健康診断で「脂質異常症」と告げられ、不安を感じたことはありませんか?脂質異常症は、放置すると心臓病や脳卒中などの重大な疾患のリスクを高める可能性があります。この記事では、脂質異常症とは何か、何科を受診する必要があるのか、どのように予防・治療できるのかを詳しく解説します。
コレステロールや中性脂肪の数値が気になる方、健康的な血管を守りたい方にとって、貴重な情報源を解説しています。記事を読めば、早期発見・早期治療の重要性を理解し、適切な対策を検討するための情報を得られるようになります。
脂質異常症でお悩みの方の治療にも対応しています。
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールと中性脂肪)が基準値を超えた状態を指します。動脈硬化症、心臓病や脳卒中などの重大な疾患のリスクを高める可能性があります。
早期発見・早期治療が重要であり、40歳以上の方は年1回の健康診断を受けることが推奨されています。健康診断で脂質異常の指摘を受けた場合は、速やかに専門医に相談を検討しましょう。
脂質異常症の診療は主に循環器内科で行われます。循環器内科は、心臓や血管などの循環器系の疾患を専門的に診る診療科です。脂質異常症が循環器内科で診療される理由は以下のとおりです。
循環器内科での一般的な診療の流れは以下のとおりです。
脂質異常症の管理において循環器内科が重要な役割を果たしていることがわかります。
ただし、脂質異常症が他の疾患に起因する場合もあります。状況に応じて内分泌内科や糖尿病内科などの他の内科と連携して診療が行われることもあります。
脂質異常症の原因は、大きく遺伝的要因と環境要因(主に生活習慣)に分けられます。これらの要因が複雑に絡み合って発症に至ります。
遺伝的要因は、脂質代謝に関わる遺伝子の変異や多型性によるものです。例えば、LDLレセプター遺伝子の変異は家族性高コレステロール血症の原因となります。遺伝的素因があっても、適切な生活習慣によって発症を予防できる場合もあります。
主な環境要因には次のようなものがあります。
これらの要因が複合的に作用し、脂質代謝に影響を与えます。遺伝的要因と現代の生活習慣の変化が複雑に関与していると考えられています。
脂質異常症は、初期段階には自覚症状がほとんどないことが特徴です。しかし、長期間放置すると、さまざまな症状や合併症が現れる可能性があります。
脂質異常症による皮膚症状には、以下の2種類があります。
脂質異常症による循環器の症状は、主に以下のとおりです。
脂質異常症による神経の症状は、主に以下のとおりです。
その他の症状には、以下のようなものがあります。
多くの場合、症状が現れた時点ですでに動脈硬化が進行していることが多いため、定期的な健康診断による早期発見・早期治療が重要です。これらの症状は脂質異常症以外の疾患でも起こり得るため、症状がある場合は必ず医療機関に受診し、適切な診断を受けることが大切です。
脂質異常症の診断には、血液検査が不可欠です。採血は通常、医療機関で看護師が行い、予防接種と同じ程度の軽微な痛みを伴います。採取した血液は遠心分離機にかけられ、血漿(けっしょう)と血球成分に分離されます。血漿中のコレステロールや中性脂肪の量を測定し、結果を基準値と比較して診断します。
重要な検査項目には以下のものがあります。
コレステロールパネル検査
脂質プロファイル検査(または脂質検査)は、脂質異常症の診断に使われる基本的な血液検査です。この検査では、上記の4項目(総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)を一度に測定します。
これらの数値を総合的に判断することで、脂質異常症の診断と治療方針の決定を行います。
例えば、LDLコレステロール値が高い場合、血管内に悪玉コレステロールが蓄積しやすい状態を示しています。このような場合、食事療法や運動療法、必要に応じて薬物療法を組み合わせた治療が行われます。
脂質異常症の診断は、日本動脈硬化学会が作成したガイドラインに基づいて行われます。このガイドラインは、最新の研究結果や臨床経験を反映した信頼性の高い基準です。
脂質異常症の診断基準は以下のとおりです。
これらの値のいずれかが基準を超えている場合、脂質異常症と診断されます。ただし、個人の病の状態や他の疾患の有無によって、より厳格な基準が適用される場合もあります。
治療方針は、大きく分けて「薬物療法」と「生活習慣改善」の2つのアプローチを組み合わせます。
脂質異常症における薬物療法は以下のとおりです。
脂質異常症における生活習慣の改善方法は、以下のとおりです。
治療効果は個人差が大きいので、定期的な血液検査と医師の診察を受けながら、長期的に管理していくことが重要です。
脂質異常症の治療効果は、すぐには現れません。脂質異常症は時間をかけて治療することが重要です。治療期間については、一般的に次のような流れが想定されます。
脂質異常症の治療中は、定期的な血液検査が欠かせません。検査の頻度は次のように推奨されています。
血液検査では、LDL・HDLコレステロール、中性脂肪の値を確認します。また、肝機能や腎機能の検査も同時に行い、薬の副作用がないかチェックします。
脂質異常症は、自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行していることがあります。放置すると血管の老化が進み、動脈硬化を引き起こし、心臓病や脳卒中のリスクが上がります。健康な血管を維持するためには、脂質異常症の予防が重要です。
以下の日々の生活習慣を見直すことで、大きな違いを生み出せます。
野菜には、血中脂質を減少させ、血管の健康を維持する効果のある食物繊維が豊富に含まれています。1日の野菜摂取量の目標値を350gとされています。
脂肪の過剰摂取は、血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ、脂質異常症のリスクを高めます。日本動脈硬化学会のガイドラインでは、総脂肪摂取量を総エネルギー摂取量の20〜25%に抑えることを推奨しています。
魚、特に青魚に多く含まれるDHAやEPAなどのn-3系脂肪酸は、血液中の中性脂肪を減らし、動脈硬化を予防する効果が期待できます。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、n-3系脂肪酸の目標量を18歳以上の男性で2.4g/日、女性で2.0g/日としています。
食物繊維は、腸内環境を整え、コレステロールの吸収を抑制する作用があります。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、食物繊維の目標量を18〜64歳の男性で21g/日以上、女性で18g/日以上としています。
清涼飲料水やジュース、菓子類に含まれる糖分は、中性脂肪を増加させ、脂質異常症のリスクを高める可能性があります。WHO(世界保健機関)は、遊離糖の摂取量を1日の総エネルギー摂取量の10%未満、できれば5%未満に抑えることを推奨しています。
適度な運動は、血中脂質を減少させ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させる効果があります。また、ストレス解消や睡眠の質向上にも寄与します。厚生労働省では、18〜64歳の成人に対して、週150分以上の中等度の有酸素運動を推奨しています。
実践例としては、以下のとおりです。
これらの運動を継続的に行うことで、脂質異常症の予防だけでなく、全身の健康維持にも効果が期待できます。
脂質異常症は血液中の脂質が、基準値を超えた状態で放置すると、動脈硬化や重大な合併症のリスクが高くなります。主な対策は以下のとおりです。
早期発見・早期治療が重要です。健康診断で指摘されたら、専門医への診察を検討しましょう。適切な管理により、健康的な生活を維持できます。
大石内科循環器科医院
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