大石内科循環器科医院

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12月のアレルギー症状 その原因は?

2024.12.13 アレルギー科

12月、年末の慌ただしさの中、鼻のムズムズ、目の痒み…そんなアレルギー症状に悩まされていませんか?

実は、12月も様々なアレルゲンが潜んでおり、油断できません。スギ花粉の飛散開始前とはいえ、地域によっては既に飛散が始まっている可能性も。さらに、乾燥する空気はハウスダストやダニを活発化させ、症状を悪化させかねません。 ブタクサやヨモギ花粉も、地域によっては12月まで飛散が続くケースがあります。

アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを引き起こし、集中力の低下や睡眠不足にも繋がることが。またアレルギー性結膜炎は最大40%の人々に影響を与え、近年増加傾向にあると報告されています。

この記事では12月特有のアレルギー原因と症状の改善、そして予防策を徹底解説します。 快適な年末年始を送るために、ぜひご一読ください。

12月のアレルギー症状とその原因物質

12月は年末の慌ただしい時期ですが鼻がムズムズ、目がかゆい…そんなアレルギー症状に悩まされていませんか?実は12月も様々なアレルゲン(アレルギーの原因物質)が潜んでおり、油断は禁物です。今回は12月に起こりやすいアレルギー症状と原因、そして具体的な対策について、詳しく解説します。

アレルギー性鼻炎の主要な症状と影響

アレルギー性鼻炎は、アレルゲンが鼻の粘膜に接触することで起こる炎症です。くしゃみ、鼻水、鼻づまり…まるで風邪のようですが、いくつかの違いがあります。アレルギー性鼻炎の場合、発熱はほとんどなく、鼻水は透明でサラサラしていることが多いです。風邪の場合、初期は水っぽい鼻水ですが次第に粘り気を帯びた黄色や緑色の鼻水に変化していくことが多いので、鼻水の様子である程度区別できます。

これらの症状は、日常生活に様々な影響を及ぼします。鼻づまりで集中力が低下したり、夜中に何度も目が覚めて睡眠不足に陥ったりすることもあります。毎晩鼻づまりで熟睡できず、日中の仕事に集中できないと訴える方が多くいらっしゃいます。

また常に鼻水が垂れてくる状態では、人と話すのも億劫になりがちです。ティッシュが手放せず、ポケットがティッシュでいっぱいになってしまう、という患者さんもいました。このような状態が続くと、精神的な負担も大きくなってしまいます。

12月に特に注意すべきアレルギーの原因物質

12月は、スギ花粉飛散開始の少し前の時期です。地域によっては、すでにスギ花粉の飛散が始まっている場合もあります。関東地方では、例年1月下旬から2月上旬にかけてスギ花粉の飛散が始まり、3月頃にピークを迎えます。スギ花粉症の患者さんは、早めの対策が重要です。

また秋に飛散するブタクサ花粉やヨモギ花粉も、地域によっては12月まで飛散が続くことがあります。これらの花粉はスギ花粉ほど飛散量が多くはありませんが、アレルギーを引き起こす原因となるため注意が必要です。

さらに、12月は空気が乾燥しやすいため、ハウスダストやダニが活発になり、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。ハウスダストは、室内に存在する様々な物質の混合物で、ダニの死骸やフン、人間のフケや垢、繊維くずなどが含まれています。ダニは高温多湿を好みますが、冬場は暖房を使うため、室内はダニにとって過ごしやすい環境になります。そのため、12月はハウスダストやダニによるアレルギー症状が悪化しやすい時期と言えます。その他にも、ペットのフケやカビなども、アレルギーの原因となることがあります。

これらのアレルゲンは目のかゆみ、充血、涙目などのアレルギー性結膜炎の症状を引き起こすこともあります。アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎は、しばしば同時に起こり、「アレルギー性鼻結膜炎」と呼ばれることもあります。アレルギー性結膜炎は最大40%の人々に影響を与える一般的な病気であり、近年増加傾向にあります。かゆみや充血といった症状は、日常生活に大きな支障をきたします。

アレルゲン特徴
スギ花粉花粉症の代表的な原因物質。地域によっては12月から飛散が始まる
ブタクサ花粉、ヨモギ花粉秋の花粉症の原因物質。地域によっては12月まで飛散が続く
ハウスダスト、ダニ空気が乾燥する冬に活発になる
ペットのフケ、カビ家の中に潜むアレルゲン

環境要因がアレルギー症状に与える影響

アレルギー症状はアレルゲンだけでなく、環境要因によっても大きく影響を受けます。12月は気温が低く、空気が乾燥しやすい季節です。このような環境では鼻や目の粘膜が乾燥しやすく、アレルギー症状が悪化しやすくなります。

患者さんの中には冬になると鼻の中が乾燥してカピカピになり、鼻血が出やすくなるという方もいます。また、室内と屋外の気温差が大きくなることも、アレルギー症状の悪化につながる場合があります。さらに、大気汚染物質もアレルギー症状を悪化させる要因の一つです。

アレルギー症状を軽減するためには加湿器を使って室内の湿度を適切に保ったり、空気清浄機を使用するなど環境を整えることが大切です。温度変化にも気をつけ、外出時はマスクやマフラーなどで鼻や口を保護するようにしましょう。これらの対策は、目のかゆみや充血などのアレルギー性結膜炎の症状に対しても有効です。適切な治療と日常生活の工夫によって、アレルギー症状の悪化を防ぎ、快適に過ごせるようにしましょう。

アレルギー検査の種類と活用方法

12月でも、鼻水やくしゃみ、目のかゆみといったアレルギー症状に悩まされる方は少なくありません。もしかしてアレルギー?と思ったら、自己判断せずに適切なアレルギー検査を受けることが重要です。アレルギーの原因を特定することで、効果的な治療や予防策を講じることができます。この章では、アレルギー検査の種類と、その結果をどのように活用していくかについてご説明します。

ドロップスクリーン検査の手順と精度

アレルギー検査には様々な種類がありますが、近年、広く利用されているのがドロップスクリーン検査です。この検査は、少量の血液で40種類以上ものアレルゲン(アレルギーの原因物質)を一度に調べることができ、お子様から大人まで幅広い年齢層で実施可能です。

検査の手順は以下のように、非常にシンプルです。まず、看護師が注射器を用いて少量の血液を採取します。痛みは注射程度で、すぐに終わります。 採血された血液は検査機関に送られ、アレルギーの原因物質に対するIgE抗体という物質の有無と量を測定します。このIgE抗体は、特定のアレルゲンに反応してアレルギー症状を引き起こす原因となる物質です。そして、約1~2週間後に結果がわかります。検査結果が出るまでの待ち時間は、検査機関や医療機関によって多少前後することがあります。

ドロップスクリーン検査は、多くのアレルゲンを一度に調べられるため、何が原因でアレルギー症状が出ているのかわからない場合に特に役立ちます。例えば、私のクリニックには、季節の変わり目になるとくしゃみや鼻水が出るという患者さんが来院されました。色々な原因が考えられましたが、ドロップスクリーン検査を実施した結果、ハウスダストアレルギーであることが判明しました。

ドロップスクリーン検査は、血液検査であるため、皮膚が弱い方や小さなお子様でも安心して受けることができます。また、精度は他のアレルギー検査と比較しても高く、信頼性が高い検査です。アレルギー性結膜炎の診断においても、詳細な病歴聴取と眼科的検査に加えて、ドロップスクリーン検査などの診断手順を理解することが、的確な診断と治療に不可欠です。

当院でもドロップスクリーン検査を行っておりますのでぜひご利用ください。

診断結果の解釈と次のステップ

検査結果は、専門の医師が丁寧に説明します。結果の数値だけでなく、患者さんの症状、生活環境、他の疾患の有無なども考慮して総合的に判断します。

例えば、スギ花粉の項目で数値が高く、患者さんが12月に目のかゆみや鼻水に悩まされているとします。この場合、スギ花粉が原因のアレルギー性鼻炎の可能性が高いと判断できます。しかし、12月はスギ花粉の飛散時期ではありません。このようなケースでは、ヒノキ科の植物の花粉や、スギ花粉と類似した構造を持つダニやカビが原因となっている可能性も検討します。

中には、スギ花粉症と診断されていたにもかかわらず、12月にも同様の症状が出て困っていた方がいました。詳しく検査した結果、ハウスダストアレルギーも併発していることがわかりました。

アレルギーが疑われる場合は検査結果を基に、適切な治療方針を医師と相談しましょう。治療法としては症状を抑える薬物療法や、アレルギーの原因物質に対する過剰な反応を根本的に改善する舌下免疫療法などがあります。

アレルギー性結膜炎の場合、重症度に応じて抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬、場合によっては免疫抑制剤を使用します。軽度であれば抗アレルギー点眼薬で症状が改善することもありますが、中等度以上になるとステロイド点眼薬が必要になることもあります。当院でも点眼薬を処方できますので、お気軽にご相談ください。

日常生活における予防策として、原因物質を避ける工夫も大切です。ハウスダストアレルギーの方はこまめな掃除を心がけ、花粉症の方は外出時にマスクやメガネを着用するなど、それぞれの原因に合わせた対策が必要です。アレルギー症状を改善し快適な毎日を送るために、検査結果を正しく理解し、医師と協力して治療を進めていきましょう。

アレルギー症状の治療法と予防策

12月でも、鼻水やくしゃみ、目のかゆみといったアレルギー症状に悩まされる方は少なくありません。症状がつらいと、日常生活にも支障が出てしまいますよね。アレルギー性鼻炎は、近年増加傾向にあり、人口の最大40%に影響を与えているという報告もあります。

つらいアレルギー症状を少しでも楽にするために、この章では、12月によくあるアレルギーの原因と、具体的な治療法、そして毎日の生活でできる予防策について、詳しくご説明します。

舌下免疫療法の仕組みと効果

舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に取り入れることで、体をアレルゲンに慣れさせていく治療法です。アレルギー反応の根本原因にアプローチすることで、アレルギー症状を起こりにくくしていきます。

わかりやすく言うと、少しずつ練習することで、高いところが怖くなくなるのと似ています。アレルギーの原因物質を、最初はごく薄い液から、毎日少しずつ舌の下に垂らし、最終的には体が過剰に反応しないようにしていきます。

この治療法は、アレルギーの根本的な原因に働きかけるため、長期的な効果が期待できます。特に、スギ花粉症やダニアレルギーに効果的です。長年スギ花粉症に悩まされていた方が、舌下免疫療法を3年間続けた結果、今ではマスクなしで春を過ごせるようになったという方がいらっしゃいます。

ただし、舌下免疫療法は、毎日続けることが大切で、効果が実感できるまでには数ヶ月かかる場合もあります。また、5歳以上の方でないと受けられないという年齢制限もあります。

項目説明
費用保険適用で、3割負担の場合、月2,000~4,000円程度
期間3~5年
副作用口内炎、かゆみ、のどの腫れなど。まれにアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。
適応5歳以上

副作用は比較的軽度であることが多いですが、まれに重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックが起こる可能性があります。治療開始時は医療機関で経過観察を行うなど、安全に配慮した対応が必要です。

当院でも舌下免疫療法を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

治療薬の種類、効果、副作用の詳細

アレルギー症状を和らげる薬には、飲み薬、点鼻薬、点眼薬など様々な種類があります。症状や体質、年齢、他の病気の有無などによって、適切な薬剤が異なりますので、自己判断せずに医師や薬剤師に相談することが大切です。

主な薬の種類と特徴は以下の通りです。

  1. 抗ヒスタミン薬:アレルギー反応で放出されるヒスタミンという物質の働きを抑え、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどを抑えます。眠気が出るタイプと出にくいタイプがあります。眠気が出にくいタイプの薬でも、人によっては眠気を感じることがありますので、車の運転など注意が必要な作業を行う場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
    • 例:アレグラ、ジルテック、ビラノア
  2. 抗ロイコトリエン薬:アレルギー反応に関わるロイコトリエンという物質の働きを抑え、特に鼻づまりを改善します。
    • 例:シングレア、キプレス
  3. ステロイド点鼻薬:鼻の炎症を抑え、鼻水、鼻づまり、くしゃみを改善します。即効性があり、効果も高いですが、長期的に使用すると鼻の粘膜が萎縮するなどの副作用が現れる可能性があります。医師の指示に従って使用することが重要です。
    • 例:フルナーゼ、ナゾネックス、アラミスト
  4. ステロイド点眼薬:目のかゆみや充血を抑えます。ステロイド点鼻薬と同様に、効果は高いですが、長期使用には注意が必要です。
    • 例:パタノール、フルメトロン、アレジオンLX点眼薬
  5. 鼻閉改善薬(血管収縮剤):鼻の血管を収縮させて鼻づまりを改善します。即効性がありますが、長期間使用すると効果が弱まったり、逆に鼻づまりが悪化することがあります。連用は避け、医師の指示に従って使用しましょう。
    • 例:ナシビン、プリビナ

日常生活でできるアレルギー症状の緩和策

日常生活でも、アレルギー症状を和らげる工夫はたくさんあります。薬物療法と並行して、以下の対策を行うことで、より効果的に症状をコントロールすることができます。

  1. 部屋の掃除:こまめな掃除機がけ、拭き掃除、換気は、ダニやハウスダストを減らす効果があります。特に、カーペットや布団、ぬいぐるみなどはダニの温床になりやすいので、こまめな掃除と天日干しを心がけましょう。空気清浄機も有効です。
  2. 布団や枕のお手入れ:週に1回は天日干ししたり、布団乾燥機を使うことで、ダニの繁殖を抑えられます。高温でダニを死滅させる効果のある布団乾燥機は、ダニアレルギーの方にとって特に有効な対策です。
  3. 洗顔とうがい:外出から帰ったら、すぐに洗顔とうがいをして、顔や鼻、のどに付着したアレルゲンを洗い流しましょう。目のかゆみがある場合は、洗眼も効果的です。
  4. マスクの着用:花粉やハウスダストの吸入を防ぎます。特に、花粉の飛散量が多い時期や、ハウスダストの多い場所に行く際は、必ずマスクを着用しましょう。
  5. 食生活の改善:バランスの良い食事を心がけ、免疫力を高めることは、アレルギー症状の緩和にも繋がります。また、特定の食品がアレルギー症状を悪化させる場合もありますので、自分の体質を把握し、適切な食生活を心がけましょう。
  6. 適切な湿度管理:乾燥しすぎると鼻や目の粘膜が弱り、アレルギー症状が悪化しやすくなります。加湿器などで適切な湿度(50~60%)を保ちましょう。逆に、湿度が高すぎるとダニやカビが増殖しやすくなるため、注意が必要です。

これらの対策を続けることで、アレルギー症状を軽減し快適に過ごすことができます。アレルギー性結膜炎は現在、人口の最大40%に影響を与えるほど一般的な症状であり、近年増加傾向にあると報告されています。かゆみや充血といった症状は、日常生活に大きな影響を与えます。自己判断で治療するのではなく、医師の診断を受けることが重要です。

まとめ

12月もアレルギー症状に悩まされている方は少なくないようです。この記事では、12月特有のアレルギーの原因物質(スギ花粉、ブタクサ花粉、ヨモギ花粉、ハウスダスト、ダニ、ペットのフケ、カビなど)と、それらによるアレルギー性鼻炎や結膜炎の症状、そして効果的な対策について解説しました。

症状が辛い場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査(例えばドロップスクリーン検査)を受けてみましょう。検査結果に基づいて、医師はあなたに最適な治療法(薬物療法、舌下免疫療法など)を提案し、症状に合わせたアドバイスをしてくれます。

日常生活では部屋の掃除や加湿、マスクの着用など、アレルゲンを避ける工夫を心がけましょう。 治療薬や予防策と併用することで、より効果的にアレルギー症状をコントロールできます。 快適な毎日を送るために、ぜひこの記事を参考に、適切な対策を講じてみてください。

アレルギー症状でお悩みの方や、アレルギー検査を希望される方は当院へご相談ください。




参考文献

  • Bielory L, Delgado L, Katelaris CH, Leonardi A, Rosario N, Vichyanoud P. “ICON: Diagnosis and management of allergic conjunctivitis.” Annals of allergy, asthma & immunology 124, no. 2 (2020): 118-134.



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