初夏の心地よい風、待ち遠しい季節の到来ですが、それと同時に悩まされるのがくしゃみ、鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状です。実は6月は、様々なアレルゲンが活発になるため、アレルギー持ちの方にとっては辛い時期でもあります。
なぜ6月にアレルギー症状が悪化するのでしょうか? この記事では、6月に気を付けるべき代表的なアレルゲン4選と、具体的な対策方法を詳しく解説します。
もしかしたら、あなたを悩ませている原因が意外なところにあるかもしれません。快適な6月を過ごすためのヒントが、きっと見つかるはずです。
6月になると、過ごしやすい気候になります。しかし、それと同時にくしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、アレルギー症状に悩まされる方が増え始めるのも事実です。これは、6月が様々なアレルゲンが空気中に多く存在する時期と重なるためです。
アレルギー症状は、私たちの体がアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)に過剰に反応することで起こります。本来無害な物質に対して、体が「敵だ!」と勘違いして攻撃してしまうのです。この攻撃の際に、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、それがくしゃみや鼻水、かゆみなどの症状を引き起こします。
では、6月に特に注意すべきアレルゲンとは一体何でしょうか?代表的なものを4つご紹介し、それぞれの特徴や対策について詳しく解説します。原因を理解し、適切な対策を講じることで、快適な6月を過ごせるようにしましょう。
6月のアレルギー症状で最も多い原因の一つが、イネ科植物の花粉です。代表的なものにカモガヤ、オオアワガエリなどがあります。
カモガヤは、5月から8月にかけて花粉を飛散させますが、特に6月から7月がピークです。オオアワガエリも同様に、春から夏にかけて花粉を飛散させ、6月はその時期に含まれます。
その他にも、ナガハグサ、コヌカグサ、ホソムギ、ハルガヤなど、多くの種類のイネ科植物が6月に花粉を飛散させています。これらの花粉は非常に小さく、風に乗って遠くまで運ばれるため、気づかないうちに吸い込んでしまう可能性があります。
イネ科植物の花粉アレルギーの症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど、他の花粉症とよく似ています。鼻水はサラサラとした水様性であることが多いです。
ハウスダストは、一年中私たちの身の回りに存在し、アレルギーの原因となる物質です。主な構成要素はダニやカビですが、これらは高温多湿の環境を好み、6月は繁殖しやすい時期にあたります。
ダニは、人のフケやアカ、食べかすなどを餌にして繁殖します。そして、その死骸やフンがアレルギーの原因となります。生きているダニが原因となることは少なく、ダニの死骸やフンが乾燥して微細なチリとなり、空気中に舞い上がることで吸い込んでしまうのです。
カビは、湿気の多い場所に発生し、胞子を空気中に放出することでアレルギー症状を引き起こします。梅雨の時期は特にカビが発生しやすいため、注意が必要です。
ハウスダストアレルギーの症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、咳、喘息発作など、多岐にわたります。
犬や猫などのペットを飼っている場合、その毛やフケ、唾液などがアレルギーの原因となることがあります。ペットの毛やフケはハウスダストと同様に一年中存在しますが、特に換気が不足しがちな梅雨の時期は、室内にアレルゲンが滞留しやすいため、症状が悪化しやすい傾向にあります。
アレルギー反応を起こすのは、ペットの毛そのものではなく、毛に付着しているフケや唾液、尿などに含まれるタンパク質です。これらのタンパク質が空気中に舞い上がり、吸い込んだり、皮膚に触れたりすることでアレルギー反応を引き起こします。
ペットアレルギーの症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、咳、喘息発作、皮膚のかゆみ、発疹など、多岐にわたります。
PM2.5などの大気汚染物質は、それ自体がアレルギーの原因となるわけではありませんが、アレルギー症状を悪化させる要因の一つです。PM2.5は、非常に小さな粒子状物質であり、呼吸器の奥深くまで入り込みやすく、炎症を起こし、アレルギー症状を悪化させる可能性があります。
また自動車の排気ガスに含まれる物質も、同様にアレルギー症状を悪化させる可能性が指摘されています。
これらの汚染物質の影響を受けやすい方は、アレルギー症状以外にも、目のかゆみ、鼻水、咳などの呼吸器症状が出現する可能性があります。
6月。爽やかな風が吹き、過ごしやすい季節ですが、同時にくしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、アレルギー症状に悩まされる方も多くいらっしゃいます。これらの症状は、日常生活に支障をきたすだけでなく、放っておくと重篤な症状につながる可能性もあるため、適切な対処が必要です。
6月にみられるアレルギー性鼻炎の特徴として、サラサラとした水のような鼻水が挙げられます。風邪のように粘り気のある黄色や緑色の鼻水とは異なり、まるで水道の蛇口をひねったように、透明で水っぽい鼻水が出続けることがあります。
鼻づまりもアレルギー性鼻炎でよくみられる症状です。鼻が詰まることで呼吸が苦しくなり、睡眠不足や集中力の低下、嗅覚の低下を招くこともあります。また、口呼吸になることで喉の乾燥やイビキの原因となることもありますので、症状が重い場合は早めに医療機関を受診しましょう。
くしゃみと目のかゆみも、6月のアレルギーの代表的な症状です。くしゃみは、鼻の粘膜に付着したアレルゲンを体外に出そうとする体の防御反応です。しかし、アレルギー反応によって過剰に刺激されると、連続した激しいくしゃみが止まらなくなることもあります。
目のかゆみも、アレルゲンに対する過剰な反応によって引き起こされます。かゆみのために目をこすってしまうと、症状が悪化したり、結膜炎などの目の病気を併発するリスクが高まります。かゆみが強い場合は、こすらずに冷やす、あるいは抗アレルギー点眼薬を使用するなどの対策を取りましょう。
アレルギー反応は、鼻や目だけでなく皮膚にも現れることがあります。皮膚のかゆみは、アレルギー反応によってヒスタミンなどの化学物質が放出されることで生じ、場合によっては非常に激しいかゆみを感じることがあります。かゆい部分を掻きむしってしまうと、皮膚が傷つき炎症を起こし、さらに症状が悪化してしまう可能性があるので注意が必要です。
また、アレルギー反応によって皮膚に発疹が現れることもあります。発疹は、じんましんのように蚊に刺された後のような膨疹が出たり、湿疹のように赤みや小さな水ぶくれを伴うこともあります。症状が長引く場合や悪化する場合は、自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。
咳や喉の痛みは、アレルギー反応によって気道が炎症を起こすことで引き起こされます。アレルギー性の咳は、乾いた咳であることが多く、夜間や早朝に悪化する傾向があります。また、喉の痛みは、乾燥感や異物感、イガイガとした不快感を伴うこともあります。
これらの症状は、風邪と間違えやすい場合もありますが、熱がない、鼻水や目のかゆみなどのアレルギー症状を伴うといった特徴からアレルギー性の咳かを判断することができます。咳が長引く場合や呼吸が苦しい場合は、呼吸器内科を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしてください。
アレルギーが重症化すると、喘息発作を引き起こすことがあります。喘息発作は、気道が狭くなることで呼吸困難に陥る重篤な症状であり、呼吸がゼーゼー、ヒューヒューと音(喘鳴)を立てたり、息苦しさで胸が締め付けられるような感覚を覚えます。軽い発作であれば自然に治まることもありますが、重症の場合は呼吸困難により意識を失うこともあるため、迅速な対応が必要です。
喘息発作は、アレルギー反応以外にも、タバコの煙や排気ガス、ダニやハウスダスト、急激な温度変化、激しい運動、ストレスなども誘因となります。ご自身が喘息の診断を受けている場合、これらの誘因を避けるように心がけ、発作が起きた場合には、医師の指示に従って吸入薬を使用するなど、適切な処置を行いましょう。
6月は、過ごしやすい気候の一方で、アレルギー症状に悩まされる方も多い時期です。くしゃみ、鼻水、目のかゆみ…これらの症状の原因を特定し、適切な対策を講じるためには、アレルギー検査が有効です。
ご自身の体で何が起こっているのかを理解することは、不安を軽減し、治療へのモチベーションを高めることにも繋がります。検査によって原因が明らかになれば、より効果的な対策を立てることができ、症状の改善、そして快適な日常生活への一歩を踏み出せるはずです。
アレルギー検査には様々な種類がありますが、簡便で迅速な検査として「ドロップスクリーン検査」が広く利用されています。この検査は、指先から少量の血液を採取するだけで、一度に最大41種類ものアレルゲン(アレルギーの原因物質)を調べることが可能です。
従来の検査方法の中には、注射が必要なものもありましたが、ドロップスクリーン検査は指先からの採血のみで済むため、痛みも少なく、小さなお子さんでも安心して受けることができます。検査時間も30分程度と短く、その場で結果がわかるのも大きなメリットです。
当院では健康保険適用のアレルギー検査のため、検査費用は4,740円(3割負担の方)で受診いただけます。その他に診察料や処方があった場合には、処方箋料などが別途必要になりますのでご了承ください。
検査でわかるアレルゲンは、スギやヒノキなどの花粉、ハウスダスト(ダニ、カビ)、ペットの毛やフケ、食物など多岐にわたります。6月にアレルギー症状が出る場合は、カモガヤなどのイネ科植物の花粉や、梅雨の時期に増えるダニやカビが原因となっている可能性が高いと思われます。検査結果を基に、医師と相談し、ご自身に合った対策を検討しましょう。
アレルギー症状が出ている場合は、症状を和らげるための薬物療法が有効です。症状を抑える薬として「抗ヒスタミン薬」、鼻づまりを改善する薬として「点鼻薬」などがあります。
抗ヒスタミン薬は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状を緩和する効果があります。内服薬、点眼薬、点鼻薬など様々な種類があり、症状や年齢に合わせて適切なものが処方されます。点鼻薬は、鼻づまりを改善する薬で、血管収縮剤やステロイド剤など、症状の程度に合わせて使い分けられます。
これらの薬は、市販薬としても販売されていますが、自己判断で使用すると思わぬ副作用が生じたり、症状が悪化したりする可能性があります。必ず医療機関を受診し、医師の指示に従って適切な薬を使用することが重要です。特に、妊娠中の方や持病のある方は、医師に相談せずに市販薬を使用することは避けましょう。
アレルギー症状を悪化させないためには、日常生活の中でアレルゲンを減らす工夫も大切です。空気清浄機は、室内のハウスダストや花粉を除去するのに効果的です。高性能フィルターを搭載した機種を選ぶことで、より効果的にアレルゲンを除去できます。
こまめな掃除も重要です。ダニやカビは高温多湿の環境を好みます。梅雨の時期は特に繁殖しやすいため、布団やカーペット、ぬいぐるみなどは定期的に掃除機をかけたり、天日干ししたりして清潔に保ちましょう。掃除機をかける際には、排気によってアレルゲンが舞い上がらないように、窓を開けて換気をしながら行うと良いでしょう。また、窓を開ける際は、網戸をしっかり閉めて花粉の侵入を防ぎましょう。
外出時にはマスクを着用することで、花粉やPM2.5などの大気汚染物質の吸入を防ぐことができます。帰宅後は、玄関で衣服についた花粉を払い落とし、家の中にアレルゲンを持ち込まないように注意しましょう。さらに、エアコンのフィルターをこまめに掃除することで、カビの発生を抑えることができます。こまめな掃除と適切な換気は、アレルギー症状の悪化を防ぐ上で非常に重要です。
6月に見られるアレルギー症状の原因と対策について解説しました。6月はイネ科の花粉や、梅雨の時期に増えるダニやカビなどが原因でアレルギー症状を引き起こしやすい時期です。症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどがあり、重症化すると喘息発作を引き起こす可能性もあります。アレルギー症状でお困りの方は、まずは医療機関を受診し、アレルギー検査を受けることをおすすめします。検査結果をもとに、医師と相談しながら、抗ヒスタミン薬や点鼻薬などの薬物療法や、空気清浄機の使用、こまめな掃除などの生活習慣の改善に取り組むことで、症状を和らげ、快適な6月を過ごしましょう。
アレルギー症状でお悩みなら当院までご相談ください。
大石内科循環器科医院
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