足のむくみは、長時間の立ち仕事や塩分の多い食事など、一過性のものと安易に考えてしまいがちです。しかし足のむくみは、体のSOSの可能性があります。足のむくみを放置することで、皮膚が硬化したり潰瘍ができたりする可能性もあります。
この記事では足のむくみの原因や自宅でできる解消法、放置しておくとどうなるのか、具体的な病気の例も解説します。足のむくみを正しく理解し適切に対処することで、健康な状態を保ちましょう。
むくみが続く場合は、どの診療科を受診すべきか判断することも重要です。受診先の選び方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
>>足のむくみは何科で診てもらえる?症状に合った病院選びを解説!
足の甲のむくみは、日常生活で感じる病気のサインの一つです。足の甲のむくみの原因となる病気を、以下の3つに分けて解説します。
高血圧や心臓の病気などの循環器系に問題があると、体内の水分調節がうまくいかなくなり、足の甲がむくみやすくなります。
高血圧は、血管に常に高い圧力がかかっている状態です。心臓はこの圧力に打ち勝って血液を全身に送るために、より強い力で働かなければなりません。結果、心臓から遠い足の血管に負担がかかり、むくみが生じやすくなります。
心不全は心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態です。心臓から送り出される血液量が減ると、体は水分を保持しようと働きかけます。結果、体内の水分量が増え、心臓から遠い足に水分が溜まりやすくなってむくみが生じます。
静脈瘤は足の静脈にある弁が壊れて、血液が逆流することで起こる病気です。弁が壊れると、血液が足に溜まりやすくなるため、むくみが生じます。立ち仕事や長時間同じ姿勢でいることが多い人は、足の静脈に負担がかかりやすく、静脈瘤のリスクが高いです。
静岡県でこれらの病気の疑いがあり、むくみにお悩みの方は、大石内科循環器科医院へお気軽にご相談ください。循環器疾患によるむくみは早期評価が重要であり、当院では検査から治療まで一貫して対応できます。症状が続く場合は、早めに受診をご検討ください。
腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を尿として排出する働きをしています。リンパ系は体内の老廃物や余分な水分を回収し、静脈に運ぶ役割を担います。機能に異常が生じると、体内の水分バランスが崩れ、むくみが生じる可能性が高く、以下の病気につながる場合もあります。
腎臓は血液を濾過して老廃物や余分な水分を尿として排出する役割があります。腎臓病になると、濾過機能が低下し、体内に余分な水分が溜まってむくみが生じやすいです。進行すると、足の甲だけでなく、顔や手などの全身にむくみが現れることもあります。
ネフローゼ症候群は、腎臓でタンパク質が漏れ出てしまう病気です。血液中のタンパク質は、血管内の水分を保持する役割を担っています。ネフローゼ症候群になると、血液中のタンパク質が減ることで、水分が血管の外に出てむくみが生じます。
リンパ浮腫はリンパ液の流れが悪くなり、皮下にリンパ液が過剰に溜まることでむくみが生じる病気です。がんの手術後や放射線治療後などに起こることがあります。リンパ管が、手術や治療の影響で傷ついたりリンパ節を切除したりすることで、リンパ液の流れが悪くなって皮下に溜まる状態です。
関節や神経の病気によって、足の甲がむくみが生じる場合もあります。
関節リウマチは免疫の異常により、自分の体の関節を攻撃してしまうことで関節に炎症が起こり、腫れや痛みを伴う病気です。足の関節に炎症が起こると、関節周囲の組織が腫れて足の甲がむくみます。
痛風は尿酸という物質が関節に溜まり、炎症を起こす病気です。尿酸は、プリン体の代謝産物で、通常は腎臓から尿として排出されます。プリン体を多く含む食品を過剰摂取したり、腎臓機能が低下したりすると、体内に尿酸が蓄積して関節に溜まりやすくなります。痛風の症状は足の親指の付け根などの激しい痛みと腫れが特徴です。
糖尿病などの病気によって神経が傷つき、足の感覚が鈍くなったり、むくみが生じたりすることもあります。神経障害があると、足の血流が悪くなり、むくみが生じやすいです。神経障害によって足の筋肉が弱くなり、ポンプ機能が低下すると、むくみが悪化することもあります。
足の甲のむくみの原因は多岐にわたり、自己判断は危険です。むくみが気になる場合は医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
足の甲のむくみはさまざまな原因で起こるため、原因を特定するにはいくつかの検査を行います。足の甲のむくみの検査方法について、以下の3つを解説します。
まずは身長、体重、血圧、脈拍などを測定します。健康状態を把握するための基本的な情報であり、むくみ以外の症状との関連性を調べるうえでも重要です。次に、むくみの症状について問診を行います。「いつからむくみ始めたのか」「他に症状はないか」などを具体的に聞き取ります。
問診で得られた情報は、むくみの原因を特定するための重要な手がかりになります。「朝はむくまないけど、夕方になると靴がきつくなる」「足の甲だけでなく、顔や手もむくむ」など、些細なことでも医師に伝えましょう。
血液検査では、腎臓や肝臓の機能、血液中のタンパク質の量などを調べます。具体的には以下の検査項目を調べます。
腎臓や肝臓の機能が低下していると、体内の水分バランスが崩れてむくみの原因になります。主な要因は以下のとおりです。
尿検査では、尿の中にタンパク質が出ていないかなどを調べます。腎臓の役割は、必要なタンパク質を血液中に残し、不要な老廃物のみを尿として排出することです。腎臓障害が起こると、体内に留めておくべきタンパク質が尿中に漏れ出ることがあります。この状態をタンパク尿と言い、腎臓病のサインの一つです。
エコー検査では、超音波を使って血管の状態やリンパ節の状態などを調べます。足の血管が詰まっている場合は、エコー検査で詰まりの様子を詳しく調べられます。超音波検査は、妊婦さんの検査にも使われているように、人体に無害な検査なので、安心して受けることが可能です。
CTスキャンは、体の断面を撮影することで、血管やリンパ節の状態をより詳しく調べる検査法です。血管の詰まり具合やリンパ節の腫れ具合などを確認することで、むくみの原因を特定できます。
検査して足の静脈に異常が見つかった場合は、弾性ストッキングや手術など、症状に合わせた治療を行います。足の甲のむくみは放置すると、皮膚が硬くなったり潰瘍ができたりすることもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
足の甲のむくみは、一過性のものから、病気のサインである場合までさまざまです。自宅でできるケアを中心に、効果が期待できる解消法と予防策として以下の3つを紹介します。
足の甲のむくみを解消するには、足の筋肉を動かす運動や、硬くなった筋肉を伸ばすストレッチをおすすめします。適度な運動は、足のポンプ機能を高め、血液循環を促進することでむくみの改善に役立ちます。具体的な運動例は以下のとおりです。
ストレッチの例は以下のとおりです。
運動やストレッチは、1回に長時間行うよりも、こまめに休憩を挟みながら実施するほうが効果が期待できます。デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けている方は、1時間おきに足の運動やストレッチを行うように心がけましょう。
足のむくみを改善するためには、食事の内容を見直し、むくみを排出する働きのある栄養素を積極的に摂ることが大切です。以下のポイントを意識しましょう。
塩分の摂りすぎは、体内の水分量を増加させ、むくみの原因となります。成人男性で7.5g未満/日、成人女性で6.5g未満/日です。減塩のポイントは、だし汁や香辛料をうまく活用し、レモン汁などの酸味を加える方法があります。
カリウムには、体内の余分な塩分を排出する働きがあり、むくみの改善に効果が期待できます。カリウムは果物や野菜に多く、バナナやほうれん草、アボカド、納豆、キノコ類などが豊富です。
ビタミンB群は体内の水分代謝を促し、むくみを予防する効果があります。ビタミンB群が含まれている食べ物は、豚肉や卵、大豆製品、牛乳などです。ビタミンB1は、糖質の代謝を助ける働きがあり、むくみ解消に効果が期待できます。
以下の記事では、血圧と塩分の関係や、食事・調理法・外食のコツまで詳しく解説しています。併せてご覧ください。
>>血圧と塩分の関係は?食事・調理法・外食のコツまで解説
足の甲のむくみが気になるときは、アイシングやマッサージ、圧迫療法による効果が期待できます。むくんだ部分を冷やすことで、血管を収縮させ、炎症を抑える効果があります。タオルで包んだ保冷剤などを、むくんでいる部分に10~15分ほど当てて冷やしましょう。冷やしすぎると凍傷になる可能性があるので、注意が必要です。
マッサージは、リンパの流れを促進し、老廃物の排出を促す効果があります。足の指先から太ももに向かって、心臓の方向へ優しくマッサージを行いましょう。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれており、重点的にマッサージすることで、より効果が期待できます。
圧迫療法とは弾力性のあるストッキングや包帯などを用いて、足に圧力をかけることで、むくみを軽減する方法です。圧迫療法は、静脈瘤やリンパ浮腫の治療にも用いられています。
上記の解消法を試してもむくみが改善しない場合や、症状が悪化する場合は、医療機関を受診しましょう。
適度な運動、足を高くして休む、塩分を控えた食事、ゆったりした靴を選ぶなど、日常生活の中で簡単にできる足の甲のむくみ対策を解説します。
むくみを予防するには、血液やリンパ液の流れを良くする生活習慣を心がけることが大切です。長時間同じ姿勢でいると、足の筋肉が動かず、血液を心臓に戻すポンプ機能が働きません。また、塩分を摂りすぎると、体が水分を溜め込もうとしてむくみやすくなります。水分不足も血液の流れを悪くする原因になります。
以下のような生活習慣を心がけてみましょう。
これらを日々積み重ねることで、むくみにくい体づくりに役立ちます。
以下の記事では、むくみの原因や日常でできる対処法を詳しく解説しています。併せてご覧ください。
>>むくみの原因は?危険なむくみや考えられる病気、日常でできる対処法を解説
足の甲のむくみを防ぐには、自分の足に合った、締め付けすぎない靴を選ぶことが重要です。きつい靴は足を圧迫し、血液やリンパ液の流れを妨げます。特に足の甲の部分がきついと、血管やリンパ管が押しつぶされ、水分が戻りにくくなってむくみが悪化します。
靴を選ぶときは、次のポイントを意識しましょう。
日常生活での工夫もむくみ予防に役立ちます。
足に優しい靴選びは、むくみ予防だけでなく、足全体の健康を守ることにもつながります。むくみは体からのサインであり、病気の早期発見につながることもあるため、気になる場合は早めに相談しましょう。
静岡県でむくみにお悩みの方は、大石内科循環器科医院へお気軽にご相談ください。足のむくみには循環器疾患が隠れている場合もあり、早期の評価が重要です。当院では原因の精査から適切な治療まで丁寧に対応しますので、症状が続く際は受診をご検討ください。
足の甲のむくみに関するよくある質問について、以下の5つを解説します。
朝のむくみは、夜間に横になっている間、体全体に水分が均等に分散されるために起こることがあります。日中は重力の影響で水分が下半身に溜まりやすいですが、夜間に横になると、重力の影響が少なくなり、水分が体全体に広がります。寝ている間は体を動かさないため、血液やリンパ液の循環が日中よりも緩やかになります。
朝のむくみは、以下の要因で起こりやすくなります。
一時的なむくみであれば心配いりませんが、むくみが続く場合や他の症状を伴う場合は、早めに医師へ相談しましょう。
まずは内科またはかかりつけ医を受診することをおすすめします。足の甲のむくみの原因は多岐にわたり、心臓や腎臓、肝臓、血管、リンパ管など、さまざまな臓器や組織の問題が考えられます。最初に内科や総合診療科を受診すれば、問診や基本的な検査を通して、どの専門科での治療が必要かを判断してもらえます。
必要に応じて循環器内科や腎臓内科、血管外科などの専門医を紹介してもらうことができます。最初からどの科が適切か判断するのは難しいため、まずは身近な内科やかかりつけ医に相談し、適切な診療科への道筋をつけてもらうのが安心です。
足を高くして横になる、軽いマッサージをする、適度に体を動かすことで、むくみの解消を促すことができます。具体的には、以下の方法がおすすめです。
これらの方法を組み合わせることで、むくみの軽減が期待できます。
カリウムを多く含む食品は、体内の余分な塩分と水分の排出を助け、むくみの軽減に役立ちます。むくみの原因の一つは、体内に塩分(ナトリウム)が多くなりすぎることです。カリウムには、ナトリウムを尿として体の外に出す働きがあるため、むくみの予防や改善に効果が期待できます。
ビタミンB群やタンパク質も、代謝を良くし、水分バランスを整えるのに役立ちます。カリウムが豊富な食品には、バナナ、アボカド、ほうれん草、さつまいも、納豆、海藻類などがあります。むくみを防ぐためには、減塩を意識することも大切です。食事では以下のポイントに気をつけましょう。
バランスの良い食事と減塩が、むくみにくい体づくりの基本になります。
運動不足は、足の筋肉のポンプ機能を低下させ、血液やリンパ液の流れを悪くするため、むくみの大きな原因となります。特にふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、血液を心臓に戻す重要な役割を担っています。歩いたり、階段を上ったりすることで、筋肉が収縮と弛緩を繰り返し、血管を圧迫して血液を押し上げます。
運動不足で筋肉を使わないでいると、ポンプ機能が衰え、血液が足に溜まりやすくなります。筋肉量そのものが減少すると、さらにむくみやすい体になってしまいます。適度な運動習慣は、むくみ予防だけでなく、健康維持全般に役立ちます。
足の甲のむくみは、長時間立ち仕事や塩分の摂りすぎなど、日常生活で起こりうる一時的なものが多いです。なかには心不全や下肢静脈瘤、リンパ浮腫など、病気のサインである場合もあります。心臓のポンプ機能低下や静脈の弁の故障、リンパ液の流れの悪化などが原因で、足の静脈に血液やリンパ液が溜まり、むくみが発生します。
放置すると症状が悪化することもあるため、むくみが気になる場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
足のむくみの原因をさらに深く理解し、適切な対処法を知りたい方は、以下の記事も参考になります。
>>【医師監修】足のむくみの原因と解消法を徹底解説!放置すると危険なワケとは?
Siemes LJF, van der Worp MP, Nieuwenhuijzen PHJA, Stolwijk NM, Pelgrim T and Staal JB. “The effect of movement representation techniques on ankle function and performance in persons with or without a lateral ankle sprain: a systematic review and meta-analysis.” BMC musculoskeletal disorders 24, no. 1 (2023): 786.
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