大石内科循環器科医院

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慢性閉塞性肺疾患

「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」という病名をご存知ですか?

以前は「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれておりタバコの煙などの有害物質によって肺が炎症を起こし息苦しさや咳、痰などの症状が出る病気です。喫煙者だけでなく、受動喫煙や大気汚染もリスクを高めるため他人事ではありません。

実はCOPDは初期症状に乏しく、知らないうちに進行しているケースも多い病気です。「最近、動くと息切れがする」「階段の上り下りがつらい」と感じたら要注意です。

この記事ではCOPDの原因や症状、治療法、日常生活での注意点まで詳しく解説していきます。ご自身や周りの方の健康を守るためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは?

「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」という病名を聞いたことはありますか?

少し前までは、「慢性気管支炎」や「肺気腫」といった名前で呼ばれていた病気です。タバコの煙などに含まれる有害物質を長年吸い続けることで、肺が炎症を起こし、息苦しさや咳、痰などの症状が出てしまう病気です。

患者さんの中には「タバコなんて吸わないから大丈夫」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は、受動喫煙や大気汚染などもCOPDのリスクを高めることが分かっています。

例えば私が診察した患者さんの中には、工場勤務で長年粉塵を吸い込み続け、COPDを発症した方もいらっしゃいました。COPDは、初期の段階では自覚症状が出にくいという特徴があります。

そのため知らないうちに症状が進行し息苦しさを感じるようになって初めて病院を受診する、というケースも少なくありません。

「最近、少し動いただけで息切れがする」「階段の上り下りがつらい」と感じることが多くなった方は、注意が必要です。

COPDの2つのタイプ:肺気腫と慢性気管支炎

COPDには、大きく分けて「肺気腫」と「慢性気管支炎」の2つのタイプがあります。

1. 肺気腫

肺は、小さな空気の袋がたくさん集まってできています。この空気の袋のことを「肺胞(はいほう)」と呼びます。

肺気腫になると、この肺胞の壁が壊れてしまい、肺が膨らんだ状態になってしまいます。イメージとしては、風船を膨らませすぎた状態を想像してみてください。風船は、膨らませすぎると、少しの衝撃でも破裂しやすくなりますよね。

肺気腫も同様に、肺胞の壁が壊れることで、肺が脆くなってしまい、呼吸機能が低下してしまうのです。

2. 慢性気管支炎

肺の中に、空気の通り道である「気管支(きかんし)」があります。

慢性気管支炎になると、この気管支で炎症が慢性的に続き、咳や痰が長引くようになります。気管支が炎症を起こすと、空気の通り道が狭くなってしまうため、息苦しさを感じやすくなります。

例えるなら、ホースの中を水が通る時に、ホースが細くなっていると、水の勢いが弱くなってしまいますよね。慢性気管支炎では、気管支が狭くなることで、同様に空気の流れが悪くなり、息苦しさを感じてしまうのです。

多くのCOPDの患者さんは、この「肺気腫」と「慢性気管支炎」、両方の症状を併せ持っていることが多いです。

COPDの原因と危険因子:喫煙、受動喫煙、大気汚染など

COPDの最大の原因は、タバコです。タバコの煙に含まれる有害物質が、肺に大きなダメージを与えてしまうからです。喫煙者の約15~20%がCOPDを発症すると言われています。

タバコを吸うと、有害物質を含む煙が、口や鼻から肺へと入ってきます。この煙は気管支を通って肺胞まで到達し、肺胞の壁を破壊したり気管支に炎症を起こしたりするなど様々な悪影響を及ぼします。

タバコの煙以外にも、COPDのリスクを高める要因はいくつかあります。例えば、以下のようなものがあります。

  • 受動喫煙: 喫煙者が吐き出す煙や、タバコから立ち上る煙を吸い込むことで、自分もタバコを吸っているのと同じように健康被害を受けてしまいます。
  • 大気汚染: 工場や自動車から排出される排気ガスなどに含まれる有害物質も、肺にダメージを与えます。
  • 職業性粉塵: 職場などで、石綿(アスベスト)や粉塵などを長年吸い続けることで、COPDのリスクが高まります。

COPDの初期症状:咳、痰、息切れ

COPDは、初期の段階では自覚症状が出にくい病気です。そのため、知らないうちに症状が進行していることも少なくありません。

COPDの初期症状として、以下のようなものがあります。

  • 咳: 痰を伴う咳が長引くことがあります。特に、朝方に咳が出やすいという特徴があります。
  • 痰: 透明または黄白色の痰が出ることがあります。
  • 息切れ: 階段の上り下りや、少し動いただけで息切れがするようになります。

これらの症状は風邪や気管支炎など、他の病気と似ているためCOPDだと気づかれないことも多いです。

COPDが進行するとどうなる?

COPDは進行性の病気です。つまり治療をせずに放っておくと、徐々に症状が悪化していきます。COPDが進行すると、以下のような症状が現れるようになります。

  • 息切れの悪化: 少し動いただけで息切れがするようになり、日常生活に支障をきたすようになります。

例えば最初は階段の上り下りや坂道を歩くときに息切れを感じていた方が、COPDが進行すると平坦な道を歩くだけでも息切れがするようになることがあります。 さらに悪化すると着替えやトイレなどのちょっとした動作でも息切れがするようになり、日常生活に大きな支障をきたすようになります。

  • 呼吸困難: 呼吸をすることが苦しくなり、安静にしていても息苦しさを感じるようになります。

呼吸困難は、COPDがかなり進行した段階で現れる症状です。 呼吸困難が起こると、患者さんは非常に苦しい思いをすることになります。

  • チアノーゼ: 血液中の酸素が不足することで、唇や爪の色が紫色になることがあります。

チアノーゼは、血液中の酸素量が低下していることを示すサインです。

  • 浮腫: 足首や足がむくむことがあります。

これは、心臓に負担がかかり、血液の循環が悪くなっていることが原因で起こります。

  • 体重減少: 食欲不振や息苦しさから、体重が減少することがあります。

COPDの患者さんは息苦しさのあまり食欲が低下したり、食事を十分に摂ることができなくなったりすることがあります。また、COPDが進行すると肺炎や気胸、肺高血圧症、心不全などの合併症を引き起こすリスクも高まります。

COPDと診断されたらどうなるのか?

COPDは、完治するのが難しい病気です。しかし適切な治療を行うことで症状の進行を遅らせ、日常生活の質を維持することができます。

COPDと診断された場合は、医師の指示に従い治療を開始することが大切です。

COPDの治療法:症状をコントロールし、進行を遅らせる

慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断されると、不安な気持ちになるかもしれません。「この先どうなるんだろう…」と、ご自身の将来に対して漠然とした不安を感じてしまう方も少なくないでしょう。

しかし、COPDは決して治療法がない病気ではありません。むしろ治療法や日常生活での工夫によって、症状をコントロールし、進行を遅らせることができる病気です。

適切な治療や生活習慣の改善に取り組むことで、COPDと上手に付き合いながら、充実した日々を送ることが十分に可能です。

ここでは、COPDの主な治療法について、私の経験を交えながら詳しく解説していきます。ご自身の病気について深く理解し、治療に積極的に取り組むための一助としていただければ幸いです。

薬物療法:気管支拡張剤、吸入ステロイドなど

薬物療法は、COPDの治療において中心的な役割を担っています。COPDの症状を和らげ、病気の進行を遅らせることを目的としています。

薬には、例えば、風邪を引いたときに使う風邪薬のように、その時に出ている症状を抑えることを目的とした薬と、高血圧や糖尿病の薬のように、病気そのものをコントロールし、進行を遅らせることを目的とした薬があります。

COPDの薬物療法で使用される薬は、後者の「病気そのものをコントロールし、進行を遅らせることを目的とした薬」に該当します。

主な薬には、以下のようなものがあります。

  • 気管支拡張剤: 喘息の治療薬としても使われますが、COPDの治療においても重要な薬です。気管支拡張剤は、気管支を取り巻く筋肉の緊張を和らげ、空気の通り道を広げることで呼吸を楽にする薬です。例えるなら、ゴムチューブが縮んで細くなっているところに、この薬を使うことでゴムチューブを元の太さに戻し、空気の通りを良くするイメージです。吸入薬と内服薬がありますが、COPDの治療では主に効果が早く現れ、全身への副作用が少ない吸入薬が用いられます。吸入薬には、効果が数時間持続する短時間作用型と、12時間以上効果が持続する長時間作用型があります。
  • 吸入ステロイド薬: 気管支の炎症を抑える薬です。炎症を抑えることで、咳や痰などの症状を改善し、病気の悪化を防ぎます。ステロイド薬というと、副作用を心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、吸入ステロイド薬は、飲み薬と比べて全身的な副作用が少なく、安全性が高い薬です。もちろん、全く副作用がないわけではありませんので、処方された際には、医師から副作用の可能性やその対応策について、しっかりと説明を受けるようにしましょう。
  • 長時間作用性抗コリン薬: 気管支を拡張し、呼吸を楽にする薬です。気管支拡張剤の一種ですが、気管支拡張剤の中でも特に効果が長く持続するのが特徴です。長時間作用性抗コリン薬は、1日1回または2回の吸入で、24時間効果が持続するものもあります。そのため、薬の服用回数が少なく、飲み忘れを防ぐことができるというメリットがあります。
  • テオフィリン: 気管支を拡張する効果があります。以前はCOPDの治療によく使われていましたが、他の薬と比べて副作用が出やすく、また、他の薬の効果が不十分な場合にのみ使用されるようになっています。

これらの薬は単独で使用されることもありますが、複数の薬を組み合わせて使用されることもしばしばあります。

在宅酸素療法:自宅で酸素吸入を行う

COPDが進行すると、血液中の酸素濃度が低下し、息切れが強くなってしまうことがあります。

COPDを発症した当初は階段の上り下りや坂道を歩く時だけに息切れを感じていた方が、COPDが進行すると平坦な道を歩くだけでも息切れを感じるようになることがあります。さらに悪化すると着替えやトイレなどのちょっとした動作でも息切れがするようになり、日常生活に大きな支障をきたすようになってしまうのです。

このような場合は、在宅酸素療法が必要となることがあります。在宅酸素療法とは文字通り自宅で酸素吸入を行うことで、血液中の酸素濃度を維持し呼吸困難を改善する治療法です。

在宅酸素療法には、酸素濃縮装置や酸素ボンベなどの機器を使用します。酸素濃縮装置は、空気中の酸素を集めて濃縮する装置で、家庭用のコンセントから電源を取って使用します。酸素ボンベは、酸素が充填されたボンベです。

以前は在宅酸素療法というと酸素ボンベを持ち運ぶ必要があり、外出が制限されるなど患者さんの負担が大きい治療法でした。しかし近年では小型で軽量な酸素濃縮装置が開発され、外出時にも手軽に酸素吸入ができるようになっています。

在宅酸素療法を行うことで、息切れが楽になり、日常生活の活動性が向上するだけでなく、COPDの進行を遅らせ、寿命を延ばす効果も期待できます。

呼吸リハビリテーション:呼吸機能の改善を目指す

呼吸リハビリテーションは、COPDの治療において重要な役割を担っています。

呼吸機能の改善、運動耐容能の向上、日常生活活動の改善、QOL(生活の質)の向上などを目的としています。

呼吸リハビリテーションには、以下のようなものがあります。

  • 呼吸訓練: 正しい呼吸方法を学び、呼吸筋を鍛える訓練です。腹式呼吸や口すぼめ呼吸などがあります。
  • 運動療法: 安全に体力をつけるための運動プログラムを作成し、運動指導を行います。ウォーキングや自転車エルゴメーター、筋力トレーニングなどがあります。
  • 日常生活動作訓練: 呼吸を整えながら、日常生活で必要な動作をスムーズに行えるように練習します。着替えや入浴、トイレ動作、階段昇降などがあります。

呼吸リハビリテーションは、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士など、多職種が連携して行います。

増悪時の治療:抗菌薬、酸素療法、人工呼吸器など

COPDは風邪やインフルエンザなどの感染症などをきっかけに、症状が急激に悪化することがあります。これを「増悪」といいます。COPDの増悪は命に関わることもあるため、早期に適切な治療を行うことが重要です。

COPDの増悪時の治療には、以下のようなものがあります。

  • 抗菌薬: 細菌感染が原因で増悪している場合は、抗菌薬を投与します。
  • ステロイド薬: 気管支の炎症を抑え、症状を改善するために、ステロイド薬を投与します。内服薬や点滴薬、吸入薬などがあります。
  • 酸素療法: 呼吸困難が強い場合は、酸素療法を行います。
  • 人工呼吸器: 呼吸不全が重症化した場合は、人工呼吸器を使用することがあります。人工呼吸器には、口や鼻から管を挿入して肺に空気を送り込む侵襲的な人工呼吸器と、マスクを装着して肺に空気を送り込む非侵襲的な人工呼吸器(NPPV)があります。
  • 非侵襲的陽圧換気(NPPV): 鼻マスクなどを装着し、気道に空気を送り込むことで呼吸を補助する方法です。

禁煙の重要性:COPDの進行を抑制

COPDの最大の原因は喫煙です。COPDの進行を抑制するために最も重要なことは、禁煙です。禁煙することで呼吸機能の低下を抑制し、症状の悪化を防ぐことができます。

また禁煙はCOPDだけでなく、肺がんや虚血性心疾患、脳血管疾患などの様々な病気のリスクを低下させる効果もあります。

禁煙は、自分の意志の力だけで成功させるのは難しいものです。禁煙外来を受診したり、禁煙補助薬を使用したりするなど、医師や薬剤師に相談しながら禁煙に取り組みましょう。

COPDと上手に付き合うために:日常生活の工夫と注意点

慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断されると「これからどうやって生活していけばいいんだろう…」と不安な気持ちになるのも無理はありません。

息切れや咳、痰などの症状が出やすく、日常生活に制限がかかってしまうこともあります。しかしCOPDは正しく理解し治療や生活習慣の改善に取り組むことで、症状をコントロールし充実した日々を送ることが十分可能です。

私の患者さんの中にもCOPDと診断された当初は落胆し、不安を抱えていた方がたくさんいらっしゃいました。しかし、治療や生活習慣の改善を続けることで、症状が安定し、旅行や趣味を楽しめるまで回復された方も少なくありません。COPDは患者さん自身が病気と向き合い、積極的に生活習慣を改善していくことが非常に大切です。

ここでは、COPDの患者さんが日常生活で気を付けるべき点について、私の経験を交えながら具体的に解説していきます。

呼吸を楽にする方法:腹式呼吸、口すぼめ呼吸

COPDになると肺の機能が低下し、少し動いただけで息切れを感じやすくなってしまいます。

健康な人であれば無意識のうちに楽に呼吸できていますが、COPDを発症すると意識して呼吸をコントロールすることが重要になります。

呼吸を楽にする方法として、腹式呼吸と口すぼめ呼吸があります。これらの呼吸法はいずれも横隔膜を効果的に使うことで、呼吸を深くし、楽にする効果があります。

1. 腹式呼吸

腹式呼吸は文字通り、お腹を膨らませたり、へこませたりしながら呼吸をする方法です。

息を吸う時にお腹を膨らませることで、横隔膜が大きく下がり、肺に多くの空気を取り込むことができます。逆に、息を吐く時にお腹をへこませることで、横隔膜が上がり、肺の中の空気を押し出すことができます。

腹式呼吸は、リラックス効果も高く、就寝前にベッドで行うのもおすすめです。

2. 口すぼめ呼吸

口すぼめ呼吸は、息を吐く時に、口をすぼめてゆっくりと吐き出す呼吸法です。

口をすぼめることで、気道が狭くなるのを防ぎ、肺の中の空気がゆっくりと排出されるため、呼吸が楽になります。口すぼめ呼吸は息切れがする時や、運動をする時などに行うと効果的です。

腹式呼吸口すぼめ呼吸
方法お腹を膨らませたり、へこませたりしながら呼吸する口をすぼめてゆっくりと息を吐き出す
効果横隔膜を効果的に使い、呼吸を深くする気道の閉塞を防ぎ、呼吸を楽にする
行うタイミングリラックスしたい時、息苦しさを感じた時、就寝前息切れを感じた時、運動時

日常生活の注意点:禁煙、感染予防、バランスの取れた食事

COPDは、肺の機能が低下している状態です。そのためCOPDの患者さんは、健康な人に比べて様々な病気にかかりやすく、また重症化しやすい状態にあります。

COPDの進行を抑え症状を悪化させないためには日常生活においても、いくつか注意すべき点があります。

1. 禁煙

COPDの最大の原因は喫煙です。タバコの煙には4,000種類以上の化学物質が含まれており、その中には発がん性物質や肺の細胞を破壊する有害物質も含まれています。

喫煙を続けると肺の炎症がさらに悪化しCOPDの症状が進行するだけでなく、肺がんや心臓病、脳卒中などのリスクも高くなります。禁煙は、COPDの治療において最も効果的な方法と言えるでしょう。

禁煙は、自分一人で行うのは難しいものです。禁煙外来を受診したり禁煙補助薬を使用したりするなど、医師や薬剤師に相談しながら禁煙に取り組みましょう。

当院は禁煙外来を行っておりますので、ご気軽にご相談ください。

2. 感染予防

COPDの患者さんは肺の機能が低下しているため、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱くなっています。そのため風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすく、重症化しやすい状態にあります。

COPDの患者さんにとって感染症は、命に関わることもある恐ろしい病気です。日頃から、感染予防を心がけることが重要です。

具体的には、以下のような対策が有効です。

  • インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンを接種する
  • うがい、手洗いを徹底する
  • 人混みを避ける
  • 栄養バランスのとれた食事を摂り、十分な睡眠をとる
  • 適度な運動をする

3. バランスの取れた食事

COPDの患者さんは、呼吸をするために多くのエネルギーを消費するため、健康な人よりも多くの栄養素を必要とします。またCOPDの症状を改善し健康を維持するためには、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。

COPDの患者さんに特に必要な栄養素はタンパク質、ビタミン、ミネラルです。タンパク質は、体の組織を作るために欠かせない栄養素です。ビタミンは、体の機能を調節するために必要な栄養素です。ミネラルは骨や歯を作ったり、体の機能を調節したりするために必要な栄養素です。

これらの栄養素をバランスよく摂取することで、COPDの症状を改善し、健康を維持することができます。

COPDと食事:低脂肪高タンパク質の食事を心がける

COPDの患者さんにとって、適切な食事を摂ることは、健康を維持していく上で非常に重要です。COPDの患者さんは、呼吸困難などの症状があるため、食事の量や質が低下しやすく、低栄養に陥りやすい傾向にあります。

低栄養になると、体力が低下し、免疫力が低下するため、感染症にかかりやすくなったり、COPDの症状が悪化したりするリスクが高まります。COPDの患者さんは、低脂肪高タンパク質の食事を心がけるようにしましょう。

低脂肪の食事

脂肪分の多い食事は消化に時間がかかり、胃に負担がかかります。すると横隔膜が圧迫され、呼吸が苦しくなることがあります。揚げ物や脂身の多い肉などは控え魚や鶏肉など、良質なタンパク質を摂るように心がけましょう。

高タンパク質の食事

タンパク質は、筋肉や血液など、体の組織を作るために欠かせない栄養素です。COPDの患者さんは呼吸をするために多くのエネルギーを消費するため、十分なタンパク質を摂取することが重要です。肉、魚、卵、大豆製品などを積極的に摂取するようにしましょう。

1回の食事量を減らし、回数を増やす

一度にたくさんの量を食べると胃腸に負担がかかり、呼吸が苦しくなることがあります。1回の食事量を減らし、1日5~6回に分けて食べるようにすると良いでしょう。

おすすめ控えめ
脂身の多い肉
鶏肉(皮なし)揚げ物
バター
大豆製品生クリーム
野菜ドーナツ
果物ケーキ

運動療法:無理のない範囲での運動習慣

「COPDと診断されたから運動はできない…」そう思っていませんか?確かにCOPDの患者さんは息切れなどの症状があるため、運動に対して不安を感じる方も多いかもしれません。

しかし、COPDの患者さんでも、無理のない範囲で運動をすることは可能です。むしろ運動不足は体力や筋力の低下につながり、呼吸困難を悪化させてしまう可能性があります。COPDの患者さんにとって運動は症状の改善や、生活の質の向上に役立つだけでなくCOPDの進行を遅らせる効果も期待できます。

運動療法を行うことで、以下の効果が期待できます。

  • 呼吸筋が鍛えられ、呼吸機能が改善する
  • 全身の持久力が向上し、疲れにくくなる
  • 心肺機能が向上し、血液循環が良くなる
  • ストレス解消効果がある

無理のない運動を継続する

COPDの患者さんの運動療法で最も大切なことは、無理なく継続することです。最初は、5分程度散歩をするだけでも構いません。慣れてきたら、徐々に時間や距離を延ばしていくようにしましょう。

呼吸リハビリテーション

呼吸リハビリテーションとは、呼吸機能の改善を目的としたリハビリテーションのことです。専門の理学療法士の指導のもと、呼吸訓練や、運動療法などを行います。呼吸リハビリテーションを受けることで、呼吸が楽になるだけでなく、日常生活での活動性も向上します。

運動療法を行う際には事前に医師に相談し、自分の体力に合った運動メニューを作成してもらうようにしましょう。

精神的なサポート:家族や医療従事者との連携

COPDは、身体的な症状だけでなく、精神的なストレスも大きい病気です。

「息苦しくてつらい」「この先どうなるのか不安だ」

そうした気持ちを抱える患者さんも少なくありません。COPDの患者さんにとって、周囲の理解とサポートは、病気と向き合っていく上で、とても大きな支えになります。

周囲の理解とサポートが重要

COPDの患者さんを支えるご家族や周囲の方は、病気に対する正しい知識を持ち患者さんの気持ちを理解することが大切です。患者さんの話に耳を傾け、寄り添う姿勢が重要です。

「何かできることはない?」「いつでも話を聞くよ」

そんな優しい言葉をかけるだけでも、患者さんの心は軽くなるはずです。

医療従事者との連携

医師や看護師などの医療従事者は、患者さんの身体的な症状だけでなく、精神的なケアも行っています。不安なことや困っていることがあれば、一人で抱え込まず、気軽に相談しましょう。

COPDは、患者さん自身だけでなく、家族や医療従事者など、周囲の理解とサポートが不可欠な病気です。連携を取りながら、治療を進めていくことが大切です。

まとめ

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコの煙などの有害物質により肺が炎症を起こし、息苦しさや咳、痰などの症状が出る病気です。初期症状は自覚しにくいため、進行してから診断されるケースも多いです。COPDは完治が難しい病気ですが、治療法や日常生活の工夫で進行を遅らせ、症状をコントロールしながら生活することが可能です。禁煙、感染予防、バランスの取れた食事、適度な運動などを心がけ、医師や医療従事者と連携し、適切な治療と生活習慣の改善に取り組みましょう。

お困りのことがありましたら、当院までご相談ください。

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