大石内科循環器科医院

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健康診断で尿蛋白を指摘されたら

2025.04.08 健康診断

健康診断で「尿蛋白陽性」の文字を目にした時「腎臓に何か異常があるのでは?」と不安に感じらえた方はいらっしゃいませんか?

実は、尿蛋白陽性は病気の名前ではなく、尿中に本来含まれるべきではない蛋白質が検出された状態を示すものです。これは、腎臓という体内の精巧なフィルターに何らかの異常が生じている可能性を示唆しており、放置すると深刻な腎臓病に繋がる危険性も秘めています。

年間約150万人が検査で尿蛋白陽性を指摘されているというデータもあります。あなたも、その一人かもしれません。

この記事では、尿蛋白陽性と診断された場合の原因、種類、そして具体的な検査方法や治療法について分かりやすく解説します。

尿蛋白陽性の原因と種類について知る

健康診断で「尿蛋白陽性」を指摘されたら、誰でも不安になりますよね。健康診断の結果を受け取った後、一体何が原因で、どんな病気の可能性があるのか夜も眠れないほど心配している方もいるかもしれません。

尿蛋白陽性自体は病気の名前ではなく、尿に蛋白が出ている状態のことです。健康な状態であれば、尿に蛋白はほとんど含まれません。しかし、腎臓の機能が低下すると、本来血液中にとどまるべき蛋白が尿中に漏れ出てしまうのです。

今回は、尿蛋白陽性の原因や種類について、一緒に考えていきましょう。

腎臓の機能障害が疑われる理由

腎臓は、私たちの体にとって重要な役割を担っています。血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する、いわば体内の浄化槽のような働きをしています。

この腎臓に何らかの異常が生じると、ろ過機能がうまく働かなくなり蛋白が尿中に漏れ出てしまうことがあります。これが尿蛋白陽性となる主な原因です。

腎臓の機能障害には、いくつかの種類があります。代表的なものとしては、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病(CKD)などがあります。

  1. 糸球体腎炎: 腎臓には、糸球体と呼ばれる小さな毛細血管の塊が無数に存在します。糸球体は血液をろ過する最初の関門です。この糸球体が炎症を起こすと、蛋白が尿に漏れやすくなります。これは、工場の精密なフィルターに傷がつき、本来除去されるべきではない物質が製品に混入してしまうようなイメージです。
  2. ネフローゼ症候群: 糸球体腎炎がさらに進行し、糸球体から大量の蛋白が尿に漏れ出てしまう状態です。この状態になると、血液中の蛋白が不足し、むくみや高コレステロール血症などを引き起こすことがあります。例えるなら、ダムの決壊のように、大量の水とともに土砂が流れ出てしまうようなものです。体内の大切な蛋白が、尿として流れ出てしまうのです。
  3. 慢性腎臓病(CKD): 腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。初期には自覚症状がほとんどないため、健康診断などで尿蛋白陽性を指摘されて初めて気づくケースが多いです。自覚症状がないからといって油断せず、定期的な検査を受けることが大切です。

糖尿病との関連性

糖尿病も、尿蛋白陽性の原因となることがあります。高血糖の状態が続くと、腎臓の血管や糸球体が徐々にダメージを受け、ろ過機能が低下してしまうためです。これを糖尿病性腎症といいます。高血糖は、まるで血管を流れる錆のように、腎臓の繊細な組織を徐々に蝕んでいくのです。

糖尿病性腎症は、放置すると腎不全へと進行する危険性もあるため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。糖尿病と診断されている方は、特に尿蛋白に注意し、定期的な検査を受けるようにしましょう。

その他の原因とリスク要因

腎臓病や糖尿病以外にも、尿蛋白陽性となる原因はいくつかあります。高血圧、脱水、激しい運動、発熱、特定の薬剤の服用などが挙げられます。

  • 高血圧: 高血圧は、血管に大きな負担をかけます。腎臓の血管も例外ではなく、高血圧が続くと、腎臓の機能障害を引き起こす可能性があります。これは、水道管に過剰な水圧がかかり、破裂してしまうようなイメージです。
  • 脱水: 体内の水分が不足すると、尿が濃縮され、一時的に尿蛋白陽性となることがあります。
  • 激しい運動: 激しい運動後にも、一時的に尿蛋白陽性となることがあります。
  • 発熱: 発熱時にも、一時的に尿蛋白陽性となることがあります。
  • 特定の薬剤の服用: 一部の薬剤の副作用として、尿蛋白陽性が現れることがあります。

これらの原因以外にも、遺伝的な要因や加齢などもリスク要因として考えられます。尿蛋白陽性を指摘された場合は、自己判断せずに、医療機関を受診し、原因を特定するための詳しい検査を受けることが大切です。

尿蛋白陽性の検査項目と診断方法

健康診断で「尿蛋白陽性」を指摘されると、心配になりますよね。一体どんな検査をして、何がわかるのでしょうか? ここでは、尿蛋白陽性の検査について、具体的な例を交えながらわかりやすく解説します。

尿検査の種類とその重要性

尿検査は、腎臓の状態を知るための最初の窓口です。蛋白の有無だけでなく、種類や量を調べることで、原因究明の手がかりを得ます。まるで、探偵が現場に残された痕跡から犯人を追うように、尿検査は腎臓からのメッセージを読み解く作業と言えるでしょう。

尿検査には大きく分けて以下の3つの種類があります。

  1. 定性検査: 尿に蛋白が「あるかないか」を調べます。試験紙を使って、色の変化で判定します。プラス(+)やプラスマイナス(±)で表示され、+が多いほど蛋白の量が多いことを示唆します。
  2. 定量検査: 尿に含まれる蛋白の「量」を数値で測定します。1日分の尿をまとめて検査する24時間蓄尿や、1回の尿で検査する方法があります。24時間蓄尿は、1日にどれだけの量の蛋白が尿に出ているかを正確に把握できるので、腎臓の状態をより詳しく知ることができます。
  3. 尿蛋白分画: 尿に含まれる蛋白の「種類」を分析します。アルブミンや尿細管性蛋白など、どの種類の蛋白が多いかを調べることで、腎臓のどの部分が機能していないのかを推測します。これらの尿検査を組み合わせて行うことで、まるでパズルを組み立てるように、尿蛋白陽性の原因を探っていきます。

血液検査で確認できる項目

尿検査に加えて、血液検査も腎臓の健康状態を総合的に判断するために重要です。血液検査では、腎臓の機能だけでなく、全身の状態を評価することができます。

  • クレアチニン: 筋肉でつくられ、腎臓でろ過されて尿として排出される老廃物です。腎臓の機能が低下すると、クレアチニンの値が上昇します。これは、浄水器のフィルターが目詰まりすると、不純物が除去されずに水に残ってしまうようなものです。
  • 尿素窒素(BUN): 蛋白質が分解されてできる老廃物です。クレアチニンと同様に、腎臓のろ過機能の指標となります。
  • eGFR(推算糸球体ろ過量): 腎臓のろ過能力を数値で表したものです。eGFRが低いほど、腎臓の機能が低下していると考えられます。これは、浄水器の処理能力を示す数値のようなものです。数値が低いほど、浄水器の性能が落ちていることを意味します。
  • 血糖値とHbA1c: 糖尿病は腎臓病のリスク要因です。血糖値とHbA1cを調べることで、糖尿病の有無やコントロール状態を確認します。高血糖は、腎臓の血管を傷つけるため、血糖コントロールは腎臓を守る上でも重要です。

精密検査の必要性と流れ

尿検査や血液検査の結果によっては、さらに詳しい検査が必要になる場合があります。精密検査は、より詳細な情報を得るために実施します。精密検査には、腎生検、画像検査、尿路造影検査などがあります。

  • 腎生検: 腎臓の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査です。腎臓病の種類や進行度を正確に診断するために有効です。これは、建物の状態を詳しく調べるために、壁の一部を採取して分析するようなものです。
  • 画像検査(超音波検査、CT検査、MRI検査など): 腎臓の形や大きさ、腫瘍の有無などを確認します。
  • 尿路造影検査: 造影剤を使って尿路の形態や流れを調べる検査です。尿路の異常や閉塞の有無を確認します。これは、水道管の詰まりを調べるために、色付きの水を流して確認するようなものです。

精密検査が必要な場合は、医師から検査の内容や目的、リスクについて説明を受け、納得した上で検査を受けるようにしましょう。これらの検査によって得られた情報を総合的に判断することで、最適な治療方針を決定することができます。

尿蛋白陽性の治療法と生活への影響

健康診断で尿蛋白陽性を指摘されると、将来腎臓病になるのではないかと不安になりますよね。健康診断の結果は、まるで未来からの手紙のように感じ、何が書かれているのかドキドキしながら開封する方も多いのではないでしょうか。今回は、尿蛋白陽性と診断された後、どのような治療法があるのか、そして日常生活でどのような点に注意すべきか、具体的な例を交えながらわかりやすく解説します。

適切な治療方法の選択肢

尿蛋白陽性と診断された場合、まず行うべきことは、その原因を特定することです。原因が特定できれば、その病気に対する治療が最優先となります。例えば、尿路感染症が原因であれば抗生物質による治療、糖尿病が原因であれば血糖コントロールを行います。

原因疾患の治療を行うことで、多くの場合、尿蛋白も改善します。

しかし、中には原因が特定できない場合や、特定の疾患が原因ではない場合もあります。このような場合は、尿蛋白の程度や腎機能の状態に合わせて、食事療法、運動療法、薬物療法といった選択肢を検討します。これらの治療法は、単独で行うこともあれば、組み合わせて行うこともあります。最適な治療法は、患者さん一人ひとりの状態によって異なるため、医師とよく相談しながら決めていくことが重要です。

食事療法

食事療法は、腎臓への負担を軽減するために非常に重要です。特に、塩分、蛋白質、カリウムなどの摂取量を適切に調整することが重要です。

  • 塩分: 塩分の過剰摂取は、高血圧を悪化させ、腎臓への負担を増大させる可能性があります。1日の塩分摂取量の目安は6g未満です。
  • 蛋白質: 蛋白質は、体を作るために必要な栄養素ですが、腎臓病の方は、蛋白質の摂取量を制限する必要がある場合があります。医師の指示に従って、適切な量を摂取しましょう。
  • カリウム: 腎臓の機能が低下すると、カリウムが体内に蓄積しやすくなり、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。高カリウム血症は、不整脈などの原因となるため、注意が必要です。

運動療法

適度な運動は、血圧や血糖値の管理、腎機能の維持に役立ちます。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で継続することが大切です。ただし、激しい運動はかえって腎臓に負担をかける場合があるので、医師に相談の上、適切な運動量を決めましょう。

薬物療法

降圧剤、血糖降下剤、免疫抑制剤、ステロイドなど、様々な薬剤が尿蛋白の治療に使用されます。これらの薬剤は、尿蛋白の原因となっている病気をコントロールしたり、腎臓の炎症を抑えたりすることで、尿蛋白の量を減少させる効果が期待できます。

食事や運動の注意点

尿蛋白陽性と診断された場合、日常生活においても、食事と運動には特に注意が必要です。

食事療法では、塩分、蛋白質、カリウムの摂取制限が重要です。外食が多い方は、メニュー選びに注意したり、調味料を控えめにしたりするなど、工夫が必要です。コンビニで弁当を購入する際は、栄養成分表示を確認し、塩分や蛋白質の量をチェックしましょう。

運動は、軽いウォーキングやジョギングなどがおすすめです。運動中はこまめな水分補給を心がけ、体調に異変を感じた場合はすぐに運動を中止しましょう。暑い時期や寒い時期は、特に注意が必要です。

まとめ

検診で尿蛋白が指摘された場合、まずは落ち着いて原因を特定することが大切です。尿蛋白陽性自体は病気ではなく、腎臓の機能低下、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病(CKD)などが考えられ、糖尿病もリスク要因となります。

尿検査(定性検査、定量検査、尿蛋白分画)や血液検査(クレアチニン、BUN、eGFR、血糖値、HbA1cなど)を行い、必要に応じて腎生検などの精密検査で原因を特定します。

治療法は原因疾患への対応が中心となり、食事療法(塩分・蛋白質・カリウムの制限)、運動療法、薬物療法などが用いられます。 定期的な検査で経過観察を行い、医師の指示に従い適切な生活習慣を心がけましょう。

むくみ、倦怠感、息切れなどの症状が出た場合はすぐに医療機関を受診してください。 早期発見と適切な治療で、腎臓の健康を守り、安心して生活できるよう、医師と連携して治療を進めていきましょう。

当院では、健康診断で異常があった方や体の不調が合った方に対して、専門医がサポートしております。健康診断で異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。健康診断で異常を指摘された場合の検査内容を、以下の記事で詳しく解説しています。
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