってしまいます。

心不全の原因は、「収縮力」と「拡張力」のどちらか、あるいは両方が低下することです。 心不全になると体中に十分な血液を送り出せなくなるため、さまざまな症状が現れるようになります。

心不全の初期症状を見逃さない

心不全の初期症状は「最近疲れやすい」「ちょっと動くと息切れする」といった、日常生活で感じる程度の軽いものがほとんどです。「年のせいかな」と安易に考えてしまいがちですが、小さなサインを見逃さずに早期に医療機関を受診しましょう。心不全の初期症状は、主に以下が挙げられます。

症状具体例
息切れ朝起きたときや、夜横になったときに息苦しさを感じる階段の上り下りや坂道を歩く際に、以前より息切れがするようになった少し歩いただけで息が切れてしまい、休憩が必要になった
むくみ夕方になると靴や靴下がキツくなる・足首や足の甲を押すと、へこんだまま戻りにくい朝起きたときに顔がむくんで見える、指輪が抜けにくい
体重増加食欲は変わらないのに、体重が増加している短期間で体重が2kg以上増えた

上記の症状は、心不全以外の病気でも起こることがあります。 心不全が原因の場合は、放置すると症状が悪化し日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し医師に相談しましょう。

放置すると命に関わることも!心不全の重症度

心不全の重症度は心臓の機能低下や症状の程度に応じて、ステージA〜Dの4段階に分けられます。

ステージ病状症状
ステージA心不全になる危険因子を持っている状態自覚症状はほとんどない
ステージB心臓の機能が低下している状態運動時に息切れや動悸を感じる
ステージC心臓の機能が低下し、安静時にも症状が現れる状態少し動いただけで息切れや疲労感を感じる夜間、呼吸困難で目が覚めることがある
ステージD心臓の機能が著しく低下し、治療を受けても症状が改善しない状態安静時でも強い息切れやむくみがみられる入院が必要となることが多い

心不全はステージが進むにつれて、日常生活に支障をきたし生命予後も悪化します。 ステージDになると頻繁な入院や在宅酸素療法が必要になるなど、生活の質が著しく低下する可能性があります。

心不全は、決して他人事ではありません。 日頃から生活習慣に気を配り、心不全の予防に努めることが大切です。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し医師に相談しましょう。早期発見・早期治療によって、心不全の進行を遅らせ、健康な状態を長く保てます。

心不全を予防するために今日からできること

心不全を予防するには、以下の5つのポイントが重要です。

  • 塩分・水分摂取を控える
  • 適度な運動を習慣化する
  • 禁煙、節酒を心がける
  • ストレスを溜め込まない
  • 定期的な健康チェックを受ける

上記のポイントを意識して、健康的な生活を送りましょう。

塩分・水分摂取を控える

塩分の摂りすぎは高血圧のリスクを高めるだけでなく、心臓にも負担をかけ心不全のリスクを高めます。 体は水分を溜め込もうとして血液量が増え、心臓はより多くの血液を送り出さなければならなくなります。 たくさんの血液を送り出すことは、ポンプ機能が弱っている心臓にとって重労働です。 ラーメンやうどんの汁を全部飲んでしまうのは、心臓に鞭を打っているようなものです。 1日6g未満を目安に、減塩を意識した食生活を心がけましょう。

「薄味なんて、ご飯が美味しくない」と感じる方もいます。 素材本来の味を生かした調理法や、香辛料、ハーブなどを活用すれば、塩分が少なくても満足感のある食事を楽しめます。水分摂取も、心臓への負担を考慮することが大切です。 心不全の症状が出ている方は、医師の指示に従って水分摂取量を調整する必要があります。

適度な運動を習慣化する

「運動不足は良くない」とわかっていても、仕事や家事に追われて運動する時間がない方も多いです。 心不全の予防には、激しい運動は必要ありません。 日常生活の中で、こまめに体を動かすことを意識するだけで十分です。

エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う、一駅分歩いてみる、テレビを見ながらストレッチをするなど、できることから始めましょう。 運動は心臓を鍛え、血液循環を良くするだけでなくストレス解消効果も期待できます。

禁煙、節酒を心がける

喫煙は血管を収縮させて、血圧を上昇させるため、心臓に大きな負担をかけます。 ニコチンは血管を傷つけ動脈硬化を促進させ、心不全のリスクをさらに高めます。 禁煙は心不全だけでなく、さまざまな病気のリスクを減らす効果が期待できます。

過度な飲酒も心臓に負担をかけ、心不全のリスクを高めます。 アルコールは心臓を興奮させるため、動悸や不整脈を引き起こす原因です。 アルコールの分解過程で中性脂肪が増加し、動脈硬化のリスクも高まります。 飲酒は適量を守り、休肝日を設けるなど節度を守ることが大切です。

一人での禁煙に悩んでいる方は、当院の禁煙外来にお気軽にご相談ください。

ストレスを溜め込まない

ストレスは万病の元と言われるように、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。 ストレスを感じると交感神経が優位になり、血管が収縮し血圧や心拍数が上昇します。 血圧や心拍数が高い状態が続くのは、心不全の大きなリスクです。

現代社会でストレスを完全に避けることは難しいですが、自分なりのストレス解消法を見つけ心身のリフレッシュを見つけましょう。 趣味に没頭したりゆっくりとお風呂に入ったり自然と触れ合うなど、自分に合った方法でストレスと向き合いましょう。

定期的な健康チェックを受ける

自覚症状がない段階で心不全を発見するために、定期的な健康チェックが重要です。 血圧や血糖値、コレステロール値などを定期的に測定し、異常があれば早めに医療機関を受診しましょう。健康診断の結果は必ず医師に相談し、自分の体の状態を正しく理解することが大切です。 

心不全の危険因子:知っておくべき4つのリスク

心不全は、特定の病気の名前ではなく、心臓のポンプ機能が低下した状態を指す症候群です。さまざまな病気が原因で心不全を引き起こす可能性があり、危険因子を知ることは、心不全の予防につながります。心不全の4つの危険因子は以下のとおりです。

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病
  • 加齢や遺伝、肥満など

高血圧:適切な管理が重要

高血圧は、心不全の最も大きな危険因子の一つです。高血圧の場合、心臓は高い圧力に逆らって血液を送り出さなければならず、高い負荷がかかります。高血圧の状態が続くと、心臓の筋肉は疲弊し、肥大化し、最終的には心不全へと進行する可能性があります。

高血圧は初期の段階では自覚症状が乏しいですが、放置することで心臓に大きな負担がかかり続けるため、適切な管理が欠かせません。高血圧の管理には、減塩を意識した食生活、適度な運動、ストレス管理が重要です。食事や運動などの生活リズムを見直しましょう。生活習慣の改善に加えて、必要に応じて降圧剤などの薬物療法も検討されます。

脂質異常症:コレステロールと中性脂肪のコントロール

脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪の値が異常な状態のことです。悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増えすぎると、血管の内側にコレステロールが溜まり、血管が狭くなって動脈硬化を引き起こします。動脈硬化は、心臓の血管(冠動脈)にも影響を及ぼし、心筋梗塞や狭心症などのリスクを高めるだけでなく、心不全の危険因子にもなります。

健康そうに見えても、血液検査で脂質異常症が見つかるケースが少なくありません。自覚症状がないまま動脈硬化が進行し、気づいた時には心不全を発症していたというケースもあります。

脂質異常症の管理には、バランスの取れた食事と適度な運動が重要です。脂肪分の多い食事や糖分の過剰摂取は控え、野菜や魚、大豆製品などを積極的に摂りましょう。適度な運動は、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やし、悪玉コレステロールを減らす効果があります。

医師の判断でスタチン系の薬剤などによる薬物療法が必要になる場合もあります。

糖尿病:血糖値の管理

糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が続く病気です。高血糖の状態が続くと、血管が傷つきやすくなり、動脈硬化の進行を加速させます。動脈硬化は、心筋梗塞や狭心症などの心臓病のリスクを高めるだけでなく、心不全の危険因子にもなります。

糖尿病は、自覚症状が乏しいまま進行することが多いため、定期的な健康診断による早期発見が重要です。特に、ご家族に糖尿病の方がいる場合や、肥満気味の方は注意が必要です。

糖尿病の管理には、食事療法、運動療法、必要に応じて薬物療法が重要です。食事療法では、バランスの良い食事を心がけ、糖質の過剰摂取を控えることが大切です。適度な運動は、血糖値を下げる効果があります。薬物療法では、インスリン注射や経口血糖降下薬などを用います。

その他のリスク要因:加齢や遺伝、肥満など

加齢や遺伝、肥満、喫煙、過度の飲酒なども心不全の危険因子です。年齢を重ねると心臓の機能は低下しやすくなります。家族に心不全の方がいる場合は、遺伝的に心不全になりやすいです。肥満も心臓に負担をかけるため、心不全のリスクを高めます。

喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させ、心臓に負担をかけるため、禁煙することが重要です。過度の飲酒も心臓に負担をかけるため、適度な飲酒を心がける必要があります。

心不全のリスク要因を理解し、生活習慣の改善や適切な治療に取り組むことで、心不全を予防し、健康な心臓を保てます。

まとめ

心不全は心臓のポンプ機能が低下し、全身に血液を送り出せなくなる病気です。初期症状は息切れやむくみなど、軽いため見過ごされがちですが放置すると命に関わる危険性もあります。

心不全を予防するには、塩分・水分摂取の制限、適度な運動、禁煙、節酒、ストレス管理、定期的な健康チェックが大切です。

心不全や心臓の不安、動悸などでお困りのことがあれば、循環器専門医の当院にご相談ください。心不全や心臓の不安、動悸などでお困りのことがあれば、循環器専門医の当院にご相談下さい。

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