大石内科循環器科医院

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足の甲のむくみの原因と解消法とは?放置しておくとどうなる?

2024.06.20 むくみ

足のむくみは長時間の立ち仕事や塩分の多い食事をした後など、一過性のものと安易に考えてしまいがちです。しかし、そのむくみ、実は体のSOSかもしれません。

足のむくみを放置することで、皮膚が硬化したり潰瘍ができたりする可能性も。

この記事では足のむくみの原因や自宅でできる解消法、放置しておくとどうなるのかについて、具体的な病気の例も解説していきます。足のむくみを甘く見ずに、正しく理解し適切に対処することで、健康な状態を保ちましょう。

足の甲のむくみの原因となる病気

足の甲のむくみは、日常生活で感じる病気のサインの一つです。

ここでは、足の甲のむくみをきたす原因となる病気を、以下の3つにわけて解説していきます。

  • 高血圧や循環器疾患
  • 腎臓疾患やリンパ浮腫
  • 関節炎や神経障害

一過性のものや心配のないものが多いですが、なかには放置しておくと重篤な病気が隠れているケースもあります。足の甲にむくみがある方は、チェックしておきましょう。

高血圧や循環器疾患

高血圧や心臓の病気といった循環器系に問題があると、体内の水分調節がうまくいかなくなり、足の甲がむくみやすくなります。

  • 高血圧
    高血圧は、血管に常に高い圧力がかかっている状態です。心臓はこの圧力に打ち勝って血液を全身に送るために、より強い力ではたらかなければなりません。結果、心臓から遠い足の血管に負担がかかり、むくみが生じやすくなります。
  • 心不全
    心不全は心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態です。心臓から送り出される血液量が減ると、体は水分を保持しようとはたらきかけます。結果、体内の水分量が増え、心臓から遠い足に水分が溜まりやすくなってむくみが生じます。
  • 静脈瘤
    静脈瘤は足の静脈にある弁が壊れて、血液が逆流することで起こる病気です。血液を心臓に向かって一方通行に流す重要な役割を果たしています。弁が壊れると、血液が足に溜まりやすくなるため、むくみが生じます。立ち仕事や長時間同じ姿勢でいることが多い人は、足の静脈に負担がかかりやすく、静脈瘤のリスクが高いです。

静岡県でこれらの病気の疑いがあり、むくみにお悩みの方は、大石内科循環器科医院へお気軽にご相談ください。

腎臓疾患やリンパ浮腫

腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を尿として排出するはたらきをしています。リンパ系は体内の老廃物や余分な水分を回収し、静脈に運ぶ役割を担います。機能に異常が生じると、体内の水分バランスが崩れ、むくみが生じる可能性が高いです。

  • 腎臓病
    腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する役割があります。腎臓病になると、ろ過機能が低下し、体内に余分な水分が溜まってむくみが生じやすいです。進行すると、足の甲だけでなく、顔や手などの全身にむくみが現れることもあります。
  • ネフローゼ症候群
    ネフローゼ症候群は、腎臓でタンパク質が漏れ出てしまう病気です。血液中のタンパク質は、血管内の水分を保持する役割を担っています。ネフローゼ症候群になると、血液中のタンパク質が減ることで、水分が血管の外に出てむくみが生じます。
  • リンパ浮腫
    リンパ浮腫はリンパ液の流れが悪くなり、皮下にリンパ液が過剰に溜まることでむくみが生じる病気です。がんの手術後や放射線治療後などに起こることがあります。リンパ管が、手術や治療の影響で傷ついたりリンパ節を切除したりすることで、リンパ液の流れが悪くなって皮下に溜まる状態です。

関節炎や神経障害

関節や神経の病気によって、足の甲がむくみが生じる場合もあります。

  • 関節リウマチ
    関節リウマチは免疫の異常により、自分の体の関節を攻撃してしまうことで関節に炎症が起こり、腫れや痛みをともなう病気です。足の関節に炎症が起こると、関節周囲の組織が腫れて足の甲がむくみます。
  • 痛風
    痛風は尿酸という物質が関節に溜まり、炎症を起こす病気です。尿酸は、プリン体の代謝産物で、通常は腎臓から尿として排出されます。プリン体を多く含む食品を過剰摂取したり、腎臓機能が低下したりすると、体内に尿酸が蓄積して関節に溜まりやすくなります。痛風の症状は足の親指の付け根などの激しい痛みと腫れが特徴です。
  • 神経障害
    糖尿病などの病気によって神経が傷つき、足の感覚が鈍くなったり、むくみが生じたりすることがあります。神経障害があると、足の血流が悪くなり、むくみが生じやすいです。神経障害によって足の筋肉が弱くなり、ポンプ機能が低下すると、むくみが悪化することもあります。

足の甲のむくみの原因は多岐にわたり、自己判断は危険です。むくみが気になる場合は医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。

足の甲のむくみの検査方法と診断

足の甲のむくみはさまざまな原因で起こるため、原因を特定するにはいくつかの検査をおこないます。むくみは足に水が溜まっているように感じますが、正体は血液やリンパ液、組織液といった体液です。心臓や腎臓、血管などのはたらきが弱まることで、体液がうまく体外に排出されずに皮下に溜まってむくみが現れます。

体格測定や問診

まずは身長、体重、血圧、脈拍などを測定します。健康状態を把握するための基本的な情報であり、むくみ以外の症状との関連性を調べる上でも重要です。

次に、医師がむくみの症状について詳しく聞いていきます。「いつからむくみ始めたのか」「他に症状はないか」などを具体的に教えてください。

問診で得られた情報は、むくみの原因を特定するための重要な手がかりになります。「朝はむくまないけど、夕方になると靴がきつくなる」「足の甲だけでなく、顔や手もむくむ」など、些細なことでも医師に伝えましょう。

血液検査や尿検査

血液検査では、腎臓や肝臓の機能、血液中のタンパク質の量などを調べます。腎臓の機能が低下していると、体内の水分や老廃物がうまく排出されずにむくみが生じることがあります。血液検査では腎機能を評価するために、クレアチニンや尿素窒素といった数値を測定しなければなりません。数値が高い場合は、腎機能の低下が疑われます。

肝臓はアルブミンというタンパク質を作っています。アルブミンは、血液中の水分を保つ役割です。肝臓の機能が低下するとアルブミンが十分に作られなくなり、血液中の水分量が減って、むくみが起こりやすくなります。血液検査では、アルブミンの値も測定することで、肝機能の状態の判断が可能です。

尿検査では、尿の中にタンパク質が出ていないかなどを調べます。腎臓のはたらきは、体にとって必要なタンパク質は血液中に残し、不要な老廃物だけを尿として排出することです。腎臓障害が起こると、体内に留めておくべきタンパク質が尿中に漏れ出ることがあります。この状態をタンパク尿といい、腎臓病のサインの一つです。

検査の結果、腎臓や肝臓に異常が見つかった場合は、それぞれの病気の治療をおこないます。

エコー検査やCTスキャン

エコー検査では、超音波を使って血管の状態やリンパ節の状態などを調べます。足の血管が詰まっている場合は、エコー検査で詰まりの様子を詳しく調べられます。超音波検査は、妊婦さんの検査にも使われているように、人体に無害な検査なので、安心して受けることが可能です。

CTスキャンは、体の断面を撮影することで、血管やリンパ節の状態をより詳しく調べる検査法です。血管の詰まり具合やリンパ節の腫れ具合などを確認することで、むくみの原因を特定できます。

検査して足の静脈に異常が見つかった場合は、弾性ストッキングや手術など、症状に合わせた治療をおこないます。足の甲のむくみは放置すると、皮膚が硬くなったり潰瘍ができたりすることもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

足の甲のむくみの解消法と予防策

足の甲のむくみは、一過性のものから、病気のサインである場合までさまざまです。ここでは、自宅でできるケアを中心に、効果的な解消法と予防策を紹介していきます。

適切な運動やストレッチ

足の甲のむくみを解消するには、足の筋肉を動かす運動や、硬くなった筋肉を伸ばすストレッチが効果的です。適度な運動は、足のポンプ機能を高め、血液循環を促進することでむくみの改善に役立ちます。

具体的な運動例は以下のとおりです。

  • つま先立ちと踵上げを交互に繰り返す:
    ふくらはぎのポンプ運動を促し、血液を心臓に戻す効果を高めます。
  • 足首をゆっくりと大きく回す(時計回り、反時計回り両方おこなう):
    足首の柔軟性を高め、血流を改善します。
  • 足の指を広げたり閉じたりする(グー、パー体操も効果的)
    足の筋肉を動かし、ポンプ機能を活性化します。

ストレッチの例は以下のとおりです。

  • アキレス腱を伸ばすように、足の甲をゆっくりと反らす:
    ふくらはぎの筋肉を伸ばし、血行を促進します。
  • 足の指を手で掴み、反らしたり曲げたりして、足裏全体を伸ばす:
    足裏の筋肉をほぐし、血行不良を改善します。

運動やストレッチは、1回に長時間おこなうよりも、こまめに休憩を挟みながら実施するほうが効果的です。デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けている方は、1時間おきに足の運動やストレッチをおこなうように心がけましょう。

食事の見直しと栄養補給

足のむくみを改善するためには、食事の内容を見直し、むくみを排出するはたらきのある栄養素を積極的に摂ることが大切です。

以下のポイントを意識しましょう。

  • 塩分を控える
    塩分の摂りすぎは、体内の水分量を増加させ、むくみの原因となります。成人男性で7.5g未満/日、成人女性で6.5g未満/日です。減塩のポイントは、だし汁や香辛料をうまく活用し、レモン汁などの酸味を加える方法があります。
  • カリウムを多く含む食品を摂取する
    カリウムには、体内の余分な塩分を排出するはたらきがあり、むくみの改善に効果が期待できます。カリウムは果物や野菜に多く、バナナやほうれん草、アボカド、納豆、キノコ類などが豊富です。
  • むくみ解消効果のあるビタミンB群を摂取する
    ビタミンB群は体内の水分代謝を促し、むくみを予防する効果があります。ビタミンB群が含まれている食べ物は、豚肉や卵、大豆製品、牛乳などです。ビタミンB1は、糖質の代謝を助けるはたらきがあり、むくみ解消に効果が期待できます。

アイシングやマッサージの効果

足の甲のむくみが気になるときは、アイシングやマッサージが効果的です。

  • アイシング
    むくんだ部分を冷やすことで、血管を収縮させ、炎症を抑える効果があります。タオルで包んだ保冷剤などを、むくんでいる部分に10~15分ほど当てて冷やしましょう。冷やしすぎると凍傷になる可能性があるので、注意が必要です。
  • マッサージ
    マッサージは、リンパの流れを促進し、老廃物の排出を促す効果があります。足の指先から太ももに向かって、心臓の方向へ優しくマッサージをおこないましょう。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれており、重点的にマッサージすることで、より効果が期待できます。
  • 圧迫療法の効果
    圧迫療法とは弾力性のあるストッキングや包帯などを用いて、足に圧力をかけることで、むくみを軽減する方法です。圧迫療法は、静脈瘤やリンパ浮腫の治療にも用いられています。

上記の解消法を試してもむくみが改善しない場合や、症状が悪化する場合は、医療機関を受診しましょう。

まとめ

足の甲のむくみは、長時間立ち仕事や塩分の摂りすぎなど、日常生活で起こりうる一時的なものが多いです。しかし、なかには心不全や下肢静脈瘤、リンパ浮腫など、病気のサインである場合もあります。

心臓のポンプ機能低下や静脈の弁の故障、リンパ液の流れの悪化などが原因で、足の静脈に血液やリンパ液が溜まり、むくみが発生します。放置すると症状が悪化することもあるため、むくみが気になる場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。

むくみについてより詳しく知りたい方はぜひ次の記事もご覧ください。
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参考文献