加齢とともに血圧が気になる方は多いです。血管は年齢とともに老化し、弾力性を失うため、血圧は上昇しやすくなります。この記事では、60代の血圧の正常値や高血圧・低血圧のリスク、日常生活でできる具体的な対策を解説します。ご自身の健康を守るための第一歩として、最後まで読んでみてください。
大石内科循環器科医院では、高血圧の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。
健康な毎日を送るためには、血圧の基準値の把握が大切です。健康のバロメーターとして、血圧を測る習慣を身に付けましょう。
血圧の正常値は測定場所によって異なります。病院で測定した場合(*)、正常値は120/80mmHg未満です。自宅で測定する場合は115/75mmHg未満が正常値とされています。
*「白衣高血圧」と呼ばれ、病院という非日常的な空間や医師に対する緊張が原因で血圧が上昇する現象
年齢を重ねると血管が硬くなり、動脈硬化も進みやすいです。60代の方は、正常血圧の範囲内であっても、血管の健康状態や生活習慣によっては注意が必要です。過去に高血圧と診断された方や、糖尿病や脂質異常症などの基礎疾患をお持ちの方は、特に血圧管理に気を配りましょう。
高血圧の診断基準は、診察室血圧で最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上です。家庭で測定する場合は、最高血圧135mmHg以上または最低血圧85mmHg以上を高血圧と診断します。高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま病気が進行するケースがあるため注意が必要です。
低血圧には明確な診断基準はありません。一般的には、最高血圧が100mmHg未満の場合を低血圧と判断する場合が多いです。低血圧でも自覚症状がなく健康な方もいれば、めまいや立ちくらみなどの症状が出る方もいます。
低血圧は、貧血や脱水症状、自律神経の乱れなど、さまざまな原因で起こります。症状が重い場合は、日常生活に支障をきたすこともあるので、医療機関に相談しましょう。
血圧は、加齢とともに上昇する傾向があります。血管の老化は誰にでも起こる現象ですが、進行には個人差があります。生活習慣病やストレス、喫煙、過度な飲酒などは、動脈硬化を加速させる要因です。60代では、男性ホルモンの影響により、男性のほうが女性よりも高血圧の割合が高いというデータがあります。
高齢者は、最高血圧が高く、最低血圧が低い「収縮期高血圧」になりやすいです。血管の老化によって、心臓が血液を送り出す際の圧力が高くなることが原因です。高齢になると、心臓も長年の疲労を蓄積し、若い頃と同じように効率的に血液を送り出すことが難しくなります。結果、心臓はより強い力で血液を送り出す必要があり、最高血圧が上昇しやすくなります。
以下の記事に初期症状について詳しく書いているので合わせてご覧ください。
>>高血圧の初期症状を解説!すでに症状が出てると進行しているかも
高血圧は自覚症状が出にくい病気ですが、放置すると脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こす要因です。血圧が変化する要因や日常生活での注意点を理解し、健康的な毎日を送りましょう。
私たちの血管は、心臓から送り出される血液の圧力に耐えながら、全身に血液を送り届けています。年齢を重ねるにつれて血管は徐々に硬くなり、弾力を失います。血管が硬くなると、心臓が収縮したときに十分に広げられず、血圧が上昇しやすいです。
60代以降は動脈硬化が進行しやすいため、血管の老化は加速します。動脈硬化は、血管内にコレステロールなどが蓄積し、血管が狭くなり血流が悪くなる状態を指します。動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞などの深刻な病気を引き起こす危険な状態です。
加齢による血管の老化を遅らせ、血管の健康を維持するには、日々の生活習慣の見直しが重要です。食生活の改善、適度な運動、ストレス解消などに取り組みましょう。
「減塩」は、高血圧の予防・改善に欠かせません。塩分を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が高くなり、体は水分を溜め込もうとします。結果、血液量が増加して血管にかかる圧力が高まり、血圧が上昇します。減塩のコツは以下のとおりです。
減塩のコツ | 例 |
薄味にする | だしの風味を活かす、酸味や香辛料を活用する |
調味料を控える | 小皿に取り分ける、計量スプーンを使う |
加工食品を減らす | 野菜を積極的に食べる、手作り料理を増やす |
カリウムを多く含む食品を食べる | 海藻や野菜、果物などを積極的に食べる |
毎日の食事の中で少し工夫をするだけで、無理なく減塩を進められます。
高血圧のときの食生活については以下の記事について詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
>>高血圧の人が食べてはいけないものを解説!食生活で気をつけるべきポイント
運動不足は血圧上昇のリスクを高めるだけでなく、肥満や糖尿病などの生活習慣病にもつながります。適度な運動は心臓や血管の働きを活発にし、血圧を正常に保つために有効です。運動の効果は以下のとおりです。
運動の種類は、ウォーキングやジョギング、水泳など、無理なく続けられるものなら何でも構いません。息が少し上がる程度の運動を毎日継続しましょう。毎日続けるのが難しい場合は、週に3回程度でも十分です。運動を始める前には必ず医師に相談し、自分の体力や健康状態に合った運動を選んでください。
運動療法については以下の記事で詳細に解説していますので、合わせて読んでみてください。
>>高血圧の運動療法のおすすめの方法や効果を高血圧治療ガイドラインをもとに解説!
現代社会はストレス社会とも呼ばれ仕事や人間関係、将来への不安など、常にさまざまなストレスにさらされています。過度なストレスは交感神経を活発にし、血管を収縮させ血圧が上昇しやすくなります。
ストレスを溜め込まないためには、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。好きな音楽を聴いたり趣味に没頭したり、ゆっくりとお風呂に入ることもおすすめします。
ストレス解消法 | 例 |
身体を動かす | ウォーキング、ヨガ、ストレッチなど |
リラックスする | 音楽鑑賞、読書、アロマテラピーなど |
趣味を楽しむ | 旅行、映画鑑賞、ガーデニングなど |
十分な睡眠も、ストレス解消に効果的です。質の高い睡眠は、心身の疲れを癒し、ストレスホルモンの分泌を抑える効果があります。
家庭での血圧測定は、病院での測定と比べてリラックスした状態で測定できるので、より正確な血圧を把握できます。血圧は時間帯や体調によって変動するため、毎日決まった時間に測定することが重要です。測定する際は、以下の点に注意してください。
血圧を測るときは、血圧計の説明書をよく読み、正しく使用しましょう。測定値を記録しておくと、医師に相談する際に役立ちます。
高血圧を放置しておくと、血管に大きな負担をかけ続けて、将来的に深刻な病気を引き起こすリスクが高まります。健康に長生きするには、高血圧の早期発見が大切です。高血圧のリスクや、具体的な対策を解説します。
高血圧の状態が続くと、血管に常に高い圧力がかかり続けるため、血管の内壁が傷つきやすいです。傷を修復しようと、コレステロールやカルシウムなどが血管の内壁に蓄積することで動脈硬化につながります。
動脈硬化が進行すると、血流の通り道が狭くなり、血液の流れが悪くなります。血管が硬くなって弾力性を失うため、心臓はより負担をかけながら強い力で血液を送り出さなければなりません。動脈硬化が原因で起こる病気は「動脈硬化性疾患」と呼ばれ、心筋梗塞や脳梗塞が発生する可能性もあります。
心筋梗塞は、心臓の血管が狭くなったり、詰まったりすることで、心臓の筋肉に酸素や栄養が送られず、心臓の筋肉が壊死する病気です。脳梗塞になると、脳の血管の狭窄や詰まりによって、脳の細胞に酸素や栄養が送られなくなり、脳の細胞が壊死します。
心筋梗塞や脳梗塞は、命に関わるだけでなく、後遺症が残る可能性もある恐ろしい病気です。高血圧は、危険な病気を引き起こす原因であり、決して放置してはいけません。
薬物療法に抵抗がある方も多いです。しかし、薬物治療は血圧をコントロールし、危険な病気を防ぐために必要な治療です。最近は、副作用が少ない薬もたくさん開発されています。医師に相談し、自身の状態に合った薬を選択し、適切な薬物療法を受けましょう。
高血圧は自己判断せず、早めの受診が重要です。以下の場合は特に注意が必要です。
高血圧は、初期段階では自覚症状が現れにくい病気ですが、放置すると心臓病や脳卒中などの深刻な病気を引き起こします。早期発見・早期治療が重要なため、少しでも不安な方は医療機関を受診してください。
60代になると血管の老化が進むため、血圧管理が重要です。血圧の正常範囲は、120/80mmHg未満(診察室血圧)115/75mmHg未満(家庭血圧)です。 正常血圧の範囲内でも、血管の状態や生活習慣によっては注意する必要があります。
高血圧を放置すると動脈硬化のリスクが高まり、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気を引き起こします。 食生活の見直し、適度な運動、ストレス軽減など、生活習慣の改善を心がけましょう。 家庭での血圧測定を習慣化し、異常を感じたら早めに医療機関を受診してください。
高血圧について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について
Zhu J, Yang K, Liu W. Systolic and diastolic blood pressure time in target range and cardiovascular outcomes in patients with hypertension and pre-frailty or frailty status. Journal of clinical hypertension (Greenwich, Conn.) 26, no. 5 (2024): 514-524.
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