健康診断で「心電図異常」と指摘されて、不安ではありませんか?実は動悸や息切れなどの自覚症状がない場合でも、健康診断の心電図で異常が見つかることは珍しくありません。
心電図の異常は、必ずしも深刻な病気を示すわけではなく、一時的なものや体質によるものなど、さまざまな原因が考えられます。本記事では、心電図検査について、下記の3つを解説します。
健康診断後の不安を解消し、心臓の健康を守るための方法を知りましょう。健康診断における結果の見方を詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
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心電図検査でわかることについて、以下の4つを解説します。
心臓は、全身に血液を送るポンプの役割を果たしています。心臓が収縮するたびに微弱な電気が発生し、電気信号を波形として記録したものが心電図です。心電図を見ると、心臓のリズムや心拍数の変化、心臓の筋肉(心筋)の状態がわかります。
健康な方の心電図は、一定のリズムと波形で描かれます。しかし、心臓に異常があると、リズムや波形に変化が現れます。R波増高不良という波形の変化は、心筋梗塞や肺気腫、心筋症などで見られる場合があります。心筋に強い障害がある場合は、異常Q波(病的Q波)と呼ばれる波形の変化も見られる場合があります。
心電図は心臓の電気的な活動を示す検査であり、心臓の物理的な状態まで詳細にはわからない可能性があります。心臓の大きさや弁の状態、心臓の筋肉の動き方などを詳しく調べるには、心エコー検査などの精密検査が必要となる場合もあります。
不整脈とは、心臓のリズムが乱れる状態のことです。脈が飛ぶように感じたり、ドキドキと速く感じたり(動悸)、遅く感じたりすることがあります。不整脈は、以下の3種類に分類されます。
心電図検査では、不整脈の種類や程度を調べることが可能です。 特に、頻脈性不整脈のひとつである「心房細動」は、放置すると脳梗塞のリスクが高まるため、注意が必要です。
以下の記事では、健診で「心房細動」が見つかった際の注意点や、日常生活での対策、発作時の対応について詳しく解説しています。心房細動を指摘された方は、ぜひ参考にしてください。
>>心房細動が健診で見つかったら!日常生活での注意点と発作対策
狭心症や心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなったり、詰まったりして起こる状態です。狭心症は、運動時など心臓に負担がかかった際に、一時的に心筋への血流が悪くなります。胸の痛みや圧迫感などの症状が現れる場合がありますが、休息すると症状が軽減するのが特徴的です。
心筋梗塞は冠動脈が完全に詰まってしまい、心臓の筋肉の一部が壊死してしまう状態です。激しい胸の痛みや吐き気、冷や汗などの症状が現れる場合があります。心電図検査では、狭心症や心筋梗塞の兆候を捉えることができ、ST上昇やST低下、異常Q波などの波形の変化が現れる可能性があります。
心臓肥大とは、心臓の筋肉が厚くなって大きくなる状態です。高血圧や弁膜症などが原因で起こる場合があります。心臓肥大が進むと、心臓のポンプ機能が低下し、心不全などの病気を引き起こす可能性があります。
心電図検査では、心臓肥大の有無は推測できる場合がありますが、程度は正確に判断することができない場合があります。心臓肥大が疑われる場合は、心エコー検査などで心臓の大きさを調べることが重要です。
心電図異常を指摘された際の精密検査について、下記の5つを解説します。
ホルター心電図は、小型の記録装置を身につけて、日常生活での心臓の動きを24時間記録する検査です。入浴やシャワー時以外は、普段通りの生活を送ることができます。
メリットは、一時的な不整脈や特定の状況(運動中や睡眠中など)で起こる心臓の変化を捉えられる点です。めまいを感じたときに限って脈が速くなる場合など、原因特定に役立つ場合があります。最近はコードレスタイプの機械もあり、以前に比べて快適に検査を受けられます。
心エコー検査は、超音波を使って心臓の構造や動きをリアルタイムで観察する検査です。ゼリーを塗った探触子を胸に当て、心臓の大きさや壁の厚さ、弁の動き、血流などを調べます。
心臓肥大や弁膜症、心筋梗塞など、さまざまな心臓の病気を発見できる可能性があります。体に負担が少ない検査なので、安心して受けられます。心臓の弁が閉じているか、血液が逆流していないかなどを動画で確認できるため、診断精度は高いです。
運動負荷心電図は、運動中の心臓の状態を調べる検査です。トレッドミル(ランニングマシン)を使って歩行しながら、もしくは自転車型のエルゴメーターをこぎながら、心電図を記録します。
運動によって心臓に負荷をかけることで、安静時には分からない異常を見つけ出せる場合があります。運動負荷心電図では、運動中の心電図の変化を捉えることで、狭心症の診断に役立つ場合があります。
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冠動脈CTは、造影剤を用いて冠動脈の状態を調べる検査です。CT装置で撮影した画像から、冠動脈の狭窄や閉塞の有無、程度などを確認できます。冠動脈の状態を正確に把握することで、狭心症や心筋梗塞のリスクを評価できる場合があります。
最新のCT装置では、短い時間で高精細な画像を得て、冠動脈の状態を詳細に評価できる可能性があります。造影剤を用いるため、腎機能障害のある方や造影剤アレルギーがある方は、検査を受けられない場合があります。検査前に水分制限や食事制限が必要となることもありますが、検査自体は比較的短時間で終了します。
精密検査の費用は、検査の種類や医療機関によって異なりますが、多くの場合、保険が適用されます。健康保険(3割負担)を適用した場合、各精密検査の費用は、以下が目安です。
健診で心雑音が見つかった場合も、心疾患の可能性を見極めるために再検査が必要となることがあります。 心雑音の重症度や、どのような検査を受けるべきかについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>健診で心雑音が見つかった際の対応!重症度の見極めと再検査方法
心電図異常を指摘された際の対処法と注意点について、以下の5つを解説します。
薬物療法は、心電図異常の原因や種類、重症度などを考慮して、医師により選択されることがあります。不整脈に対しては、脈の乱れを整える抗不整脈薬が用いられる場合があります。狭心症や心筋梗塞の危険性がある際は、心臓の血管を広げ、血流を改善する薬や血栓の形成を防ぐ薬が処方される場合もあります。高血圧が原因の場合は、血圧を下げる降圧薬を使用します。
抗不整脈薬では、めまいや倦怠感、動悸などの副作用が生じる場合があります。降圧薬では、咳やめまい、頭痛などの副作用が報告されています。薬物療法は、医師の指示に従って正しく行うことが重要です。薬の服用は医師の指示に従い、自己判断で中断や調整をしないことが重要です。
動悸が気になる場合は、ストレスや自律神経の乱れが関係していることも考えられます。 突然の動悸に不安を感じる方は、以下の記事で「ストレスと動悸の関係」について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
>>突然の急な動悸、その原因はストレスかも?
食生活の改善は、心電図異常の予防や改善に貢献する可能性があります。塩分やコレステロール、飽和脂肪酸の過剰摂取は、高血圧や動脈硬化を促進し、心臓に負担をかけるため、心電図異常を悪化させる場合があります。
減塩のためには、加工食品やインスタント食品、外食を控え、薄味に慣れていくことが大切です。コレステロールを下げるには、動物性脂肪の多い食品を避け、魚や大豆製品、野菜、果物を積極的に摂取しましょう。
飽和脂肪酸は、肉の脂身やバター、ラードなどに多く含まれています。摂りすぎないように注意し、オリーブオイルや魚油などの不飽和脂肪酸を積極的に摂取するように心がけましょう。バランスの良い食事を心がけ、栄養バランスを整えることが心臓の健康維持につながる場合があります。
適度な運動は、心臓の機能を高め、心電図異常の改善に効果的な場合があります。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどは、心臓に負担をかけすぎずに、心肺機能を向上させるのに適した運動です。激しい運動は心臓に負担をかける可能性があるので、避けましょう。自分の体力に合った運動の種類や強度を選び、無理なく続けられるようにすることが大切です。
運動を始める前には、医師に相談し、適切な運動の種類や強度、頻度について指導を受けるようにしましょう。運動中に胸痛やめまい、息切れなどの症状が現れた場合は、すぐに運動を中止し、医師に相談することをおすすめします。
ストレスは、自律神経のバランスを崩し、心拍数の増加や不整脈を引き起こすなど、心電図異常を悪化させる要因となることがあります。日常生活の中でストレスをため込まないよう、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。以下の内容を参考にして、心身をリフレッシュする時間を作るように心がけましょう。
ストレスを適切に管理することで、心電図異常の悪化を防ぎ、心臓の健康を守ることができます。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させる作用があります。一酸化炭素は血液中の酸素運搬能力を低下させ、心筋への酸素供給を阻害します。喫煙は心臓に大きな負担をかけ、心電図異常を悪化させるだけでなく、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などのリスクを高める可能性があります。
心電図異常がある方は、禁煙することが重要です。禁煙外来などを利用して、医師や専門家のサポートを受けながら、禁煙に取り組むようにしましょう。禁煙補助薬の使用は、禁煙に伴う離脱症状を軽減し、成功率を高める助けになります。健康への影響を最小限に抑えるためにも、専門的なサポートを受けながら禁煙を進めることをおすすめします。
禁煙に関する詳しい情報や専門的なサポートを受けたい方は、以下のページをご覧ください。
心電図異常は必ずしも大きな病気を示すわけではありません。年齢や体格、生活習慣なども影響するため、医師に相談し、適切な検査や対応を受けることが大切です。精密検査には、主に下記の4つがあります。
日常生活では、下記の4つを心がけることで、心臓の健康を守り、心電図異常の悪化を防げる場合があります。
少しでも気になることがあれば、遠慮せずに医師に相談しましょう。
当院では、健康診断で異常があった方や体の不調がある方に対して、専門医がサポートしております。健康診断で異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。心電図検査以外でも、健康診断で異常を指摘された場合の検査内容を、以下の記事では詳しく解説しています。
>>健康診断で異常があったらどうする?|静岡市にお住まいの方へ
参考文献
Hassan Mehmood Lak, Sagar Ranka, Amandeep Goyal. Pharmacologic Stress Testing. StatPearls, 2025, p. 1-10
大石内科循環器科医院
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