大石内科循環器科医院

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健康診断で尿潜血を指摘されたら

2025.04.08 健康診断

健康診断で「尿潜血(+)」の文字を目にした時、あなたはどんな気持ちでしたか?不安ですよね。しかし、落ち着いてください。尿潜血は必ずしも重大な病気のサインとは限りません。軽い炎症や一時的な出血でも陽性になるケースが多くあります。

この記事では健康診断で尿潜血を指摘された方のために、その原因となる可能性や関連する疾患を分かりやすく解説します。 尿路感染症や尿路結石といった比較的軽微なものから、腎臓がんや膀胱がんといった重大な疾患の可能性まで、様々なケースを具体的に説明します。

さらに、精密検査の種類や、再検査を受ける際のポイント、そして生活習慣の改善による予防策についても詳しくご紹介します。

年間約150万人が健康診断で尿潜血を指摘されています。その中には、あなたと同じように不安を抱えている方も多くいるのです。 この記事を読み進めることで、尿潜血の正体と向き合い、適切な対応を理解し、安心して次のステップへ進むための知識が得られるでしょう。

尿潜血陽性の原因と関連疾患

健康診断で尿潜血を指摘されたら、誰でも不安になりますよね。なにが原因で、どんな病気が隠れているのか…と、色々な考えが頭をよぎると思います。

実は、尿潜血は必ずしも深刻な病気を意味するわけではありません。軽い炎症や、一時的な出血で陽性になることもしばしばあります。まずは落ち着いて、尿潜血の原因となる様々な可能性と、関連する疾患について一緒に考えてみましょう。

尿潜血の主な原因と特徴

尿潜血の原因は、大きく分けて尿の通り道(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の異常と、体全体の病気の2つが考えられます。

尿の通り道での問題で最も多いのは尿路感染症です。これは、細菌が尿道から侵入し、膀胱や腎臓で炎症を引き起こす病気です。膀胱炎や腎盂腎炎が代表的な例で、排尿時の痛みや頻尿、残尿感などを伴うことが多いです。

次に多いのは尿路結石です。これは、尿の中に含まれるカルシウムや尿酸などの成分が結晶化し、尿の通り道を塞いでしまう病気です。結石が尿路を傷つけることで出血が起こり、時に激しい痛みを伴います。結石の種類や大きさ、位置によって症状は様々で、痛みがない場合もあります。

その他、腎臓や膀胱の腫瘍、スポーツや事故による外傷なども尿潜血を引き起こす可能性があります。

体全体の病気としては、血液の病気や自己免疫疾患などが挙げられます。血液の病気では血液が固まりにくくなることで、わずかな刺激でも出血しやすくなります。自己免疫疾患では体の免疫システムが自分の体を攻撃してしまうことで、腎臓などに炎症が起こり尿潜血が生じます。

重大な疾患との関連性

尿潜血は、腎臓がんや膀胱がんといった重大な疾患のサインである可能性も否定できません。特に、痛みなどの自覚症状がないまま尿潜血が続く場合は、注意が必要です。これらの癌は早期発見が非常に重要です。早期であれば、内視鏡手術や薬物療法などで治癒が期待できる場合も多いため、早期発見・早期治療が鍵となります。

腎臓がんは初期には自覚症状がほとんどありません。進行すると、血尿、腹部のしこり、背中の痛み、体重減少などの症状が現れることがあります。まるで静かに根を張る植物のように、初期には気づかずに進行してしまうことが多いのです。

膀胱がんも初期には自覚症状がないことが多く、血尿が最初のサインとなる場合が多いです。排尿時の痛みや頻尿などの症状が現れることもあります。

自己免疫疾患や感染症との関係

尿潜血は、自己免疫疾患や感染症が原因で起こることもあります。IgA腎症やループス腎炎などの自己免疫疾患では、免疫システムが自分の腎臓を攻撃することで炎症を起こし、尿潜血が生じます。まるで、自分の軍隊が自分の城を攻撃してしまうような状態です。

また、溶連菌感染後糸球体腎炎などの感染症でも、腎臓に炎症が起こり、尿潜血が見られることがあります。これは、溶連菌感染に対する体の免疫反応が、腎臓の糸球体という部分を傷つけてしまうために起こります。

これらの疾患では、尿潜血以外にも、発熱、倦怠感、関節痛、むくみなどの症状が現れることがあります。風邪のような症状から始まることもあり、見過ごしてしまう可能性もあるため注意が必要です。

尿潜血陽性の具体的な症状と診断方法

目に見える症状とその影響

尿潜血とは、読んで字のごとく、尿に潜んでいる血液、つまり肉眼では見えないほどの少量の血液が混じっている状態です。健康診断などの尿検査で初めて指摘されることがほとんどです。顕微鏡で見て初めてわかる程度の少量の血液なので、痛みや発熱、頻尿といった自覚症状がない場合がほとんどです。

しかし、油断は禁物です。尿潜血は、腎臓、尿管、膀胱、尿道など、尿の通り道(尿路)のどこかで出血が起こっているサインです。例えるなら、家の水道管のどこかで小さな穴が開いて、水が漏れているような状態です。小さな穴であれば気づきにくいですが、放置すると大きな穴に繋がってしまうかもしれません。

尿潜血の原因は様々です。激しい運動後や生理による一時的なものから、尿路感染症、尿路結石、腎臓病、膀胱がんなど、様々な病気が隠れている可能性があります。

症状の有無考えられる原因の例(可能性として)腎臓がんの場合
無症状腎臓病の初期、膀胱がんの初期、激しい運動後、健康な人でも一時的に陽性になる場合も腎臓がんは初期症状が出にくく、尿潜血のみの場合も
血尿(肉眼で見える血液)膀胱炎、尿路結石、腎臓がん、膀胱がん肉眼で見える血尿が出ることも
痛み尿路結石、膀胱炎などがんの進行に伴い、背中の痛みや腹部の痛みが出現する可能性も
発熱腎盂腎炎、膀胱炎など発熱はあまり見られない
頻尿膀胱炎、前立腺肥大症など頻尿は典型的ではない

自覚症状がなくても、尿潜血が続く場合は、必ず医療機関を受診しましょう。特に、血尿、腹痛、発熱、頻尿などの症状を伴う場合は、速やかに受診することが大切です。早期発見・早期治療は、多くの病気で予後を大きく左右します。

診断に使われる検査方法と精度

尿潜血の検査は、まず試験紙を用いた簡易検査で行います。尿を試験紙に浸し、色の変化で潜血の有無を判定します。これは、手軽で迅速な検査ですが、あくまでスクリーニング検査です。偽陽性(実際には潜血がないのに陽性と判定される)や偽陰性(実際には潜血があるのに陰性と判定される)が起こる可能性があるため、確定診断のためには、より精密な検査が必要です。

精密検査には、以下のようなものがあります。

  • 尿沈渣: 尿を遠心分離機にかけて成分を分離し、顕微鏡で赤血球や白血球の有無、数などを確認します。尿路感染症や結石などを疑う場合に有用です。
  • 尿細胞診: 尿の中にがん細胞が混じっていないかを調べます。膀胱がんの診断に有用です。
  • 尿培養検査: 尿路感染症の原因菌を特定し、適切な抗菌薬を選択するために実施します。
  • 画像検査: 超音波検査、CT検査、MRI検査などを行い、腎臓、尿管、膀胱などの形態異常や腫瘍の有無などを調べます。
  • 血液検査: 腎機能や炎症反応などを評価します。
  • 腎生検: 腎臓の組織を採取し、顕微鏡で観察することで、腎臓病の種類や活動性を評価します。

これらの検査を組み合わせて、原因を特定していきます。どの検査が必要かは、患者さんの症状や既往歴、尿検査の結果などを総合的に判断して決定します。

再検査時のポイントと注意点

再検査を受ける際は、以下の点に注意しましょう。

  • 検査前の激しい運動は避けましょう。一時的に尿潜血が陽性になることがあります。
  • 過度な水分摂取も検査結果に影響を与えるため、控えるようにしましょう。
  • 生理中は潜血反応が出やすいので、生理が終わってから検査を受けるのが望ましいです。どうしても生理中に検査を受ける必要がある場合は、その旨を医師に伝えましょう。
  • ビタミンCなどの薬剤を服用している場合は、医師に必ず伝えましょう。検査結果に影響を与える可能性があります。
  • 過去の検査結果や健康診断の結果があれば、持参しましょう。経過を把握する上で非常に役立ちます。

再検査で再び陽性反応が出た場合は、精密検査が必要になります。医師の指示に従って、適切な検査を受け、原因を突き止めましょう。

大切なのは、尿潜血を軽く考えないことです。たとえ自覚症状がなくても、適切な検査を受け、原因を明らかにすることが大切です。

尿潜血陽性の治療法と予防策

今回は、尿潜血陽性と診断された場合の治療法と予防策について、一緒に考えていきましょう。

生活習慣の改善について

尿潜血陽性と診断された場合、まずは生活習慣の見直しから始めます。

具体的には、以下の点に注意することが大切です。

  • 水分を十分に摂る:体の中の老廃物をスムーズに排出するために、水分は欠かせません。水分が不足すると、尿が濃縮され、膀胱や尿路に刺激を与えて炎症を起こしやすくなります。1日に1.5~2リットルを目安に、こまめに水分補給を心がけましょう。喉が渇いていなくても、意識的に水分を摂ることが大切です
  • バランスの良い食事: 栄養バランスの良い食事は、体の免疫力を高め、病気に対する抵抗力を強めます。特に、腎臓に負担をかけにくい低たんぱく質の食事を心がけましょう。加工食品やインスタント食品は、塩分や添加物が多いため、なるべく控え、新鮮な野菜や果物、良質なタンパク質を摂るようにしましょう。
  • 適度な運動: 適度な運動は、血行を促進し、新陳代謝を高めます。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で体を動かす習慣を身につけましょう。ただし、激しい運動は、かえって腎臓に負担をかけることがあるため、注意が必要です。
  • 十分な睡眠: 睡眠は、体と心を休ませ、疲労を回復するために不可欠です。質の高い睡眠を確保するために、寝る前にカフェインを摂らない、リラックスする時間を作るなど、工夫してみましょう。睡眠は、嵐の後に船を停泊させて休息させるようなものです。。
  • 禁煙: タバコは、血管を収縮させ、血流を悪くします。腎臓病や膀胱がんのリスクを高めることも知られています。尿潜血陽性と診断された場合は、禁煙を強くお勧めします。
  • 飲酒は控えめに: 過度の飲酒は、腎臓に負担をかけ、尿潜血の原因となることがあります。飲酒は控えめにし、適量を守ることが大切です。
  • 再発防止のための具体的な対策

一度尿潜血が陰性に戻っても、再発を防ぐためには、継続的な生活習慣の改善と定期的な検査が必要です。これは、航海を終えた後も、船のメンテナンスを怠らないようにするのと似ています。

  • 定期的な尿検査: 尿潜血は自覚症状がない場合が多いため、定期的な尿検査で早期発見に努めることが大切です。健康診断などで尿潜血を指摘された場合は、医師の指示に従って、再検査や精密検査を受けましょう。
  • 生活習慣の維持: 健康的な生活習慣を維持することで、尿潜血の再発だけでなく、他の病気の予防にもつながります。生活習慣の維持は、船のメンテナンスを継続的に行うようなものです。

尿潜血は、適切な治療と生活習慣の改善によって、多くは改善します。焦らず、医師と相談しながら、治療に取り組んでいきましょう。

まとめ

健康診断で尿潜血が指摘された場合、不安に感じる方も多いと思います。しかし、必ずしも重大な病気とは限りません。軽い炎症や一時的な出血の場合もあります。

まずは落ち着いて、本文で説明した様々な原因と関連疾患について理解しましょう。尿路感染症や尿路結石といった比較的軽微なものから、腎臓がんや膀胱がんといった重大な疾患の可能性もゼロではありません。特に、自覚症状がないまま尿潜血が続く場合は注意が必要です。

早期発見・早期治療が重要なので、再検査や精密検査で原因を特定することが大切です。そのためには、医師の指示に従い、尿沈渣検査、尿細胞診、尿培養検査、画像検査、血液検査など、必要な検査をきちんと受けることが重要です。

そして、生活習慣の改善も大切です。十分な水分摂取、バランスの良い食事、適度な運動、質の高い睡眠、禁煙、節酒などを心がけ、健康的な生活を送りましょう。これらの習慣は、尿潜血の再発予防にも繋がります。

不安な気持ちを抱え込まず、医師とよく相談しながら、適切な治療と予防策に取り組むことで、健康な生活を取り戻せるよう、一緒に頑張りましょう。

当院では、健康診断で異常があった方や体の不調が合った方に対して、専門医がサポートしております。健康診断で異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。健康診断で異常を指摘された場合の検査内容を、以下の記事で詳しく解説しています。
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