お腹周りが気になる、健康診断でメタボと指摘された、そんな方はいませんか?
実は、お腹周りの脂肪には体を守る皮下脂肪と、健康を脅かす内臓脂肪の2種類があります。内臓脂肪は見た目では分かりにくいですが、増えすぎると糖尿病や心臓病などの生活習慣病のリスクを高めることが知られています。放置すると、深刻な健康問題に繋がる可能性も。
この記事では内臓脂肪の落とし方について食事や運動、そして日常生活での工夫を具体的に解説します。
皆さんは「内臓脂肪」って聞いたことありますか?
「最近、お腹周りが気になってきた…」「健康診断でメタボと言われた…」なんて人もいるかもしれませんね。お腹周りのお肉をつまんで「これが内臓脂肪なのね!」と思ったそこのあなた!実は、お腹につく脂肪には2種類あって、それぞれに特徴があるんです。
脂肪には、大きく分けて皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。
皮下脂肪は、皮膚の下につく脂肪のことです。お腹やお尻、太ももなどをプニプニした感触にする、あの脂肪です。
一方、内臓脂肪は、お腹の奥深く、胃や腸などの内臓の周りについている脂肪のことです。これは、臓器の周りにこびりつくようについているため、外から触って確認することはできません。
内臓脂肪と皮下脂肪では、その働きや体に与える影響が大きく異なります。皮下脂肪は、エネルギーを蓄えたり、体温を保ったり、外からの衝撃から内臓を守ったりするなど、私たちの体にとって大切な役割を担っています。ちょうど、お布団のように内臓を包み込んで守ってくれているんですね。
一方、内臓脂肪は本来は内臓を衝撃から守るクッションの役割を果たしていますが、過剰に蓄積されると体に様々な悪影響を及ぼす、ちょっと厄介な存在になってしまうのです。
内臓脂肪が増えすぎると、体に様々な悪影響を及ぼします。
内臓脂肪は、皮下脂肪と比べて、脂肪を分解して血液中に放出しやすいという特徴があります。そのため内臓脂肪が増えると血液中の悪玉コレステロールが増加したり、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなったりします。
その結果、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まります。これらの病気は、心臓病や脳卒中などの命に関わる病気を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
内臓脂肪の量は、CTスキャンやMRIなどの画像検査で正確に測定することができます。しかし、これらの検査は費用がかかるため、一般的には、腹囲を測ることで内臓脂肪の蓄積度合いを推定します。
内臓脂肪の蓄積度は、腹囲を測ることで簡単にチェックすることができます。腹囲は、おへその高さで測定します。男性は85cm以上、女性は90cm以上で、内臓脂肪が過剰に蓄積している可能性があります。
「自分は大丈夫だろう」と思わずに、一度、ご自身の腹囲を測って、内臓脂肪の蓄積度合いをチェックしてみてはいかがでしょうか?
内臓脂肪を減らすためには、食事と運動の改善が欠かせません。でも、「急に生活習慣を変えろと言われても…」と感じる方もいるかもしれません。そこで今回は、内臓脂肪を効率的に減らすための食事と運動のコツを5つ、具体的な例を交えながらご紹介します。
食事制限というと食べる量を極端に減らすイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際には「何をどれだけ食べるか」が重要です。
ご飯、パン、麺類などの炭水化物は、体にとって重要なエネルギー源ですが、摂りすぎると内臓脂肪として蓄積されやすくなります。
例えば普段から丼ものをよく食べる方は、ご飯の量を半分にしてみましょう。うどんやラーメンが好きな方は麺の量を減らす、もしくは野菜をたっぷりトッピングするなど工夫してみましょう。
また白米よりも玄米や雑穀米、食パンよりも全粒粉パンを選ぶなど精製された穀物よりも食物繊維が豊富なものを選ぶように心がけることも効果的です。食物繊維は糖の吸収を穏やかにする働きがあり、食後の血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。
タンパク質は、筋肉の材料となる栄養素です。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、エネルギーが消費されやすい体になります。
食事の際には、肉、魚、大豆製品、卵、乳製品などを積極的に食べるように心がけましょう。
例えば、朝食にヨーグルトやチーズを追加する昼食に豆腐ハンバーグを選ぶ、夕食に魚の焼き物を一品増やすなど、簡単に取り入れることができます。
食物繊維は糖質の吸収を穏やかにするだけでなく、腸内環境を整える効果も期待できます。腸内環境が整うと代謝がアップし、内臓脂肪が減りやすくなるといわれています。
野菜、海藻、きのこ類などには食物繊維が豊富に含まれています。これらの食材を意識して食べるようにしましょう。
例えば毎食サラダを食べる習慣をつけたり味噌汁に野菜をたっぷり入れる、きのこ類を積極的に食べるようにするなど、ちょっとした工夫で食物繊維の摂取量を増やすことができます。
食事の際に野菜や海藻、きのこなどの食物繊維が豊富な食品から先に食べることで、血糖値の急上昇を抑え、内臓脂肪の蓄積を防ぐ効果が期待できます。
具体的な順番としては、食物繊維→タンパク質→炭水化物の順番です。野菜から食べ始め次に肉や魚などのタンパク質を摂り、最後にご飯やパンなどの炭水化物を食べるように心がけてみましょう
よく噛んで食べることで、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。また、消化吸収が促進されるため、内臓脂肪の蓄積を抑える効果も期待できます。
一口あたり30回を目安によく噛んで食べるように意識してみましょう。早食いの癖がある方は一口ごとに箸を置く、一口の量を減らすなど工夫してみましょう。
運動は、内臓脂肪を燃焼させるために非常に効果的です。「運動は苦手…」「運動する時間がない…」という方もいるかもしれませんが1日の中で少しの時間を作る、軽い運動を取り入れるなど工夫してみましょう。
脂肪燃焼効果の高い有酸素運動は、内臓脂肪を減らすために効果的です。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなど、無理なく続けられるものを選び、週に3~5回、20分以上を目安に行いましょう。
運動に慣れていない方は、まずは軽いウォーキングから始めてみましょう。10分でも良いので、毎日続けることが大切です。慣れてきたら、徐々に時間や強度を上げていきましょう。
筋トレは、筋肉量を増やし、基礎代謝を上げることで、太りにくい体作りに役立ちます。腕立て伏せやスクワットなど、自宅でも簡単にできる筋トレを取り入れてみましょう。週に2~3回程度行うと効果的です。
筋トレは、正しいフォームで行うことが大切です。間違ったフォームで行うと、効果が半減するだけでなく、怪我のリスクも高まります。最初は、動画や書籍などを参考にしながら、正しいフォームを身につけるようにしましょう。
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進する効果があります。運動前後のストレッチはもちろんのこと、寝る前にストレッチを行うことで、リラックス効果も期待できます。毎日、継続して行うことが大切です。
ストレッチは、無理のない範囲で行いましょう。痛みを感じる場合は、無理せず中止してください。
日常生活の中で、少しの工夫をすることで、脂肪燃焼効果を高めることができます。特別な運動をしなくても、こまめに体を動かすことを意識してみましょう。
エレベーターではなく階段を使ったり、一駅分歩いたりするなど、意識して体を動かすようにしましょう。デスクワークが多い方は、1時間に1回は立ち上がってストレッチをする、遠くのトイレに行くなど、体を動かす機会を増やすように心がけましょう。
姿勢が悪いと内臓が圧迫され、代謝が悪くなってしまいます。日頃から姿勢を正して過ごすことを心がけましょう。デスクワーク中は椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばすように意識しましょう。
睡眠不足はホルモンバランスを乱し、内臓脂肪が蓄積しやすくなる原因となります。質の高い睡眠を十分にとるように心がけましょう。睡眠時間は個人差がありますが、一般的には7〜8時間程度が適切とされています。規則正しい生活を心がけ寝る前にスマホやパソコンを見る時間を減らす、カフェインを控えるなど質の高い睡眠をとるための工夫をしてみましょう。
内臓脂肪を減らすためには自己流でダイエットをするのではなく、医療機関の力を借りることも有効です。医師による適切な指導を受けることで、より効果的に、そして安全に内臓脂肪を減らすことができるでしょう。医師のアドバイスを受けることで、自分では気づかなかった生活習慣の癖や、改善すべき点が見えてくることもあります。
当院では肥満(ダイエット)外来をおこなっております。
大石内科循環器科医院の肥満(ダイエット)外来は、医師による診察や検査による評価に基づいて、
を組み合わせた医学的な視点で行う肥満(ダイエット)プログラムです。
内臓脂肪は、お腹の奥深くにある脂肪で、過剰に蓄積すると生活習慣病のリスクを高めます。内臓脂肪を減らすには、食事と運動の改善が重要です。食事では糖質の摂取量をコントロールし、良質なタンパク質や食物繊維を意識的に摂りましょう。運動では、有酸素運動や筋トレを取り入れると効果的です。また医療機関のサポートを受けるのも有効です。内臓脂肪は健康を脅かす存在なので、気になる方は放置せず、早めに当院にご相談ください。