「あれ?いつもの靴がきつい」「指輪が抜けない」なんて経験があるのではないでしょうか。
もしかしたら、体が発するサインかもしれません。むくみは体の中に余分な水分が溜まってしまうことで起こり、さまざまな病気が隠れている可能性があります。
今回はむくみの原因となる代表的な病気を、体の仕組みと関連付けながらわかりやすく解説していきます。
むくみの原因となる病気の種類は循環器系疾患や腎臓疾患、内分泌異常などさまざまです。ここでは、5つのカテゴリーにわけて解説していきます。
心臓は体中に血液を送り出すポンプの役割をしています。しかし、心臓のポンプ機能が弱ってしまう「心不全」になると、血液を送り出す力が弱まって、静脈に血液が溜まりやすくなります。心臓から遠い足にむくみが現れやすいのが特徴です。
「下肢静脈瘤」は足の静脈にある弁がうまく機能せず、血液が逆流することで、血管がボコボコと浮き出ます。静脈内に血液が滞り、むくみが生じてしまいます。
「深部静脈血栓症」は、足の深いところにある静脈に血の塊(血栓)ができ、血液の流れが悪くなることで発症する病気です。血栓が血管を詰まらせることで、血液の流れが悪くなり、むくみが発生します。
静岡県でこれらの疾患の疑いがあり、むくみにお悩みの方は大石内科循環器科医院へお気軽にご相談ください。
腎臓のはたらきは、体の中で不要になった老廃物や余分な水分を、尿としてろ過して排出することです。腎臓病になってしまうと、体内の水分や塩分がうまく排出されず、むくみが現れます。
「ネフローゼ症候群」は、腎臓の糸球体という部分が悪くなり、本来体内に留まっているタンパク質が、尿の中に出てしまう病気です。体内のタンパク質が減ることで、水分を血管内に保てず、むくみが生じてしまいます。
ホルモンは体の中でさまざまなはたらきを調節する「体の司令塔」です。ホルモンのバランスが崩れると、体の機能に異常が生じ、むくみが現れることがあります。
「甲状腺機能低下症」は、甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、体の代謝機能が低下し、むくみが現れやすくなる病気です。
服用している薬の副作用でむくみが現れることがあります。ステロイド薬や一部の降圧剤などがその代表例です。
塩分の摂りすぎも、体内の水分量を増加させ、むくみの原因となります。
肝臓はアルブミンという、血液中の水分を保つはたらきをするタンパク質を作っています。肝硬変などの肝臓の病気になると、アルブミンが十分に作られなくなり、むくみが生じやすいです。
リンパ浮腫は、リンパ液の流れが悪くなることでむくみが生じる病気です。リンパ節の切除や放射線治療などが原因で起こる場合があります。原発性リンパ浮腫は、生まれつきのリンパ管の未発達が原因で、むくみが生じる病気です。
むくみの原因や症状は人それぞれ異なるため、自己判断せずに、気になる場合は医療機関を受診するようにしましょう。
むくみは、体からのサインでわかるかもしれません。むくみの症状や特徴を知って、自分の体と向き合ってみましょう。
むくみについてより詳しく知りたい方はぜひ次の記事もご覧ください。
>>【医師監修】足のむくみの原因と解消法を徹底解説!放置すると危険なワケとは?
むくみの一番わかりやすい特徴は「腫れ」です。まるで風船に空気が入ったように、皮膚がパンパンに張っているように感じることがあります。
以下のような経験はありませんか?
心臓や腎臓の病気によってむくみが起こる場合、朝よりも夕方の方がむくみが強くなる傾向があります。日中の活動によって心臓や腎臓に負担がかかり、水分代謝がうまくいかなくなるためです。
むくみは体の中に余分な水分が溜まっている状態なので、体が重だるく感じやすくなります。「体が重くてなかなか思うように動けない」「疲れやすい」といった症状が出ることもあります。むくみによって血行が悪くなったり、筋肉や関節に負担がかかったりするためです。
むくみが原因で睡眠の質が低下することもあります。睡眠不足は、疲労感や倦怠感をさらに悪化させる要因です。
むくみは体内に水分が溜まっている状態なので、体重が増加することがあります。短期間で体重が急に増えた場合や体重の変化が大きい場合は、むくみが隠れている可能性が高いです。
毎日の体重測定を習慣にすることで、むくみの早期発見につながることがあります。体重計に乗る際は毎日同じ時間帯に、同じ服装で測定するようにしましょう。
腎臓の機能が低下している患者さんの場合、体内の水分をうまく排泄できなくなるため、急激な体重増加がみられることがあります。
むくみがひどくなると皮膚がつっぱったり、光沢が出たりするなどの変化が現れることがあります。むくんだ部分を指で押しても、へこんだまま元に戻りにくいという現象も有名です。皮膚の下に水分が溜まっているために起こる現象で「浮腫性陥凹」と呼ばれます。
むくみが続くと皮膚の表面が伸びて乾燥しやすくなったり、かゆみが出たりすることもあります。
むくみが肺や心臓にまで及ぶと、呼吸や睡眠に問題が生じることがあります。横になると息苦しくなったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりすることもあるでしょう。むくみによって肺や心臓が圧迫され、正常に機能しなくなるためです。
心臓や肺の病気によってむくみが生じている場合は、放置すると命に関わることもあります。息苦しさや動悸、胸の痛みなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
むくみは、体内の水分バランスが崩れ、皮下に水分が溜まってしまうことで起こります。むくみを改善するために、まずは日常生活の中でできることから始めてみましょう。
むくみの改善には、毎日の生活習慣の見直しが重要です。自身の生活に当てはまっていないか確認してみましょう。
適度な運動やストレッチは、筋肉のポンプ機能を高め、血液循環を促進することでむくみの改善に役立ちます。
食生活の改善も、むくみの改善に効果的です。
上記の内容をいきなり意識しろと言われても難しいかもしれません。少しずつ自身の食生活を見直して、食事の改善もおこないましょう。
むくみの原因はさまざまです。むくみの原因を特定し、適切な治療につなげるために大切なのが、これからご紹介する各種検査です。
血液検査は健康診断などでも経験している、体の状態を調べるための基本的な検査です。血液を調べることで、以下のようなさまざまな情報がわかります。
健康診断を受けていない方は、ぜひ血液検査だけでも受けることをおすすめします。
尿検査も血液検査と並んで、むくみの原因を調べる上で基本となる検査です。腎臓は毎日休むことなく、血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として体外に排出するはたらきをしています。
尿を調べることで、腎臓が正常に機能しているかどうかを詳しく知ることができます。
心臓の検査は心臓の動きを電気信号の変化として捉える「心電図検査」です。心臓の構造や動きを超音波を使ってリアルタイムで観察する「心臓超音波検査」もあります。
血管の状態を調べる検査には、超音波を使った「血管エコー検査」や、レントゲン撮影を使う「血管造影検査」などがあります。
むくみはさまざまな原因で起こる症状であり、自己判断で放置するのは危険です。「たかがむくみ」と安易に考えずに内科や循環器内科、腎臓内科など、むくみの原因となる可能性が高い診療科を受診しましょう。
問診や視診、触診といった基本的な診察から、検査までおこなうことでむくみの原因を特定していきます。適切な治療を受けるためにも医師に相談して、むくみと向き合っていきましょう。
ここでは、むくみと関連する症状や合併症について紹介していきます。
むくみと関連している症状や合併症は命にも関わることもあるので、ぜひ知っておきましょう。
むくみを放置すると、血液の流れが悪くなり、血管の中に血のかたまり(血栓)ができやすくなります。飛行機の座席など狭い場所に長時間座り続けることで発症リスクが高まる「エコノミークラス症候群」の一因でもあります。長時間足を動かさないでいると、足の血管に血栓ができやすくなるのです。
足の静脈にできた血栓が、血流に乗って肺に詰まってしまう「肺塞栓症」は、命に関わる危険性がある病気です。息切れや胸の痛みなど、風邪と似た症状が出ることがあります。
具体例は以下のとおりです。
具体例の状況では、足の血流が滞りやすいため、血栓症のリスクが高まります。こまめな休憩や水分補給、足の運動などを心がけることが大切です。
むくみによって関節に余分な負担がかかり続けると、関節痛や動きが悪くなることがあります。関節痛は日常生活の動作に支障をきたし、生活の質を著しく低下させてしまいます。
具体例は以下のとおりです。
むくみがひどくなると皮膚が伸びてしまい、傷つきやすくなります。小さなキズでも細菌が入り込み、感染症を引き起こす可能性が高いです。慢性的なむくみは皮膚への栄養や酸素の供給を阻害するため、皮膚が壊死して潰瘍ができることもあります。
具体例は以下のとおりです。
むくみによって容姿が気になると、自信を失って人と会うのも億劫になってしまうでしょう。むくみが原因で活動量が減ると、気分が落ち込みやすくなったり、イライラしやすくなったりすることもあります。むくみは精神的なストレスとなり、さらなる健康問題を引き起こす可能性も高いです。
具体例は以下のとおりです。
むくみは病気のサインである可能性もあります。急激にむくみが強くなった場合や息苦しさ、胸の痛み、発熱などの症状がある場合は、重篤な病気が隠れているかもしれません。すぐに医療機関を受診してください。
むくみを予防するためには、以下のポイントに注意しましょう。
気になる症状がある場合は、自己判断をすることは避けて、医師に相談してください。
大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585