「脂質異常症」と診断されたあなた、食事制限は大変そう…と感じていませんか?
でも大丈夫! 実は、脂質異常症の食事療法は、特別な食材ばかりを食べるわけではなく、毎日の食事のバランスと少しの工夫で、おいしく楽しく続けられるんです。この記事では、脂質異常症の食事療法で、食べてはいけないもの、積極的に摂りたい食材、外食時の注意点などを具体的に解説していきます。
食事は、あなたの体と心を元気にするための大切な時間。一緒に、脂質異常症を改善する食事術をマスターしていきましょう!
脂質異常症の方は、血液中の脂質を減らすために、いくつかの食材を控えることが推奨されています。ただ、これらの食材を完全に断つ!というわけではありません。摂り過ぎに注意しながら、バランスの良い食生活を心がけましょう。
例えば、お肉大好きなあなたが「脂質異常症だから…」と牛肉や豚肉を我慢し続けると、ストレスになってしまいますよね。そこで、鶏のささみやヒレ肉など脂身の少ない部位を選んだり、豆腐ハンバーグなど、お肉を代用した料理を取り入れてみましょう。
種類 | 具体的な食品 | 控える理由とポイント |
---|---|---|
肉類 | ベーコン、ソーセージ、ハムなどの加工肉、牛肉や豚肉の脂身、鶏肉の皮 | これらの食品には、飽和脂肪酸が多く含まれており、血液中の悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を促進するリスクがあります。 |
魚介類 | ウナギ、イクラ、筋子など | これらの魚介類には、コレステロールや中性脂肪が多く含まれており、摂り過ぎると血液中の脂質値を上昇させる可能性があります。 |
乳製品 | 生クリーム、バター、チーズなど | 乳製品には、飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれています。特に脂肪分の多いものは控えめにし、低脂肪乳や無脂肪ヨーグルトなどを活用しましょう。 |
卵 | 卵黄(1日1個以内であれば摂取可能) | 卵黄にはコレステロールが含まれていますが、その他の栄養価も高いため、1日1個以内であれば摂取しても問題ありません。 |
油脂類 | ラード、ヘット、ココナッツオイル、マーガリンなど | これらの油脂には、飽和脂肪酸が多く含まれています。オリーブオイルやアマニ油など、不飽和脂肪酸を多く含む油を選ぶようにしましょう。 |
その他 | インスタント食品、スナック菓子、菓子パン、ケーキなどの洋菓子、アイスクリームなど | これらの食品には、糖質、脂質、塩分が多く含まれており、脂質異常症だけでなく、生活習慣病のリスクを高める可能性があります。 |
脂質異常症の食事療法では控えるべき食べ物の他に、積極的に摂りたい食材もたくさんあります。これらの食材を、毎日の食事に取り入れてみましょう。
DHAやEPAと呼ばれるn-3系脂肪酸が豊富に含まれており、血液をサラサラにし悪玉コレステロールを下げる効果があります。週に2〜3回程度、食事に取り入れると良いでしょう。
オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸が豊富で、体内でEPAやDHAに変換されます。熱に弱いためサラダのドレッシングにしたり、納豆にかけたりするのがおすすめです。
食物繊維は腸内環境を整え、コレステロールの吸収を抑えたり排泄を促したりする効果があります。特に水溶性食物繊維を多く含む、ごぼう、こんにゃく、きのこ類はおすすめです。
食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を抑える効果もあります。白米に混ぜて炊いたり、こんにゃくは様々な料理に活用できます。
大豆製品に含まれる大豆たんぱく質は、コレステロールを低下させる効果が期待されています。豆腐、納豆、油揚げ、厚揚げなど、様々な料理に活用できます。
動物性タンパク質の中でも脂質が少なく高タンパク質であるため、おすすめです。鶏むね肉は皮を取り除き、白身魚は蒸したり焼いたりして食べると良いでしょう。
卵白は、高タンパク質で低カロリーな食材です。卵黄に比べてコレステロールが少ないため、卵料理を作る際に、卵白を多く使うようにするのも良いでしょう。
腸内環境を整える働きがあり、コレステロールの吸収を抑える効果も期待できます。無糖のものを選び、砂糖の摂り過ぎに注意しましょう。
発酵食品は、腸内環境を整える効果があります。納豆は、良質なタンパク質源でもあり、キムチは、カプサイシンという成分が代謝をアップさせる効果も期待できます。
発酵食品は、腸内環境を整える効果があります。納豆は、良質なタンパク質源でもありキムチは、カプサイシンという成分が代謝をアップさせる効果も期待できます。
緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があり、悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やす効果が期待されています。
ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、抗酸化作用も高く、動脈硬化の予防に効果が期待できます。ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、人参などを積極的に食べましょう。
脂質異常症の食事療法では、ただ闇雲に食材を制限すれば良いというわけではありません。健康的な食生活を送る上で、いくつか注意すべきポイントがあります。
脂質異常症の改善には、適正な体重を維持することが重要です。そのため、摂取カロリーが過剰にならないように注意しましょう。自分の体格や活動量に合ったエネルギー量を把握し、食べ過ぎに注意することが大切です。
特定の栄養素ばかりを摂るのではなく、主食・主菜・副菜を揃えて、バランスの取れた食事を心がけましょう。例えば、炭水化物中心の食事や、たんぱく質ばかりの食事では、栄養バランスが偏り、他の栄養素が不足してしまう可能性があります。
揚げ物や炒め物は、油を多く使うため控えめにしましょう。蒸し料理や煮物など、油を控えた調理法を選ぶように心がけましょう。また、同じ食材でも、調理方法によってカロリーや脂質量が大きく変わることを意識しましょう。例えば、鶏肉を例に挙げると、唐揚げは油を多く使うため高カロリーですが、茹でたり、蒸したりすると低カロリーで食べられます。
朝食は必ず食べるようにし、夕食は寝る2~3時間前までに済ませるようにしましょう。朝食を抜くと昼食までの時間が長くなり、空腹感が強くなって昼食を食べ過ぎてしまうことがあります。また、夕食は寝る直前に食べると、消化に時間がかかり睡眠の質を低下させる可能性があります。
アルコールの過剰摂取は、中性脂肪を増やす原因となります。飲酒は控えめにしましょう。アルコールを飲む場合は、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯程度を目安とし毎日飲むことは避けましょう。
外食が多い方は、以下のような点に注意してメニューを選びましょう。
外食時でも、脂質やカロリーを控えることを意識することが大切です。
脂質異常症の食事療法は、特定の食材を避けるだけでなく、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
控えるべき食品として、肉類の加工肉や脂身、乳製品の脂肪分が多いもの、卵黄、油脂類の飽和脂肪酸が多いもの、インスタント食品や菓子類などが挙げられます。
一方で、積極的に摂りたい食材として、青魚、オリーブオイル、アマニ油やえごま油などの良質な油を含む食材、野菜、きのこ、海藻などの食物繊維豊富な食材、豆腐や納豆などの大豆製品、鶏むね肉や白身魚などのタンパク質豊富な食材、ヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品、緑茶や緑黄色野菜などが挙げられます。
食事療法を行う際は、エネルギーコントロール、栄養バランス、調理方法、食事時間、アルコール摂取などにも注意が必要です。外食をする際は、揚げ物や炒め物などを避け、定食を選んで野菜を多く摂るようにしましょう。
大石内科循環器科医院
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