30代は仕事や家庭で責任が増え健康管理が後回しになりがちですが、血管の老化が始まる年代です。そのため血圧の管理が重要です。
厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査によると、30代男性の約25%、女性の約20%が高血圧であることが分かっています。高血圧は自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心臓病などの重大な疾患のリスクを高める病気です。
本記事では30代の方々に向け、血圧の正常値や家庭での正しい測定方法や高血圧・低血圧のリスクと対策について解説します。記事を読めば、高血圧や低血圧時にも落ち着いて対処でき、より健康的な生活習慣を得ること可能です。
大石内科循環器科医院では、高血圧の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。
ここでは30代の方々に向け、血圧の正常値や家庭での正しい測定方法、高血圧・低血圧の自覚症状について説明します。
血圧の正常値は測定場所によって異なります。病院で測定した場合(*)、正常値は120/80mmHg未満です。自宅で測定する場合は115/75mmHg未満が正常値とされています。
*「白衣高血圧」と呼ばれ、病院という非日常的な空間や医師に対する緊張が原因で血圧が上昇する現象
30代の平均血圧値(令和元年国民健康・栄養調査より)
高血圧の定義は下記のとおりです。
自宅ではリラックスした状態で測定できるため、より正確に血圧値を把握できます。毎日決まった時間に測定することで自分の血圧傾向を把握し、効果的に健康を管理できます。
家庭での血圧測定のポイントは下記のとおりです。
これらのポイントを押さえることで、より正確に血圧を測定できます。
血圧が正常値から外れている場合、自覚症状が現れることがあります。高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、頻繁な頭痛が数少ない自覚症状の一つです。低血圧はめまいや立ちくらみ、ふらつき、だるさ、食欲不振、疲労感、頭痛、肩こり、集中力の低下、不安感、抑うつ感などが現れることがあります。
これらの症状が出た場合は、医療機関を受診し診察を受けてください。
以下の記事に初期症状について詳しく書いているので合わせてご覧ください。
>>高血圧の初期症状を解説!すでに症状が出てると進行しているかも
ここでは、高血圧と低血圧それぞれのリスクや原因、将来起こりうる病気について解説します。
高血圧が引き起こす代表的な病気には、以下のようなものがあります。
脳梗塞や脳出血は突然手足の麻痺や意識障害、言語障害などが起こることがあります。重症化すると後遺症が残ったり、命を落としたりする可能性もあります。
高血圧は病気のリスクを高めるだけでなく、進行を早めることもあります。健康診断などで高血圧を指摘された場合、医療機関を受診し適切な治療を受けることが大切です。
低血圧は、緊急性が高い病気としては認識されにくいです。しかし、放置することでさまざまな臓器への酸素や栄養の供給が不足し、機能低下を引き起こすことがあります。特に、脳や心臓への影響は大きく、めまいやふらつき、立ちくらみなどの症状が現れやすいです。自律神経の乱れとも関係することが多く、倦怠感や疲労感、頭痛、肩こり、不眠などの症状が現れることもあります。
重度の低血圧の場合、意識を失って転倒するリスクもあります。特に、高齢者は骨折すると寝たきりになるリスクもあるため注意が必要です。
高血圧も低血圧も生活習慣病と密接な関係があります。生活習慣病とは、食生活の乱れや運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣の積み重ねによって発症する病気の総称です。高血圧と低血圧の原因は以下のとおりです。
高血圧:塩分の摂りすぎや肥満、運動不足、ストレスなど
低血圧:極端なダイエットや偏った食生活、睡眠不足、ストレスなど
見直すべき生活習慣のポイントとしては、食生活の改善や適度な運動、十分な睡眠、ストレス解消などです。
30代は仕事や家庭で忙しい時期ですが、自分の体のことを気にかけることも大切です。多少の無理のツケは、年齢を重ねるごとにじわじわと体に蓄積していきます。毎日を健康に過ごすために、そして将来健康でいられるためにも血管の健康を守る生活習慣を今から身に付けましょう。
厚生労働省が推奨する成人1日あたりの塩分摂取量の目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。しかし、現状では多くの人がこの目標量を超えています。
高血圧予防のためには減塩を意識した食事が大切です。塩分を減らすコツは素材本来のうま味を活かすことです。だし汁をしっかり取ることや、酸味、辛味、香りを上手に活用することで満足感のある食事を楽しめます。香辛料やハーブも減塩の味方です。少量加えるだけで風味豊かに仕上がります。
高血圧のときの食生活については以下の記事について詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
>>高血圧の人が食べてはいけないものを解説!食生活で気をつけるべきポイント
運動は、血圧を下げる効果だけでなく、ストレス解消や気分転換、肥満予防、心肺機能の向上など、さまざまな効果が期待できます。
運動を毎日続けるためには、無理のない運動を選ぶことが大切です。運動習慣がない人におすすめなのはウォーキングです。毎日30分程度、少し息が上がる程度の速さで歩くことを目標に生活の中にウォーキングを取り入れてみましょう。
ストレッチも筋肉の柔軟性を高めて血流を促進し、血圧を下げる効果が期待できます。リラックスできる時間帯に、首や肩、背中、足など、全身をゆっくりと伸ばすストレッチを行いましょう。
運動は習慣化が大切です。最初は短い時間から始め、徐々に時間を延ばしたり、強度を上げたりしていきましょう。1日の中で、運動する時間を決めてしまうのも習慣化のコツです。
運動療法については以下の記事で詳細に解説していますので、合わせて読んでみてください。
>>高血圧の運動療法のおすすめの方法や効果を高血圧治療ガイドラインをもとに解説!
現代社会において、ストレスは避けて通れないものです。ストレスを溜め込みすぎると、自律神経のバランスが乱れ、血圧の上昇だけでなく、さまざまな体の不調を引き起こす可能性があります。ストレスを溜めないためには、自分なりのストレス解消方法を見つけて、上手に付き合っていくことが大切です。
まずは質の高い睡眠を心がけましょう。睡眠不足はストレスを溜め込みやすくなるだけでなく血圧にも悪影響を及ぼします。リラックスできる環境を整え十分な睡眠時間を確保しましょう。
趣味を楽しむ時間を作ることも効果的です。音楽鑑賞や読書、映画鑑賞、旅行など、自分が夢中になれることを見つけ、心身をリフレッシュさせましょう。アロマテラピーやヨガ、瞑想なども、リラックス効果が期待できます。
そして、友人や家族と過ごす時間も大切です。信頼できる人に自分の気持ちを打ち明けたり、楽しい時間を共有したりすることで心が軽くなります。
近年スマートフォンアプリやウェアラブルデバイスを使って、手軽に健康管理ができるようになりました。血圧測定アプリやスマートウォッチなどを活用することで血圧傾向を意識できます。
血圧測定アプリやスマートウォッチは測定結果を自動で記録し、グラフで表示してくれるため、血圧の変化に気づきやすくなるメリットがあります。また、目標を設定したり、達成度合いを可視化したりすることで、血圧管理のモチベーションを維持できます。測定データを医師と共有することで、より適切なアドバイスを受けることも可能です。
ただし、アプリやウェアラブルデバイスは補助的なツールです。血圧の測定値だけで自己判断せず、気になることがあれば医療機関を受診しましょう。
30代の血圧管理は将来の健康を左右する重要な要素です。血圧管理を意識し、健康的な生活習慣を身に付けることで、将来的な健康リスクを軽減できます。正常な血圧値は病院で測定した場合120/80mmHg未満、自宅で測定した場合115/75mmHg未満です。
高血圧を予防・改善するには、減塩を心がけたバランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス解消などで健康的な生活を送りましょう。血圧測定アプリやスマートウォッチなどを活用するのも有効ですが、異常を感じたら自己判断せず、医療機関を受診してください。
高血圧について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について
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