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心筋梗塞を疑う時に行う血液検査とは

2024.10.01 循環器

心臓の痛みや息切れ、胸の締め付け感など、心臓に異変を感じた時、あなたはすぐに病院へ駆け込みますか?

心筋梗塞は、心臓の筋肉が壊死してしまう恐ろしい病気です。しかし早期に発見できれば、適切な治療によって命を救うことができます。

この記事では、心筋梗塞の診断に役立つ血液検査について詳しく解説します。心筋梗塞の血液検査でどのような項目を調べるのか、検査結果がどのように解釈されるのか、そして検査を受ける際の注意点などをわかりやすく説明していきます。

心筋梗塞の早期発見、そして健康な生活を送るためにぜひこの記事を読んでみてください。

心筋梗塞の血液検査で知っておくべきこと5つ

心臓は私たちの体中に血液を送るポンプの役割をしています。心筋梗塞は心臓に栄養や酸素を送る血管(冠動脈)が詰まってしまい、心臓の筋肉がダメージを受けてしまう病気です。

血液検査は、この心筋梗塞の診断や治療方針を決める上で、とても重要な役割を果たします。今回は心筋梗塞の血液検査について、知っておくべきことを5つお伝えします。

行われる血液検査の主要項目

心筋梗塞の疑いがあるときに、どんな血液検査が行われるのでしょうか? 主な検査項目とその役割を、わかりやすく説明します。

検査項目説明
心筋逸脱酵素心臓の筋肉が傷つくと血液中に流れ出す、いわば心臓の悲鳴のようなものです。
CK(クレアチンキナーゼ)筋肉に多く含まれる酵素で、心筋梗塞以外に、激しい運動後などにも増加します。例えば、マラソン選手は、普段からトレーニングをしているため、CKの基準値が高い傾向にあります。
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)肝臓や心臓に多く含まれる酵素で、肝臓の病気や心筋梗塞などで増加します。お酒をよく飲む方の場合は、肝臓でASTが多く作られているため、基準値よりも高い場合があります。
LDH(乳酸脱水素酵素)全身の様々な臓器に含まれる酵素で、心筋梗塞以外にも、貧血や肝臓の病気などでも増加します。
トロポニン心臓の筋肉にだけ存在するタンパク質です。心筋梗塞が起こると血液中に流れ出し、非常に感度が高いため、心筋梗塞の早期発見に役立ちます。心筋梗塞を起こしてから約3時間後に上昇し始め、1週間程度は高い値が続きます。
炎症反応炎症が起こると増加する血液中の成分を調べます。心筋梗塞が起こると、心臓に炎症が起こるため、これらの数値が上昇することがあります。風邪をひいた時にも、血液検査で炎症反応が上昇するのと同じように、心臓も風邪をひくと、炎症反応が上昇するのです。
CRP(C反応性タンパク)炎症や組織の損傷が起こると血液中で増加するタンパク質です。
白血球数体を守る細胞の一つで、細菌やウイルスなどの感染症や炎症が起こると増加します。怪我をした時や手術後にも、白血球数は増加します。

検査結果の解釈と異常値の意味

血液検査の結果は数値によって異常がないか、異常がある場合はどの程度なのかを判断します。 正常値は検査機関や測定方法によって異なる場合があるため、検査結果の数値だけを見るのではなく必ず医師の診断を受けるようにしましょう。

例えば心筋逸脱酵素であるCKやトロポニンは心筋梗塞が起こってから時間が経つにつれて上昇し、その後、徐々に低下していきます。これらの数値の変化を見ることで、心筋梗塞がいつ頃起こったのかを推測することができます。

心筋梗塞のリスク評価における血液検査の役割

心筋梗塞は高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病があると、発症リスクが高まります。血液検査では、これらの生活習慣病のリスク因子を調べることもできます。

検査項目説明
血糖値血液中のブドウ糖の量を示します。高血糖が続くと糖尿病のリスクが高まります。
HbA1c(ヘモグロビンA1c)過去1~2ヶ月の平均的な血糖値の状態を反映します。糖尿病の診断やコントロール状態の判定に用いられます。
脂質コレステロールや中性脂肪などの脂質を調べます。脂質異常症は動脈硬化を進展させ、心筋梗塞のリスクを高める要因となります。
LDLコレステロール悪玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化を促進させる働きがあります。血管を水道管に例えると、LDLコレステロールは水道管にこびりつく錆のようなものです。
HDLコレステロール善玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化を予防する働きがあります。HDLコレステロールは、水道管の掃除屋さんのような役割を果たします。
中性脂肪エネルギー源として蓄えられる脂肪です。中性脂肪値が高い状態が続くと、動脈硬化のリスクが高まります。

これらの検査項目の結果から心筋梗塞のリスク因子を持っているかどうかを調べ、生活習慣の改善や治療が必要かどうかを判断します。

検査後のフォローアップと治療方針

検査結果が出たら医師から結果の説明を受け、今後の治療方針について相談します。 異常値が見つかった場合は、その原因を突き止め適切な治療を受けることが大切です。

心筋梗塞の治療は心臓の筋肉へのダメージを最小限に抑え、再発を予防することが目標となります。 治療法には薬物療法、カテーテル治療、バイパス手術などがあり患者さんの状態に合わせて選択されます。

心筋梗塞は、早期発見・早期治療が非常に重要です。 血液検査は心筋梗塞の診断や治療方針の決定、そしてリスク管理に大きく役立ちます。 健康な毎日を送るためにも、血液検査の結果と向き合い医師と相談しながら適切な対応をとっていくようにしましょう。

まとめ

心筋梗塞は、心臓の血管が詰まって起こる病気です。血液検査は、心筋梗塞の診断や治療方針を決定する上で重要な役割を果たします。

心筋梗塞の疑いがある場合は、心筋逸脱酵素やトロポニンなどの検査が行われます。これらの検査で、心臓の筋肉が傷ついているかどうか、心筋梗塞がいつ頃起こったのかを推測することができます。

また血液検査では、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスク因子を調べることもできます。これらの検査結果に基づき、生活習慣の改善や治療が必要かどうかを判断します。

心筋梗塞は、早期発見・早期治療が非常に重要です。

私は循環器専門医として、たくさんの心筋梗塞の患者様の治療にあたってきました。何か、不安な症状がある方はぜひ当院にご相談下さい。



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