大石内科循環器科医院

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高血圧が脳梗塞を引き起こす可能性も!理由や対処法など詳しく解説

2024.07.12 生活習慣病高血圧

健康診断で「高血圧」を指摘されたことはありますか? すでに治療を受けている方もいるかもしれません。 高血圧は自覚症状が出にくいため、放置してしまいがちですが、実は脳梗塞という恐ろしい病気を引き起こすリスクがあります。

日本では年間約7万人が脳梗塞で亡くなっており、主な原因の一つが高血圧です。 高血圧は血管に常に高い圧力がかかることで血管を傷つけ、動脈硬化を進行させます。 動脈硬化が進むと脳の血管が詰まりやすくなり、脳梗塞のリスクが高まるのです。

この記事では、高血圧が脳に与える影響や脳梗塞のメカニズム、予防策、具体的な対処法まで詳しく解説します。 ご自身の健康を守るためにも、ぜひ最後までお読みください。

大石内科循環器科医院では、高血圧の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。

脳梗塞の症状と対処法

脳の細胞は、血液から酸素や栄養を受け取っています。 しかし、脳梗塞が起こると、血液が供給されなくなり、脳の細胞はダメージを受けてしまいます。 一刻も早く治療を開始することが、後遺症を最小限に抑えるために重要なのです。

できるだけ早く医療機関を受診するためにも、脳梗塞の初期症状を知っておくことが重要です。

脳梗塞の種類と症状

脳梗塞は詰まる血管の太さや場所、原因によって、いくつかの種類に分けられます。脳の太い血管に血のかたまりが詰まる「脳血栓塞栓症」は、動脈硬化が原因で起こることが多いです。半身の麻痺や感覚障害、ろれつが回らない、意識障害など、重い症状が出る傾向があります。

脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」は、高血圧が原因で起こることが多く、比較的症状が軽い傾向にあります。 症状としては、手足のしびれやろれつが回りにくい、めまい、ふらつきなどがあります。 症状が軽く、一過性であるため、気づかない場合もある点が特徴です。

「一過性脳虚血発作(TIA)」といって症状が一時的に出現した後、自然に回復する病態もあります。TIAは、脳梗塞の前兆であることが多く、放置すると本格的な脳梗塞を引き起こすリスクが高まります。

脳梗塞を疑ったら?緊急時の対応

脳梗塞は早期発見・早期治療が重要です。脳梗塞の代表的な症状を覚えておきましょう。

  • 顔の麻痺:顔が片方だけ垂れ下がり、笑顔が歪んでしまう。
  • 腕や足の麻痺:片方の手足に力が入らないなど、感覚が鈍くなる。
  • 言葉の障害:ろれつが回らないなど、言葉が出てこない。

症状が急に現れたら、迷わず救急車を呼びましょう。 自分だけでなく、周りの人が脳梗塞の疑いがある場合も、ためらわず119番通報してください。救急車を呼ぶまでの間、患者を安全な場所に横にして、吐き出したものが気道に詰まらないように顔を横に向けておきましょう。

後遺症のリスクとリハビリテーションの重要性

脳梗塞は、後遺症が残ってしまう可能性がある病気です。 後遺症の程度は、脳梗塞の起こった場所や大きさ、治療開始までの時間によって大きく異なります。代表的な後遺症としては、運動麻痺や感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などがあります。 

運動麻痺は手足の麻痺により、歩行や日常生活動作が困難になることです。 感覚障害は触っても感覚が鈍かったり、温度を感じにくくなったりします。 言語障害は言葉がうまく話せなくなり、相手の言っていることが理解しにくいことです。 高次脳機能障害では、記憶力や注意力が低下し、感情のコントロールが難しくなります。

後遺症を予防し、少しでも早く社会復帰できるように、リハビリテーションは重要な役割を担います。 脳梗塞のリハビリテーションは、発症早期から開始することが重要です。 発症後早期のリハビリテーションは、脳の機能回復を促し、後遺症を軽減する効果が期待できます。患者さん一人ひとりの状態や目標に合わせて、運動療法や作業療法、言語療法などを組み合わせたプログラムを作成し、日常生活動作の改善、身体機能の回復を目指します。

脳梗塞は日頃から生活習慣に気を配り、予防を心がけることが大切です。もしものときは、落ち着いて適切な対応をとるようにしましょう。

高血圧が引き起こす脳梗塞のリスクとは?

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行し、ある日突然、脳梗塞という恐ろしい病気を引き起こすリスクがあります。脳に与える影響や脳梗塞のメカニズム、サイレントキラーと言われる理由を紹介します。

高血圧が脳に与える影響

高血圧は血管という体中に張り巡らされた「ホース」に、常に高い水圧がかかっている状態だと想像してみてください。高血圧の状態が続くと血管が高圧に耐えようと血管の壁が分厚く硬くなってしまい、この状態を「動脈硬化」と呼びます。

動脈硬化が進むと血管は柔軟性を失い、もろくなってしまいます。血管が狭くなって詰まりやすくなるため、脳に十分な血液が送られなくなることからさまざまな問題が起こる可能性が高いです。

脳の血管が狭くなってしまった結果、めまいやふらつきを感じる場合や、集中力の低下、記憶力の低下といった症状が現れることがあります。血管が詰まってしまうと、脳梗塞を引き起こすリスクも高まります。

高血圧による頭痛の特徴などについては以下の記事に記載していますので、合わせて確認してみてください。
>>高血圧による頭痛の対処法は?安静や頭痛薬の服用で良いかなど解説

脳梗塞のメカニズム

脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまい、血液が流れなくなることで起こります。脳細胞は血液によって酸素や栄養を運ばれて生きているため、血液の流れがストップしてしまうと、栄養失調になって細胞が死んでしまいます。

心臓などでできた血の塊が脳に運ばれるタイプ

血管が細い場所で起こりやすく、ラクナ梗塞と呼ばれる小さな梗塞の原因です。脳の奥深くにある細い血管で起こることが多く、小さな梗塞が複数できることもあります。

動脈硬化による血管の狭窄や血栓形成によって脳の血管が塞がれるタイプ

太い血管で起こることが多く、脳の広い範囲にダメージを与える可能性があります。脳梗塞は、詰まった血管の種類や場所によって、症状の出方が異なります。体の麻痺や言葉が出にくい、ろれつが回らない、めまい、ふらつき、視野の半分が見えなくなるなどが代表的な症状です。

サイレントキラーと呼ばれる理由

高血圧は自覚症状が現れにくい病気なので「自分はまだ若いから大丈夫」「自覚症状がないから大丈夫」と思ってしまいがちです。高血圧を放置すると、知らないうちに動脈硬化は進行し、脳梗塞や心筋梗塞など、命に関わる病気を引き起こすリスクを高めます。

高血圧はまさに「サイレントキラー」のように、静かに確実に、私たちの体を蝕んでいく恐ろしい病気なのです。

高血圧は放置せずに適切な治療と生活習慣の改善を図って、血圧をコントロールさせることが重要です。自分の血圧の状態を知り、高血圧が疑われる場合には、医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けましょう。

脳梗塞を予防するためにできること

高血圧は、脳梗塞のリスクを高める大きな要因の一つです。 「サイレントキラー」の名前のとおり、自覚症状がないまま進行し、ある日突然、脳梗塞を引き起こすこともあります。

脳梗塞は、命に関わるだけでなく、後遺症が残る可能性も高い病気です。 しかし、生活習慣の改善によって予防可能な病気でもあります。 高血圧をコントロールし、健康的な生活習慣を心がけることは、脳梗塞を予防する上で重要です。

家庭でできる血圧測定

皆さんは、自分の血圧を把握していますか? 健康診断で血圧が高いと指摘されても自覚症状がないと、なかなか生活習慣の改善に意識が向かない方も多いのではないでしょうか。

病院で測定する血圧は、緊張やストレスによって普段よりも高めに出てしまう「白衣高血圧」の可能性もあります。 家庭でのリラックスした状態で測定した血圧である「家庭血圧」が高い「仮面高血圧」の場合も少なくありません。

高血圧は自覚症状がない場合も多いので、家庭用の血圧計を使って、こまめに血圧をチェックする習慣をつけましょう。家庭で血圧を測るポイントは以下のとおりです。

  • 測定する時間帯:朝起きた後と、夜寝る前の1日2回を目安にしましょう。忙しい朝はつい忘れがちですが、朝の血圧は1日のうちでも特に高く、脳卒中のリスクが高い時間帯と言われています。
  • 測定前の準備:トイレを済ませ、5分ほど落ち着いてから測りましょう。食事や飲酒、喫煙、激しい運動の後は30分ほど時間を置いてください。
  • 測定姿勢:椅子に座ってリラックスし、背筋を伸ばします。足を組んだり、腕で血圧計を支えたりしないようにしましょう。
  • 測定中の注意点:測定中は話や動くことは避けて、深く呼吸をしながらリラックスしましょう。

毎日続けて測定して記録することで、血圧の変化に気づけます。血圧手帳を活用したり、スマートフォンのアプリを利用したりするのもおすすめです。 家庭で測定した血圧の結果は、医師の診察を受ける際に必ず伝えましょう。

効果的な食事療法【減塩レシピを紹介】

「塩分」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか? 醤油や味噌、ソースなどの調味料をイメージする方が多いかもしれません。実は多くの加工食品やインスタント食品にも、たくさんの塩分が含まれています。 外食が多い、コンビニで食事を済ませがち、レトルト食品をよく利用するという方は、知らず知らずのうちに塩分を摂りすぎている可能性が高いです。

高血圧のときの食生活については以下の記事について詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
>>高血圧の人が食べてはいけないものを解説!食生活で気をつけるべきポイント

塩分の摂りすぎは、高血圧を招き、動脈硬化を進行させる大きな要因となります。 日本人は、世界的に見ても塩分の摂取量が多い傾向で、厚生労働省の調査によると、20歳以上の男女の平均は約10gとされています。 高血圧を予防するためには、1日5g未満を目標に減塩を心がけましょう。減塩のコツは以下のとおりです。

  1. だしを効かせる: 昆布やかつお節、干ししいたけなどからとる、天然のだしを活かしましょう。素材本来の旨味が増すことで、塩分を減らしても満足感のある味付けになります。
  2. 酸味や香りを加える: レモン汁や酢などの酸味、生姜やネギ、唐辛子などの香味野菜を加えることで、味が引き締まり、少ない塩分でも美味しく感じられます。
  3. 加工食品を減らす: ハムやソーセージなどの加工肉やインスタント食品、レトルト食品などは、塩分が多い傾向にあります。手作りを心がけ、塩分の少ない商品を選ぶようにしましょう。

ストレスを溜めない生活習慣

現代社会においてストレスは避けて通れないものです。 しかし、ストレスを長期間放置すると、高血圧のリスクを高め、体にさまざまな悪影響が現れます。 

ストレスを感じると交感神経が優位になり、血管が収縮して血圧が上昇し、心臓に負担がかかります。 ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、食欲を増進させたり、脂肪を蓄積しやすくしたりするなど、生活習慣病のリスクを高める原因です。ストレスは血管の内壁を傷つけ、動脈硬化を促進する可能性も指摘されています。ストレスを溜め込まないためには、自分なりのストレス解消法を見つけ、心身ともにリラックスできる時間を作るように心がけましょう。

運動療法については以下の記事で詳細に解説していますので、合わせて読んでみてください。
>>高血圧の運動療法のおすすめの方法や効果を高血圧治療ガイドラインをもとに解説!

ストレスを解消するためのポイントは以下のとおりです。

  • 適度な運動:軽い運動でも、ストレス解消に効果があります。ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動を見つけましょう。運動は、血圧を下げ、ストレスホルモンを減少させる効果も期待できます。
  • 趣味を楽しむ:好きなことに熱中することで、ストレスを忘れられます。音楽鑑賞や読書、旅行など、自分がリラックスできる趣味を見つけましょう。
  • 睡眠をしっかりとる:睡眠不足はストレスを溜めやすくするだけでなく、免疫力の低下にもつながります。質の高い睡眠を心がけ、心身を休ませましょう。
  • リラックスできる空間を作る:アロマを焚いたり、観葉植物を置いたり、照明を暖色系に変えることでリラックス効果が期待できます。自分にとって心地よい空間作りを心がけましょう。

ストレスをため込みやすい性格や環境、過去のトラウマなどが原因で、自分自身でストレスを解消することが難しい場合もあるでしょう。一人で抱え込まず、医師やカウンセラーなどに相談することも考えてみてください。 専門家のサポートを受けることで、自分では気づかなかったストレスの原因や対処法が見つかるかもしれません。

まとめ

高血圧は自覚症状がないまま進行し、脳梗塞を引き起こすリスクを高めるため「サイレントキラー」と呼ばれています。 脳梗塞を予防するには、家庭での血圧測定、減塩を中心とした食生活、ストレスを溜めない生活習慣を心がけることが重要です。 

脳梗塞の初期症状を認識し、疑われる場合はすぐに救急車を呼びましょう。後遺症のリスクを軽減するために、早期のリハビリテーションも重要となります。

高血圧について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。

>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について

参考文献

  1. Pathophysiology and probable etiology of cerebral small vessel disease in vascular dementia and Alzheimer’s disease. 
  2. Intensive blood pressure control in older patients with hypertension-a STEP in the right direction?
  3. A Systematic Review and Meta-analysis of the Clinical and Epidemiological Characteristics of Patients with Hypertensive Emergencies: Implication for Risk Stratification
  4. Relationships between intracranial arterial dolichoectasia and small vessel disease in patients with ischaemic stroke: a systematic review and meta-analysis
  5. eヘルスネット 脳血管障害・脳卒中



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