春の訪れとともに、美しい白い樹皮が目印のシラカンバが目覚めます。しかし、その美しさの裏には、多くの人を悩ませる花粉症の脅威が潜んでいます。
近年、シラカンバ花粉症の患者数は増加傾向にあり、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどに悩まされる人が増えています。 2023年にはシラカンバ花粉症の患者数は過去最高を記録し、特に北海道や東北地方では、その症状に苦しむ人が後を絶ちません。
この記事では、シラカンバ花粉症の原因や症状、そして効果的な治療法について解説します。美しい春の景色を満喫するためにも、シラカンバ花粉症について理解を深め適切な対策を講じましょう。
白い樹皮が美しいシラカンバ。その美しさから公園や街路樹として植えられることも多く、私たちの身近にも存在しています。しかし、そんなシラカンバの花粉が、春先にくしゃみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こす原因となることをご存知でしょうか?
花粉症というとスギやヒノキを思い浮かべる方が多いと思いますが、近年ではシラカンバ花粉症に悩まされる患者さんも増えています。
ここでは、シラカンバの特徴と生息地について詳しく見ていきましょう。
シラカンバは、カバノキ科カバノキ属に属する落葉高木です。高さは20~30メートルにもなり、マンションの7階から10階に相当する高さまで成長します。想像してみてください。ビルの高さに匹敵するほど大きく成長するのです。
シラカンバの最大の特徴は、その白い樹皮です。この白い樹皮は、カンバ属の樹木に共通して見られる特徴で、ベチュリンという成分が含まれています。このベチュリンは、樹皮を白く見せるだけでなく、抗菌作用や抗炎症作用も持っていると言われています。
葉は長さ4~10センチメートル程度の三角状の卵形で、縁にはギザギザとした鋸歯があります。新緑の季節には明るい緑色の葉を茂らせ、秋には黄色く紅葉します。
花は、4月から5月にかけて開花します。ただし、私たちが目にする花びらを持つような華やかな花ではなく、穂状になって垂れ下がる雄花と雌花を咲かせます。風によって花粉が運ばれる風媒花のためシラカンバの花粉は非常に軽く、遠くまで飛散しやすいという特徴があります。
シラカンバは、冷涼で乾燥した気候を好みます。日本では北海道や東北地方、北陸地方などの寒冷地に多く自生しています。標高の高い山地にも生息しており、亜高山帯の明るい場所を好みます。
街中では公園や街路樹、学校などの緑化樹として植えられることも多く、私たちの身近な場所でも見かけることがあります。特に高原リゾート地などでは、その景観の美しさからシラカンバが多く植えられている場所もあります。
シラカンバの花粉はスギやヒノキの花粉と比べると、その飛散距離が非常に長いことが知られています。風に乗って数百キロメートルも離れた場所まで飛散することもあり、遠く離れた場所にいてもシラカンバ花粉症を発症する可能性があります。
例えば北海道で飛散したシラカンバの花粉が、風に乗って本州まで到達することもあるのです。
またシラカンバの花粉は他の樹木の花粉と比べて、アレルギーの原因となるタンパク質を多く含んでいることも特徴です。そのため少量の花粉でもアレルギー症状を引き起こしやすく、重症化しやすい傾向があります。
さらにシラカンバの花粉は果物や野菜などに含まれるアレルゲンと構造が似ているため、シラカンバ花粉症の人は、特定の果物や野菜を食べたときにもアレルギー症状が出る場合があります。これは「口腔アレルギー症候群」と呼ばれるもので、かゆみ、腫れ、じんましんなどの症状が現れます。
具体的には、リンゴ、モモ、サクランボ、ナシなどのバラ科の果物や、キウイフルーツ、バナナ、メロン、セロリ、トマトなどが、シラカンバ花粉症と関連性の高い食品として知られています。
春になると、くしゃみや鼻水が止まらない、という経験はありませんか? 実はそれ、シラカンバの花粉が原因かもしれません。シラカンバ花粉症は、近年患者数が増加傾向にある花粉症の一つです。
シラカンバ花粉症の症状は、他の花粉症と非常によく似ています。
これらの症状は、花粉の飛散量が多い日や、風の強い日などに悪化する傾向があります。
では、なぜシラカンバの花粉が体内に入ると、このようなアレルギー反応が起こるのでしょうか?
私たちの体は、ウイルスや細菌などの外敵から身を守るために、「免疫」というシステムを持っています。通常、免疫システムは、花粉のような無害なものには反応しません。
しかし、花粉症の人の場合、この免疫システムが過剰に反応してしまうのです。シラカンバの花粉が体内に入ると、免疫細胞はそれを「敵」だと誤って認識し、攻撃を開始します。
その結果、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出され、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー反応を引き起こします。
シラカンバ花粉症はスギやヒノキの花粉症と同様に、春に症状が現れる花粉症の一つですが、以下のような特徴があります。
シラカンバ花粉症は、日常生活に支障をきたすこともあります。もし心当たりのある症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
シラカンバ花粉症と診断された後、多くの人が気になるのは、具体的な検査方法や治療法ではないでしょうか?つらい症状を和らげ、快適に過ごすために、検査と治療は重要なステップです。ここでは、シラカンバ花粉症によく用いられる検査方法と治療法について、私の経験を交えながら詳しく解説していきます。
皆さんは、ほんのわずかな血液で、シラカンバ花粉症かどうかを調べることができることをご存知ですか? ドロップスクリーン検査は採血した血液に、アレルギー反応が起こるかどうかを調べる検査です。
私のクリニックでも目のかゆみや鼻水を訴える患者さんに対して、このドロップスクリーン検査をよく行っています。
ある20代の女性は、毎年春になると目がかゆくて仕方がないと訴えていました。問診で詳しくお話を伺うとシラカンバ花粉が飛散する時期と症状が出る時期が一致していたため、ドロップスクリーン検査を実施しました。
その結果、この患者さんはシラカンバ花粉に対して強いアレルギー反応を示すことがわかり、シラカンバ花粉症と診断しました。
ドロップスクリーン検査の特徴
当院でもドロップスクリーン検査を多数行っておりますので、お気軽にご相談ください。
シラカンバ花粉症の症状を和らげるためには、治療だけでなく、日常生活での予防対策も大切です。花粉症の治療は、医療機関での治療と、日常生活での自己管理の両輪で進めていくことが重要です。
シラカンバは白い樹皮が特徴的な木で、北海道や東北地方などに多く生息しています。その花粉は遠くまで飛散しやすく、近年ではシラカンバ花粉症に悩まされる人が増えています。症状はくしゃみや鼻水、目のかゆみなど、他の花粉症と似ていますが、シラカンバ花粉は他の花粉に比べてアレルギーの原因となるタンパク質を多く含んでいるため、重症化しやすい傾向があります。
検査はドロップスクリーン検査などがあり、治療法としては、症状を抑える対症療法に加え、舌下免疫療法による根本的な治療も可能です。日常生活での予防対策としては、花粉の飛散量が多い時期や時間帯を把握し、外出時はマスクやメガネを着用するなど、花粉を避ける工夫をすることが大切です。
アレルギー症状や花粉症でお悩みなら、当院へお気軽にご相談ください。
大石内科循環器科医院
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