大石内科循環器科医院

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シラカンバ花粉症の症状と対策を解説

2025.01.14 アレルギー科花粉症

春の訪れとともに、美しい白い樹皮が目印のシラカンバが目覚めます。しかし、その美しさの裏には、多くの人を悩ませる花粉症の脅威が潜んでいます。

近年、シラカンバ花粉症の患者数は増加傾向にあり、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどに悩まされる人が増えています。 2023年にはシラカンバ花粉症の患者数は過去最高を記録し、特に北海道や東北地方では、その症状に苦しむ人が後を絶ちません。

この記事では、シラカンバ花粉症の原因や症状、そして効果的な治療法について解説します。美しい春の景色を満喫するためにも、シラカンバ花粉症について理解を深め適切な対策を講じましょう。

シラカンバの主な特徴と生息地

白い樹皮が美しいシラカンバ。その美しさから公園や街路樹として植えられることも多く、私たちの身近にも存在しています。しかし、そんなシラカンバの花粉が、春先にくしゃみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こす原因となることをご存知でしょうか?

花粉症というとスギやヒノキを思い浮かべる方が多いと思いますが、近年ではシラカンバ花粉症に悩まされる患者さんも増えています。

ここでは、シラカンバの特徴と生息地について詳しく見ていきましょう。

シラカンバの植物学的特性

シラカンバは、カバノキ科カバノキ属に属する落葉高木です。高さは20~30メートルにもなり、マンションの7階から10階に相当する高さまで成長します。想像してみてください。ビルの高さに匹敵するほど大きく成長するのです。

シラカンバの最大の特徴は、その白い樹皮です。この白い樹皮は、カンバ属の樹木に共通して見られる特徴で、ベチュリンという成分が含まれています。このベチュリンは、樹皮を白く見せるだけでなく、抗菌作用や抗炎症作用も持っていると言われています。

葉は長さ4~10センチメートル程度の三角状の卵形で、縁にはギザギザとした鋸歯があります。新緑の季節には明るい緑色の葉を茂らせ、秋には黄色く紅葉します。

花は、4月から5月にかけて開花します。ただし、私たちが目にする花びらを持つような華やかな花ではなく、穂状になって垂れ下がる雄花と雌花を咲かせます。風によって花粉が運ばれる風媒花のためシラカンバの花粉は非常に軽く、遠くまで飛散しやすいという特徴があります。

シラカンバの生息する環境

シラカンバは、冷涼で乾燥した気候を好みます。日本では北海道や東北地方、北陸地方などの寒冷地に多く自生しています。標高の高い山地にも生息しており、亜高山帯の明るい場所を好みます。

街中では公園や街路樹、学校などの緑化樹として植えられることも多く、私たちの身近な場所でも見かけることがあります。特に高原リゾート地などでは、その景観の美しさからシラカンバが多く植えられている場所もあります。

シラカンバの花粉の特性

シラカンバの花粉はスギやヒノキの花粉と比べると、その飛散距離が非常に長いことが知られています。風に乗って数百キロメートルも離れた場所まで飛散することもあり、遠く離れた場所にいてもシラカンバ花粉症を発症する可能性があります。

例えば北海道で飛散したシラカンバの花粉が、風に乗って本州まで到達することもあるのです。

またシラカンバの花粉は他の樹木の花粉と比べて、アレルギーの原因となるタンパク質を多く含んでいることも特徴です。そのため少量の花粉でもアレルギー症状を引き起こしやすく、重症化しやすい傾向があります。

さらにシラカンバの花粉は果物や野菜などに含まれるアレルゲンと構造が似ているため、シラカンバ花粉症の人は、特定の果物や野菜を食べたときにもアレルギー症状が出る場合があります。これは「口腔アレルギー症候群」と呼ばれるもので、かゆみ、腫れ、じんましんなどの症状が現れます。

具体的には、リンゴ、モモ、サクランボ、ナシなどのバラ科の果物や、キウイフルーツ、バナナ、メロン、セロリ、トマトなどが、シラカンバ花粉症と関連性の高い食品として知られています。

シラカンバ花粉症の症状と発症メカニズム

春になると、くしゃみや鼻水が止まらない、という経験はありませんか? 実はそれ、シラカンバの花粉が原因かもしれません。シラカンバ花粉症は、近年患者数が増加傾向にある花粉症の一つです。

シラカンバ花粉症の代表的な症状

シラカンバ花粉症の症状は、他の花粉症と非常によく似ています。

  • くしゃみ: 花粉を吸い込むと、鼻の奥の粘膜にくっつきます。すると私たちの体はそれを異物と感知し、排除しようとくしゃみを引き起こします。多くの患者さんが、1日に何度も繰り返し起こるくしゃみに悩まされています。
  • 鼻水: 鼻の粘膜は花粉を洗い流そうと、透明でサラサラとした鼻水を大量に出します。ひどい場合は、ティッシュが手放せない、鼻をかみすぎて鼻の下がヒリヒリする、といった訴えも少なくありません。
  • 鼻づまり: 花粉によって鼻の粘膜が炎症を起こし、腫れ上がることによって鼻づまりが起こります。まるで鼻に栓をされたように呼吸が苦しく、夜も眠れない、集中力が続かない、といった日常生活に支障をきたすこともあります。
  • 目の痒み: 目も、花粉の影響を受けやすい場所の一つです。目のかゆみは花粉が目に入った瞬間に起こる場合もあれば、しばらく経ってから起こる場合もあります。症状が重くなると、目が開けられないほどの激しいかゆみに襲われることもあります。
  • 目の充血: 目の粘膜に炎症が起こり、白目が充血することがあります。鏡を見て、目が真っ赤になっていることに驚かれる患者さんもいらっしゃいます。
  • 喉の痒み: 花粉は鼻や目だけでなく、喉の粘膜にも付着します。その結果、喉の奥にイガイガとしたかゆみを感じたり、咳が出たりすることがあります。

これらの症状は、花粉の飛散量が多い日や、風の強い日などに悪化する傾向があります。

花粉症の症状が現れるメカニズム

では、なぜシラカンバの花粉が体内に入ると、このようなアレルギー反応が起こるのでしょうか?

私たちの体は、ウイルスや細菌などの外敵から身を守るために、「免疫」というシステムを持っています。通常、免疫システムは、花粉のような無害なものには反応しません。

しかし、花粉症の人の場合、この免疫システムが過剰に反応してしまうのです。シラカンバの花粉が体内に入ると、免疫細胞はそれを「敵」だと誤って認識し、攻撃を開始します。

その結果、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出され、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー反応を引き起こします。

  1. シラカンバの花粉が鼻や目に入る
  2. 免疫細胞が花粉を「敵」と認識し、攻撃を開始
  3. ヒスタミンなどの化学物質が放出
  4. 鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状が出る

他の花粉症との違い

シラカンバ花粉症はスギやヒノキの花粉症と同様に、春に症状が現れる花粉症の一つですが、以下のような特徴があります。

  • 口腔アレルギー症候群(OAS: シラカンバ花粉症の人は、リンゴやモモ、サクランボなどのバラ科の果物を食べた時に、口の中がかゆくなったり、腫れたりすることがあります。これは、シラカンバ花粉とこれらの果物に含まれるアレルゲンに共通の構造があるためです。免疫システムが、果物を花粉と勘違いしてしまい、アレルギー反応を起こしてしまうのです。
  • 広範囲に花粉が飛散: シラカンバは、公園や街路樹など、私たちの身近な場所に植えられています。そのため、花粉が遠くまで飛散しやすく、症状が出やすい傾向があります。

シラカンバ花粉症は、日常生活に支障をきたすこともあります。もし心当たりのある症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

シラカンバ花粉症の検査と治療方法

シラカンバ花粉症と診断された後、多くの人が気になるのは、具体的な検査方法や治療法ではないでしょうか?つらい症状を和らげ、快適に過ごすために、検査と治療は重要なステップです。ここでは、シラカンバ花粉症によく用いられる検査方法と治療法について、私の経験を交えながら詳しく解説していきます。

ドロップスクリーン検査の概要

皆さんは、ほんのわずかな血液で、シラカンバ花粉症かどうかを調べることができることをご存知ですか? ドロップスクリーン検査は採血した血液に、アレルギー反応が起こるかどうかを調べる検査です。

私のクリニックでも目のかゆみや鼻水を訴える患者さんに対して、このドロップスクリーン検査をよく行っています。

ある20代の女性は、毎年春になると目がかゆくて仕方がないと訴えていました。問診で詳しくお話を伺うとシラカンバ花粉が飛散する時期と症状が出る時期が一致していたため、ドロップスクリーン検査を実施しました。

その結果、この患者さんはシラカンバ花粉に対して強いアレルギー反応を示すことがわかり、シラカンバ花粉症と診断しました。

ドロップスクリーン検査の特徴

  • わずかな血液で検査ができる: 注射が苦手な方でも、比較的抵抗なく検査を受けていただけます。
  • 複数のアレルゲンを一度に調べることができる: シラカンバ花粉だけでなく、スギやヒノキ、ダニなど、他のアレルギーの原因物質も同時に調べることができます。
  • 検査結果が約30分程度でわかる: すぐに診断結果を知りたい方にとって、大変有用な検査です。


当院でもドロップスクリーン検査を多数行っておりますので、お気軽にご相談ください。

日常生活での予防対策

シラカンバ花粉症の症状を和らげるためには、治療だけでなく、日常生活での予防対策も大切です。花粉症の治療は、医療機関での治療と、日常生活での自己管理の両輪で進めていくことが重要です。

具体的な予防対策

  • 花粉が多い時期や時間帯を把握する: シラカンバ花粉は、4月から5月にかけて多く飛散します。 また風の強い日や気温の高い日中などは、特に花粉量が多くなる傾向があります。 環境省のウェブサイトやアプリなどで、花粉情報を確認するようにしましょう。
  • 外出時の対策をする: 花粉が多い時期に外出する際は、マスクやメガネを着用しましょう。 マスクは花粉の侵入を防ぐだけでなく、くしゃみなどによる飛沫感染予防にも役立ちます。 メガネは花粉が目に入るのを防ぎ、目のかゆみをや充血を軽減する効果があります。
  • 帰宅後の習慣: 家に帰ったら玄関に入る前に、衣服や髪についた花粉を払い落としましょう。玄関に粘着テープ式のクリーナーを置いておくと便利です。 また手洗い、うがい、洗顔をして、花粉を洗い流すことも大切です。 帰宅後すぐにシャワーを浴びて、体についた花粉を洗い流すのも効果的です。
  • 室内への花粉の侵入を防ぐ: 窓やドアは閉めておき、換気は花粉の少ない時間帯に行いましょう。 空気清浄機を使用するのも効果的です。空気清浄機を選ぶ際には、花粉除去機能が付いているか確認しましょう。 また布団や洗濯物は花粉が付着しやすいため、室内に干すようにしましょう。

まとめ

シラカンバは白い樹皮が特徴的な木で、北海道や東北地方などに多く生息しています。その花粉は遠くまで飛散しやすく、近年ではシラカンバ花粉症に悩まされる人が増えています。症状はくしゃみや鼻水、目のかゆみなど、他の花粉症と似ていますが、シラカンバ花粉は他の花粉に比べてアレルギーの原因となるタンパク質を多く含んでいるため、重症化しやすい傾向があります。

検査はドロップスクリーン検査などがあり、治療法としては、症状を抑える対症療法に加え、舌下免疫療法による根本的な治療も可能です。日常生活での予防対策としては、花粉の飛散量が多い時期や時間帯を把握し、外出時はマスクやメガネを着用するなど、花粉を避ける工夫をすることが大切です。

アレルギー症状や花粉症でお悩みなら、当院へお気軽にご相談ください。

大石内科循環器科医院
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