大石内科循環器科医院

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そのいびき、睡眠時無呼吸症候群のサインかも?

2024.07.17 いびき・睡眠無呼吸外来

夜中に何度も目が覚めてしまう、朝起きてもスッキリしない…もしかして、それは「睡眠時無呼吸症候群」かもしれません。

近年、その患者数は増加傾向にあり、2020年には150万人もの人が悩んでいると言われています。睡眠時無呼吸症候群は放置すると高血圧や心臓病、脳卒中といった深刻な病気を引き起こす可能性も。いびきや日中の眠気などの症状がある方は、早めの受診をおすすめします。

この記事では睡眠時無呼吸症候群の症状や原因、そして治療法について詳しく解説します。

睡眠時無呼吸症候群とは?

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」なんだか難しそうな名前ですよね。しかし簡単に言うと「寝ている間に呼吸が何度も止まってしまう病気」のことです。

例えば夜寝ている時に呼吸が10秒以上止まってしまうと、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群の定義とは?

睡眠時無呼吸症候群は、ただ単に寝ている間に呼吸が止まるだけではなく「無呼吸」の状態が10秒以上続き、それが一晩に何度も繰り返される病気です。

息を止めてみると分かりますが、長く止めていると苦しくなってきますよね。 プールで深く潜っている時を想像してみてください。 息を止めている時間が長くなると体の中の酸素が減って苦しくなり、早く呼吸をしたくなりますよね?

睡眠時無呼吸症候群は寝ている間にこのような息苦しい状態が何度も繰り返されるため、体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群の原因とメカニズム

睡眠時無呼吸症候群の原因は、大きく分けて「気道の閉塞」と「脳の指令異常」の二つに分けられます。

気道の閉塞によるもの

  • 肥満: 首回りに脂肪がつくと、気道が狭くなりやすくなります。
  • 扁桃腺の肥大: 扁桃腺が大きいと、特に仰向けに寝た時に気道を塞いでしまうことがあります。
  • アデノイドの肥大: アデノイドは鼻の奥にあるリンパ組織ですが、これが大きくなると鼻呼吸の邪魔になり、口呼吸になりやすく、結果的に気道が狭くなることがあります。
  • 舌が大きい: 舌が大きいと、特に仰向けに寝た時に気道を圧迫しやすくなります。
  • あごが小さい、後退している: これらの骨格も気道を狭くする要因となります。

脳の指令異常によるもの

  • 加齢: 年齢を重ねると、呼吸をコントロールする脳の機能が低下することがあります。
  • 飲酒: アルコールには、筋肉を弛緩させる作用があり、気道周りの筋肉も弛緩しやすくなるため、気道が狭くなりやすくなることがあります。
  • 睡眠薬の使用: 睡眠薬の中には、呼吸を抑制する作用を持つものがあり、服用により呼吸が浅くなり、無呼吸になりやすくなることがあります。

睡眠時無呼吸症候群の種類と症状について

睡眠時無呼吸症候群は、大きく分けて「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と「中枢性睡眠時無呼吸症候群」の2種類に分けられます。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

これは、睡眠中に空気の通り道である気道が閉塞してしまうことで起こります。 例えば、肥満体型で首回りに脂肪が多い方や、扁桃腺が大きい方などは、気道が狭くなりやすく、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いと言えます。

中枢性睡眠時無呼吸症候群

これは、脳の呼吸中枢がうまく機能しなくなることで起こります。 脳卒中や心不全などの病気によって呼吸中枢が影響を受けると、このタイプが出現することがあります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な症状としては、大きないびき、呼吸停止、日中の眠気などがあります。

  • 大きないびき: 睡眠中に、大きないびきをかきます。これは、狭くなった気道を空気が無理やり通ろうとする際に、周りの組織を振動させることで発生します。
  • 呼吸停止: 睡眠中に、呼吸が一時的に止まっていることがあります。
  • 日中の眠気: 日中、強い眠気に襲われることがあります。これは、睡眠中の無呼吸によって脳がしっかりと休息できていないために起こります。

また、最近の研究では閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者様にCPAP(経鼻的陽圧換気療法)という治療を行うことで、中等度から高強度の身体活動レベルが改善される可能性が示唆されています。

これは、CPAP治療によって睡眠中の呼吸状態が改善され、日中の眠気が軽減することで活動的に過ごせるようになるためと考えられます。

睡眠時無呼吸症候群の診断と治療法

「最近、朝起きてもスッキリしない」「日中、我慢できないほどの眠気に襲われる」といった症状はありませんか?もしかしたら、それは睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません。放っておくと、体に様々な悪影響を及ぼす可能性もあるため、適切な診断と治療が必要です。「自分は大丈夫」と安易に考えず、まずは当院へご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群の診断方法とは?

睡眠時無呼吸症候群の診断では、まず問診を行います。医師は、あなたの睡眠の状態や日中の眠気の有無、いびきの程度、そして過去の病気の経験などについて詳しく質問します。例えば、「家族からいびきがうるさいと指摘されたことはありますか?」「日中に強い眠気を感じて、仕事や家事に集中できないことはありますか?」といった質問を通して、あなたの症状を把握していきます。

問診の後は、さらに詳しく検査を行う必要があります。自宅でできる簡易検査と、医療機関に一晩泊まって行う精密検査の2種類があります。簡易検査では、指に小さなセンサーをつけて眠るだけで、睡眠中の呼吸状態を記録することができます。これは、自宅で手軽に検査ができるというメリットがあります。一方、精密検査(ポリソムノグラフィー)では、脳波や心電図、呼吸状態など、睡眠中の体の状態をより詳しく測定します。これは、より正確な診断を行うために必要な検査です。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法とは?

睡眠時無呼吸症候群の治療方法は、その方の症状の重さや生活習慣によって異なります。軽症であれば、生活習慣の改善から始めることが多いです。例えば、肥満の人はダイエット指導、喫煙者は禁煙指導、お酒が好きな人は飲酒量の制限などを行います。また、寝る時に横向きになるなど、睡眠時の姿勢を変えることも有効です。

中等症から重症の場合には、CPAP(シーパップ)療法という治療法が有効です。CPAP療法は、鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を広げて呼吸を楽にする治療法です。イメージとしては、空気の力で、狭くなった気道を押し広げているような感じです。就寝時にCPAP装置を使用します。

その他、睡眠時に装着するマウスピースによって、下あごを少し前に出すことで気道を広げ、呼吸をスムーズにする歯科装具(マウスピース)療法や、扁桃腺やアデノイドなど、気道を狭くしている部分を手術で切除することで、呼吸を改善する手術療法などがあります。

睡眠時無呼吸症候群の治療の副作用やリスクについて知ろう

睡眠時無呼吸症候群の治療は、多くの場合安全に行われますが、治療法によっては、稀に副作用やリスクが生じることがあります。例えば、CPAP療法では、鼻の乾燥やマスクの圧迫感などが起こることがあります。これは、鼻に装着したマスクから常に空気が送られてくるため、鼻の粘膜が乾燥しやすくなることが原因です。

また、マスクのサイズが合っていない場合は、顔に圧迫感を感じることがあります。歯科装具療法では、顎関節症が悪化することがあります。これは、マウスピースを装着することで、顎関節に負担がかかることが原因です。

治療を受ける際には、事前に医師から副作用やリスクについて説明を受け、不安なことがあれば質問するようにしましょう。治療を継続することで、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクを減らし、身体活動レベルの改善にもつながることが期待できます。例えば、CPAP療法を継続することで日中の眠気が改善し運動やスポーツなど、体を動かすことが楽しくなる方が多くいらっしゃいます。

睡眠時無呼吸症候群の影響と予防

ここまでは、睡眠時無呼吸症候群の概要、診断、治療法について説明してきました。さらに詳しく知りたい方は、引き続き読み進めていきましょう。

睡眠時無呼吸症候群が体に与える影響とは?

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。呼吸が止まると、私たちの体は酸素不足の状態に陥ります。

例えるなら、私たちの体は車のようなものです。車はガソリンがないと走ることができません。それと同様に、私たちの体も酸素がなければ、正常に活動することができません。酸素は、体とってのガソリンのようなものなのです。

睡眠時無呼吸症候群になるとエンジンである心臓に負担がかかり、全身に酸素が十分に行き渡らなくなります。その結果、日中の眠気や集中力の低下といった症状が現れるだけでなく、体にさまざまな悪影響を及ぼします。

例えば、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病などのリスクが高まることが知られています。

具体的な症状例

  • 高血圧: 睡眠中に100回以上も呼吸が止まってしまうような重度の睡眠時無呼吸症候群の方は、そうでない方に比べて高血圧のリスクが約2倍高くなると言われています。高血圧は、放っておくと脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす危険因子となるため注意が必要です。
  • 糖尿病: 睡眠時無呼吸症候群によって睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモンの分泌が減少し、食欲が増進してしまいます。また、インスリンの働きが悪くなるため、血糖値が上がりやすくなってしまい、糖尿病のリスクを高めてしまうのです。
  • 心疾患: 睡眠時無呼吸症候群は、心筋梗塞や狭心症などの心疾患のリスクを高めることが知られています。睡眠中の無呼吸によって心臓に負担がかかり続けると、心臓の機能が低下してしまうことが原因の一つと考えられています。

睡眠時無呼吸症候群と関連する疾患について

睡眠時無呼吸症候群は、上記のような様々な病気と関連していることが分かっています。ここでは、代表的な関連疾患を3つご紹介します。

  • 高血圧: 睡眠中に呼吸が止まると、体は酸素を取り込もうとして血管を収縮させようとします。この血管の収縮は、血圧を上昇させる原因となります。睡眠時無呼吸症候群によって、この血管の収縮が繰り返されることで、高血圧の状態が慢性化してしまうのです。
  • 糖尿病: 睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、そうでない人と比べて、2型糖尿病の発症リスクが1.5倍から2倍程度高くなると報告されています。
  • 心疾患: 睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、心不全や不整脈などの心臓病の発症リスクが高くなることが知られています。

睡眠時無呼吸症候群の予防方法について

睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣の改善によって予防できる可能性があります。

  • 肥満の解消: 肥満は、気道の周りの脂肪が気道を狭くし、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める大きな要因となります。適度な運動とバランスの取れた食事を心がけ、肥満を解消・予防することが大切です。例えば、毎日30分のウォーキングや、油っこい食事を控えめにするなど、できることから始めてみましょう。
  • 禁煙: 喫煙は、気道の炎症を引き起こし、呼吸を困難にするため、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。禁煙は、睡眠時無呼吸症候群だけでなく、様々な病気のリスクを減らす効果が期待できます。
  • 飲酒を控える: アルコールは、筋肉を弛緩させる作用があり、気道が狭くなることで睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。特に、就寝前のアルコール摂取は控えましょう。
  • 睡眠の質の向上: 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質を悪化させるだけでなく、様々な病気のリスクを高める要因となります。規則正しい生活を心がけ、質の高い睡眠をとるようにしましょう。例えば、寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見過ぎないようにする、寝る前にリラックスする時間を作る、などが効果的です。

睡眠時無呼吸症候群は自覚症状がない場合でも、検査を受けることで早期発見・早期治療が可能となります。 気になる方は、当院へご相談ください。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が何度も止まってしまう病気です。原因は気道の閉塞や脳の指令異常などがあり、肥満や加齢などがリスクを高めます。

症状には大きないびき、呼吸停止、日中の眠気などがあります。放置すると高血圧、糖尿病、心疾患などのリスクが高まるため、早期発見・早期治療が大切です。

治療法にはCPAP療法、歯科装具療法、手術療法などがあります。生活習慣の改善、禁煙、アルコールの控えめなどによって予防することも可能です。

気になる症状等があるときは、ぜひ当院にご相談ください。



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