大石内科循環器科医院

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脂質異常症の薬:種類と効果、正しい服用法を解説

2024.10.18 生活習慣病脂質異常症

健康診断で「コレステロール値が高い」と言われたことはありませんか?近年、脂質異常症の患者数が増えており、適切な治療が必要です。

この記事では、脂質異常症の治療薬について詳しく解説します。スタチン系やエゼチミブ系など、さまざまな種類の薬の特徴や副作用、正しい服用方法を紹介します。さらに、薬物療法と生活習慣改善を効果的に組み合わせる方法も解説します。

この記事を読めば、脂質異常症の治療薬について理解を深め、自分に合った治療法を見つけるヒントが得られるでしょう。適切な治療と生活習慣の改善で、健康的な生活を送りましょう。

当院では脂質異常症でお悩みの方の治療にも対応しています。

脂質異常症には体重管理が重要です。当院の肥満外来では、医師の診察をもとに栄養指導や運動プログラム、治療薬を組み合わせたアプローチを提供します。肥満治療薬のみの処方も可能です。あなたの健康改善をサポートします。

脂質異常症の治療薬の種類と効果

脂質異常症の治療には、主に生活習慣の改善と薬物療法が行われます。今回は脂質異常症の治療によく使われるお薬の種類と、それぞれの特徴について解説していきます。薬にはそれぞれ得意分野があるので、自分に合った薬を医師と相談しながら選ぶことが大切です。

以下は脂質異常症の治療薬として使われている薬の種類と解説です。

治療薬解説
スタチン系悪玉コレステロールを減らす効果が強い薬です。肝臓で作られるコレステロールの量を減らすことで、血液中のコレステロール値を下げます。
エゼチミブ系小腸からのコレステロールの吸収を抑え、血液中のコレステロール値を下げます。
PCSK9阻害薬悪玉コレステロールを減らす新しいタイプの薬です。肝臓でコレステロールを処理する働きを助けることで、より強力にコレステロール値を下げます。
フィブラート系中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす効果があります。

スタチン系薬剤

スタチン系薬剤は、体内でコレステロールが作られるのを抑える作用があります。肝臓でコレステロールを合成する際に必要な酵素(HMG-CoA還元酵素)の働きを阻害することで、コレステロールの合成量を減らします。スタチン系薬剤の主な効果は以下のとおりです。

  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を20〜50%低下させる
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール)を5〜15%上昇させる
  • 中性脂肪を10〜30%低下させる
  • 動脈硬化の進行を抑制し、心血管イベントのリスクを低減する

筋肉痛や肝機能障害などの副作用が現れる可能性がある点には注意しましょう。グレープフルーツジュースとの相互作用にも注意が必要です。

エゼチミブ系薬剤

エゼチミブは、小腸からのコレステロール吸収を抑える薬です。NPC1L1というタンパク質の働きを阻害することで、食事由来のコレステロールと胆汁中のコレステロールの吸収を抑制します。エゼチミブ系薬剤の主な効果は以下のとおりです。

  • LDLコレステロールを15〜20%低下させる
  • 単独使用よりもスタチン系薬剤との併用で効果がアップする

エゼチミブ系薬剤は消化不良や腹痛などの副作用が報告されています。他の薬剤との相互作用は比較的少ないです。

PCSK9阻害薬

PCSK9阻害薬は、LDL受容体の分解を阻害することで、LDLコレステロール値を大きく下げる新しいタイプの薬です。注射薬として使用され、2〜4週間に1回の投与で効果を発揮します。主な効果は以下のとおりです。

  • LDLコレステロールを50〜60%低下させる
  • スタチン系薬剤との併用でさらに効果がアップする
  • 家族性高コレステロール血症など、従来の治療で効果が不十分な患者様にも有効

PCSK9阻害薬の注意点として、注射部位反応や上気道感染などの副作用が報告されています。高価な薬剤であるため、使用には一定の条件があることも把握しておきましょう。

フィブラート系薬剤

フィブラート系薬剤は、主に中性脂肪を減らす効果がある薬です。PPARαという核内受容体を活性化することで、脂質代謝を改善します。フィブラート系薬剤の主な効果は以下のとおりです。

  • 中性脂肪を20〜50%低下させる
  • HDLコレステロールを5〜20%上昇させる
  • LDLコレステロールに対する効果は限定的

注意点として、消化器症状や筋肉痛などの副作用が現れる可能性があります。

脂質異常症の治療薬の選択方法

脂質異常症の治療薬の選択は、患者様の状態や脂質異常の程度、他の疾患の有無などを考慮して行われます。ここでは、治療薬の選び方と正しい服用方法について解説します。

重症度に応じた治療薬の選択

脂質異常症の重症度に応じて治療方法がさまざまです。重症度に合わせた治療方法を、以下で紹介します。

軽度の脂質異常症

軽度の脂質異常症について、まずは食事療法や運動療法などの生活習慣の改善を試みましょう。生活習慣の改善だけでは効果が不十分な場合、スタチン系薬剤を選択することが多いです。

中等度から重度の脂質異常症

中等度から重度の脂質異常症の場合は、スタチン系薬剤を基本とし、必要に応じて他の薬剤を併用していきます。例えば、LDLコレステロールが高い場合はエゼミブ、中性脂肪が高い場合はフィブラート系薬剤を追加するなどが効果的です。個々の症状に合わせて判断していきます。

患者様の背景を考慮した選択

治療方法を選択する時は患者様の背景を考慮することも重要です。以下ではどのような背景を考慮すべきかを解説しています。

  • 年齢や性別、体重や腎機能、肝機能などの個人要因を考慮する
  • 糖尿病や高血圧など、他の疾患の有無や治療状況を確認する
  • 薬物相互作用や副作用のリスクを評価する

治療目標に応じた選択

日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、以下の管理目標値が設定されています。

項目適正数値
LDLコレステロール・低リスク群 140mg/dL未満
・中リスク群 120mg/dL未満
・高リスク群 100mg/dL未満
・超高リスク群 70mg/dL未満
HDLコレステロール・男性40mg/dL以上
・女性50mg/dL以上
中性脂肪150mg/dL未満

目標値を達成するために、適切な薬剤の選択と用量調整が行われます。

脂質異常症の正しい服用方法

治療の効果を最大限得るためには、正しい服用方法を知り、服用することが重要です。医師の指示通りに、毎日決まった時間に服用しましょう。飲み忘れを防ぐために、薬管理アプリや薬カレンダーを活用するのもおすすめです。

治療薬の服用については、以下のタイミングで服用しましょう。

  • スタチン系薬剤:食前・食後を問わず服用可能だが、夕食後や就寝前の服用が一般的
  • エゼミブ:食事の有無にかかわらず服用可能
  • フィブラート系薬剤:食後に服用することが多い

複数の薬を服用している場合は、医師や薬剤師に相談し、相互作用のリスクを確認してください。特に、ワルファリンなどの抗凝固薬との併用には注意が必要です。正しい服用方法を守ることで、薬の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えられます。不明な点がある場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。

脂質異常症の薬と生活習慣改善の組み合わせ

脂質異常症の治療には、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善が不可欠です。ここでは、食事で脂質コントロールをする食事療法と、運動療法について解説します。

食事療法|バランスのとれた食事で脂質をコントロールする

脂質異常症の改善には、適切な食事管理が重要です。脂質の摂取バランスを整えるには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 飽和脂肪酸を控え、不飽和脂肪酸を適度に摂取する
  • 動物性脂肪を減らし、植物性油を適度に取り込む
  • トランス脂肪酸の摂取を最小限に抑える

食物繊維を日々の生活で取り入れることが大切です。野菜や果物、全粒穀物を多く取り入れましょう。毎食に野菜を1皿以上加えるのもおすすめです。おやつが食べたくなったら果物を選びましょう。コレステロールの多い食品(卵黄やレバー、イクラやタコなど)の過剰摂取は控えてください。

他にも意識すべきポイントは以下のとおりです。

  • EPA、DHAを含む青魚を週に2〜3回食べる
  • 1日の塩分摂取量を6g未満に抑える
  • 適量を守り、過度な飲酒を避ける

これらの食事の改善点を意識しながら、薬物療法を継続することで、より効果的に脂質異常症を改善できます。

運動療法|適度な運動を継続する

食事療法と薬物療法に加えて、適度な運動も脂質異常症の改善に効果的です。運動には次のような効果があります。

  • 善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす
  • 中性脂肪を減らす
  • リン感受性を高める
  • 体重管理に役立つ

具体的な運動方法として、ウォーキングやジョギング、水泳などです。筋力トレーニングなら自重トレーニングやダンベルなどさまざまな種類があります。普段あまり運動しない方は、いきなり負荷を与えすぎないように注意しましょう。運動の目安は、1日30分以上、週3回以上の有酸素運動で、週2〜3回の筋力トレーニングで十分です。

運動を始める前に必ず医師に相談し、自分の体力や健康状態に合わせた運動プログラムを立てることが重要です。

脂質異常症の治療薬の長期服用における注意点

脂質異常症の治療薬は、多くの場合、長期間の服用が必要です。薬を中止すると再び血中脂質が上昇してしまうためです。長期間服用する際は、定期的な検査を受けましょう。血液検査で脂質プロファイル*をチェックしたり、肝機能や腎機能の検査も定期的に実施したりしてください。
*脂質プロファイルとは、12時間の絶食後に総コレステロール値、中性脂肪値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値を測定する検査

副作用のモニタリングも大切です。以下のような場合は、石に相談することをおすすめします。

  • 筋肉痛や倦怠感などの症状が出てきて異常を感じた場合
  • 新たな薬が処方された場合
  • 妊娠を希望する場合や妊娠が判明した場合

長期服用においては、患者様自身が治療の必要性を理解し、積極的に治療に参加することが重要です。定期的な受診と、医師とのコミュニケーションを大切にしましょう。

まとめ

脂質異常症の治療には、薬物療法と生活習慣改善の組み合わせが重要です。

  • 治療薬の種類と特徴を理解し、医師と相談して最適な薬を選択する
  • 正しい服用方法を守り、副作用に注意する
  • バランスの取れた食事と適度な運動に心がける
  • 定期的な検査で経過を観察する

適切な治療と生活習慣の改善を継続することで、脂質異常症を効果的に管理し、心血管疾患のリスクを低減することができます。健康診断を定期的に受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。

当院の肥満外来では、専門の医師が栄養指導や運動プログラム、必要に応じて治療薬の処方を通じて、個別のケアプランを提供します。肥満治療薬のみの処方も可能のため、お気軽にご相談ください。

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