2月、春の訪れとともにやってくる悩ましい季節…そう、花粉症の季節です。
くしゃみ、鼻水、目のかゆみ…すでに症状に悩まされている方もいるかもしれません。 風邪と間違えやすい花粉症ですが、2月にはスギ、ヒノキ、ハンノキなど、複数の種類の花粉が飛び交い始めます。 特にスギ花粉は、患者数も多く、東京ドーム何個分もの膨大な量が飛散すると言われています。 そのため、都会でも田舎でも、その影響を受けやすいのです。
この記事では、2月に飛散する主な花粉の種類とその特徴、花粉症と風邪や他のアレルギーとの見分け方、そして効果的な対策や治療法を詳しく解説します。 症状の重篤度判定基準や、近年注目されている舌下免疫療法についても分かりやすく説明しますので、花粉症でお悩みの方はぜひご一読ください。 快適な春を過ごすための知識を手に入れましょう。
2月は、まだまだ寒い日が続きますが、暦の上では春。春の訪れとともに、悩ましい花粉症の季節も近づいてきます。くしゃみ、鼻水、目のかゆみ…もうすでに症状が出ている方もいるかもしれません。
当院にも毎年この時期になると「もしかして、花粉症でしょうか?」と訴える患者さんが増え始めます。風邪のような症状もあるため、花粉症かどうか分からず不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
2月にはどんな花粉が飛んでいるのか、それぞれの症状の特徴を知っておくことで早めの対策ができます。この章では2月に飛散する代表的な花粉の種類と、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
スギ花粉は花粉症の原因として最も有名で、患者数も非常に多い花粉です。2月から3月にかけて飛散のピークを迎えます。スギの木は、日本の山々にたくさん植えられていて、花粉の量も膨大です。東京ドーム何個分もの花粉が飛散していると聞くと、その量の多さに驚かれる方もいるのではないでしょうか。
そのため都会でも田舎でも、スギ花粉の影響を受けやすいのです。特にスギ林の近くにお住まいの方や、風が強い日に外出する方は、より多くの花粉を吸い込んでしまう可能性が高くなります。
スギ花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど、他の花粉症と似ています。しかし、スギ花粉は特に症状が強く出やすいので注意が必要です。例えば、くしゃみが止まらなくなったり、鼻水が滝のように流れ続けたり、目がかゆくて腫れてしまうこともあります。
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知っているようで知らないスギが原因のアレルギー症状と花粉症
ヒノキ花粉は、スギ花粉の次に患者数が多い花粉です。スギ花粉が終わる頃から、3月下旬から5月上旬にかけて飛散のピークを迎えます。ヒノキはスギと同じように日本の山に多く植えられていますが、スギよりも少し暖かい地域に分布しています。そのためヒノキ花粉は、西日本や太平洋側で多く飛散する傾向があります。
ヒノキ花粉症の症状も、スギ花粉と同様に、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。スギ花粉症と比べると、症状は少し軽めに出ることが多いですが、人によっては重症化することもあります。
また、スギ花粉症とヒノキ花粉症の両方に悩まされている方も少なくありません。このような方は、2月から5月までの長い期間、花粉症の症状に苦しむことになります。
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ヒノキ花粉症について詳しく解説
ハンノキ花粉はスギやヒノキほど有名ではありませんが、2月から3月にかけて飛散する花粉です。ハンノキは、湿地や川沿いに生えている木で、北海道から九州まで広く分布しています。
ハンノキ花粉症の症状は、他の花粉症と同様に、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。スギやヒノキ花粉に比べると、症状は比較的軽いことが多いです。しかし、ハンノキ花粉は、スギ花粉と飛散時期が重なるため、スギ花粉症と間違えやすいので注意が必要です。
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ハンノキの花粉が原因?樹木花粉のアレルギー症状とは
花粉の飛散量は、気象条件によって大きく変化します。気温が高い日や風が強い日は、花粉がより多く飛散する傾向があります。また雨の日は花粉が地面に落ちるため、飛散量は少なくなります。
2月の花粉症対策として重要なのは、飛散ピークの時期を把握することです。天気予報などで花粉情報を確認し、飛散量が多い日は、外出を控えたり、マスクやメガネを着用するなど、対策をしっかり行いましょう。
さらに症状が出ている場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。例えば、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬など、症状を緩和する薬を処方してもらうことができます。また、舌下免疫療法という、アレルギー反応を起こりにくくする治療法もあります。これは、アレルギーの原因となる物質を少量ずつ体内に取り込むことで、体を慣れさせていく治療法です。
舌下免疫療法はスギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎などの治療に用いられ、長期的な効果が期待できます。ただし効果が現れるまでに時間がかかるため、根気強く治療を続けることが重要です。
花粉症かな?ただの風邪かな?もしかして他のアレルギー?…と、鼻や目の症状が出ると不安になりますよね。私も、患者さんからよく同じような質問を受けます。特に2月は、様々な花粉が飛び始める時期なので、症状の原因を特定するのが難しい時期です。
この章では花粉症でよく見られる症状を具体的に説明し、風邪や他のアレルギーとの違いについて解説します。さらに症状の重篤度をどのように判断するのかについても、医師の視点から詳しくお伝えします。
花粉症の代表的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。まるで体の中に小さな異物が入って暴れているような、不快な感覚に悩まされます。
これらの症状は、花粉が鼻や目の粘膜に付着することで引き起こされるアレルギー反応です。体にとっては花粉という異物を排除しようとする正常な反応なのですが、日常生活に支障が出るほど辛い場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。
くしゃみ、鼻水、目のかゆみ。どれも花粉症の代表的な症状ですが、実はそれぞれ異なるメカニズムで発生します。
症状 | 特徴 |
くしゃみ | 鼻に入った花粉などの異物を体外へ排出するために、反射的に起こる |
鼻水 | 鼻の粘膜で炎症反応が起こり、過剰に分泌されることで生じる |
目のかゆみ | 花粉が目に入り、結膜に炎症反応が起こることで発生する |
花粉症と風邪は、症状が似ているため、自己判断で区別するのは難しい場合があります。
風邪の場合は、くしゃみや鼻水に加えて、発熱、のどの痛み、咳、全身倦怠感などの症状が現れることが多いです。一方、花粉症では、発熱やのどの痛みはほとんど見られません。また、風邪は通常1週間程度で治りますが、花粉症は花粉が飛散している間、症状が続きます。数週間から数ヶ月にわたって症状が続く場合、花粉症の可能性が高いと言えるでしょう。
症状 | 花粉症 | 風邪 |
くしゃみ | 連続して出る | 時々出る |
鼻水 | 水っぽい | 黄色や緑色っぽい |
鼻づまり | あり | あり |
目のかゆみ | あり | まれに |
発熱 | なし | 37~39℃程度 |
のどの痛み | なし | あり |
咳 | なし | あり |
全身倦怠感 | 症状が重い場合 | あり |
花粉症以外にも、アレルギー疾患は数多く存在します。例えば、食物アレルギー、ダニアレルギー、ハウスダストアレルギー、ペットアレルギーなどです。これらのアレルギー疾患は、それぞれ原因となるアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)が異なります。
花粉症は花粉がアレルゲンですが、食物アレルギーは食べ物、ダニアレルギーはダニの糞や死骸、ハウスダストアレルギーはチリダストなどがアレルゲンです。症状は、アレルゲンによって様々ですが、皮膚のかゆみ、発疹、呼吸困難、消化器症状など、多岐にわたります。
花粉症の症状は、花粉の飛散時期によって変化します。2月は、スギ花粉、ヒノキ花粉、ハンノキ花粉などが飛び始め、症状が出始める人が増えます。スギ花粉は2月から4月、ヒノキ花粉は3月から5月、ハンノキ花粉は2月から3月が飛散のピークです。これらの花粉が重なって飛散するため、症状が長引く場合もあります。
花粉症の症状の重篤度は、日常生活への影響の程度によって判断されます。
症状が重い場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。近年、アレルギー性鼻炎の治療法として注目されている舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質を少量ずつ体内に取り込むことで、体を慣れさせていく治療法です。長期的な効果が期待できますが、効果が現れるまでに時間がかかるため、根気強く治療を続ける必要があります。
花粉症の症状は、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなど、本当に辛いですよね。これらの症状に悩まされている方は、決して少なくありません。私自身も、多くの患者さんを診察する中で、花粉症の深刻さを目の当たりにしてきました。
効果的な対策と治療法を知ることで、症状をコントロールし、快適な毎日を送ることは可能です。この章では、花粉症対策と治療法について、検査から治療、そして毎日の予防策まで、分かりやすく解説します。
「もしかして花粉症?」と思ったら、まず行っていただきたいのがドロップスクリーン検査です。これは、少量の血液で40種類以上ものアレルゲンを一度に調べることができる、非常に効率的な検査です。
例えば、スギ花粉症が疑われる場合、スギ花粉だけでなく、ヒノキ、イネ、ブタクサなど、他の植物の花粉に対するアレルギー反応も同時に調べることができます。さらに、ダニやハウスダスト、ペットの毛など、一年を通して症状を引き起こす可能性のあるアレルゲンも検査可能です。
検査方法は簡単で、指先からわずかな血液を採取するだけです。痛みもほとんどなく、小さなお子さんでも安心して受けることができます。検査結果は数値で表示されるため、どのアレルゲンに強く反応しているかが一目瞭然です。
例えば、クラス0は陰性、クラス1は疑陽性、クラス2~6は陽性で、数値が大きいほど陽性反応が強いことを示します。ある患者さんは、スギ花粉の検査結果がクラス5、ヒノキ花粉がクラス3、ダニがクラス2という結果でした。この場合、スギ花粉へのアレルギー反応が最も強く、ヒノキ花粉、ダニにもアレルギーがあることが分かります。
この検査によって、自分がどのようなアレルギーを持っているのか、そしてアレルギーの強さはどの程度なのかを把握することができます。原因を特定することで、より適切な対策を立てることができるのです。
当院でもドロップスクリーン検査を多数行っておりますので、お気軽にご相談ください。
舌下免疫療法の効果と副作用
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ舌の下に投与し、体を徐々にアレルゲンに慣れさせていく治療法です。アレルギー反応を引き起こす原因となる細胞の働きを抑える効果が期待されており、長期的な症状の改善を目指せます。
毎日、決まった量のアレルゲンを含んだ薬を舌の下に数分間保持し、その後飲み込みます。これは、まるで筋トレのように、少しずつ体に負荷をかけていくイメージです。最初は少量から始め徐々に量を増やしていくことで、最終的にはアレルギー反応を起こしにくくしていきます。
舌下免疫療法の大きなメリットは、アレルギー症状を根本的に改善できる可能性があることです。薬を継続的に飲み続ける必要がなくなり、日常生活を快適に過ごせるようになるかもしれません。
しかし、舌下免疫療法には毎日服用する必要があること、治療効果が現れるまでに数ヶ月から数年かかること、口の中のかゆみ、腫れなどの副作用が生じる場合があることなどのデメリットも存在します。
副作用として口の中のかゆみなどが起こることがありますが、多くの場合、症状は軽度で、すぐに治まります。まれに、じんましんや呼吸困難などの重篤な副作用が現れる場合もあるため、医師の指示に従って正しく服用することが重要です。
この治療法は、スギ花粉症やダニアレルギーなどに効果的です。治療期間は3~5年と長期間にわたりますが、アレルギー体質を根本から改善し、症状の軽減や消失を目指すことができる、非常に有望な治療法です。2022年に発表された研究(Iinuma et al., 2022)では、舌下免疫療法によって、アレルギー反応を引き起こす原因となるTH2細胞の働きが抑制されることが示唆されています。具体的には、舌下免疫療法を行うことで、病原性TH2細胞が減少し、代わりにムスキュリン、TGF-β、IL-2を発現するトランス型TH2細胞が増加することが確認されました。これらの細胞の変化が、アレルギー症状の改善に繋がっていると考えられています。
当院でも舌下免疫療法を提供しております。お気軽にご相談ください。
花粉症の症状を少しでも軽減するために、日常生活でできる対策をいくつかご紹介します。
これらの対策を継続することで花粉症の症状を少しでも軽くし、快適な毎日を送ることができるでしょう。
2月はまだ寒いですが、花粉症の季節も近づいています。この記事では、2月に飛散するスギ、ヒノキ、ハンノキ花粉の特徴や症状、そして花粉症と風邪や他のアレルギーとの見分け方について解説しました。 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が続く場合は、花粉症の可能性があります。
2月からの花粉対策として、天気予報で花粉情報をチェックし、飛散量が多い日は外出を控えたり、マスクやメガネを着用するなど、早めの対策を心がけましょう。 症状が気になる場合は、ドロップスクリーン検査で原因となるアレルゲンを特定し、適切な治療を受けましょう。 舌下免疫療法など、症状を軽減する治療法もありますので、医療機関への受診をおすすめします。 また、マスクの着用や帰宅後のケアなど、日常生活での予防策も効果的です。 辛い症状に悩まされることなく、快適な春を迎えましょう。
花粉症やアレルギー症状でお悩みなら、当院までご相談ください。
参考文献
大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585