70代になると高血圧のリスクが高まります。高血圧は自覚症状が出にくいため、知らないうちに進行している可能性もあります。高血圧は放置すると脳卒中や心筋梗塞など、命に関わる病気を引き起こす危険な状態です。
この記事では70代の血圧の正常値や平均値、高血圧の原因と治療の目安、具体的な改善策を解説します。ご自身の生活習慣を見直し、健康寿命を延ばすヒントにしてください。
大石内科循環器科医院では、高血圧の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。
70代になると、血管も少しずつ老化します。老化すると血管は硬くなり、高血圧のリスクが高まります。70代の血圧の正常値や平均値、高血圧の原因と治療の目安を把握し、高血圧の早期発見・早期治療を行いましょう。
血圧の正常値は測定場所によって異なります。病院で測定した場合(*)、正常値は120/80mmHg未満です。自宅で測定する場合は115/75mmHg未満が正常値とされています。
*「白衣高血圧」と呼ばれ、病院という非日常的な空間や医師に対する緊張が原因で血圧が上昇する現象
70代の平均血圧は、男性で最高血圧133.9mmHg、最低血圧74.5mmHg、女性で最高血圧133.1mmHg、最低血圧73.9mmHgです。 あくまで平均値であり、実際の血圧には個人差があります。
70代で高血圧になる原因は、大きく分けて「加齢によるもの」と「生活習慣によるもの」の2つがあります。1つ目は、加齢による血管の老化です。 血管は、年を重ねるごとに弾力を失い、硬くなります。 血管が硬くなると、心臓はより強い力で血液を送り出すため、血圧が上昇しやすくなります。
2つ目は、生活習慣の乱れです。 塩分の摂りすぎや肥満、運動不足、ストレス、喫煙、過度な飲酒などが挙げられます。 ラーメンのスープを全部飲む人や、漬物が好きでよく食べる人は要注意です。車での移動が多く、歩く習慣がない人、仕事や人間関係で悩みを抱えている人も生活習慣を見直す必要があります。喫煙や過度な飲酒も血管に負担をかけ、動脈硬化を促進させます。
血圧が140/90mmHg(診察時血圧)、135/85(家庭血圧)以上の場合、高血圧と診断されます。 2型糖尿病患者が対象の研究でも、血圧が140/90 mmHg以上の人は、心筋梗塞や脳卒中などの病気になりやすい結果が出ています。
血圧が140/90mmHg(診察時血圧)、135/85(家庭血圧)以上の場合は、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。高血圧は治らない病気と思われがちですが、治療によって血圧のコントロールが可能です。
以下の記事に初期症状について詳しく書いているので合わせてご覧ください。
>>高血圧の初期症状を解説!すでに症状が出てると進行しているかも
高血圧は自覚症状が出にくいため、脳卒中や心筋梗塞など、命に関わる病気の原因です。高血圧が引き起こすさまざまな合併症を解説します。
高血圧によって脳の血管がダメージを受けると、脳卒中を引き起こすリスクが高まります。脳卒中には脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、脳の血管が破れる「脳出血」の2種類があります。
脳出血は、脳の血管が破裂する病気です。脳梗塞は血管の内側にプラークと呼ばれる脂肪の塊が溜まり、血管が狭くなったり詰まったりする病気です。脳卒中は突然発症し、半身麻痺や言語障害、意識障害などの重い後遺症を残す場合もあります。最悪の場合は死に至る危険な病気です。
心臓は、全身に血液を送り出すために休まず働き続けています。心臓に栄養や酸素を届けるのが、心臓を取り巻く「冠動脈」です。高血圧は、冠動脈にも悪影響を及ぼし、心筋梗塞の原因になります。
心筋梗塞は、突然の激しい胸の痛みや圧迫感、冷や汗、吐き気などの症状を引き起こします。症状が長く続くと、心臓の筋肉が壊死し、命に関わる危険な病気です。
腎臓は、血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として排出する臓器です。高血圧が続くと、腎臓の血管に負担がかかり、腎臓の組織が徐々に破壊される「腎硬化症」が発症します。腎硬化症が進行すると、腎臓の働きが低下し、人工透析が必要になる場合もあります。
初期の腎臓病は、自覚症状がほとんどないため、気付かないうちに病気が進行している場合が多いです。
動脈硬化とは、血管の壁が硬く、もろくなる状態です。高血圧は、動脈硬化の最大の原因です。動脈硬化は、血管の老化現象の一つであり、高血圧や高脂血症、糖尿病、喫煙などの生活習慣病によって促進されます。
動脈硬化が進むと、血液の流れが悪くなり、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病などの病気を引き起こすリスクが高まります。
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。高血圧が続くと、心臓はより強い力で血液を送り出そうとします。結果、心臓の筋肉が厚くなり、心臓の働きが低下する場合があります。
心不全の症状は、息切れや動悸、むくみなどです。進行すると、安静時にも息苦しさを感じるようになり、日常生活に支障をきたします。
70代になると、高血圧の治療のために薬を飲む方も多いです。生活習慣の改善で、より効果的に血圧をコントロールでき、健康寿命を延ばせます。高血圧の改善に効果的な生活習慣を解説します。
70代からの食生活では、減塩とバランスの取れた食事が大切です。以下のポイントを意識してください。
高血圧のときの食生活については以下の記事について詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
>>高血圧の人が食べてはいけないものを解説!食生活で気をつけるべきポイント
運動は、血圧を下げる効果だけでなく、ストレス解消や体力向上にも役立ちます。70代の方でも無理なくできる運動を、日常生活に取り入れましょう。ウォーキングや軽い体操など、無理のない運動がおすすめです。
運動不足の人は、1日30分を目安に、週に数回程度、自分のペースで歩くことから始めましょう。近所の公園を散歩したり、スーパーへの買い物を徒歩にしたりするのも効果的です。
水中ウォーキングもおすすめです。水の抵抗により、陸上よりも効果的に運動できます。水の中は浮力が働くため、膝や腰への負担も少なく、高齢者の方でも安心です。ラジオ体操も、体の柔軟性を高め、血流を改善する効果があります。毎日続けることで、体力向上や健康維持にもつながります。
体調に不安がある人は、運動を始める前に、かかりつけの医師に相談しましょう。
運動療法については以下の記事で詳細に解説していますので、合わせて読んでみてください。
>>高血圧の運動療法のおすすめの方法や効果を高血圧治療ガイドラインをもとに解説!
睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、血圧を上昇させる原因です。70代の方は、十分な質の高い睡眠が大切です。以下のポイントを押さえましょう。
十分な睡眠は、健康的な生活の基本です。規則正しい生活を送り、寝る前の過ごし方を工夫しましょう。
ストレスは、血管を収縮させ、血圧を上昇させます。以下の項目を参考に、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
自分に合うストレス解消法を見つけ、ストレスの上手な発散が大切です。
喫煙は血管を収縮させ、血圧の上昇や動脈硬化を促進させる大きな原因です。禁煙は高血圧のリスクを減らすだけでなく、さまざまな病気の予防にもつながります。過度の飲酒も血圧を上昇させます。飲酒は適量にとどめ、できれば禁酒が望ましいです。
70代の高血圧は、加齢による血管の老化や生活習慣の乱れが原因です。高血圧を放置すると、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こすリスクがあります。 正常値は年齢に関係なく、120/80mmHg未満(診察室血圧)115/75mmHg未満(家庭血圧)です。 治療の目安は140/90mmHg(診察時血圧)、135/85(家庭血圧)以上です。
高血圧の人は、医師の指示に従いながら、バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス発散など、生活習慣の改善を心がけましょう。
高血圧について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について
Olsen E, Holzhauer B, Julius S, Kjeldsen SE, Larstorp ACK, Mancia G, Mehlum MH, Mo R, Rostrup M, Søraas CL, Zappe D, Weber MA. Cardiovascular outcomes at recommended blood pressure targets in middle-aged and elderly patients with type 2 diabetes mellitus compared to all middle-aged and elderly hypertensive study patients with high cardiovascular risk. Blood pressure 30, no. 2 (2021): 90-97.
大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585