「最近、体重が増えたけど、もしかしてむくみが原因…?」と不安に感じていないでしょうか。
実は、むくみと体重増加は密接に関係しています。むくみを放置すると、心臓病や腎臓病などの深刻な病気が隠れている可能性も。さらに、体重増加は見た目の変化だけでなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病リスクを高める可能性もあります。
この記事では、むくみと体重増加の関係性や考えられる病気、原因、解消法について解説していきます。むくみを解消し、健康的な体を手に入れましょう。
むくみと体重増加の関係性とは?
むくみと体重増加は、切っても切り離せない関係にあります。むくみは、体の中に必要以上の水分が溜まっている状態です。
ここでは、むくみと体重増加の関係性について解説しているので、チェックしておきましょう。
むくみについてより詳しく知りたい方はぜひ次の記事もご覧ください。
【医師監修】足のむくみの原因と解消法を徹底解説!放置すると危険なワケとは?
むくみと体重増加の意外な関連性
むくみと体重の関係で特に注意したいのが、急激な体重変動です。健康な状態でも食事の内容や時間帯、ホルモンバランス、気温などで、1〜2キログラム程度変動することがあります。
2〜3日で体重が数キログラム増加する場合は、むくみが原因である可能性が高いです。
むくみと体重増加の影響範囲
むくみは顔や手足など、体のさまざまな場所に現れます。心臓から遠い位置にある足は重力の影響を受けやすく、むくみが起こりやすい部位です。
顔のむくみは、起床時にまぶたが腫れぼったくなったり、顔がパンパンになったりします。
むくみと体重増加が身体に与える影響
むくみを放置すると、健康に悪影響を及ぼします。以下にむくみと体重増加による、それぞれの影響をまとめています。
- むくみの影響
- 血液の流れが悪くなる
- 腎臓に負担がかかる
- 深刻な病気(心臓病、腎臓病、肝臓病など)の兆候である可能性
- 体重増加の影響
- 生活習慣病(糖尿病、高血圧など)のリスク増加
- うつ病との関連(活動量減少や食欲増進による間接的な影響)
むくみが続く場合は、原因を特定して適切な対処をすることが重要です。健康的な生活習慣を心がけ、気になる症状がある場合は医療機関に相談することをおすすめします。
むくみから考えられる病気や原因
むくみは体重増加はもちろん、放置するとさまざまな病気のリスクを高めます。むくみで体重が増える病気には「水分代謝の異常」「エネルギー代謝の異常」の2つがあります。
「水分代謝の異常」は、体内の水分のバランスが崩れ、必要以上に水分を溜め込んでしまう状態です。心臓や腎臓、肝臓などの病気によって引き起こされることが多く、むくみをともなう体重増加がみられます。
「エネルギー代謝の異常」は、摂取したエネルギーが消費されずに、体内に脂肪として蓄積される状態です。糖尿病や甲状腺機能低下症などが代表的な例です。
病気によるむくみと体重増加の関係
代表的な例として心臓と腎臓、肝臓の病気の観点から、詳しく解説しているのでチェックしておきましょう。
- 心臓の病気
症状:ポンプ機能が低下し、全身に血液をスムーズに送れなくなります。血液が心臓に戻りにくく血管から水分が漏れ出てしまい、むくみが生じます。
特徴:心臓から遠い足にむくみが現れやすい傾向です。心臓のポンプ機能が弱まり、重力に逆らって血液を心臓に戻すことが難しくなります。
- 腎臓の病気
症状:ろ過機能が低下し、体内に老廃物や水分が過剰に溜まりやすくなります。結果、むくみが生じたり、体重が増加につながります。
特徴:腎臓病によるむくみは、特に目の周りや足首に現れやすいです。尿の量が減少し、体重が急激に増えることもあります。
- 肝臓の病気
症状:肝臓のはたらきが低下し、むくみや体重増加などの症状が現れます。
特徴:肝臓病によるむくみは、腹部や足に現れやすく、腹水(腹部に液体がたまる状態)をともなうことが多いです。
生活原因によるむくみと体重増加の関係
病気だけでなく、毎日の生活習慣が原因でむくみや体重増加につながることもあります。ここでは、代表的な生活習慣と具体的な例を挙げて解説していきます。
- 塩分の摂りすぎ
塩分の摂りすぎは、むくみの大きな原因の一つです。塩分を摂りすぎると、体は水分を溜め込もうとするため、むくみが生じやすくなります。
- 水分不足
水分が不足すると、体は防御反応として、少しでも水分を蓄えようとします。結果、むくみが起こりやすくなってしまうのです。
- 運動不足
運動不足で血液の循環が悪くなると、水分が体の下のほうに溜まりやすいです。デスクワークなどで長時間同じ体制での作業は、むくみの原因になります。
- 睡眠不足
睡眠不足になると、自律神経のバランスが乱れ、体の水分調節機能がうまくはたらかなくなります。
内部要因によるむくみと体重増加の関係
むくみや体重増加が起こることについて、体の内側の変化も原因の一つです。ここでは、代表的な内部要因と、具体的な例を挙げて解説していきます。
- ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンのバランスが乱れると、体に水分を溜め込みやすくなります。月経前や妊娠中は、ホルモンバランスが大きく変動するため、むくみが起きやすいです。
- 栄養バランスの乱れ
タンパク質不足になると、血液中のタンパク質濃度が低下し、水分を保持する力が弱まります。その結果、むくみが生じやすくなります。
- 冷え性
体が冷えて血液の循環が悪くなると、水分が体の下のほうに溜まりやすいです。女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、冷え性になりやすく、むくみやすい傾向があります。
むくみと体重増加の解消法・予防法
むくみと体重増加の解消法と予防法について、わかりやすく解説していきます。毎日の生活の中で、簡単に取り入れられるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
むくみと体重増加の改善方法
むくみと体重増加を改善するには、原因に合わせた対策が重要です。ここでは、3つの具体的な方法を紹介します。
- 水分をしっかり摂る
- のどが渇いていなくても、1時間に1回程度は水分補給をする
- 1日に1.5~2リットル程度を目標にする
- 水や麦茶など、ノンカフェインの飲み物を積極的に選ぶ
※お茶やコーヒーは利尿作用があるため、飲みすぎ注意
- 適度な運動を心がける
- 1日30分程度のウォーキングや軽いジョギングなど、息が少し上がる運動を習慣的におこなう
- エレベーターではなく階段を使う
- いつもより一駅前で降りて歩く
- 家事の合間にストレッチをする
- 塩分を控えた食事を心がける
- 厚生労働省が推奨する塩分摂取量の目標値は、男性7.5g未満/日、女性6.5g未満/日
- インスタント食品や加工食品、外食は塩分が多いので、なるべく控える
» 厚生労働省
食事によるむくみと体重増加の予防
むくみと体重増加を予防するには、日々の食事と運動習慣を見直すことが大切です。
- カリウムを多く含む食品を積極的に摂る
カリウム:体内の余分な塩分を排出するはたらきがあり、塩分を摂りすぎた際に、体外への排出を促してくれます。
カリウムを多く含む食品:バナナ、ほうれん草、アボカド、納豆、ひじきなど
- タンパク質をしっかりと摂る
タンパク質:筋肉や血液など、体の組織を作るために欠かせない栄養素です。タンパク質が不足すると、血液中のタンパク質濃度が低下し、水分を保持できなくなって、むくみが生じやすくなります。
カリウムを多く含む食品:肉、魚、卵、大豆製品など
新しい治療法や薬によるむくみと体重増加の解消
むくみや体重増加の中には、病気のサインとして現れる場合があります。むくみを引き起こす病気には、心臓病や腎臓病、肝臓病などさまざまです。
心臓のポンプ機能の低下や、腎臓での水分調節機能の低下など、体内の水分バランスを崩すことでむくみが生じます。甲状腺機能低下症もむくみの原因の一つです。甲状腺ホルモンが不足すると、体内の水分代謝が低下し、むくみが生じやすくなります。
ここでは、新しい治療法や薬について解説します。
- 利尿剤
利尿剤は、体内の余分な水分を尿として排出させることで、むくみを改善する薬です。心臓病や腎臓病などが原因でむくみが生じている場合に、医師の判断で処方されます。利尿剤は、腎臓のはたらきを調整することで、体内の水分量をコントロールし、むくみを改善します。
- 血管拡張剤
血管拡張剤は、血管を広げて血流を改善することで、むくみを改善する薬です。動脈硬化やレイノー病などが原因でむくみが生じている場合に、医師の判断で処方されます。血管拡張剤は、血管を拡張することで血流を改善し、むくみを改善する薬です。
- 生活習慣病の治療
罹患している病気の治療をおこなうことで、むくみや体重増加が改善される場合もあります。
上記の他にも、甲状腺機能低下症が原因でむくみが生じている場合は、甲状腺ホルモン剤の内服で、むくみの改善が可能です。脂肪浮腫という、脂肪細胞が異常に増殖して手足などにむくみが生じる病気もあります。
むくみや体重増加が気になる場合は、自己判断せずに、まずは医療機関を受診して医師に相談しましょう。原因を特定し、適切な治療やアドバイスを受けることが大切です。
まとめ
むくみと体重増加は密接に関係しており、体内の水分バランスの乱れが原因で起こります。心臓や腎臓、肝臓の病気などさまざまな要因が考えられ、放置すると健康に悪影響を与える可能性があります。
普段からできるむくみを解消する方法は以下のとおりです。
- 塩分摂取を控える
- カリウムを多く含む食品を摂取する
- 適度な運動をする
生活習慣の見直しによってむくみを解消するように心がけましょう。むくみや体重増加が気になる場合は自己判断せず、医療機関を受診し適切なアドバイスを受けてください。
参考文献
- Treviño-Alvarez AM, Sánchez-Ruiz JA, Barrera FJ, Rodríguez-Bautista M, Romo-Nava F, McElroy SL and Cuéllar-Barboza AB. “Weight changes in adults with major depressive disorder: A systematic review and meta-analysis of prospective studies.” Journal of affective disorders 332, no. (2023): 1-8.
- Treviño-Alvarez AM, Sánchez-Ruiz JA, Barrera FJ, Rodríguez-Bautista M, Romo-Nava F, McElroy SL and Cuéllar-Barboza AB. “A Clinical Perspective of Low Carbohydrate Ketogenic Diets: A Narrative Review.” Nutrients 13, no. 8 (2021): 2543.
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