大石内科循環器科医院

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夜中に呼吸が止まる原因と対策を解説

2024.09.26 いびき・睡眠無呼吸外来

あなたは、夜中に呼吸が止まっていると言われたことはありますか? 実は日本人の約20%が睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」を抱えている可能性があると言われています。 自覚症状が乏しく放置してしまう人も多いSASですが、高血圧や心臓病、脳卒中など、命に関わる病気を引き起こすリスクも潜んでいます。

今回は夜中に呼吸が止まる原因と対策を、身近な例を用いながら分かりやすく解説していきます。 もしかしたら、あなたやあなたの大切な人が、SASの危険信号に気づいていないだけかもしれません。 ぜひ、最後まで読んでみてください。

夜中に呼吸が止まる原因と対策を解説

皆さんは「夜中に呼吸が止まっている」と言われた経験はありますか? 実は、睡眠中に呼吸が止まる病気があるんです。 今回は夜中に呼吸が止まる原因と対策について、解説していきます。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とは

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)って、ちょっと難しい名前ですよね。 簡単に言うと寝ている間に、空気の通り道である「気道」が狭くなってしまう病気のことです。 気道が狭くなることで、息苦しくなったり呼吸が止まってしまったりするんですね。

例えるなら、ホースをイメージしてみてください。 ホースの中が詰まってしまうと、水が上手く流れなくなってしまいますよね? OSAは、ちょうどこのホースのように気道が狭くなってしまうことで、呼吸がうまくできなくなってしまう状態なんです。

夜中に呼吸が止まる主な原因

夜中に呼吸が止まる原因は、大きく分けて2つあります。

  1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)
    • 肥満:首回りに脂肪が多いと、気道を圧迫しやすくなります。皆さんも、太っている人が苦しそうに呼吸しているのを見たことがありませんか? あれは、首の周りの脂肪が気道を圧迫しているからなんです。
    • 扁桃肥大:扁桃腺が大きいと、気道を狭くしてしまいます。これは、ちょうどドアの入り口に大きな荷物が置いてあって、通りにくくなってしまうのと似ています。
    • アレルギー性鼻炎:鼻が詰まりやすくなるため、口呼吸になり、気道を狭くしてしまいます。
    • 飲酒:アルコールは、筋肉を弛緩させるため、気道が狭くなりやすくなります。
  2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群
    • 脳卒中:脳の呼吸中枢がダメージを受けることで、呼吸の調節がうまくいかなくなります。
    • 心臓病:心臓の機能が低下することで、呼吸にも影響が出ることがあります。
    • 薬の副作用:睡眠薬の中には、呼吸を抑制する作用を持つものがあります。

夜中に呼吸が止まる対策方法

夜中に呼吸が止まるのを予防したり改善したりするためには、どんな対策方法があるのでしょうか? 大きく分けて2つの方法があります。

  1. 生活習慣の改善
    • 減量:適正体重を目指しましょう。ダイエットは、食事の見直しと運動が基本です。
    • 禁煙:タバコは、気道を狭くする原因になります。
    • 飲酒の制限:お酒は、ほどほどにしましょう。
    • 睡眠時の体位の工夫:横向きで寝るようにすると、気道が圧迫されにくくなります。
    • 口腔咽頭運動:口や喉の周りの筋肉を鍛えることで、気道の閉塞を防ぎます。これは筋トレと同じように、毎日続けることが大切です。
  2. 医療機関での治療
    • CPAP療法:鼻にマスクを装着し、空気を送り込むことで、気道を広げて呼吸を楽にする治療法です。これは、自転車のタイヤに空気を入れるのと同じように、気道に空気を送り込んで、閉塞を防ぐ方法です。
    • マウスピース療法:睡眠時に装着することで、下顎を前に出して気道を広げる装置です。
    • 手術療法:扁桃腺の切除や鼻中隔彎曲症の矯正などを行います。

夜中に呼吸が止まる症状が気になる場合は、一人で悩まずに、当院にご相談下さい。


睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断方法と治療法を解説

夜中に呼吸が止まる病気「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と診断された場合、多くの方が不安を感じることでしょう。ここでは診断方法や治療法について、具体的な例を交えながら詳しく解説いたします。

睡眠時無呼吸症候群の診断方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と疑われる場合、その診断には主に以下の2つの検査が行われます。

  1. 簡易無呼吸検査
    • ご自宅でできる手軽さが魅力の検査です。指先にクリップのような小さなセンサーを装着し、睡眠中の呼吸やいびき、血液中の酸素飽和度などを記録します。
    • 例えば健康診断で「ちょっと気になるね」と医師に言われた方や、日中の眠気が気になっている方が、まずは気軽に受けてみる検査と言えるでしょう。
  2. ポリソムノグラフィー(PSG)検査
    • こちらは、病院に一泊していただき、より詳細な睡眠の状態を記録する検査です。脳波、心電図、眼球運動、筋電図、呼吸状態、血液中の酸素飽和度など、さまざまな項目を同時に測定します。
    • 例えば、簡易無呼吸検査の結果、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合や、他の睡眠障害との鑑別が必要な場合に実施されます。
    • この検査により、睡眠の深さや睡眠リズム、無呼吸や低呼吸の頻度や程度、いびきの有無などを総合的に評価することができます。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法は、症状の程度や患者さんの状態に合わせて、まさにオーダーメイドで決定されます。ここでは代表的な治療法を、具体的な例を挙げながらご紹介します。

  1. CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
    • 睡眠時無呼吸症候群の治療として、最も有効な方法の一つとされています。鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を押し広げるようにして呼吸を確保します。例えるなら空気の力で、睡眠中に狭くなってしまう気道を風船のように膨らませているイメージです。
    • 症状が重い方や高血圧や心臓病などの合併症がある方にとって、第一選択となることが多い治療法です。
  2. マウスピース療法
    • 寝る時に口の中に装着する、スポーツマウスピースに似た装置です。このマウスピースによって下あごを少し前に出すことで、気道を広げ、呼吸をスムーズにする効果があります。
    • CPAP療法がどうしても合わない方や、軽症から中等症の方などに適しています。
  3. 手術療法
    • 鼻や喉の気道を広げる手術を行う方法です。扁桃腺肥大やアデノイド肥大など、気道の閉塞を引き起こしている原因が明らかな場合に有効です。
    • 例えば、扁桃腺が大きくて呼吸がしづらいお子さんや、鼻中隔彎曲症のために鼻呼吸が困難な方などが対象となります。
  4. 生活習慣の改善
    • 睡眠時無呼吸症候群は、肥満や生活習慣の乱れと深く関係しています。
      • 減量:体重が減ることで、気道が狭くなるのを防ぐ効果が期待できます。
      • 禁煙:タバコの煙は気道を刺激し、炎症を起こしやすくするため、禁煙は症状改善に有効です。
      • 飲酒:アルコールは筋肉を弛緩させるため、気道が狭くなりやすくなります。
      • 睡眠時の体位:横向きに寝ることで、気道が確保されやすくなることがあります。
      • 規則正しい生活:睡眠のリズムを整えることは、睡眠の質向上に役立ちます。

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これらの治療法と並行して生活習慣の改善に取り組むことは、治療効果を高める上で非常に重要です。

睡眠時無呼吸症候群の治療期間と回復までの期間

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療期間は症状の程度や治療法、そして患者さん自身の状態によって大きく異なり、一概には言えません。

例えばCPAP療法の場合、症状が改善するまで、あるいは一生涯にわたって継続する必要がある場合があります。継続的な使用が必要となるケースが多いですが、そのおかげで症状が改善し日中の眠気や集中力の低下といった問題が改善されることが期待できます。

マウスピース療法や手術療法の場合は症状が改善すれば治療を終了できることもありますが、定期的な経過観察が必要です。例えばマウスピース療法では、顎の位置関係や歯の状態を定期的にチェックする必要があります。

筋機能療法という治療法もあります。これは、口、咽頭、上気道の筋肉を鍛える運動療法です。この治療法はCPAP療法が合わない方や、手術を希望されない方にとって、新たな選択肢となりえます。

夜中に呼吸が止まる症状とそのリスクについて詳しく知る

夜中に呼吸が止まるなんて、想像するだけで怖いですよね。でも、安心してください。多くの場合、原因を特定し適切な治療を行うことで改善する可能性があります。

今回は夜中に呼吸が止まる原因の代表格である「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」について、その症状やリスク、他の病気との関連性について詳しく解説していきます。

夜中に呼吸が止まるよくある症状

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は自覚症状がない場合でも、周囲の人が異変に気づくことが少なくありません。まるで静かな湖面に突然大きな波が立つように穏やかな寝息が突如、苦しそうな呼吸音に変わることもあります。

症状の特徴具体的な例
いびき雷のように大きないびきをかいたり、急に静かになったりする
呼吸の状態睡眠中に呼吸が止まっている、息苦しそうに呼吸が浅い
睡眠の状態何度も目が覚める、ぐっすり眠れない、熟睡感がない
日中の状態鉛のように体が重く、日中に強い眠気や倦怠感を感じる
その他の症状朝起きた時の頭痛、口の渇き、寝汗をかく

例えば隣で寝ている家族にいびきがうるさいと言われたり、息をしていないと心配されたことはありませんか?それは、睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません。

夜中に呼吸が止まる症状を放置するリスク

夜中に呼吸が止まる症状を放置すると、身体に負担がかかり続け、様々な病気のリスクを高めます。

病気具体的な症状やリスク
高血圧心臓に負担がかかり、心臓病や脳卒中のリスクが高まる
心臓病動脈硬化が進み、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まる
脳卒中脳の血管が詰まったり破れたりし、麻痺や言語障害が残る可能性がある
糖尿病インスリンの働きが悪くなり、血糖値が上がりやすくなる
認知症脳への血流が悪くなり、記憶力や判断力が低下する

夜中に呼吸が止まる症状と他の疾患との関係性

睡眠時無呼吸症候群は単独で起こることもありますが、他の病気と密接に関係している場合があります。例えばアレルギー性鼻炎や鼻中隔湾曲症などの鼻の病気があると、鼻呼吸がしづらくなり睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。

関連する疾患症状や関係性
アレルギー性鼻炎鼻づまりによって口呼吸になりやすく、気道が狭くなりやすい
鼻中隔湾曲症鼻中隔(左右の鼻の穴を隔てる壁)が曲がっているため、鼻呼吸がしづらい
扁桃肥大扁桃腺が大きくなっているため、気道を狭くしている
肥満首回りに脂肪がつきやすく、気道が圧迫されやすい

また睡眠時無呼吸症候群は、筋機能療法(口腔咽頭運動)によって症状が改善する可能性があります。筋機能療法とは舌や口、喉の筋肉を鍛えることで気道の閉塞を防ぎ、呼吸をスムーズにする治療法です。具体的な運動としては舌を前に突き出したり、喉の奥を締めたりする運動などがあります。

このように夜中に呼吸が止まる症状は、様々な病気と関連している可能性があります。気になる症状がある場合は自己判断せずに、当院へご相談ください。

まとめ

夜中に呼吸が止まる原因は、気道が狭くなる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」が多くあります。肥満や扁桃肥大などが原因で、放置すると高血圧や心臓病など深刻な病気を引き起こすリスクがあります。対策としては生活習慣の改善や、CPAP療法、マウスピース療法などの治療法があります。

夜中に呼吸が止まる、ご家族から指摘された、苦しくて目が覚めるなど気になる症状があれば、当院にご相談下さい。



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